PowerPoint CopilotのAdobe Experience Manager対応|変更点と設定・注意点

PowerPointのCopilotは、Adobe Experience Manager(AEM)Assetsに保管された企業の画像を使ってプレゼンテーションを作成できるようになりました。対象のロードマップID「516038」はPowerPoint for the web向けで、2026年6月9日に更新され、ステータスは「Launched」、一般提供時期は2026年4月とされています。

ただし、AEM Assetsの画像が自動的に使えるわけではありません。管理者がAEM AssetsとMicrosoft 365 Copilotを接続し、対象画像をインデックスしておく必要があります。導入時は、公開画像が組織内の全ユーザーから参照可能になる点を特に確認してください。(Microsoft)

目次

PowerPoint Copilotの変更点

今回の変更により、Copilotでプレゼンテーションを作成するとき、AEM Assetsに保存された組織の画像を利用できるようになりました。

たとえば、商品画像や企業ロゴをAEM Assetsで一元管理している企業では、利用者が画像を検索してダウンロードし、PowerPointへ貼り付ける作業を減らせます。

確認項目内容
ロードマップID516038
対象サービスPowerPoint、Microsoft Copilot(Microsoft 365)
対象環境PowerPoint for the web
クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)
提供段階一般提供
提供時期2026年4月
現在の状態Launched
最終更新2026年6月9日

ロードマップID「516038」はWeb版が対象です。同じ機能について、Mac版は「516037」、Windowsデスクトップ版は「516039」として登録されており、いずれも提供開始済みです。モバイル版は今回の対象として記載されていません。(Microsoft)

AEM Assets連携で何が便利になるのか

AEM Assetsコネクタは、公開済みの画像や資料をMicrosoft 365へインデックスします。これにより、利用者はMicrosoft 365 CopilotやMicrosoft Searchから、企業が承認したコンテンツを検索、プレビュー、再利用できます。(Microsoft Learn)

作業連携前連携後
商品画像の検索AEMを開いて手動検索CopilotやMicrosoft Searchから検索
PowerPointへの挿入ダウンロードして貼り付けCopilotが組織画像を使って作成
最新素材の確認ファイル名や保存場所から判断AEMで公開された素材を利用
ブランド管理利用者ごとの判断に依存承認済み素材へ誘導しやすい

特に効果が大きいのは、営業資料、商品提案書、キャンペーン企画書など、同じ企業画像を繰り返し利用する業務です。

一方、Copilotが必ず期待した画像を選ぶとは限りません。ファイル名、説明、タグ、公開状態が不十分だと、検索結果や生成結果の精度が下がります。AEM側のメタデータ整備も導入作業の一部として考える必要があります。

影響を受けるユーザーと管理者

一般ユーザー

次の条件を満たすユーザーが主な対象です。

  • Microsoft 365 Copilotを利用している
  • PowerPointでCopilotによるプレゼンテーション作成を行う
  • 組織がAEM Assetsを画像管理基盤として使用している
  • 管理者がAEM Assetsコネクタを展開している

AEM Assetsを利用していない組織や、コネクタを設定していない環境では、従来の動作から大きな変化はありません。

Microsoft 365管理者

コネクタの展開には、Microsoft 365テナントのAI管理者権限が必要です。AEM Assets側では、オーサー環境とパブリッシュ環境のURLに加え、公開アセットとメタデータへアクセスできるテクニカルアカウントを用意します。(Microsoft Learn)

AEM Assets管理者・ブランド管理担当者

画像を公開する担当者にも影響があります。Copilotに表示してよい画像と、社内でも利用者を限定すべき画像を分離しなければなりません。

「AEM上で公開済みだから、そのまま接続してよい」と判断するのは危険です。Microsoft 365での公開範囲を前提に、フォルダー構成、公開状態、タグ、利用期限を見直してください。

管理者が行う設定手順

AEM AssetsコネクタはMicrosoft 365管理センターから展開します。

  1. Microsoft 365管理センターを開く
  2. 「Copilot」から「Connectors」を開く
  3. 「Gallery」で「Adobe Experience Manager Assets」を選択する
  4. 利用者に分かりやすい表示名を設定する
  5. AEM AssetsのオーサーURLとパブリッシュURLを入力する
  6. AEMのテクニカルアカウントで認証する
  7. インデックス対象のパスやメタデータ条件を設定する
  8. 限定ユーザーへ段階展開する
  9. 接続を作成し、クロール結果を確認する

初期設定では、公開済みアセットがすべて選択されます。標準の同期頻度は、増分クロールが15分ごと、フルクロールが1日ごとです。同期頻度は必要に応じて変更できます。(Microsoft Learn)

最重要の注意点はアクセス権限

AEM Assetsコネクタは、AEM側のユーザーIDやアクセス権限をクロールしません。インデックスされた公開アセットは、原則としてMicrosoft 365テナント内の全ユーザーからMicrosoft SearchやCopilotを通じて参照できます。(Microsoft Learn)

そのため、最初からAEM Assets全体を接続するのではなく、次のような構成が安全です。

  • Microsoft 365で利用可能な承認済み画像専用のパスを作る
  • 機密資料、未公開商品、契約制限のある画像を除外する
  • パスとメタデータの両方で取り込み条件を絞る
  • 少人数の利用者で段階展開する
  • 検索結果から画像を開ける範囲を実際に確認する

たとえば、/content/dam/m365-approvedのような専用パスを設け、カスタムメタデータの「承認状態」や「対象地域」などを取り込み条件に利用すると管理しやすくなります。

設定・更新・移行・料金・期限の確認事項

項目確認すべき内容
設定AEM Assetsコネクタは自動で有効にならない。AI管理者による展開が必要
アプリ更新Web版は個別インストール不要。デスクトップ版はMicrosoft 365 Appsを最新状態にする
移行AEM AssetsからSharePointなどへ画像を移行する必要はない
データ管理公開アセットの情報がMicrosoft Graphへインデックスされる
料金機能単体の追加料金はロードマップに記載されていない
ライセンスMicrosoft 365 CopilotとAEM Assetsの契約内容を確認する
期限強制移行や設定期限は発表されていない

Microsoft 365 Copilotは、対象となるMicrosoft 365プランへ追加するアドオンライセンスとして提供されています。今回のロードマップには、AEM連携機能だけを対象とした追加料金や価格改定の記載はありません。ただし、Microsoft 365 Copilotの利用ライセンスと、AEM Assets Cloudの契約は別途確認が必要です。(Microsoft Learn)

また、対応対象はAEM Assets Cloudです。AEM Sitesなど、ほかのAEM製品を同じコネクタで利用できるとは限りません。

画像が使われないときの確認ポイント

症状主な確認ポイント
検索しても画像が表示されないAEMで画像が公開済みか
一部の画像だけ表示されないパスやメタデータの除外条件に該当していないか
更新した画像が古いまま増分クロールが完了しているか
Copilotが適切な画像を選ばないファイル名、説明、タグが具体的か
Copilot自体が利用できないユーザーへ必要なライセンスが割り当てられているか
Web版で動作しないブラウザー設定やMicrosoft 365の接続要件を満たしているか

Microsoftは、PowerPoint OnlineなどでCopilotを利用する場合、ブラウザーでサードパーティCookieを有効にする必要があると案内しています。また、Microsoft 365 Appsのプライバシー設定やネットワーク設定によってCopilot機能が利用できない場合があります。(Microsoft Learn)

導入前に小規模なテストを行う

本番展開前には、承認済み画像だけを含むテスト用パスを作り、限定ユーザーで確認するのが安全です。

たとえば、PowerPointのCopilotへ次のように指示します。

AEMに登録された日本向けの承認済み製品画像を使い、営業提案用のプレゼンテーションを5枚で作成してください。

作成後は、次の点を確認してください。

  • AEM Assetsの画像が実際に使われているか
  • 古いロゴや期限切れの画像が混ざっていないか
  • 利用対象外のユーザーから画像を検索できないか
  • 画像のトリミングや解像度に問題がないか
  • 著作権や利用地域の条件を満たしているか

今回の変更は、単にPowerPointの画像選択肢が増えるだけではありません。AEM Assetsを企業の正式な画像ソースとしてCopilotへ接続し、プレゼンテーション作成のスピードとブランド統一を両立させる機能です。

管理者はまず、Microsoft 365で全社員に公開してよい画像を整理してください。そのうえでパスとメタデータによる絞り込みを設定し、限定ユーザーで検索範囲と生成結果を検証してから全社展開するのが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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