Windows Server 2019を運用するうえで、「累積更新プログラム」「Out-of-Band更新」がそれぞれどのような位置づけなのかを理解しておくことはとても大切です。特に、KB5037765とKB5039705の関係を誤解したままアップデートを進めてしまうと、不要なエラーに戸惑うことになりがちです。本記事では、両者の違いや適切なインストール手順、気を付けたいポイントを解説します。
Windows Server 2019における更新プログラムの基本
Windows Server 2019では、基本的に毎月のパッチ火曜日(Patch Tuesday)にあわせてセキュリティ修正や機能改善を含む「累積更新プログラム」が公開されています。これらの累積更新は、以前の月で提供された更新がすべて含まれる場合が多く、「以前のアップデートを適用していないからといって段階的にインストールする必要がない」という特徴があります。
しかし、時折セキュリティ上の緊急度が高い問題や、特定環境に深刻な不具合を引き起こす問題が見つかった場合、定例の更新スケジュールとは別に「Out-of-Band更新」と呼ばれる緊急パッチが公開されることがあります。今回のKB5039705は、まさにこのOut-of-Band更新の一つにあたります。
KB5037765とKB5039705とは?
Windows Server 2019利用者において、両者の関係を把握することが重要です。以下ではそれぞれの特徴を詳しく見ていきます。
KB5037765:通常の累積更新プログラム
KB5037765は、Windows Server 2019向けの定例的な累積更新プログラムの一つです。Microsoftが提供している公式ドキュメントによると、主にセキュリティ関連の修正や機能更新が含まれています。多くのサーバー管理者は、WSUS(Windows Server Update Services)やWindows Update、Microsoft Updateカタログなどから、従来の手順でこれを適用していることでしょう。
- セキュリティ更新:OS内部の脆弱性に対するパッチ
- 機能の安定性向上:特定のロールや機能(IISやHyper-Vなど)のバグ修正
- 既知の問題修正:前月までの累積更新で発生した一部不具合の解消
KB5039705:Out-of-Band更新プログラム
KB5039705は、上記KB5037765に含まれる修正に加え、同更新が原因で発生していた既知の不具合や、緊急性の高いセキュリティリスクを速やかに解決するために追加でリリースされたOut-of-Band更新プログラムです。Out-of-Band更新は、月例のパッチ配信スケジュール外でも公開される場合があり、以下のような目的で利用されます。
- 重要度の高いセキュリティホールを速やかに修正
- 累積更新によって引き起こされた深刻な不具合を早急に対処
- 特定シナリオや環境下でのみ再現する問題に対する臨時対応
KB5039705が提供された背景としては、KB5037765の適用後に一部のサーバー環境やワークロードで想定外のエラーや不具合が起きる恐れが確認されたため、それを解消する追加の修正が急遽必要となったと推測されます。
KB5039705とKB5037765の関係
実際に運用環境でKB5039705をインストールした管理者からは、「KB5037765を先に入れておく必要があるのか?」「両方をインストールしないとセキュリティが網羅されないのでは?」といった疑問がよく聞かれます。結論から言うと、KB5039705にはKB5037765の修正内容がすべて含まれているため、両方を併用する必要はありません。
一緒にインストールは不要
KB5039705はあくまでもOut-of-Band更新ではありますが、セキュリティ修正や累積更新に含まれる内容を包括しています。そのため、「KB5037765をまだインストールしていないけれど、KB5039705を適用する予定」という場合でも問題ありません。KB5039705単独で、KB5037765に含まれているセキュリティ更新を含め、多くの修正が適用されます。
KB5039705が適用済みのシステムで、後からKB5037765を入れようとすると「このコンピューターには適用できません」とエラーが表示されるのは正常な挙動です。Windowsの累積更新パッケージは基本的に新しい方が古い更新を置き換えるため、より新しい修正が組み込まれたKB5039705を適用済みの場合、古いKB5037765を追加で入れる必要はありません。
KB5039705のみで問題解決が可能な理由
ここでは、KB5039705がなぜ単独で十分なのかをもう少し具体的に解説していきます。
累積更新の仕組み
Windows Serverを含むMicrosoft製品の累積更新は、月例リリースのたびに以前の更新内容を「包含」する設計が基本です。Out-of-Band更新についても同様に、直近リリースの累積更新が対象としていた修正を原則的に含んでいます。KB5039705は、KB5037765のセキュリティ修正および既知の問題をすべて網羅しつつ、さらに追加の不具合修正も行っていると考えられます。
既知の不具合修正
KB5037765を適用することで見つかった特定の不具合(起動時エラーやリモートアクセスの不調など)が報告されている場合、KB5039705はそれらを解消するために提供される更新です。したがって、KB5039705の内容を適用することでKB5037765の不具合は修正され、セキュリティ要件も満たされます。
上書きインストールの仕組み
Windows Updateは基本的に「パッチの重複」を回避するよう設計されています。すでにより新しいアップデートが導入されている場合、古いアップデートを追加で適用する必要がなく、エラーで「不適用」と表示されるのは仕様通りです。
インストール時の注意点とエラーの対処方法
実際に運用環境でKB5039705やKB5037765をインストールする際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。以下の表とPowerShellスクリプト例を参考に、更新プログラムの状況を確認しながら確実に運用してみてください。
| KB番号 | 更新の種類 | 主な内容 | 配布形態 |
|---|---|---|---|
| KB5037765 | 累積更新プログラム | 定例配信のセキュリティ修正や機能改善 | Windows Update / WSUS / Microsoft カタログ |
| KB5039705 | Out-of-Band更新 | KB5037765で発生していた不具合修正や追加のセキュリティ修正 | Windows Update / WSUS / Microsoft カタログ |
インストール手順のポイント
- バックアップの取得
重要なサーバーを更新する前には、システム全体のバックアップやスナップショット(仮想化環境の場合)の取得を推奨します。アップデートによるトラブル発生時に、すぐ復旧できる体制を整えておくことが重要です。 - 事前テスト環境での検証
本番サーバーにいきなりアップデートを適用するのはリスクが大きいため、検証用のテスト環境でまずはKB5039705を当てて動作確認を行いましょう。特に、独自アプリケーションや特定のロール(IIS, SQL Serverなど)を使用している場合は、不具合の事前チェックが欠かせません。 - 累積更新の確認
WSUSやSCCM(現在はMicrosoft Endpoint Configuration Manager)を使用している場合、更新プログラムが順次配信される設定になっているかを確認し、必要に応じてOut-of-Band更新を手動で同期・承認してください。また、Microsoft Updateカタログから直接ダウンロードして適用する方法もあります。 - 再起動の計画
Windows Serverの更新プログラム適用後は、再起動が必要となる場合がほとんどです。本番サーバーの場合は、サービス停止時間や業務への影響を考慮して、事前にメンテナンスウィンドウを設定しておくことがポイントです。
エラー確認のためのPowerShellスクリプト例
更新プログラムが正しくインストールされているかを確認する手段として、PowerShellのGet-HotFixコマンドレットがよく利用されます。以下の例では、KB5039705とKB5037765の状態を同時に確認します。
# KB5039705とKB5037765のインストール状況を確認
Get-HotFix -Id KB5039705, KB5037765
上記コマンドを実行すると、サーバーに適用されている更新プログラムの一覧が表示されます。KB5039705が「Installed」と表示され、KB5037765が見つからない場合でも問題はありません。これは前述のとおり、新しい更新が古い更新を置き換えている正常な状態だからです。
もし「このコンピューターには適用できません」といったエラーが表示された場合は、すでにKB5039705がインストール済みでKB5037765が不要と判定された可能性が高いです。前述のように、Out-of-Band更新を先に入れた場合に起こる仕様通りの挙動ですので、特に気にする必要はありません。
まとめ
Windows Server 2019の累積更新において、KB5037765とKB5039705は混同しやすい存在ですが、KB5039705にはKB5037765が提供しているセキュリティ修正やバグ修正がすべて含まれています。したがって、KB5039705を単独でインストールすれば十分であり、KB5037765との併用は不要です。むしろ、先にKB5039705を適用してしまった場合は、KB5037765を追加で入れようとしてもエラーが出るのが正常な動作です。
運用の現場では、Out-of-Band更新の登場によって一時的に混乱が生じることもありますが、更新プログラムの含有関係や累積方式を理解することで、無駄なトラブルを回避できます。大切なのは、公式ドキュメントを参照しながらテスト環境で検証し、本番環境では万全のバックアップ体制を整えて適用することです。ぜひ本記事を参考に、より安全かつスムーズなWindows Server 2019の運用管理を実現してください。

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