最近リリースされた新しいMicrosoft Teamsでは、プログラム本体(.exeファイル)が従来の「旧Teams(“Classic”)」と異なり、Windowsの通常フォルダでは簡単に見つかりにくい仕様になっています。特にElgato Stream Deckで自動起動を設定したい場合、直接exeファイルのパスを指定できず困っている方も多いのではないでしょうか。ここでは、新しいTeamsのexeをどう扱うべきか、その背景から具体的な回避策まで詳しく解説します。最後までお読みいただくことで、効率的に新Teamsを操作できるようになるでしょう。
新しいTeamsの.exeを見つけにくい理由とは?
新しいMicrosoft Teamsでは、従来版のように「C:\Program Files\Microsoft Teams\」や「%localappdata%\Microsoft\Teams\Current\Teams.exe」などのわかりやすい場所にexeファイルが配置されていない場合があります。これは、Microsoft Store経由で配信されるアプリとして仕様が変更されたためです。多くのユーザーはこの変更に気づかず、「旧Teamsの時のように exeファイルを探せばいい」と思いがちですが、実際にはWindowsAppsフォルダに格納されるなど一筋縄ではいきません。
WindowsAppsフォルダに格納される理由
新TeamsがWindows 10/11向けのStoreアプリ形態としてインストールされると、その実体は「C:\Program Files\WindowsApps」配下に配置されることがあります。このWindowsAppsフォルダは、Microsoft StoreからインストールされるユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)や、それに近い形態のアプリを管理するための特別なフォルダです。
通常、WindowsAppsフォルダは管理者権限があっても直接開けないように強固に保護されており、セキュリティやシステム保護の観点からアクセスするのは推奨されていません。万が一強制的にフォルダの権限を書き換えれば開けるようにはなりますが、OSやアプリのアップデート時に何らかの不具合を生じるリスクも高まります。
旧Teams(“Classic”)との共存が混乱を招く
新Teamsがリリースされても、PCによっては旧Teams(“Classic”)版がアンインストールされず残っているケースがあります。アイコンやアプリ名が似ているため「どちらが新Teamsかわからない」といった状況に陥りがちです。さらに旧Teamsではexeファイルが簡単に見つけられたため、その時の操作感を引きずると新Teamsのexeがどこにも見当たらず、混乱が一層深まります。
Stream Deckで新Teamsを起動したいときの基本アプローチ
Elgato Stream Deckなどのデバイスで新しいTeamsを自動起動させたり、特定のボタンを押すとTeamsが立ち上がるようにしたりしたい場合、一般的には「起動対象のexeを直接指定する」という設定を行います。しかし、新TeamsがWindowsAppsフォルダ内にある場合は容易にexeを指定できないため、以下のような別のアプローチをとるのが現実的です。
推奨方法:ショートカット(.lnkファイル)を使う
新しいTeamsのアイコンを右クリックして「ファイルの場所を開く」からexeファイルをたどる手が旧Teamsでは有効でしたが、新Teamsでは実行できないケースが多くなっています。そこで活用したいのがWindowsの「shell:AppsFolder」機能です。
- 「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「Windowsキー + R」を押す、またはスタートメニューで「ファイル名を指定して実行」を検索します。
- shell:AppsFolder と入力
- shell:AppsFolder と入力してOKを押すと、システムに登録されているアプリのショートカット一覧が表示されます。
- 新しいTeamsを見つける
- 一覧の中から「Microsoft Teams」のアイコンを探します。旧Teamsも残っている場合は2つ表示されるかもしれませんので、どちらが新Teamsかアイコンやアプリ名、バージョンなどをよく確認しましょう。
- 右クリック → ショートカットの作成
- 新Teamsのアイコンを右クリックすると「ショートカットの作成」と表示されるので選択します。すると「デスクトップに作成しますか?」といったメッセージが出るので同意すると、デスクトップ等に.lnkファイル(ショートカット)が出来上がります。
- Stream Deckの設定で.lnkファイルを指定
- Elgato Stream Deckのソフトウェアで「アプリケーションを起動する」などのアクション設定時に、作成されたショートカットファイル(.lnk)を指定します。
これで、実質的に新Teamsの起動がStream Deckから可能となります。ショートカットはWindows内部で最新バージョンの実行ファイルへ自動的にリンクする仕組みがあるため、Teamsのアップデートでexeの場所が変わっても、改めてパスを指定し直す手間がほとんどありません。
ショートカット方式のメリット
- バージョンアップやアップデートに影響されない
新Teamsは頻繁にアップデートされ、WindowsAppsフォルダ内のフォルダ名もバージョン番号に応じて変更されます。ショートカット方式であれば、一度作成した.lnkファイルは内部的に最新のTeamsを起動するため、都度ファイルパスを修正する必要がありません。 - WindowsAppsフォルダを触らずに済む
セキュリティリスクやシステム保護の観点から、WindowsAppsフォルダに手動でアクセスするのは避けたいものです。ショートカット作成による方法であれば、そのようなリスクを回避できます。
ショートカット方式のデメリット
- Stream Deckのインテリジェントプロフィールが使いにくい場合がある
Stream Deckには、起動中のexeを自動検知してプロファイルを切り替える「インテリジェントプロフィール」という機能があります。しかし、.lnkファイルを起動する場合は実行プロセス名が「Teams.exe」にならず、WindowsAppsフォルダ内のexeファイル名になるため、うまく自動切り替えが働かない可能性があります。 - ショートカットを認識しないアプリケーションもある
極めて稀ですが、ショートカット経由の起動を想定していないツールやスクリプト環境だとトラブルになる場合があります。
exeファイルを直接参照したい場合の注意点
「どうしてもexeファイルを直接指定したい」「インテリジェントプロフィールを使いこなしたい」といった場合、WindowsAppsフォルダを無理に開いて対象exeのパスを特定する方法があります。しかし、推奨度は低く、以下のリスクがあります。
WindowsAppsフォルダへのアクセス制限を無理やり解除するリスク
WindowsAppsフォルダは、管理者権限を持つユーザーでも開けないように設計されています。アクセス権限を書き換えること自体は技術的には可能ですが、Windows OS全体の安定性や、将来のアップデートで何か不具合が生じる可能性があります。また、フォルダの場所やバージョン番号はTeamsの更新によって随時変更されるため、たとえ直接exeファイルを指定できたとしても、しばらくするとパスが無効になる恐れがあります。
バージョン更新によるフォルダ名の変化
Microsoft Storeから提供される形態のアプリは、バージョンごとにフォルダ名が異なる場合があり、たとえば「MicrosoftTeams_22000.225.531_x64__8wekyb3d8bbwe」のようにランダムな文字列が含まれています。アプリのバージョンアップがあるたびに、このフォルダ名が変化するケースがあるため、一度exeの場所を特定しても、後日使えなくなるリスクが非常に高いです。
旧Teamsとの混在を防ぐための再インストール方法
もし旧Teams(“Classic”)と新Teamsの両方が同居していて混乱している場合、状況を整理する一つの手段として、以下の手順を試すとスムーズです。
- 旧Teams(“Classic”)をアンインストールする
- コントロールパネル「プログラムと機能」または「アプリと機能」から、旧Teamsを探してアンインストールします。
- 新Teamsのみを残す・再インストールする
- すでに新Teamsがインストールされているか確認して、必要に応じて再インストールします。Microsoft Storeから再インストールする方法や、Microsoft公式サイトから最新のTeamsをダウンロードしてインストールする方法があります。
- ショートカットを改めて作成する
- 新Teamsだけになった状態で「shell:AppsFolder」からショートカットを作り直すことで、余計な重複を避けられます。
このように旧版と新版が混在する環境で再インストールを行うと、アプリケーションの競合や誤起動も減り、ストレスフリーに新Teamsを使いこなすことができるでしょう。
Stream Deckのインテリジェントプロフィールを使うには
Elgato Stream Deckのインテリジェントプロフィールは、起動しているアプリの実行プロセス名をもとに自動的にプロファイルを切り替える便利な機能です。ただ、新Teamsの場合、アプリケーション本体がWindowsAppsフォルダ内にあるため、exeファイル名やパスを直接指定しづらいという課題があります。
インテリジェントプロフィールの基本設定
Stream Deckでインテリジェントプロフィールを設定する際、アプリケーションの「実行ファイル(.exe)」を指定して「このプロセスを検知したらプロファイルを切り替える」という使い方をします。旧Teams(“Classic”)なら「Teams.exe」を選ぶだけで良かったのですが、新Teamsでは該当フォルダにアクセスできず、設定が難しい場合が多いです。
回避策:ショートカットと組み合わせる
完全な解決策ではありませんが、ショートカットを使いながら以下の運用を試すことができます。
- ショートカットで新Teamsを起動する
Stream Deck上のボタンにショートカットを割り当て、まずは新Teamsを起動。 - フォアグラウンドアプリを検知する
Teamsが起動するとタスクマネージャーなどで実際のプロセスを確認できます。起動プロセス名をStream Deckのインテリジェントプロフィール側で手打ち入力してみる、あるいはそのプロセスを選べるかどうか試してみる方法があります。 - プロファイルが自動切り替えしなければ手動切り替えも検討
もしプロセスの自動検知がうまくいかない場合、割り切って手動で切り替えるか、他のトリガーを利用する工夫もありです。
具体的な手順例:ショートカット作成からStream Deck設定まで
ここではもう少し具体的なステップを示します。実際に操作してみることで理解が深まるでしょう。
1. shell:AppsFolderを使ったショートカット作成
1. Windowsキー + R を押す
2. 「ファイル名を指定して実行」ダイアログに shell:AppsFolder と入力
3. Microsoft Teams(新)を探す
4. 右クリックして「ショートカットの作成」を選択
5. デスクトップなどにショートカットができる
2. ショートカットをStream Deckに登録
- Elgato Stream Deckソフトを開き、左側のアクション一覧から「オープン」を選択(バージョンによって名称が異なる場合もあります)。
- ボタンにドラッグ&ドロップし、設定ペインにある「ファイル」の欄に先ほど作成したショートカット(.lnk)ファイルを指定。
- ボタンアイコンやタイトルを好みに合わせて変更すれば完了。
3. 起動テストを行う
Stream Deck本体のボタンを押してみて、新しいTeamsが正しく起動するか確認します。正常に起動すれば設定は完了です。ショートカット経由であっても特に操作感の違いはありません。
WindowsAppsフォルダをどうしても開きたい場合の留意点
「インテリジェントプロフィールを必須で使いたい」「Teams.exeをどうしても直接指定したい」といった場合に限り、WindowsAppsフォルダの権限を変更してexeファイルの場所を突き止める方法も存在します。ですが、以下の点を十分理解したうえで自己責任で行ってください。
- Windowsのアップデートで設定がリセットされる可能性がある
OS更新でフォルダ権限が元に戻る場合があります。毎回権限書き換えを行うのは手間がかかります。 - 予期せぬトラブルが発生する可能性
権限書き換えを行うと、他のUWPアプリが動作しなくなるなどの副作用が報告されています。 - Teamsのバージョン更新でパスが変わる
一時的にexeへのパスを指定しても、Teamsが更新されると同じ場所に存在しなくなるかもしれません。
旧Teamsと新Teamsの大きな違いを理解しよう
最後に、今回の問題の根本となっている「旧Teams」と「新Teams」の違いを整理します。
項目 | 旧Teams(“Classic”) | 新Teams |
---|---|---|
インストールパッケージ | MSI/EXE形式で直接インストール | Microsoft Store/UWP形態など |
プログラムの所在 | C:\Program Files\Microsoft Teams などに配置 | C:\Program Files\WindowsApps など |
ショートカット作成 | exeファイルを右クリックして簡単に作成可能 | shell:AppsFolder からの作成が必要 |
アップデート方法 | Office/Microsoft 365の一環、または独立アップデート | ストア経由の自動更新もしくはアプリ内更新 |
混在インストール | 旧Teamsだけ or 新Teamsと並行していると混在する | 新Teamsのみでも動作可、ただしPC環境による |
このように根本的な仕組みが変わっているため、従来の感覚で.exeファイルを探しても見つからないのは当然の結果です。今後はMicrosoft Storeベースの配布形態が増えていくと予想されるため、今回紹介したショートカット方式を知っておくと、ほかのUWPアプリでも応用が利くでしょう。
まとめ:ショートカット方式こそ最善策
以上、新しいTeamsの.exeファイルが見つからない問題とその解決策、背景について詳しく解説しました。結論としては、WindowsAppsフォルダ内の実行ファイルを無理に特定しようとするよりも、Windowsの標準機能である「shell:AppsFolder」からショートカットを作り、Stream Deckに登録する方法が最も手軽で確実です。また、Teamsのアップデートがあってもショートカットのリンク先が自動で最新状態になり、大きなメンテナンスが不要となる点も魅力でしょう。
もしどうしてもexeファイルを直接指定して、インテリジェントプロフィールなどの高度な機能を使いたい場合は、WindowsAppsフォルダの権限変更が必須になる可能性があります。しかし、それはあくまでも非推奨のテクニックであり、OSやアプリへの悪影響を考慮すると、特別な理由がなければショートカット方式をメインの選択肢とするのが無難です。
また、旧Teams(“Classic”)との混在によって混乱している場合は、一旦旧Teamsをアンインストールし、新Teamsだけを利用する環境に整えると、さまざまな不具合が解消されることもあります。特に企業環境などで複数のTeamsバージョンが混在していると、ユーザーサポートの観点でも混乱が大きいため、クリーンな状態にしておくのが理想的です。
新しいMicrosoft Teamsを使いこなすうえで「exeファイルが見つからない」というのは、導入期に多くのユーザーがつまずきがちなポイントです。今回の内容を参考にして、ショートカットを使ったスマートな起動管理を実践してみてください。そうすれば、Elgato Stream Deckをはじめ、さまざまなツールと連携させたワークフローの自動化が一気に捗ることでしょう。
コメント