仕事を始めるたびに、ブラウザー、表計算ソフト、チャット、エディターなどを一つずつ開き、同じ位置へ並べ直しているなら、PowerToys Workspacesを使うと作業を減らせます。いつも使うアプリの組み合わせとウィンドウの位置・サイズをワークスペースとして保存し、ショートカットなどからまとめて起動できる機能です。
ただし、Workspacesが保存するのは主に「起動するアプリと画面上の配置」です。未保存の文書や入力途中の内容、アプリ内の状態を丸ごと保存する機能ではありません。どのファイルやページが開くか、既存ウィンドウが再利用されるかは、各アプリの起動仕様や設定によって変わります。([Microsoft Learn][1])
いつも使うアプリ一式と配置をPowerToys Workspacesで呼び出す方法
PowerToys Workspacesでは、現在のデスクトップ上にあるアプリを目的の位置へ並べ、その構成を保存できます。保存したワークスペースは、PowerToysのエディターにある「Launch」またはデスクトップショートカットから呼び出せます。
例えば、次のような毎日の準備を一つの操作にまとめられます。
- 左側にブラウザー
- 中央に表計算ソフト
- 右側にメールやチャット
- サブディスプレイに業務システム
- 必要に応じて特定のファイルやプロジェクトを起動
Workspacesは、アプリを起動してから保存済みの位置へ移動し、ウィンドウサイズを調整します。そのため、起動途中でウィンドウが一度表示され、その後に保存位置へ移動する動作は異常ではありません。([Microsoft Learn][1])
Workspacesで保存できるものと保存できないもの
最初に、Workspacesの適用範囲を理解しておくことが重要です。
| 項目 | Workspacesでの扱い |
|---|---|
| 起動するアプリの組み合わせ | 保存できる |
| ウィンドウの位置 | 保存できる |
| ウィンドウのサイズ | 保存できる |
| デスクトップショートカット | 保存時に作成できる |
| アプリごとの起動引数 | 必要に応じて設定できる |
| 未保存の文書内容 | 保存されない |
| 入力途中のフォーム | 保存されない |
| アプリ内のタブやカーソル位置 | アプリ側の復元機能や起動条件による |
| ログイン状態 | アプリ側の仕様による |
| Windowsのスナップ状態 | 同じ状態として再現されるとは限らない |
Workspacesの公式説明で保存対象として示されているのは、アプリ、ウィンドウ位置、サイズ、起動引数などです。したがって、休止状態や仮想マシンのスナップショットのように、メモリー上の作業状態まで保存するものではありません。([Microsoft Learn][1])
重要な文書は、Workspacesを起動する前後にかかわらず、各アプリで通常どおり保存してください。
PowerToys Workspacesを有効にする
PowerToysを起動し、設定画面から「Workspaces」を開いて機能を有効にします。
有効にした後は、次のいずれかの方法でWorkspacesエディターを開けます。
- PowerToysのWorkspaces設定から「Launch editor」を選ぶ
- 既定のショートカットである
Win+Ctrl+`を押す
ショートカットは設定画面から変更できます。画面上の項目名は、PowerToysの表示言語やバージョンによって多少異なる場合があります。([Microsoft Learn][1])
新しいワークスペースを作成する
エディターから作成を開始する
Workspacesエディターを開き、「+ Create workspace」を選択します。
キャプチャー画面に切り替わっても、デスクトップは通常どおり操作できます。この状態で、保存したいアプリを開き、希望する位置とサイズへ並べます。不要なアプリが開いている場合は、キャプチャー前に閉じておくと整理しやすくなります。
配置が完成したら「Capture」を実行します。([Microsoft Learn][1])
名前と登録アプリを確認する
Captureを実行すると、保存前の編集画面が表示されます。ここでは、主に次の項目を確認します。
- ワークスペースの名前
- 登録されたアプリ
- 各ウィンドウの位置とサイズ
- 不要なアプリが含まれていないか
- 起動引数が必要か
- デスクトップショートカットを作るか
ワークスペース名は、用途がすぐ分かるものにします。
例えば「仕事用」だけでは、後から用途を区別しにくくなります。次のように、作業内容や画面構成を含めると管理しやすくなります。
- 毎朝の事務作業
- 月次集計・2画面
- Web更新作業
- オンライン会議準備
- プロジェクトA開発環境
意図せず設定画面、ファイル選択画面、一時的に開いていたアプリなどが登録されていた場合は、保存前に削除します。
保存したワークスペースを起動する
作成したワークスペースは、次の方法で起動できます。
- Workspacesエディターの一覧から「Launch」を選ぶ
- 保存時に作成したデスクトップショートカットを開く
- デスクトップショートカットをタスクバーへピン留めして起動する
タスクバーへ直接ワークスペースを登録するのではなく、いったんデスクトップショートカットを作成し、そのショートカットをタスクバーへピン留めします。([Microsoft Learn][1])
起動状態の表示を確認する
ワークスペースの起動中は、各アプリの状態を示すダイアログが表示されます。
| 表示状態 | 意味 |
|---|---|
| 緑色のチェック | アプリの起動と再配置が完了した |
| 読み込み中の表示 | 起動または位置調整を行っている |
| 赤色の× | アプリの起動に失敗した |
すべてのアプリが起動して配置されると、ダイアログは自動的に閉じます。途中で閉じたり、ワークスペースの起動処理を取り消したりすることもできます。([Microsoft Learn][1])
赤色の×が表示された場合は、すぐにワークスペース全体を作り直すのではなく、次の順番で原因を切り分けます。
- 対象アプリを単体で起動できるか確認する
- 起動引数を設定している場合は、一度外して試す
- 管理者権限が必要なアプリか確認する
- アプリの更新や再インストールで起動先が変わっていないか確認する
- そのアプリだけワークスペースから外し、再登録する
既存ウィンドウを移動するか、新しく起動するかを確認する
Workspacesを使う際に迷いやすいのが、すでに同じアプリが開いている場合の動作です。
アプリによって、次のように挙動が異なります。
- 開いているウィンドウを再利用する
- 既存ウィンドウを保存位置へ移動する
- 新しいウィンドウを開く
- 新しい起動要求を既存ウィンドウへ渡す
- 一つのウィンドウしか起動できない
Workspacesの「Move existing windows」を有効にすると、すでに開いている対象アプリのウィンドウを、ワークスペースに保存した位置へ移動します。その後、まだ開いていないアプリが通常どおり起動します。([Microsoft Learn][1])
Move existing windowsを有効にする判断基準
| 目的 | 推奨する考え方 |
|---|---|
| 開いているアプリも含めて一気に並べ直したい | 有効にする |
| 作業中のウィンドウを勝手に移動されたくない | 無効の状態から試す |
| 毎朝、ほぼ何も開いていない状態で起動する | どちらでも影響は小さい |
| 一つしか起動できないアプリを使う | 既存ウィンドウが移動する前提で確認する |
| 同じアプリを複数案件で使い分けたい | アプリの複数起動や起動引数への対応を確認する |
「Move existing windows」を無効にしても、必ず新しいウィンドウが開くとは限りません。単一インスタンス型のアプリなどは、新しいウィンドウを作成できず、既存ウィンドウが再利用または移動される場合があります。Windowsの設定画面は、公式ドキュメントで単一インスタンス型アプリの例として挙げられています。([Microsoft Learn][1])
現在の作業を崩したくない場合は、最初に保存していない文書がないか確認し、既存ウィンドウを開いた状態と閉じた状態の両方でテストしておくと安全です。
起動引数はアプリの公式情報を確認して設定する
Workspacesでは、アプリごとにコマンドライン引数を設定できます。起動引数を使うと、対応しているアプリでは特定のファイル、プロジェクト、プロファイルなどを指定して起動できます。
ただし、起動引数の書式はアプリごとに異なります。Workspacesが適切な引数を自動生成してくれるわけではありません。
起動引数を設定するときは、次の手順で進めます。
- 対象アプリの公式ドキュメントを確認する
- 利用したい動作に対応する引数があるか調べる
- その引数を単体でテストする
- 正常に動作してからWorkspacesへ登録する
- 一度に複数追加せず、アプリごとに確認する
Microsoftの公式説明では、Visual Studio Codeで既存ウィンドウを再利用する例として --reuse-window が紹介されています。ただし、この引数を別のアプリへ流用することはできません。必ず対象アプリの公式仕様に従ってください。([Microsoft Learn][1])
既存のワークスペースを編集する
作成済みのワークスペースは、エディターから選択して編集できます。
主な編集方法は次のとおりです。
- 登録済みアプリを削除する
- 各アプリのウィンドウ位置を調整する
- ウィンドウサイズを変更する
- 「Launch & Edit」で現在の構成を起動して再調整する
- 再度Captureして構成を取り直す
位置やサイズを少し変えるだけなら、アプリごとの設定から手動で修正する方法が向いています。アプリ構成そのものを大きく変更する場合は、「Launch & Edit」で実際の画面を見ながら並べ直すと分かりやすくなります。
再キャプチャーすると起動引数や設定が消える
Workspacesでは、調整後に再度Captureを実行すると、以前に登録した起動引数や設定が削除され、現在の画面構成を基にしたクリーンな再キャプチャーになります。
公式ドキュメントでは、必要に応じて再キャプチャーを元のワークスペースへ戻せると説明されていますが、編集前に重要な起動引数を控えておく方が確実です。([Microsoft Learn][1])
特に、複数アプリへ起動引数を設定しているワークスペースでは、次の手順が安全です。
- 現在の起動引数をメモする
- 「Launch & Edit」で配置を調整する
- Capture後に登録内容を確認する
- 必要な起動引数を再設定する
- 保存後にもう一度起動テストする
管理者として起動するアプリには配置上の制限がある
Workspacesでは、アプリごとに「Launch as Admin」を指定できます。指定したアプリを起動すると、アプリごとにユーザーアカウント制御の確認画面が表示されます。
ただし、Microsoftの公式ドキュメントには、管理者として起動したアプリを保存した位置へ再配置できない既知の問題が記載されています。管理者権限での起動には成功しても、ウィンドウが希望位置へ移動しない可能性があります。([Microsoft Learn][1])
この問題が発生した場合は、次のいずれかで運用します。
- 管理者権限が不要なら通常権限で起動する
- 対象アプリだけ起動後に手動で移動する
- 管理者アプリを別のワークスペースへ分ける
- PowerToysの更新後に公式ドキュメントで既知の問題を再確認する
業務システムや管理ツールを含める場合は、ワークスペースを完成させる前に管理者権限での動作を確認してください。
FancyZonesとの違い
PowerToysには、ウィンドウ配置に関係する機能としてFancyZonesもあります。両者は似ていますが、主な目的が異なります。
| 機能 | 主な目的 |
|---|---|
| Workspaces | 複数のアプリをまとめて起動し、保存した位置とサイズへ配置する |
| FancyZones | 画面上に配置領域を作り、開いているウィンドウを領域へ並べる |
FancyZonesは、画面を複数の領域に分割し、ウィンドウをドラッグやショートカットで配置するための機能です。Workspacesは、どのアプリを起動するかを含めた作業構成の呼び出しに向いています。([Microsoft Learn][2])
両方を組み合わせる場合は、次のように役割を分けると分かりやすくなります。
- FancyZonesで日常的に使う画面領域を設計する
- Workspacesで業務ごとのアプリ一式と配置を保存する
- 一時的に配置を変えるときはFancyZonesを使う
- 毎回同じ作業環境を呼び出すときはWorkspacesを使う
なお、Workspacesは内部でFancyZonesの仕組みを利用してウィンドウを配置しますが、Windowsのスナップ状態そのものを保存して復元する機能ではありません。保存時にスナップされていたウィンドウが、起動後には同じスナップ状態にならない場合があります。([Microsoft Learn][1])
よくある問題と確認方法
| 症状 | 考えられる理由 | 確認すること |
|---|---|---|
| ウィンドウが起動後に移動する | 起動してから位置とサイズを調整する仕様 | 正常動作として完了まで待つ |
| 新しいウィンドウが増える | アプリが複数起動を既定動作としている | Move existing windowsや公式の起動引数を確認する |
| 既存ウィンドウが移動する | Move existing windowsが有効、または単一インスタンス型 | 設定とアプリの起動仕様を確認する |
| アプリが赤い×になる | 起動処理に失敗している | 単体起動、引数、権限を順番に確認する |
| 管理者アプリだけ移動しない | 公式に記載された既知の制限 | 通常権限での運用や手動配置を検討する |
| 再編集後に引数が消えた | 再キャプチャーで以前の設定が削除される | 引数を再登録するか元の構成へ戻す |
| スナップ状態が再現されない | Workspacesはスナップ状態を復元しない | 位置とサイズとして確認し、必要ならFancyZonesを使う |
不具合の切り分けでは、一度にすべてを直そうとしないことが重要です。最初は起動引数を使わず、2~3個のアプリだけでワークスペースを作ります。基本動作を確認してから、アプリや引数を一つずつ追加すると、問題のある設定を特定しやすくなります。
実務で使いやすいワークスペースの分け方
一つのワークスペースへすべてのアプリを詰め込むより、作業単位で分けた方が扱いやすくなります。
毎朝の基本業務
ブラウザー、メール、チャット、予定表など、始業時に必ず使うアプリをまとめます。
頻繁に使うため、デスクトップショートカットやタスクバーから起動できるようにしておくと便利です。
集計・資料作成
表計算ソフト、参照用ブラウザー、ファイル管理画面などを並べます。
通常業務とは画面構成が異なる場合に、専用ワークスペースとして分けると切り替えやすくなります。
プロジェクト別
プロジェクトごとに使用するエディター、ターミナル、ブラウザーなどをまとめます。
特定のファイルやプロジェクトを直接開きたい場合は、対象アプリが対応している正式な起動引数を確認して設定します。
会議準備
オンライン会議アプリ、資料、メモ、参加者情報などを見やすい位置へ配置します。
ただし、会議URLや資料が毎回変わる場合は、固定の起動引数へ無理に組み込まず、共通するアプリ構成だけを保存した方が保守しやすくなります。
最初は小さなワークスペースから作る
PowerToys Workspacesを安定して使うには、最初から複雑な構成を作らないことがポイントです。
まず、毎日使う2~3個のアプリを並べて保存します。起動引数は設定せず、次の項目だけを確認してください。
- すべてのアプリが起動する
- 希望する位置とサイズへ移動する
- 既存ウィンドウがある場合の動作に問題がない
- 管理者権限が必要なアプリを含んでいない
- ショートカットから正常に起動できる
基本動作を確認できたら、アプリや起動引数を一つずつ追加します。再キャプチャーでは以前の引数や設定が消えるため、配置だけを変更するときは手動編集で済ませられないか先に確認します。
Workspacesを「作業内容を保存する機能」ではなく、作業を始めるためのアプリ構成を呼び出す機能として使うと、期待とのずれが少なくなります。毎朝繰り返しているアプリ起動とウィンドウ整理から一つ選び、まずは小さなワークスペースとして登録するのが実用化への近道です。
[1]: https://learn.microsoft.com/en-us/windows/powertoys/workspaces “PowerToys Workspaces Utility for Windows Desktop Management | Microsoft Learn”
[2]: https://learn.microsoft.com/en-us/windows/powertoys/fancyzones “FancyZones Window Manager for Windows – PowerToys | Microsoft Learn”

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