Visual StudioのCopilot Actionsで選択コードだけをレビューする方法

Visual StudioのGitHub Copilotで、ファイル全体ではなく選択したコードだけをレビューしたい場合は、対象範囲を選択して右クリックし、Copilot Actions → Review Selectionを実行します。レビュー結果はコード上のインラインコメントとして表示され、コメント内のきらめきアイコンから修正案を適用したり、具体的なコード案を生成したりできます。

この機能はVisual Studio 2026 July Updateで追加されました。小さなメソッドや修正中の条件分岐など、気になる箇所だけをコミット前に確認したい場面で役立ちます。(The GitHub Blog)

目次

Visual Studioで選択したコード範囲だけをCopilotレビューする方法

操作の流れは次のとおりです。

手順操作内容
1Visual Studioでレビューしたいファイルを開く
2確認したいコード範囲をマウスまたはキーボードで選択する
3選択範囲の上で右クリックする
4Copilot Actionsを開く
5Review Selectionを選択する
6コード上に表示されたインラインコメントを確認する
7必要に応じて、きらめきアイコンから提案を適用または生成する
8変更内容を確認し、ビルドとテストを実行する

対象コードを選択していない状態では、Review Selectionを利用できない場合があります。右クリックする前に、少なくとも1行以上のコードが選択されていることを確認してください。

公式リリースノートでは、エディター上でコードを選択し、右クリックメニューからCopilot Actions → Review Selectionを選ぶ手順が案内されています。Copilotは選択範囲に対してレビューを行い、対応可能なインラインコメントを表示します。(Microsoft Learn)

Review Selectionを利用するための準備

Visual Studio 2026を18.8.0以降へ更新する

選択範囲のレビュー機能は、2026年7月14日に公開されたVisual Studio 2026 July Update 18.8.0で追加されました。

古いバージョンを利用している場合は、Visual Studio Installerを起動し、Visual Studio 2026を最新の18.8系へ更新してください。通常は初期リリースの18.8.0に固定せず、修正プログラムを含む最新バージョンへ更新するのが安全です。(Microsoft Learn)

現在のバージョンは、Visual Studioの次の画面から確認できます。

  1. 上部メニューのヘルプを開く
  2. Microsoft Visual Studioのバージョン情報を選択する
  3. 表示されたバージョン番号を確認する

バージョンが18.8.0未満の場合は、先にVisual Studio Installerから更新してください。

GitHub Copilotへサインインする

Visual Studio上でGitHub Copilotを利用できる状態にしておく必要があります。

Copilot Chatが開けない場合やCopilot関連のメニューが表示されない場合は、次の点を確認します。

  • Visual StudioでGitHubアカウントにサインインしているか
  • GitHub Copilotを利用できるアカウントか
  • CopilotがVisual Studio上で無効になっていないか
  • 組織管理のアカウントでは、管理者側の利用設定に制限がないか

GitHubの2026年7月30日付の発表では、選択コードのレビュー機能は全Copilotプランで利用可能とされています。実際にメニューが表示されない場合は、まずVisual Studioのバージョンとサインイン状態を確認しましょう。(The GitHub Blog)

インラインコメントのきらめきアイコンでできること

Review Selectionを実行すると、Copilotの指摘が対象コード付近のインラインコメントとして表示されます。

コメント内にあるきらめきアイコンは、単に指摘を読むだけでなく、修正まで進めるための操作ボタンです。

修正候補がある場合はコードへ適用できる

Copilotが具体的な修正コードを提示している場合は、きらめきアイコンから提案をコードへ反映できます。

たとえば、次のような指摘です。

  • nullになる可能性がある変数を直接参照している
  • 条件分岐の順序によって意図しない処理が実行される
  • 非同期処理でawaitが不足している
  • リソースの解放処理が不足している
  • 同じ処理が重複しており、共通化できる
  • 例外を握りつぶして原因を追跡しにくくしている

ただし、適用ボタンを押す前に、提案が業務仕様や既存設計に合っているかを確認してください。

修正候補がない場合は提案を生成できる

レビューコメントが問題点の説明だけで、置き換えコードを含んでいないこともあります。

その場合も、きらめきアイコンからCopilotに修正案を生成させられます。公式情報では、コメントに提案がない場合、きらめきアイコンを使ってコード提案を生成できると説明されています。(The GitHub Blog)

生成されたコードはそのまま採用せず、次の点を確認します。

  • メソッドの戻り値や例外仕様が変わっていないか
  • 公開APIの互換性を壊していないか
  • 本来必要なログや監査処理を削除していないか
  • 既存の命名規則やコーディング規約に合っているか
  • テストで確認すべき分岐が増えていないか

Copilotにレビューさせるコード範囲の選び方

Review Selectionでは、選択範囲の決め方がレビュー結果の分かりやすさに影響します。

基本的には、1つの役割として理解できるまとまりを選択するのがおすすめです。

選択する範囲向いている場面
1つのメソッド全体null処理、例外処理、戻り値、可読性をまとめて確認したい
条件分岐全体条件漏れ、到達不能な処理、分岐順序を確認したい
ループ処理全体終了条件、境界値、処理効率を確認したい
LINQやSQL生成部分クエリ条件、空データ時の挙動、効率を確認したい
非同期処理のまとまりawait、キャンセル、例外伝播を確認したい
入力値の検証部分未検証値、形式チェック、異常値への対応を確認したい

選択範囲が狭すぎる場合

問題のある1行だけを選択すると、その行が使っている変数の型や事前条件をCopilotが十分に判断できないことがあります。

たとえば、次の1行だけを選んでも、userがnullになり得るかどうかは周辺コードを見ないと判断できません。

return user.Name;

この場合は、変数を取得している部分を含めて選択します。

public async Task<string> GetUserNameAsync(int id)
{
    var user = await _dbContext.Users.FindAsync(id);
    return user.Name;
}

メソッド全体を選択すれば、userが見つからなかった場合の扱いや戻り値の設計について、より具体的な指摘を得やすくなります。

選択範囲が広すぎる場合

複数のクラスや関係の薄い処理をまとめて選択すると、指摘が分散し、本当に確認したい問題が埋もれやすくなります。

大きなファイルを確認するときは、次のように分割すると効率的です。

  1. 入力値検証をレビューする
  2. データ取得処理をレビューする
  3. 更新処理をレビューする
  4. 例外処理をレビューする
  5. 変更全体をGit Changesからレビューする

最初に狭い範囲を確認し、最後に変更全体を確認することで、局所的な不具合と変更間の整合性を両方チェックできます。

Review Selectionとほかのレビュー方法の違い

Visual Studioでは、目的に応じてCopilotの使い方を分けると効率的です。

方法対象向いている用途
Review Selectionエディターで選択したコード特定のメソッドや条件分岐だけをすぐ確認したい
Git ChangesからのCopilotレビューコミット前の変更内容複数ファイルを含む変更全体を確認したい
Copilot Chat質問で指定したコードや設計指摘の理由を聞く、改善方針を相談する
人によるレビュープルリクエストや変更全体仕様、設計、運用影響まで含めて判断する
静的解析・テスト規則違反や実行結果機械的に検出できる問題を再現可能な形で確認する

Review Selectionは、Git Changesウィンドウから利用するCopilotコードレビューと同じ基盤を使いながら、任意のコード範囲へ対象を絞れる機能です。ファイル全体の変更を作る前でも、気になった処理をその場で確認できます。(Microsoft Learn)

Review Selectionが適している場面

次のような場合は、選択範囲だけのレビューが効果的です。

  • 既存コードの一部を修正した直後
  • 複雑な条件分岐を追加したとき
  • 他の開発者が書いたメソッドを読み解くとき
  • リファクタリング前後の問題点を確認したいとき
  • プルリクエストを作るほどではない小さな変更
  • 人にレビューを依頼する前のセルフチェック

Git Changesからのレビューが適している場面

複数ファイルを変更した場合は、選択レビューだけでは確認できない問題があります。

たとえば、インターフェースを変更したのに呼び出し側が更新されていない場合や、設定ファイルと実装コードの整合性が崩れている場合です。このような変更では、最後にGit Changesウィンドウから変更全体をレビューした方がよいでしょう。

GitHub Copilotの公式ドキュメントでも、Visual StudioのGit Changesウィンドウからコミット前の変更をレビューし、コード上のコメントを確認できる手順が案内されています。(GitHub Docs)

実務でおすすめのレビュー手順

Copilotの提案を安全に活用するには、次の順番で確認すると効率的です。

コードを書いた直後に対象部分をレビューする

メソッドや条件分岐を追加したら、その範囲を選択してReview Selectionを実行します。

この段階では、主に次の観点を確認します。

  • 明らかなバグがないか
  • nullや空データへの対応があるか
  • 境界値を処理できるか
  • 例外処理が適切か
  • 読みにくい処理になっていないか

Copilotの指摘を一つずつ判断する

すべての提案を一括で採用するのではなく、指摘ごとに次の3種類へ分けます。

判断対応
明らかに正しい提案を適用する
正しそうだが仕様確認が必要保留し、仕様書や既存実装を確認する
プロジェクトの方針と合わない適用せず、必要に応じてコメントを閉じる

AIによるコードレビューは、プロジェクト固有の業務ルールを完全に理解しているとは限りません。一般的には改善に見える変更でも、実際には互換性や業務要件を壊す可能性があります。

ビルドとテストを実行する

提案を適用した後は、最低限次の確認を行います。

  • ソリューションをビルドする
  • 既存の単体テストを実行する
  • 修正した条件分岐のテストを追加する
  • 警告件数が増えていないか確認する
  • 実際の入力データで動作を確認する

Copilotが生成したコードは、コンパイルできても仕様どおりに動くとは限りません。特に金額計算、権限判定、日付処理、個人情報、データ削除などに関わる変更は、人による確認を省略しないでください。

最後に変更全体をレビューする

局所的なレビューが終わったら、Git Changesから変更全体を確認します。

おすすめの流れは次のとおりです。

  1. Review Selectionで変更したメソッドを確認する
  2. Copilotの提案を必要なものだけ適用する
  3. ビルドと単体テストを実行する
  4. Git Changesで変更全体をレビューする
  5. 差分を自分でも読み直す
  6. プルリクエストを作成して人によるレビューを受ける

Review Selectionは、人のレビューをなくすためではなく、人へ渡す前のコード品質を上げるためのセルフレビュー手段として使うと効果的です。

Review Selectionが表示されないときの確認事項

右クリックしてもCopilot ActionsやReview Selectionが表示されない場合は、次の順番で確認してください。

Visual Studioのバージョンを確認する

Visual Studio 2026 July Update 18.8.0以降であることを確認します。

Visual Studio 2022など、別世代のVisual Studioで通常のCopilotコードレビューを利用できても、今回のReview Selectionが同じ手順で表示されるとは限りません。

Visual Studioを再起動する

Visual Studio Installerで更新した直後は、IDEを完全に終了してから再起動します。

必要に応じてWindowsも再起動し、更新されたコンポーネントを読み込み直してください。

コードを選択してから右クリックする

カーソルを置いただけではなく、レビューしたいコードが反転表示された状態で右クリックします。

選択範囲の外側を右クリックすると、通常のエディター用コンテキストメニューが表示される場合があります。

GitHub Copilotの状態を確認する

Visual Studio上部のCopilot関連メニューやCopilot Chatを開き、正常に利用できるか確認します。

サインインを求められた場合は、Copilotを利用するGitHubアカウントで認証してください。

組織の利用ルールを確認する

会社や学校が管理するGitHubアカウントでは、Copilotの利用方針が組織側で設定されていることがあります。

メニューが表示されない場合や実行時に権限エラーが出る場合は、GitHub管理者またはVisual Studioの管理担当者へ確認してください。

Copilotレビューを使う際の注意点

指摘がないことは安全性の保証ではない

Copilotがコメントを表示しなかったとしても、コードに問題がないとは限りません。

次のような問題は、別の手段でも確認する必要があります。

  • 実行時だけ発生する不具合
  • 業務仕様との不一致
  • 複数サービス間のデータ不整合
  • 性能劣化
  • 同時実行時の競合
  • 権限設計の誤り
  • セキュリティ上の脆弱性

単体テスト、結合テスト、静的解析、人によるレビューと組み合わせてください。

提案を無条件で適用しない

Copilotはコードの一般的な改善案を示せますが、プロジェクト独自の事情を見落とす可能性があります。

特に次の変更は慎重に確認します。

  • 公開メソッドの引数や戻り値
  • データベースの更新処理
  • 認証・認可処理
  • 例外の種類や発生条件
  • APIのレスポンス形式
  • 日時やタイムゾーンの処理
  • 丸めを伴う金額計算

機密コードの取り扱いルールを守る

業務システムで利用する場合は、組織の生成AI利用規程、GitHub Copilotの契約内容、リポジトリの機密区分を確認してください。

技術的に利用できることと、社内ルール上利用してよいことは別です。個人情報、認証情報、秘密鍵、未公開の設計情報などをコードへ直接記載しない運用も徹底しましょう。

選択レビューを日常のセルフチェックに組み込もう

Visual Studio 2026 July Update以降では、レビューしたいコードを選択し、Copilot Actions → Review Selectionを実行するだけで、その範囲に絞ったレビューを受けられます。

最初に試すときは、修正した1つのメソッドを選択してください。インラインコメントを確認し、妥当な提案だけを適用した後、必ずビルドとテストを実行します。

小さな範囲はReview Selection、変更全体はGit Changes、人の判断が必要な設計や仕様はプルリクエストレビューという形で使い分けると、Copilotを過信せずに開発速度とコード品質を高められます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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