Minecraft Java版をプレイしていると、「マルチプレイが許可されていない」などのエラーに悩まされることがあります。こうしたエラーは、Microsoftアカウントの設定やルーターのNAT型、オンラインの安全設定などが原因で起こることがほとんどです。本記事では、通常のMicrosoftアカウントを使い、Java版Minecraftでマルチプレイを楽しむために必要な手順を分かりやすく解説します。
マインクラフトJava版とMicrosoftアカウントの基本
マインクラフトには大きく分けて「Java版」と「統合版(Bedrock Edition)」の2種類があります。Java版はWindowsやMac、LinuxでプレイできるPC向けのバージョンで、公式サイトやSteamではなくMinecraft.netからダウンロードして使用するのが特徴です。一方、統合版はWindows 10/11版やスマートフォン版、Xbox版、Nintendo Switch版などが含まれ、Microsoft Storeや各プラットフォームのストアでダウンロードします。
Java版をマルチプレイで楽しむには、以前はMojangアカウントが必要でしたが、現在はMicrosoftアカウントへの移行が完了しており、新規プレイヤーはすべてMicrosoftアカウントでJava版を利用します。ところが、このMicrosoftアカウントのプライバシーやオンライン安全設定が厳しく設定されている場合、マルチプレイを行おうとすると「マルチプレイが許可されていません」というエラーが発生することがあります。そこで以下では、具体的にどのように設定を確認・変更すればよいかを詳しく見ていきます。
マルチプレイ有効化のための準備
Java版Minecraftでマルチプレイを利用するために必要となる代表的なステップは、大きく次の4つに分けられます。
- ゲーム内のマルチプレイ設定をオンにする
- ルーターのNAT設定をOpen(オープン)に近づける
- Microsoftアカウント(特にXboxアカウント)のプライバシーやオンライン安全設定を確認する
- セキュリティソフトやファイアウォール、ポート開放などを見直す
以下で順番に解説していきます。
1. ゲーム内のマルチプレイ設定をオンにする
まずは、Minecraft(Java版)のゲームクライアント上でマルチプレイが許可されているかを確認しましょう。シングルプレイワールドに入る前の画面、またはワールド選択画面で設定が行えます。
- ワールド選択画面
- Minecraftを起動し、「シングルプレイ」をクリック
- マルチプレイをオンにしたいワールドを選択
- 右下の「編集(鉛筆アイコン)」ボタンをクリック
- 表示される設定の中に「他のプレイヤーの参加を許可」などの項目がある場合はオンにする
- 新規ワールド作成画面
- 新規ワールドを作成する場合は「新規作成」から入る
- 設定一覧の中に「他のプレイヤーの参加を許可」あるいは「マルチプレイをオンにする」という項目があれば有効にしておく
Java版Minecraftでは、基本的に「Open to LAN」機能を使うと、同じLANネットワーク上のプレイヤーが参加できるようになります。しかし、インターネット越しに遠方の友人とプレイしたい場合は、ホストする人が自宅のネットワークやサーバーを適切に設定し、相手もサーバーへ接続できるようにする必要があります。
2. ルーターのNAT設定をOpenに近づける
マルチプレイに不具合が生じる大きな原因の一つに「NATタイプ」があります。NAT(Network Address Translation)とは、家庭内LAN(ローカルネットワーク)とインターネットのデータのやり取りを変換する技術です。Xboxや他のオンラインゲームでは、NATタイプがStrict(厳格)やModerate(中程度)になっていると、マルチプレイサーバーとの通信が制限されることがあります。
Windows PCの場合のNAT確認とUPnP設定
- NATタイプを確認する
- Windows 10やWindows 11では、「Xbox Console Companion」アプリを使用するとNATタイプを確認できます。
- あるいは、コマンドプロンプトを開いてネットワーク情報をチェックし、ルーターの設定を見直すのもひとつの方法です。
- UPnPの有効化
- Windowsのスタートメニューや検索バーから「cmd(コマンドプロンプト)」を右クリックし、「管理者として実行」を選択
- コマンドプロンプトに
ipconfig
と入力してEnter - 表示される情報の中から「デフォルトゲートウェイ(Default Gateway)」のアドレス(例:192.168.0.1など)をメモ
- Webブラウザを開き、アドレスバーに上記のゲートウェイIPアドレスを入力してルーターの管理画面にアクセス
- ルーターの管理画面で「UPnP」をオン(Enable)にする
- ルーターによっては「Advanced Settings」「NAT設定」「ポート転送」のメニューに含まれていることがあります
- これにより、機種によってはNATタイプがStrictからOpen、あるいはModerateに変わり、マルチプレイが正常に動作するようになるケースがあります
Xboxコンソールの場合のNAT確認とUPnP設定
- Xboxボタンを押してメニューを開く
- 「Profile & System」→「Settings」→「General」→「Network Settings(ネットワーク設定)」を選択
- 画面に表示される「NATタイプ」を確認し、Openになっているかをチェック
- StrictやModerateになっていた場合は、ルーター設定(UPnPやポート転送)を見直し、NATをOpenに近づける
下記のような表でNATタイプによるマルチプレイ制限の違いをまとめると分かりやすいです。
NATタイプ | マルチプレイの可否 | 備考 |
---|---|---|
Open | ほとんど制限なく参加可能 | 最も推奨されるNATタイプ |
Moderate | 一部のプレイヤーまたはセッションに参加できない場合がある | ルーター設定によりUPnPの有効化やポート開放が必要になる |
Strict | マルチプレイにほぼ参加できない | ホスト・参加ともに制限が大きい |
3. Microsoftアカウントのプライバシーやオンライン安全設定を確認する
Java版Minecraftでは、プレイする際にXboxネットワーク(旧Xbox Live)のアカウントが関連付けられています。実際にはMicrosoftアカウントとXboxアカウントが統合されており、Xboxのオンライン設定が厳しくなっている場合、マルチプレイが制限されます。下記の手順で設定を確認できます。
- Xboxアカウントページにアクセス
- Webブラウザでhttps://account.xbox.com/にアクセス
- あるいは「My Microsoft Account」から「Xboxのプロフィール」画面に進む
- プライバシーとオンライン安全性の設定を開く
- Xboxアカウントページで「プライバシーとオンラインの安全性」を選択
- 「Xbox One/Windows 10/11」の項目などを参照すると、オンラインでのマルチプレイが許可されているかどうかを確認できる
- 必要な設定を有効にする
- 「マルチプレイでの通信」を「許可」に設定
- 「あなたが作ったコンテンツを共有する」など、必要な許可がオフになっている場合は適宜オンにする
- アカウントが未成年として登録されている場合は、保護者のMicrosoftアカウントでログインし、ファミリー設定から年齢制限を解除または緩和する必要があります
- Xboxアプリを活用して確認
- Windows 10/11環境であれば、「Xbox」アプリや「Xbox Console Companion」アプリを開き、設定の中でオンライン安全性のステータスをチェックすることも可能
4. セキュリティソフトやファイアウォール設定の見直し
マルチプレイを阻害する要因として、セキュリティソフトやWindowsファイアウォールによる通信ブロックが考えられます。特にMinecraftの通信が許可されていない場合、サーバーへの接続がうまくいかずエラーになることがあります。
- Windowsファイアウォールの設定
- 「コントロールパネル」から「システムとセキュリティ」を開く
- 「Windows Defender ファイアウォール」をクリック
- 左側メニューの「アプリまたは機能がWindows Defender ファイアウォールによってブロックされないようにする」を選択
- アプリ一覧の中から「Java(TM) Platform SE binary」や「Minecraft Launcher」を探し、チェックが入っているか確認
- 見当たらない場合は「別のアプリを許可する」ボタンから手動で追加し、「プライベート」「パブリック」ネットワークの両方にチェックを入れる
- セキュリティソフトでの例外設定
- ウイルスバスターやノートン、McAfeeなどのウイルス対策ソフトを使っている場合、保護機能がMinecraftの通信を誤ってブロックしている可能性があります
- セキュリティソフトの設定画面で「例外リスト」や「信頼済みプログラム」にMinecraft(Java)を追加し、通信を許可するように設定してください
5. ポート開放(ポートフォワーディング)の手順
Java版Minecraftで自宅のPCをサーバーとしてマルチプレイを行う場合、基本的にはTCP/UDPの25565番ポートを開放する必要があります。ポート開放を行うとインターネット上から自宅内のPCに直接アクセスできるようになるため、セキュリティリスクも踏まえて慎重に設定しましょう。
- ルーターの管理画面にアクセス
- 先ほどのNAT設定の手順と同様に、デフォルトゲートウェイIP(例:192.168.1.1)をブラウザに入力し、ルーターの管理画面にログインします
- ポート転送(Port Forwarding)設定を探す
- ルーターのメニューから「転送設定」「NAT設定」「ポートフォワーディング」などの項目を探します
- メーカーによって名称が異なる場合があります
- 設定例 項目 設定例 プロトコル TCP/UDP ポート番号 25565 宛先IPアドレス 192.168.xxx.xxx(サーバーPCのIP) 有効/無効 有効にする
- Minecraftサーバーの設定(server.properties)のチェック(任意)
- もし公式サーバーソフトやSpigot/Paperなどのカスタムサーバーソフトを使ってサーバーを立ち上げる場合は、
server.properties
内でserver-port=25565
となっていることを確認 - 例:
# Minecraft server properties # (省略) server-port=25565 server-ip= # (省略)
server-ip=
は空欄にしておけば自動で割り当てられますが、環境によってはLAN内で使っている固定IPを指定した方が安定する場合もあります
- 設定保存と再起動
- ルーターの設定を保存し、必要に応じてルーターを再起動する
- Minecraftサーバーやクライアントを再起動して、ポート開放が正しく機能しているか確認
こうすることで、外部のプレイヤーがあなたのサーバーへ接続できるようになります。しかし、開放したポートを悪用されるリスクを常に認識し、不審なアクセスに気を付ける必要があります。ポート開放に関しては自己責任で行い、必要に応じて一時的な開放やVPNの活用を検討してください。
家族(ファミリー)アカウントの場合の注意点
Microsoftアカウントには「ファミリー機能」があり、子供のアカウントに対して年齢制限やオンラインプレイの可否、購入制限などを設けることができます。もしお使いのアカウントがファミリーの子アカウントとして登録されている場合は、保護者アカウントで設定を変更しない限り、マルチプレイが許可されないことがあります。
- 保護者アカウントでXboxのオンライン安全設定を変更
- 保護者アカウントでhttps://account.microsoft.com/familyにアクセスし、ファミリーメンバーの一覧を開く
- 対象の子アカウントを選択し、「アクティビティ」や「制限」の項目から「オンラインプレイを許可」に設定する
- 必要に応じて年齢制限を「13歳以上」として扱うなどの柔軟な設定を行う
- Microsoftアカウントの生年月日を正しく入力
もし誤って大人でも生年月日が未成年に設定されている場合は、オンライン安全設定で制限がかかることがあります。生年月日を変更したい場合は、https://account.microsoft.com/profileの「お子様のアカウント」設定や「プロファイル編集」画面から正しい情報を入力してください。
トラブルシューティングのヒント
ここまでの設定を行ってもマルチプレイがうまくいかない場合、以下の点を改めてチェックしてみてください。
- Windows OSの更新状態
- Windows自体が最新の更新プログラムを適用していないと、ネットワーク関連の不具合が起こる可能性があります
- Javaのバージョン
- Minecraft Java版は推奨されるJavaバージョンを使うのが安定動作の近道です。公式ランチャーを使う場合はランチャーに同梱されたJavaが使われますが、カスタムランチャーを利用している場合はバージョンを確認しましょう
- 他のゲームやサービスでのオンライン接続状況
- Minecraft以外のオンラインゲームや、音声通話アプリ(Discordなど)が正常に動作するかどうかを確認し、ネットワーク障害やセキュリティソフトのブロックがないかを見直す
- ルーターのファームウェア更新
- 古いファームウェアを使っていると、不具合やセキュリティリスクが増大します。ルーターの管理画面でアップデートを実行してください
実際にマルチプレイを楽しむ方法
設定が完了したら、実際にマルチプレイを楽しむ方法も把握しておきましょう。大きく分けて以下のスタイルがあります。
- LANマルチプレイ
- 同じネットワーク(自宅内や学校など)に接続しているPC同士でプレイする場合、簡易的に「Open to LAN」機能を使うだけでOKです。ポート開放は不要で、Minecraftクライアント上から「LANに公開」ボタンをクリックすれば、他のPCで表示されるサーバー一覧に参加できます。
- 公式サーバー/共有サーバーに参加
- 有名なサーバー(例:HypixelやMineplexなど)に参加する場合は、あなた自身がサーバーを用意する必要はありません。ただし、Microsoftアカウントのオンラインプレイが許可されていないとエラーが出ることがあるため、先ほどの設定は必須です。
- 自宅サーバーを建てる
- 前述のポート開放(25565)を済ませれば、自分のPCをサーバーとして起動できます。友達にグローバルIPアドレス(あるいはダイナミックDNS)を伝えることで、外部から接続してもらうことができます。
- 安定運用のためにはPCの性能やネットワーク速度が大切です。メモリ不足やネットワーク遅延が大きいとラグや接続切れが頻発する可能性があります。
- Minecraft Realms(レルムズ)
- Mojang公式の有料サービス「Minecraft Realms」を利用する方法もあります。サーバーの管理が手軽に行え、安全性も比較的高いのがメリットです。ただし、有料サービスのため、継続費用が発生します。
マルチプレイをもっと快適にするコツ
せっかくマルチプレイができるようになったら、次はより快適に楽しむための対策も考えてみましょう。
- ゲーミングルーターの導入
- ゲーム向けに最適化されたルーターを使うと、混雑時でも安定した通信が期待できる場合があります
- 有線LAN接続の推奨
- 無線LAN(Wi-Fi)よりも有線LAN(Ethernet)のほうが遅延やパケットロスが少ないです。可能な限り有線接続しましょう
- サーバーホスティングサービスの利用
- もし自宅でのサーバー運用が難しい場合は、Minecraftに特化したVPS(仮想専用サーバー)やホスティングサービスを利用するのも手です。高い稼働率が期待でき、面倒なポート開放やハードウェア管理も不要です。
- プラグインやModの導入
- マルチプレイをさらに盛り上げるために、SpigotやPaper、Bukkitなどを利用し、様々なプラグインを入れることもできます。ただし、プラグインやModはサーバーを複雑にするので、導入手順をよく確認し、相性問題に注意してください。
まとめ
Java版Minecraftで「マルチプレイが許可されていない」というエラーが表示されたり、フレンドとオンラインで遊べなかったりする原因の多くは、Microsoftアカウントのプライバシー設定やルーターのNATタイプ、ファミリーアカウントによる制限などにあります。以下のポイントを押さえて対処することで、よりスムーズにマルチプレイを楽しめるはずです。
- Minecraft内のマルチプレイ設定をオンにする
- ルーターのNATタイプをOpenに近づける(UPnPやポート開放)
- Microsoftアカウントのプライバシー/オンライン安全設定を見直す
- ファミリーアカウントの場合は保護者の設定を変更する
- Windowsファイアウォールやセキュリティソフトを適切に設定する
- 25565番ポートなどを開放して、インターネット越しの接続を可能にする
これらの手順をしっかりと踏み、問題点を一つひとつクリアしていけば、通常のMicrosoftアカウントでもJava版Minecraftのマルチプレイがスムーズに行えるようになります。マルチプレイはMinecraftの醍醐味の一つ。友人や家族と協力しながら広大な世界を冒険し、自分たちだけのストーリーを作り上げていく楽しみは格別です。ぜひ、この記事を参考に設定を整え、快適なマルチプレイライフをスタートしてみてください。
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