飲食店を経営していると、テイクアウトやデリバリーの需要拡大を実感する機会が増えました。店内飲食だけを想定していた頃とは違い、現在では多様な販売チャネルを視野に入れなければなりません。そこで本記事では、テイクアウト&デリバリー対応が充実した4つのPOSレジサービスを比較し、導入メリットや注意点についてお伝えします。
テイクアウト&デリバリー対応の重要性
近年、外食産業では店舗内の売上だけでなく、テイクアウトやデリバリーサービスを積極的に展開している事業者が増えています。気軽に注文ができ、SNSを通じた拡散やリピーター獲得につながる点は大きな魅力です。一方で、受注管理や配達状況の管理を手動で行っていてはスタッフの負担が増大します。そこで活用したいのがPOSレジのテイクアウト&デリバリー対応機能です。
POSシステムがテイクアウトやデリバリー業務と連動していれば、注文から受け渡しまでをスムーズに一括管理できます。

筆者も以前、テイクアウト注文の処理をExcelで手動管理していた経験があります。急な注文が立て込むと管理が混乱し、結果的にスタッフ全員がバタバタしてしまい、店舗の回転効率が悪化したんです。そこをPOSレジに一本化するだけで、混乱が大幅に減りました。
4つの主要POSレジサービス概要
ここでは「Airレジ」「POS+(ポスタス)」「Square」「スマレジ」の4社を取り上げて、テイクアウト・デリバリー機能の比較に焦点を当てます。
Airレジ
リクルートが提供する無料アプリとして広く知られるAirレジは、初期費用と月額利用料が発生しない気軽さが魅力です。クラウドを活用した売上管理機能に定評があり、飲食店でも導入が増えています。
Airレジのテイクアウト&デリバリー対応
Airレジは、テイクアウト時の税率設定やキッチンプリンターとの連動が柔軟にできる点が好評です。店舗での受け取りを前提とした注文管理が中心となりますが、店舗オペレーションにおける軽減税率対応や在庫連動機能が充実しているため、テイクアウト専門店でも扱いやすい印象があります。一方、デリバリー機能そのものは他のデリバリー代行アプリや外部サービスとの連携が主になります。
Airレジ導入時の注意点
アプリ自体は無料ですが、テイクアウト受け渡しやQR決済を増やす場合には、周辺機器(プリンターなど)の初期投資が発生します。また、オフライン環境では使えないため、通信環境の確保は必須です。
POS+(ポスタス)
月額料金が必要な分、サポート体制と多彩な業種対応機能に力を入れているのがPOS+(ポスタス)です。飲食店で使うなら「POS+ food」を選択することで、キッチンプリンターとの連携やテーブル管理機能などを利用できます。
POS+のテイクアウト&デリバリー対応
POS+ foodでは、テイクアウトと店内飲食の注文を分けて管理できます。キッチンプリンターに「テイクアウト用」として区別された伝票を印刷できるため、調理オペレーションのミスが減らせます。デリバリーについても、モバイルオーダー機能やQRコードを使ったセルフオーダー機能と組み合わせることで、導入メリットが高まります。
POS+導入のメリットとコスト
サポートが365日対応なので、営業時間内に突発的なトラブルが発生しても問い合わせしやすいです。初期設定代行サービスや訪問サポートまであるため、導入ハードルが低めなのも魅力といえます。月額利用料は14,000円(税抜)からが基本ですが、システムの安定性と複数店舗管理機能、さらに豊富なオプションを考慮すると妥当な範囲と捉えるオーナーは多いようです。
Square
Squareはもともと決済サービスで有名ですが、POSレジとしての機能も幅広く展開しています。特にキャッシュレス決済やEC機能との相性がよく、オンラインとオフラインをシームレスに繋ぎたい事業者に最適です。
Squareのテイクアウト&デリバリー対応
Squareが提供する無料のPOSレジアプリは、店舗への持ち帰り注文や宅配サービスの管理にも対応可能です。オンラインストアを簡単に立ち上げられるため、テイクアウトの事前注文やデリバリー専用メニューの設定がスムーズに行えます。さらに、モバイル端末のみでタッチ決済を受付けられる「Tap to Pay」など、多様な決済手段に対応しています。
Square導入の費用面と注意点
決済手数料は対面で3.25%と比較的明瞭で、月額利用料も基本的に無料です。ただし、高額商品や高頻度での決済が発生する業態では、手数料に注意が必要なケースがあります。また、クラウドを活用するため安定した通信環境が必須です。
スマレジ
iPadやiPhoneを活用したクラウド型POSとして人気を集めるスマレジは、無料のスタンダードプランでもある程度の機能を利用できます。小売から飲食まで対応可能で、追加オプションにより高機能化しやすいのが特長です。
スマレジのテイクアウト&デリバリー対応
スマレジは飲食店向けにフードビジネスプラン(有料)を提供しており、キッチンプリンターやセルフオーダーとの連携が柔軟です。複数店舗を管理する機能もあるため、大型チェーンや店舗数を増やしていきたいオーナーにも便利です。また、テイクアウト用に会計を切り分けたり、オフライン時でも売上を一時保存しておける点が安心感を高めます。デリバリーに関しては、自社配達やデリバリー代行サービスとの連携により対応できます。
スマレジ導入のポイント
プレミアムプラン以上では分析機能や顧客管理が充実するため、リピーター獲得や売上の可視化に積極的に取り組みたい飲食店に向いています。さらに、周辺機器の幅広い対応や、独自APIで外部サービスとの連携が行いやすいところも強みです。
機能比較:テイクアウト&デリバリーに注目
以下の表では、テイクアウトやデリバリーの管理を想定した際に役立つ機能を4社で比較しています。
サービス名 | テイクアウト注文管理 | デリバリー対応 | キッチンプリンター | モバイルオーダー | 外部連携 |
---|---|---|---|---|---|
Airレジ | 軽減税率対応や在庫連携がしやすい | 外部サービス連携が中心 | 連動OK | 外部ツールを活用 | クラウド会計ソフトなど |
POS+(ポスタス) | キッチンプリンターへの明確な指示が可能 | モバイルオーダー機能と併用しやすい | 連動OK | 公式オプションあり | stera terminalなど多数 |
Square | オンラインストア構築で事前注文OK | EC連携や外部提携 | 別売ハードウェア要 | Tap to Payでモバイル決済 | Squareオンラインなど |
スマレジ | フードビジネスプランでテイクアウト管理強化 | 自社&代行サービス連携 | 連動OK | セルフオーダー導入可能 | 外部API連携多数 |
どのサービスを選ぶかは、テイクアウトやデリバリーをどの程度重視するか、さらには運用形態や他のシステム連携に求める機能次第です。
導入前に押さえておくべきポイント
通信環境とオフライン対策
通信が途絶えた場合でも注文を受けられるかどうかは店舗の信頼に関わります。Airレジの場合はオフライン非対応、スマレジの場合はオフラインでも販売可能など、各システムによって仕様が異なるため注意が必要です。
費用対効果と成長戦略
無料が魅力のAirレジやSquareに対して、サポートと機能充実が売りのPOS+、拡張性の高いスマレジという構図です。店舗の未来像を考え、徐々に機能をアップグレードしていくか、初めから万全のサポートを求めるかはオーナーの考え方次第でしょう。



筆者の知人が個人経営のカフェをオープンした際、最初は無料系のPOSレジを使っていましたが、人気が出てきて2号店を出したのを機にスマレジの上位プランへ移行しました。機能が充実して在庫やスタッフ管理が楽になり、すごく助かっているそうです。
スタッフの操作性とトレーニング
操作が複雑だとスタッフの負担が増え、ミスや混乱につながります。特にテイクアウトやデリバリーの注文はスピードが大切です。スタート前に十分なトレーニングやマニュアル整備をしておきましょう。
デリバリー業者との連携
自社配達なのか外部のデリバリーサービスを使うのかで、必要な機能や管理画面の使い勝手が大きく変わります。Airレジは外部連携中心、Squareはオンラインストア機能を活かせるなど、それぞれ強みが異なるため導入の際には確認を忘れないようにしましょう。
導入に成功した体験談
事例1:テイクアウトに注力して売上拡大
街の小さな洋食屋さんがAirレジを活用してテイクアウトをスタート。レジ設定で軽減税率を簡単に切り替えられるので、オーダーミスが激減しました。さらに顧客情報が蓄積されるため、リピーター向けのキャンペーンも導入しやすくなっています。
成功のポイント
事例2:デリバリーで顧客層を一気に拡大
イタリアンレストランがPOS+を導入してモバイルオーダーを運用。デリバリー代行サービスとも連携し、キッチンで受注状況をリアルタイムで把握できるようにした結果、注文対応のスピードが上がり評判が口コミで広まりました。
成功のポイント
まとめ:自店に適したPOSレジを選ぶ重要性
テイクアウトやデリバリーを強化するなら、POSレジ選びはまさに店舗経営の要です。無料で手軽に始めたいならAirレジやSquareも十分候補になりますし、サポート重視や細かい設定を求めるならPOS+やスマレジが有力です。将来的に店舗数を増やす計画がある場合や、ECとの連携を強化していきたい場合にも、それぞれのシステムが持つ特徴が大きく影響します。
どれを導入しても魔法のように売上が伸びるわけではありませんが、オペレーションの効率化やリピーター育成には絶大な効果を発揮します。大切なのは、導入前に自店の課題と将来像を明確にし、各社の機能やサポートをじっくり比較検討することです。



筆者自身も複数店舗のPOS管理で頭を悩ませていた頃にPOSシステムの使い分けを試し、それぞれの強みを活かして店舗ごとに導入する選択をしました。結果的に、スタッフ教育がスムーズに進み、会計ミスや在庫ロスが減ったのを実感しています。
導入ステップのポイント
1. 店舗分析
現在の売上や客層、注文形態を把握し、テイクアウトやデリバリーの需要を推定します。ここを曖昧にしてしまうとシステム選定に悩みやすくなります。
2. 必要機能の優先順位付け
キッチンプリンターが必須か、在庫管理をどこまで細かくしたいかなど、具体的に要件を出しましょう。先ほどの表を参考にして比較するとスムーズです。
3. 試用期間やデモ体験
無料プランやデモ版を使ってみるのも大切です。実際に触れて初めて操作性や使い勝手を実感できます。
4. スタッフと共有
管理者だけがスムーズに操作できても、現場のスタッフがついていけなければ意味がありません。簡単なマニュアルを用意して、運用開始前にシミュレーションを行いましょう。
5. 運用・検証・改善
POSレジを導入して終わりではなく、こまめに使い勝手や売上データを検証し、追加機能やアップグレードを検討していくことが店舗成長のカギとなります。
最後に
テイクアウトやデリバリー対応は、今や飲食店が生き残るための必須要素になりつつあります。POSレジを使いこなせば、スタッフの負担を軽減しながら売上アップや顧客満足度向上を狙えます。今後の飲食ビジネスを成功へと導くために、自店舗に合ったPOSレジシステムを選び、最大限に活用してみてください。



本記事で紹介した4社は、いずれも実績のあるPOSレジサービスなので、導入後のサポートや拡張も安心です。ぜひ比較検討の参考にしていただき、テイクアウトやデリバリーで新たなビジネスチャンスを切り開いてください。
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