Windows 11 26H1で新規プリンターがIPP既定に|KB5101681とWindows Ready Printの設定

Windows 11 26H1では、KB5101681以降、IPPに対応するプリンターを新しく追加した際に、Windows Ready PrintによるIPP接続が優先されるようになりました。ただし、すでに登録されているプリンターやドライバーが、自動的にIPPへ置き換わるわけではありません。

新しい動作は、Windows 11の「設定」に追加される「既定で Windows Ready Print を使用してプリンターをインストールする」トグルで制御できます。一般的な印刷だけであれば有効のままで問題ありませんが、部門コード、認証印刷、ステープル、特殊用紙などのメーカー固有機能を使う組織では、既存環境と同じ機能を利用できるか確認してから展開することが重要です。(Microsoft サポート)

目次

Windows 11 26H1で新しいプリンターのインストール方法が変わる

今回の変更は、2026年7月28日に公開されたWindows 11 26H1向けプレビュー更新プログラム「KB5101681」で案内されました。

項目内容
対象OSWindows 11 バージョン26H1の全エディション
更新プログラムKB5101681
OSビルド28000.2608
公開日2026年7月28日
変更内容対応プリンターの新規インストールでIPPを既定として使用
既存プリンター自動的には変更されない
管理方法Windows Ready Printのトグル、またはグループポリシー
提供方法段階的ロールアウト
既知の問題Microsoftは現時点で認識していない

Microsoft Update Catalogには、x64版とArm64版のKB5101681が登録されています。通常の利用者は、Microsoft Update Catalogから手動導入するのではなく、Windows Updateの「オプションの更新プログラム」から適用する方法が基本です。(Microsoft サポート)

変更されるのは「新しく追加するプリンター」

最も重要なのは、今回の設定が新しいプリンターのインストールにだけ適用される点です。

KB5101681をインストールしても、現在使用しているプリンターキューやOEMドライバーが自動的に削除されたり、Microsoft IPP Class Driverへ置き換えられたりすることはありません。

たとえば、現在「メーカー名 PCL6 Driver」で動作している複合機は、そのまま同じドライバーを使用し続けます。一方、その複合機を削除して再追加すると、新規インストールとして扱われ、IPPに対応していればWindows Ready Printが優先される可能性があります。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

重要: Windows Ready Printのトグルを切り替えただけでは、インストール済みプリンターのドライバーは変更されません。

すべてのプリンターが強制的にIPPになるわけではない

IPPが既定になるのは、Windows Ready Printに対応しているプリンターです。

IPPに対応していない古いプリンターや、メーカー独自の接続方式を必要とするプリンターまで、一律にIPPへ変更されるわけではありません。また、Windows Ready Printを無効にした場合は従来のドライバー選択処理に戻りますが、特定のOEMドライバーが必ず自動選択されるとは限りません。

OEMドライバーが必要な場合は、プリンターメーカーが提供するインストーラーを利用するのが確実です。

IPPとWindows Ready Printの関係

IPPは「Internet Printing Protocol」の略で、プリンターに印刷ジョブを送信したり、印刷設定を取得したりするための標準プロトコルです。

名称に「Internet」とありますが、印刷データが必ず公開インターネットを経由するという意味ではありません。社内LANや家庭内ネットワークで利用できるほか、対応機器ではIPP over USBによるUSB接続でも利用できます。Windowsでは、Microsoft IPP Class Driverが標準ドライバーとして用意されています。(Microsoft Learn)

Windows Ready Printとは

Windows Ready Printは、Windowsが推奨する新しい印刷方式です。IPPによる印刷、eSCLによるスキャン、Universal Printなどの標準技術を利用し、従来のようにプリンターごとのサードパーティ製ドライバーを必須としません。

主な利点は次のとおりです。

  • メーカーごとのドライバー管理を減らせる
  • Windows Update後のドライバー不具合を抑えやすい
  • x64やArm64など、PCのアーキテクチャに依存しにくい
  • 古いプリンタードライバーを読み込む機会を減らせる
  • Mopria対応プリンターで共通の印刷方式を利用できる

Windows Ready Printは、主にMopria認定プリンターで動作するように設計されています。メーカー独自の設定画面や追加機能については、Microsoft Storeから提供される印刷サポートアプリケーションが利用される場合があります。(Microsoft Learn)

IPPでも機種固有の機能がすべて使えるとは限らない

通常の印刷、カラー、両面印刷、用紙サイズの選択などはIPPでも利用できる可能性が高い一方、次のような機能は事前確認が必要です。

確認する機能想定される影響
部門コード・課金管理メーカー独自ドライバーやアプリが必要な場合がある
暗証番号付き印刷IPP側の対応状況により設定項目が異なる
ICカード認証認証ソフトや専用ポートとの連携確認が必要
ステープル・パンチフィニッシャー構成が正しく取得されるか確認
特殊用紙・ユーザー定義用紙用紙サイズやトレイ設定に差が出る可能性がある
スキャンeSCL、WS-Scan、メーカー製アプリの対応確認が必要
FAX送信複合機と利用方法によって対応状況が異なる

複合機を業務利用している場合は、「印刷できた」だけでテストを終了せず、実際に使用している機能を一通り確認してください。

IPPが既定になる理由はサードパーティ製ドライバーの廃止計画

Microsoftは、従来のv3およびv4サードパーティ製プリンタードライバーについて、複数年をかけてサービス提供を縮小する計画を進めています。

時期Microsoftの計画
2023年9月サードパーティ製プリンタードライバーのサービス終了計画を発表
2026年1月15日Windows 11以降とWindows Server 2025以降向けの新規ドライバーをWindows Updateへ原則公開しない
2026年7月1日ドライバーの順位付けでWindows標準IPPクラスドライバーを常に優先
2027年7月1日セキュリティ修正を除き、サードパーティ製ドライバーの更新を原則終了

KB5101681によるWindows Ready Printの既定化は、この移行方針に沿った変更と考えられます。(Microsoft Learn)

サードパーティ製ドライバーがすぐ使えなくなるわけではない

「廃止計画」という表現から、OEMドライバーがすぐにインストールできなくなると誤解しやすいですが、現時点では全面禁止ではありません。

Microsoftは、既存のサードパーティ製プリンタードライバーを引き続きインストールできると説明しています。プリンターメーカーが提供する個別のインストールパッケージから導入することも可能です。

したがって、当面の実務では次のように使い分けられます。

  • 標準的な印刷はWindows Ready Printへ移行する
  • メーカー固有機能が必要な機種はOEMドライバーを継続する
  • 新規調達ではMopriaやIPPへの対応を選定条件に加える
  • 将来のWindows更新を見据え、古いv3・v4ドライバーへの依存を減らす

「今すぐ全ドライバーを削除する」のではなく、機種と用途ごとに移行可否を判断することが重要です。

KB5101681とWindows Ready Printの設定方法

Windows Ready Printを使用するかどうかは、Windows 11の設定画面から変更できます。

Windows Ready Printのトグルを変更する手順

  1. Windows + Iキーを押して「設定」を開きます。
  2. 「Bluetooth とデバイス」を選択します。
  3. 「プリンターとスキャナー」を開きます。
  4. プリンター設定の項目まで画面を下へ移動します。
  5. 「既定で Windows Ready Print を使用してプリンターをインストールする」を確認します。
  6. 利用方針に合わせてオンまたはオフにします。

Microsoftが案内している設定パスは、次のとおりです。

設定 > Bluetooth とデバイス > プリンターとスキャナー > 既定で Windows Ready Print を使用してプリンターをインストールする

この項目は段階的に配信されるため、KB5101681をインストールした端末でも、すぐに表示されない場合があります。(Microsoft サポート)

トグルをオンにした場合

IPPに対応するプリンターを新しく追加すると、Windows Ready PrintとWindows標準のIPPドライバーが優先されます。

次の環境では、オンのまま運用しやすいでしょう。

  • 家庭用の一般的なインクジェットプリンター
  • Mopria認定プリンター
  • 印刷、カラー、両面印刷が中心のオフィス
  • Arm64版Windows PC
  • 機種ごとのドライバー配布を減らしたい環境

トグルをオフにした場合

Windows Ready Printを明示的に優先する動作が無効になり、通常のドライバー選択処理が使用されます。

ただし、トグルをオフにしても、既存のIPPプリンターがOEMドライバーへ自動変更されるわけではありません。OEMドライバーで再構築する場合は、対象プリンターを削除し、メーカーのインストーラーを使用して追加し直します。

プリンターを削除する前に、次の設定を記録してください。

  • プリンター名
  • IPアドレスまたはポート名
  • 既定の用紙サイズ
  • カラーと白黒の既定値
  • 両面印刷の既定値
  • 給紙トレイ
  • 部門コード
  • 認証印刷の設定
  • 仕上げオプション

業務用複合機では、プリンターキューを削除すると利用者固有の設定が失われることがあります。

使用中のプリンターがIPPか確認する方法

Windows Ready Printのトグル状態だけでは、現在インストールされているプリンターがどのドライバーを使用しているか判断できません。

設定画面からドライバーを確認する

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「Bluetooth とデバイス」を選択します。
  3. 「プリンターとスキャナー」を開きます。
  4. 確認するプリンターを選択します。
  5. 「プリンターのプロパティ」を開きます。
  6. 「詳細設定」タブでドライバー名を確認します。

ドライバー欄に「Microsoft IPP Class Driver」と表示されていれば、Windows標準のIPPドライバーを使用している可能性が高いと判断できます。メーカー名や「PCL6」「PS」「Universal Driver」などが表示されている場合は、OEMドライバーが使用されています。(Microsoft Learn)

PowerShellでまとめて確認する

複数のプリンターを確認する場合は、PowerShellで次のコマンドを実行します。

Get-Printer |
    Sort-Object Name |
    Select-Object Name, DriverName, PortName, Type

特定のプリンターだけを確認する場合は、次のように実行します。

Get-Printer -Name "総務カラー複合機" |
    Format-List Name, DriverName, PortName, Type

Get-Printerは、Windowsに登録されているプリンターとそのプロパティを取得するコマンドです。通常、一覧表示だけであれば管理者権限は必要ありません。(Microsoft Learn)

グループポリシーでWindows Ready Printを管理する方法

企業や学校で複数のWindows 11端末を管理している場合は、利用者ごとにトグルを変更させるのではなく、グループポリシーで統一する方法があります。

グループポリシーの設定手順

  1. gpedit.mscを起動します。
  2. 「ローカル コンピューター ポリシー」を開きます。
  3. 「コンピューターの構成」を開きます。
  4. 「管理用テンプレート」を開きます。
  5. 「プリンター」を選択します。
  6. 「Configure Windows Ready Print driver ranking」を開きます。
  7. 運用方針に応じて「有効」または「無効」を選択します。
  8. 「適用」「OK」の順に選択します。

ポリシーを有効にすると、新しいプリンターのインストールでWindows Ready Printが優先されます。無効にすると、Windows Ready Printを明示的に優先するドライバー選択が無効になります。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

ポリシーが表示されない場合は、対象端末がWindows 11 26H1の対応ビルドになっているか、管理用テンプレートが更新されているかを確認してください。段階的ロールアウト中は、同じ組織内でも端末によって設定項目の表示時期が異なる可能性があります。

Windows Ready PrintとWindows保護印刷モードは別の設定

Windows Ready Printのトグルと「Windows保護印刷モード」は、似ていますが影響範囲が大きく異なります。

項目Windows Ready PrintのトグルWindows保護印刷モード
主な目的新規インストール時のドライバー優先順位を制御Windows Ready Printだけに印刷方式を限定
対象新しく追加するプリンターPC全体のプリンター環境
既存プリンター原則として変更しないサードパーティ製ドライバーのプリンターを削除する
非対応プリンター従来の方式を利用できる場合があるインストールできない
OEMドライバー引き続き利用可能有効中は利用不可

Windows保護印刷モードを有効にすると、サードパーティ製ドライバーを使用しているプリンターがアンインストールされ、ドライバーも利用できなくなります。Mopria認定プリンターであっても、OEMドライバーで登録されている場合はいったん削除され、Windows Ready Printで再インストールする必要があります。(Microsoft Learn)

そのため、業務用PCでWindows保護印刷モードを有効にする場合は、Windows Ready Printのトグル変更よりも慎重な検証が必要です。

IPPへの変更で印刷機能が不足した場合の戻し方

IPPで追加したあとに、必要な機能が表示されない場合は、次の順番で確認します。

ドライバーと不足機能を特定する

まず、プリンターのプロパティまたはPowerShellでDriverNameを確認します。そのうえで、次のテストを行います。

  • Windowsのテストページ
  • PDFの印刷
  • WordやExcelからの印刷
  • カラー印刷
  • 両面印刷
  • 複数給紙トレイ
  • ステープルやパンチ
  • 暗証番号付き印刷
  • 部門コード
  • スキャン
  • FAX

印刷できないのか、印刷はできるが詳細機能だけ不足しているのかを分けて確認することが大切です。

印刷サポートアプリを確認する

Windows Ready Print対応プリンターでは、メーカーが印刷サポートアプリを提供している場合があります。アプリを導入すると、標準ドライバーだけでは表示されなかった設定項目を利用できることがあります。(Microsoft Learn)

OEMドライバーへ戻す

業務に必要な機能をIPPで利用できない場合は、次の手順でOEMドライバーへ戻します。

  1. Windows Ready Printのトグルをオフにします。
  2. 現在のプリンター設定を記録します。
  3. IPPで追加されたプリンターキューを削除します。
  4. プリンターメーカーの公式サイトから対応ドライバーを入手します。
  5. メーカーのインストーラーを使用してプリンターを追加します。
  6. DriverNameがOEMドライバーになったことを確認します。
  7. 業務で使用する全機能を再テストします。

Microsoftの廃止計画後も、メーカーが提供する個別パッケージから既存のプリンタードライバーをインストールすることは認められています。(Microsoft Learn)

Windows Ready Printのトグルが表示されない場合

KB5101681をインストールしても設定項目が表示されない場合は、次の順番で確認します。

Windowsのバージョンとビルドを確認する

Windows + Rキーを押し、次のコマンドを実行します。

winver

Windows 11 26H1で、OSビルドが28000.2608以降になっているか確認します。

段階的ロールアウトであることを確認する

KB5101681の新機能には、段階的に提供される項目が含まれています。同じ更新プログラムをインストールしていても、端末ごとに設定項目の表示時期が異なる場合があります。

設定が表示されないからといって、更新プログラムのインストール失敗とは限りません。更新プログラムの再インストールや非公式なレジストリ変更を行う前に、Windows Updateの状態とMicrosoftの配信状況を確認してください。(Microsoft サポート)

組織のポリシーを確認する

会社や学校のPCでは、グループポリシーやMDMによって設定が制御されている場合があります。

特にWindows保護印刷モードがグループポリシーで有効化されている場合、利用者が設定画面から無効化することはできません。(Microsoft Learn)

組織で展開する前に確認すべき項目

企業内でWindows 11 26H1を展開する場合は、IPPを一律に無効化するのではなく、次の手順で検証すると安全です。

プリンターを用途別に分類する

分類推奨する対応
一般的な家庭用プリンターWindows Ready Printを有効にして確認
Mopria対応のオフィス複合機少数端末で先行テスト
Arm64 PCで使うプリンターWindows Ready Printを優先的に検証
部門コードや認証印刷を使う複合機OEM機能を含めて詳細テスト
ラベルプリンター用紙サイズ、カット、濃度設定を検証
プロッター・大判プリンター専用ドライバーの継続利用を検討
古い非Mopria機器OEMドライバーの保守状況を確認
Windows保護印刷モードを導入する端末全プリンターの互換性確認後に有効化

代表端末でパイロットを行う

プリンターモデルごとに、最低でも次の組み合わせをテストします。

  • Windows 11 26H1とWindows Ready Print
  • Windows 11 26H1とOEMドライバー
  • x64 PC
  • Arm64 PCを導入している場合はArm64 PC
  • 一般利用者アカウント
  • 管理者権限を持たない利用者
  • 社内ネットワーク
  • VPNや拠点間接続を利用する環境

テスト結果を比較し、標準印刷だけで問題がない機種はWindows Ready Printへ移行し、専用機能が必要な機種だけOEMドライバーを維持すると管理しやすくなります。

KB5101681の既知の問題と注意点

Microsoftは、KB5101681について現時点で既知の問題を認識していないとしています。ただし、これはすべてのプリンターモデル、メーカー製ソフトウェア、業務アプリとの組み合わせが保証されているという意味ではありません。(Microsoft サポート)

特に、次の環境では事前検証を省略しないでください。

  • 古いv3プリンタードライバー
  • 独自のポートモニターを使用するプリンター
  • ICカード認証システム
  • 部門別課金システム
  • 帳票印刷ソフト
  • ラベル発行システム
  • 医療・製造・物流向け専用プリンター
  • プリントサーバーから共有キューを配布している環境

問題が発生した場合は、KB5101681そのものをすぐ削除するのではなく、まず対象プリンターのDriverNameと、Windows Ready Printの設定状態を確認してください。

今後の対応方針

Windows 11 26H1で新しいプリンターを追加する場合は、IPPとWindows Ready Printが標準的な選択肢になります。通常の印刷が中心であれば、Windows Ready Printを有効にしたまま利用し、カラー、両面、スキャンなどをテストすればよいでしょう。

一方、メーカー独自機能が業務に必要な場合は、次の順番で対応します。

  1. 現在使用しているドライバー名を確認する
  2. プリンターモデルがMopriaやIPPに対応しているか確認する
  3. Windows Ready Printで必要な機能をテストする
  4. 不足する機能があれば印刷サポートアプリを確認する
  5. 解決しない場合はトグルをオフにしてOEMドライバーで再追加する
  6. 組織ではグループポリシーによる統一管理を検討する

今回の変更は、既存プリンターを突然利用できなくするものではありません。ただし、Microsoftは明確にIPPとWindows Ready Printを優先する方向へ移行しています。新規調達やWindows 11 26H1への更新を機に、古いプリンタードライバーへの依存状況を確認しておくことが、将来のトラブルを減らす最も実務的な対応です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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