自治体のデジタル化が進むなかで、多くの担当者が「オンライン申請サービス」の選定に頭を悩ませています。なかでも「LoGoフォーム」と「Graffer スマート申請」は比較検討されやすい代表的なツール。今回は両サービスの特徴や料金、活用事例を徹底比較します。
LoGoフォームとGraffer スマート申請の基本概要
まずは両サービスのおおまかな特徴を整理します。いずれも行政DXを推進するためのクラウド型電子申請プラットフォームとして注目を集めていますが、想定ユーザーや機能範囲に違いがあります。
LoGoフォームとは
LoGoフォームはトラストバンクが提供する自治体専用のノーコードツールです。専門的なプログラミング知識がなくても、職員自身が直感的に電子申請や予約フォーム、アンケートなどを作成できます。インターネットとLGWANの両方の環境で公開でき、庁内利用にも対応可能です。
主な機能と特徴
- ノーコードで職員がフォームを設計可能
- 回答データのリアルタイム集計・グラフ化
- 予約枠管理機能(定員に達すると受付自動停止など)
- 公的個人認証(マイナンバーカード)やオンライン決済へのオプション対応
- 位置情報を用いた道路破損・公園設備の通報フォームが作成可能
- 庁内アンケートや調査票の簡易作成など、住民向けだけでなく庁内業務にも活用可
Graffer スマート申請とは
Graffer スマート申請は株式会社グラファーが提供する行政手続き特化型のデジタル申請プラットフォーム。スマートフォン完結を前提としたUI設計や、大容量ファイル受付、電子署名、キャッシュレス決済標準対応など、総合的なデジタル化を実現します。庁内システムとの自動連携も可能で、申請から審査・交付までのフローを一気通貫で処理できる点が強みです。
主な機能と特徴
- ノーコードで誰でもフォーム作成が可能
- LGWAN環境に対応し、電子署名(申請者が電子押印)や大容量ファイルの受理が可能
- 公的個人認証、SNS認証、GbizIDなど多様な認証手段を標準搭載
- クレジットカード・Pay-easy・PayPayなどのキャッシュレス決済を標準実装
- 庁内システムへのデータ連携機能(自動連係・CSV出力)で二重入力を削減
- 証明書交付をはじめ、審査や決定通知などの帳票発行まで自動化できる

担当部署全体の業務改革を大きく進めたい場合は、Grafferのような包括的な仕組みを選ぶメリットがあるでしょう。反面「小さく始めて試してみたい」ならLoGoフォームがフィットしやすいですね。
料金プラン・導入コストの違い
サービス選定の際に気になるのが費用面です。両者とも具体的な料金は公表されていませんが、おおむね次のような特徴があります。
項目 | LoGoフォーム | Graffer スマート申請 |
---|---|---|
無料トライアル | 6か月間の無料トライアルを提供 | なし(基本的に有償契約) |
導入費用の目安 | 小規模自治体でも導入しやすい安価な価格帯 人口5万人未満でも対応可 | 高機能ゆえ比較的費用は高め 補助金活用や共同調達の事例あり |
追加機能 | 公的個人認証やオンライン決済を必要に応じてプランに追加 | 電子署名・マルチ決済手段が標準対応 |
支援体制 | マニュアル・研修動画等を整備 他自治体のテンプレート共有などコミュニティベースでの学習 | 専用の導入サポート窓口や伴走支援あり 大規模プロジェクトに強み |
使いやすさ・UIの評価
LoGoフォームのUI
「マウス操作と文字入力だけでフォーム設計できる」と評されるほど、LoGoフォームは職員にもやさしいインタフェースです。さらにテンプレートや他自治体の作成フォームを参照しながら改良できる仕組みがあり、ノウハウを共有し合えるコミュニティ的な魅力もあります。



導入から1~2週間程度でさまざまな電子申請やアンケートを公開し始めた自治体も少なくありません。ITリテラシーが高くない職員でも比較的短期間で慣れやすい点は非常に大きなメリットですね。
Graffer スマート申請のUI
こちらもノーコード操作で誰でも迷わず画面設計できるように配慮されています。行政の定型手続きのテンプレートが豊富に用意されているので、フォーム作りにかかる労力を軽減。加えて、住民向けの使いやすさについても高評価を獲得しています。
導入事例・活用シナリオ
実際にどのような自治体が導入しているのか、その事例から用途を見ていきましょう。
LoGoフォームの導入実績
- 2020年3月提供開始以降、2024年8月時点で全国710自治体が導入
- 大阪府内8自治体が共同調達し、費用対効果の高さが評価されている
- 住民向けは粗大ごみ収集の申込、イベントや施設利用の予約、各種アンケートなど幅広い業務で活用
- 庁内向けにも職員アンケート、調査票、情報共有フォームなどに展開
Graffer スマート申請の導入実績
- 2024年4月末時点で190以上の自治体が導入
- 政令指定都市の70%以上が採用し、大規模団体における事務効率化事例が豊富
- 住民票や税証明のオンライン請求、保育料助成や給付金申請など、従来窓口対応が多かった複雑手続きをDX化
- 京都市では出産・子育て応援給付金の手続きをオンライン化し、担当職員数を4割削減
- 結果通知も紙郵送ではなくメール送信に置き換え、帳票作成を自動化する取り組みが進む



Grafferは「申請から審査、交付通知まで完結させたい」自治体から強い支持を得ています。庁内システムとのデータ連係で二重入力を大幅に削減できる点が好評です。
ユーザーのリアルな評価
実際の導入自治体担当者の声や、住民からの反応をまとめると以下のような評判が多く挙がっています。
LoGoフォーム利用者の声
Graffer スマート申請利用者の声
両サービスの比較表
観点 | LoGoフォーム | Graffer スマート申請 |
---|---|---|
提供元 | トラストバンク | 株式会社グラファー |
特長 |
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導入規模 | 全国710自治体(2024年8月時点) 小~中規模自治体の活用多 | 全国190自治体以上(2024年4月時点) 政令市・都道府県での利用多数 |
料金プラン |
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適したシーン | 小さく迅速にDXを始めたい自治体 アンケート・予約受付等の効率化 | 大規模手続のオンライン化 内部承認・交付通知まで一括管理 |
まとめ~どんな自治体に向いている?
LoGoフォームは「まず電子申請を簡単に導入したい」「費用を抑えながら職員が現場でフォームを作り、住民サービスを向上させたい」という自治体におすすめです。スモールスタートで取り組むケースが多く、人口規模の小さい市町村でも無理なくDXを進められます。
一方、Graffer スマート申請は「申請から決裁、証明書発行や給付金交付まで本格的に電子化し、庁内の大規模な業務フロー全体を改革したい」自治体に向いています。政令指定都市や中核市など複雑な事務を抱える自治体が導入しやすく、導入後は高い業務効率化や住民満足度向上が期待されます。



「費用を最小限にして早く使い始めたい」ならLoGoフォーム。「補助金や予算を活用してでも手続全体を一気にオンライン化したい」ならGraffer スマート申請、という選択が王道でしょう。
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