「新しい Microsoft Purview ポータルになったら、ビジネス用語集をCSVで一括インポートできなくなった?」と悩んでいないでしょうか。本記事では、現在の新ポータルでのインポート手順と注意点、REST APIを使った自動化まで、日本語でわかりやすく整理します。
新ポータルでインポートが見つからない問題の正体
クラシックな Microsoft Purview ポータルでは、ビジネス用語集(Business Glossary)の画面に大きく「Import terms」ボタンがあり、CSVファイルさえ用意すればまとめて登録できました。
ところが、新しい Microsoft Purview ポータル(プレビュー → 正式UI)では画面構成が大きく変わり、次のような理由で「インポートの入り口が見つからない」という声が非常に多くなりました。
- Unified Catalog(エンタープライズ用語集)側だけを見ていて、編集系メニューにたどり着けない
- 「Business glossary → Glossaries」ではなく、データ製品やドメイン側のメニューから探している
- インポート権限(Data curator)が付与されておらず、ボタン自体が表示されない
さらに混乱に拍車をかけたのが、2024年中は新ポータルにCSVインポート機能が存在しなかったという事実です。Microsoft Q&A でも「新ポータルではまだ利用できない」と公式回答が出ており、その時点では「できない」が正解でした。
しかし現在(公式ドキュメント最終更新 2025-01-28 時点)では、新ポータルからもCSVインポートが正式サポートされています。
結論:新Microsoft PurviewポータルでもCSVインポートは可能
まずは結論を整理します。
- 新ポータル(Microsoft Purview ポータル)でも、CSVによる用語の一括インポートが可能
- インポートの入り口は、「Business glossary → Glossaries → View terms → Import terms」
- 操作にはData curator 権限が必要
- インポートできるのは、テンプレートCSVに定義されている列のみ
- 親用語(Parent term)の変更はインポートではできない(UIやAPIでの個別操作が必要)
Microsoft Learn の「Import and export glossary terms」記事でも、クラシック ポータルと新ポータルの両方に対する手順が明記されており、新ポータル側でも「View terms → Import terms」からインポートする手順が公式に記載されています。
新ポータルでCSVインポートする具体的な手順
ここからは、新Microsoft Purviewポータル側の画面からCSVインポートを行う手順を、実務で迷いやすいポイントも含めて解説します。
前提条件(権限)
- Microsoft Purview アカウントにアクセスできること
- 対象のカタログに対してData curator 権限を持っていること
(公式ドキュメント上、「用語集の編集およびインポート/エクスポートには data curator permissions が必要」と明記されています)
画面操作の流れ
- Microsoft Purview ポータル(
https://purview.microsoft.com)にサインインします。 - 左メニューから [Data catalog](または同等のナビゲーション)を開きます。
- [Business glossary] → [Glossaries] を選択します。
- インポートしたい対象の用語集(Glossary)をクリックします。
- 用語集の詳細画面で、上部の [View terms] を選択します。
- 用語一覧画面の上部にある [Import terms] ボタンをクリックします。
- 表示されたダイアログで、インポートに使用するテンプレート(Term template)を選択し、[Continue] をクリックします。
- テンプレートCSVをダウンロードし、Excelなどで開きます。
- テンプレートの列定義に従って、用語名・定義・ステータス・親用語・スチュワードなどを入力したCSVを保存します。
- 再度 [Import terms] ダイアログに戻り、作成したCSVを選択して [OK] または承認ワークフロー有効時は [Submit for approval] を押します。
インポートが成功すると、指定したGlossaryの用語一覧に新しい用語が一括で追加されます。ワークフローが有効になっている場合は、承認が完了するまでカタログ上に反映されません。
手順を一目で確認できる早見表
| ステップ | 操作 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | Purview ポータルにサインイン | ブラウザで https://purview.microsoft.com |
| 2 | Business glossary → Glossaries | 新ポータルの編集入口。Unified Catalog ではない点に注意。 |
| 3 | 対象Glossaryを選択 → View terms | ここで用語一覧画面に遷移 |
| 4 | Import terms をクリック | Data curator権限がないと表示されない |
| 5 | テンプレートを選択しCSVをダウンロード | 複数テンプレートをまとめて選択可能 |
| 6 | CSVを編集して再度 Import | 承認ワークフロー有効時は「Submit for approval」経由で反映 |
Unified Catalog と Business glossary の役割の違い
新ポータルでは、「Unified Catalog」(統合カタログ) と「Business glossary」(ビジネス用語集) が併存しており、これがインポート機能の所在を分かりにくくしているポイントです。
ざっくりまとめると次のイメージになります。
| 機能エリア | 主な用途 | 主な画面パス | CSVインポート |
|---|---|---|---|
| Business glossary(Data Catalog) | ビジネス用語集の定義・管理(テンプレート、インポート/エクスポート等) | Data catalog → Business glossary → Glossaries | 対応(View terms → Import terms) |
| Unified Catalog(Enterprise glossary) | ガバナンスドメイン単位での用語活用、データ製品との紐付け、ポリシー適用 | Unified Catalog → Governance domains / Enterprise glossary | 用語の閲覧・作成・ポリシー管理は可能だが、CSVインポートは Business glossary 側で実施 |
Unified Catalog の [Discovery] → [Enterprise glossary] 画面では、用語の閲覧・検索・フィルタ・ドメイン別の管理などが中心であり、CSVインポートのボタンは表示されません。用語をまとめて投入したい場合は、必ず Business glossary 側に回り込む必要があります。
CSVテンプレートとカスタム属性の設計ポイント
CSVインポートの要となるのが、用語のテンプレート(Term template)です。テンプレートには標準属性(Name, Definition, Status など)に加えて、プロジェクト固有のカスタム属性を定義できます。
Microsoft Learn によると、テンプレートの管理は次の手順で行います。
- Purview Data Catalog を開く
- 新ポータルの場合は Business glossary → Glossaries を選択
- 上部の [Manage term templates] をクリック
- システム属性とカスタム属性を確認し、[Custom] タブでテンプレートを作成・編集
テンプレート設計で絶対に知っておきたい制約
公式ドキュメントの一文が非常に重要です。
- 「一度作成された用語に紐づくテンプレートは、後から変更できない」
つまり、次のようなことが起こり得ます。
- テンプレートAで大量にインポートした後、「やっぱり属性構造を変えたい」となっても、既存用語のテンプレートをテンプレートBに差し替えることはできない
- テンプレートを削除しようとしても、そのテンプレートを使っている用語が残っている限り削除できない
このため、本番インポート前にテンプレート設計を十分に練るのがとても重要です。テンプレートの属性構成をテスト用Glossaryで検証し、CSVテンプレートとあわせて何度か試験インポートしてから、本番Glossaryに適用することを強くおすすめします。
テンプレートCSVの代表的な列と意味
実際にダウンロードできるテンプレートCSVはテンプレートごとに列が異なりますが、代表的な列は次のようなイメージです(実際の列名はテンプレートから確認してください)。
| 列の例 | 意味 | よくある入力例 |
|---|---|---|
| Name | 用語名(必須)。Glossary内で一意であることが望ましい | Customer, Order, 売上高 など |
| Definition / LongDescription | ビジネス的な定義。必要に応じてリッチテキストに対応 | 「会計年度ごとの売上高を日本円で表した指標」など |
| ShortDescription | 短い説明。検索結果や一覧での概要表示に使われる | 売上高(金額) |
| Status | 用語のステータス | Draft / Approved / Expired / Alert など |
| ParentTerm | 親用語名または識別子 | 「売上高」→親用語「財務指標」など |
| Experts / Stewards | 用語の担当者。メールアドレスで指定 | [email protected](Entra IDのプライマリ メール推奨) |
| IsDefinitionRichText | Definitionがリッチテキストかどうか | true / false |
| CustomAttribute_xxx | テンプレートで定義したカスタム属性 | 重要度、業務領域、データ品質SLA など |
公式ドキュメントでは、テンプレートに存在しない列はインポートの対象外であること、ファイル名やリッチテキスト定義の扱いなど、細かい要件も解説されています。
クラシックポータルからの変遷と時系列を整理する
「ブログによって書いてあることが違う」「昔のQ&Aだと『新ポータルではインポート不可』と書いてある」という混乱の原因は、機能の提供タイミングにあります。
| 時期 | 状況 | 参考 |
|---|---|---|
| 〜2024年中頃 | 新ポータルにはCSVインポート機能がなく、Microsoft Q&Aでも「新ポータルでは未サポート」と回答されていた | Q&Aスレッド。 |
| 2024年末〜2025年初 | Business glossary側のUIが拡充され、View terms → Import terms が追加 | Import/export ドキュメントの最終更新が 2025-01-28 となっている。 |
| 現在 | クラシック Data Catalog / Data Health Insights は新規顧客受付を停止し、サポートモード。新ポータル+Unified Catalog へ移行が進行中 | 複数の「legacy」記事にサポートモードである旨が明記。 |
そのため、2024年以前に書かれたブログやQ&Aをそのまま信じると「新ポータルではできない」という古い情報に引きずられてしまう点に注意してください。最新の動作を確認するには、Microsoft Learn のドキュメントで 最終更新日 をチェックするのが確実です。
インポートがうまく動かない時のチェックリスト
「手順通りにやっているはずなのに、Import terms ボタンがない/エラーになる」という場合は、次の観点で切り分けると原因を特定しやすくなります。
| 現象 | 考えられる原因 | 確認・対処 |
|---|---|---|
| Import terms ボタン自体が表示されない | Data curator 権限がない / Unified Catalog 側の画面を見ている | Purviewアカウント管理者に依頼して、対象コレクションに対する Data curator ロールを付与してもらう 左メニューで Data catalog → Business glossary → Glossaries を開いているか確認 |
| CSVアップロード時にフォーマットエラー | テンプレートにない列を追加した / 列名を変更した / 文字コード・ファイル名の制約を満たしていない | 必ずダウンロードしたテンプレートCSVから編集を開始し、列の追加や削除を行わない ファイル名に記号(&、#、? など)を使わない |
| 親用語だけ変更したいが反映されない | インポートでは親用語の更新がサポートされていない | 対象用語をUI上で開き、個別に親用語を設定する または REST API を使って階層情報を更新する |
| CSVの定義が一部だけ反映されない | テンプレートに存在しないカスタム属性列を入れている | Manage term templates でカスタム属性がテンプレートに含まれているか確認 テンプレート名と列名のスペルを再確認する |
| 承認ワークフロー有効時、インポート後も用語が表示されない | インポート内容が承認待ちの状態 | ワークフローの承認者に連絡して、インポート申請の承認を依頼 「Submit for approval」で送信されているか操作履歴を確認 |
REST APIを使った一括登録・自動化のパターン
UIからのインポートは簡単ですが、「毎日インポートしたい」「別システムのメタデータと自動同期したい」といった要件がある場合は、REST API を使った自動化を検討する価値があります。
Glossary REST API の概要
Purview の Glossary REST API には、次のような操作が用意されています。
- Glossary の作成(Create)
- カテゴリの作成(Create Category / Create Categories)
- 用語の作成(Create Term)
- 用語の一括作成(Create Terms)
- 用語の削除・更新・取得(Delete Term / Get / List Terms など)
- 用語とデータ資産の関連付け(Assign Term To Entities)
特に一括作成には、POST {endpoint}/datamap/api/atlas/v2/glossary/terms を使う「Create Terms」エンドポイントが用意されています。リクエストボディとして、複数の AtlasGlossaryTerm オブジェクトを配列で渡す形式です。
REST API自動化の典型フロー
- Azure AD でアプリ登録(サービスプリンシパル)を行い、Purview アカウントに対して適切なロールを付与
- アプリケーションから OAuth2 (client credentials 等) でアクセストークンを取得
- CSVや別システムから用語定義を読み込んで、
AtlasGlossaryTermの配列にマッピング - REST API
POST /datamap/api/atlas/v2/glossary/terms?api-version=2023-09-01に送信 - レスポンスの GUID をログに残し、以降の更新・削除に利用する
PowerShell や Azure Functions、Data Factory / Synapse パイプラインなどと組み合わせれば、「CSVをBlobに置く → パイプラインで定期的にREST APIを叩いて用語を更新」といった運用も実現可能です。
CSVインポート運用のベストプラクティス
ここからは、実際にGlossaryを運用する際に役立つベストプラクティスをいくつか紹介します。これらはコミュニティブログやMicrosoft MVPによるナレッジとも整合しています。
1. ビジネス用語の階層と命名規則を先に決める
- 「財務指標 → 売上高 → 売上高(日本) → 売上高(海外)」のように、業務で自然に説明できる階層構造を検討してからCSVを作成する
- 用語名は人名のようにブレやすいので、命名規則(日本語 or 英語、略語の扱い、複数形など)を事前に決めておく
- Purviewの用語は大文字小文字を区別するため、「売上」「売上高」「売上高(売上)」のような近い名前を乱立させない
2. テスト用GlossaryでテンプレートとCSVを検証する
- 本番Glossaryとは別に、検証用のGlossary(または別のPurviewアカウント)を用意し、テンプレート設計とCSVインポートを何度か試す
- インポート操作は既存用語の上書きも行えるため、誤ったCSVを投入すると戻すのが大変になります。テスト環境で挙動をつかんでおくと安心です。
3. エクスポート → 編集 → 再インポートで安全に構造を把握する
- 既存Glossaryの構造を変えたいときは、まず Export terms で現状をCSVとして取得し、そのコピーを編集して再インポートする方法が安全です。
- 親子構造やステータス、関連用語などのフィールドを目で追えるので、「この用語がどこから参照されているか」を把握しやすくなります。
- ただし繰り返しになりますが、親用語の変更はCSVインポートではサポートされない点だけは別途設計が必要です。
4. 災害復旧・監査のためにGlossaryのバックアップを取る
- 重要なGlossaryについては、定期的にExport termsしたCSVをストレージ(例:SharePoint / OneDrive / Git リポジトリ等)に保管しておくと、誤操作や障害時の復旧や監査証跡に役立ちます。
- 「月次で本番Glossaryを丸ごとエクスポートし、バックアップフォルダに保管する」といったシンプルな運用だけでも効果的です。
よくある質問と回答(FAQ)
Q1. 旧ポータル(クラシック)で作ったGlossaryは、新ポータルからも見えるの?
A. クラシックなData Catalog/Business Glossaryは、新ポータルの「Business glossary」エリアからも継続して管理できます。ただしクラシック側は新規顧客の受付停止・サポートモードであるため、新規に構築する場合は新ポータル+Unified Catalog前提で設計するのが推奨です。
Q2. Unified Catalog側だけでCSVインポートできますか?
A. 現時点では、CSVインポートの入り口は Business glossary 側にあります。Unified Catalog(Enterprise glossary)は、ドメインごとの用語管理・ポリシー適用・データ製品とのリンクが主体であり、一括インポートは担っていません。
Q3. テンプレートを変えたい時、既存用語を一括で別テンプレートに移せますか?
A. いいえ。既存用語に紐づいたテンプレートは変更できません。必要であれば、新テンプレートで用語を作り直し、古い用語をExpiredにするなどライフサイクルで制御します。
Q4. CSVインポートとREST APIのどちらを使うべき?
A. 次のように使い分けるのが現実的です。
- 初期データ投入やたまの一括修正なら … UIからCSVインポートで十分
- 他システムとの連携・定期更新・数万件規模なら … REST API (Create Terms / List Terms など) を使った自動化が向いている
Q5. 承認ワークフローを使っている場合、CSVインポートでも承認フローを通せますか?
A. はい。ビジネス用語集に対して承認ワークフローを有効にしている場合、インポート画面のボタンが [OK] ではなく [Submit for approval] に変わります。CSVインポートも通常の用語編集と同じように、承認完了後にカタログへ反映されます。
まとめ:クラシックに戻らず、新ポータル中心の運用へ
本記事では、「新Microsoft Purviewポータルでビジネス用語集をCSVインポートできない」というよくある疑問に対して、最新の状況と具体的な運用方法を整理しました。
- 現在は新ポータルでもCSVインポートが正式サポートされており、Business glossary → Glossaries → View terms → Import terms から利用可能
- インポートにはData curator権限が必要で、テンプレートに存在する列だけが取り込まれる
- テンプレートは用語作成後に変更できないため、事前のテンプレート設計とテストが成功のカギ
- Unified Catalog(Enterprise glossary)は用語の活用・ポリシー適用の場であり、CSVインポートはBusiness glossary側で実施
- 自動化や外部システムとの連携は、Glossary REST API(Create Termsなど)を使うと柔軟に実現可能
クラシックなData Catalogはすでにサポートモードに入っており、長期的には新ポータル+Unified Catalogへの移行が既定路線です。これを機に、新ポータル前提でビジネス用語集の運用フローを整理し、CSVインポートとAPI自動化を組み合わせた「メタデータのガバナンス基盤」を整えていくとよいでしょう。

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