いつものようにパソコンを使っていたら、イベントビューアーを開いたときに想像以上にたくさんのエラーや警告が並んでいて不安になったことはありませんか。私も最初に確認したときは「こんなにエラーがあるなんて大丈夫なの?」と驚きました。ここでは、Windows 11のイベントビューアーに表示されるエラーや警告の意味や原因、そしてそれらをどのように読み解き対策を考えるか、実体験をまじえて紹介します。
イベントビューアーとは
Windows 11をはじめ、Windowsにはさまざまな情報が自動的に記録される「イベントログ」が存在します。これらを一覧できるツールがイベントビューアーであり、システムやアプリケーションの状況を細かく把握するために使われます。ログが大量に記録されるのは正常な動作であることが多く、特にトラブルが起こっていない場合でも日常的にエラーログや警告が残ることがあるのです。
イベントログの種類
Windowsのイベントビューアーでは、さまざまなログがカテゴリーごとに記録されます。ここでは代表的なログの種類を紹介します。
アプリケーションログ
アプリケーションが起動するときや動作中に発生した情報がまとめられます。ソフトウェアのエラー情報や警告、正常稼働の履歴などが残るため、不具合の原因調査に役立ちます。
システムログ
OSの内部機能やドライバー、サービスに関する情報が記録されます。Windows自体のトラブルやハードウェアのドライバー関連の問題を把握するのに利用されることが多いです。
セキュリティログ
ユーザーのログオン履歴や権限の変更など、セキュリティに関連する事象が一覧できます。アクセス権限の問題や不正ログインが疑われるときにチェックされます。
その他の独自ログ
一部のアプリケーションは独自のログチャネルを用意しており、それらがイベントビューアーに表示されることもあります。サードパーティー製ツールやクラウド連携ソフトなどに見られるケースがあります。
イベントIDの見方
各ログには「イベントID」が設定されており、これはある程度固定化されています。もし特定のエラーや警告が気になる場合は、このイベントIDを検索してみると、より詳細な原因や対処法が見つかる場合があります。Microsoftの公式サイトやユーザーフォーラムには、イベントIDごとの解説や事例が集約されていることがあります。
エラーや警告が多く表示される主な原因
イベントビューアーにエラーや警告が多く表示されても、必ずしも重大な不具合が起こっているわけではありません。以下では、エラーや警告が頻発する背景や原因について掘り下げていきます。
Windows 11のログ管理仕様
Windowsの設計上、ちょっとした警告や一時的なエラーも細かく記録する機能が備わっています。特にWindows 11ではセキュリティ面や動作ログの可視化に注力しているため、エラーや警告が増えたように見えるケースがあります。
ドライバーやサービスの起動順序による一時的エラー
システム起動時やアプリケーション立ち上げ時には、ドライバーやサービスが複雑な順番で起動や連携を試みています。その過程で「まだ必要なサービスが動いていない」「ネットワーク接続が確立されていない」など一時的にリソースが利用できずエラーが発生することがあります。多くの場合はすぐに再試行して成功し、ユーザーの体感としては問題に気付かないまま動いていることが少なくありません。
セキュリティソフトによる保護プロセス
ウイルス対策ソフトやファイアウォールがシステム深部にフックしている場合、一時的にアクセスを遮断することがあり、イベントビューアーには警告やエラーが記録されることがあります。こうしたセキュリティ系のログは、特に注意して確認しておくと安心です。
エラーや警告が本当に問題かどうかの見極め方
大量のエラーや警告をすべて細かくチェックするのは現実的ではありません。ここでは、どこに着目すればよいのかを解説します。
トラブルの頻度や症状を確認する
もしパソコンで頻繁に強制終了やブルースクリーンが発生していないのなら、多くの場合は深刻なエラーではありません。たまにしか起こらない現象や、通知がなくても作業が継続できる場合は、様子を見ても問題ないケースが多いです。
同じイベントIDのエラーや警告が連続しているか
同じIDのエラーが何度も連続して起こっている場合は、何かしら対応が必要になる可能性があります。その場合はIDをメモし、インターネットや公式ドキュメントで意味を調べるとよいでしょう。
システムに目立った支障が出ていないか
例えば、音が出ない、ネット接続が不安定、アプリが起動しないといったわかりやすい不具合が生じていないのなら、エラーログだけを見て神経質になる必要はありません。Windowsはある程度自動で問題を修復する仕組みをもっているため、結果的に動作に支障がなければ「一時的な不具合」と判断できることも多いです。

昔、イベントビューアーに大量の赤いマークがあって驚いたことがありました。しかし、OSやアプリケーションの動作に問題を感じなかったのでしばらく放置していたら、いつの間にか記録数が減っていたこともあります。
実際のエラーログのチェック方法
イベントビューアーは一見すると難しそうですが、見るポイントを押さえれば簡単に概要を把握できます。下記の流れでチェックすると効率的です。
概要と詳細を使い分ける
ログをダブルクリックすると表示されるウィンドウには「概要」と「詳細」があります。まずは概要を確認し、そこに表示されるソースやイベントID、レベルなどをチェックしましょう。さらに深堀りしたいときは詳細タブを確認します。
ソースの重要性
ソースは、ログを生成したサービスやドライバー、アプリケーションを特定するキーです。例えば「Netwtw10」という表記ならネットワークドライバー、「Application Error」という表記ならアプリケーションが原因など、ソース名で原因の方向性が見えてくることがあります。
イベントIDでピンポイントに原因を追究
イベントIDはWindowsの挙動を示す重要な番号です。例えば「10016」など、具体的なIDで調べるとMicrosoftのサイトやユーザーフォーラムで原因と対策が丁寧にまとめられている場合があります。
代表的なログと対処の目安
レベル | 意味 | よくある例 | 対処の目安 |
---|---|---|---|
情報(Information) | 通常の処理が完了した記録 | サービスの起動成功、正常な動作報告など | 特に対応不要 |
警告(Warning) | 潜在的な問題や注意喚起 | ドライバーが一時的に応答しなかった、ネットワーク接続不安定など | 頻発する場合のみ調査を検討 |
エラー(Error) | 実行できなかった処理や障害 | サービスが開始できなかった、アプリケーションでクラッシュしたなど | 原因調査し、必要なら修復 |
重大(Critical) | システムを止める致命的な障害 | ブルースクリーン、再起動を伴うクラッシュなど | すぐに原因究明が必要 |
エラーを減らすための具体的な対策
実際にエラーや警告が多い場合、どうすればいいのかをいくつか挙げてみます。
Windowsアップデートとドライバー更新
OSやデバイスドライバーが古いバージョンだと、互換性やセキュリティの面で問題が発生しやすく、イベントビューアーにエラーが記録されることがあります。Windowsアップデートやデバイスマネージャーからドライバーを最新にすることで解消するケースは少なくありません。
手動アップデートの手順
1. Windowsの設定を開く
2. Windowsアップデートをクリック
3. 更新があればインストールを実行する
4. デバイスマネージャーでドライバー更新を確認
不要なサービスやスタートアップの見直し
起動時に走るサービスや常駐アプリが多いほど、一時的に競合が発生しやすくなります。トラブルが疑われるときは、タスクマネージャーのスタートアップタブで不要な常駐アプリをオフにしたり、サービスを確認するのもおすすめです。
システムファイルチェッカーやDISMコマンドの活用
システムファイルが破損していると、正常に動作しないプロセスが発生しやすくなります。Windowsには以下のような修復ツールが用意されているので、問題が疑われるときは試してみるとよいでしょう。
システムファイルチェッカー(sfc /scannow)
コマンドプロンプト(管理者として実行)で「sfc /scannow」と入力すると、システムファイルの不整合を検知し自動的に修復を試みます。
DISMコマンド(DISすM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth)
Windowsのイメージ自体に問題がある場合には、DISMツールを使ってクリーンアップや修復を行うことができます。SFCでは対処できなかった破損が直る可能性があるため、セットで行うと効果的です。
私が実際に体験したエラー対処例
過去に、特定のUSB機器を挿すとログにエラーメッセージが増えるという現象を経験しました。デバイスマネージャーを確認すると不明なデバイスとして認識されていたのです。ドライバーを手動で更新しようとしても見つからず、メーカーサイトから直接ダウンロードしたドライバーを適用することで解決できました。解決後は、イベントビューアーのエラーログも減り、安定して使えるようになりました。
エラーログや警告メッセージとどう付き合うか
イベントビューアーに表示されるエラーや警告は、あくまで「システム内で起きたことを詳細に記録する場」で発生します。全てを気にしすぎる必要はありませんが、何か大きな問題が起きた際には真っ先に参考になる重要な情報でもあります。次のポイントを意識すると、上手に付き合うことができます。
日常使用に問題がなければ深追いしすぎない
軽微なトラブルや一時的なエラーは、自動復旧されていることが多いです。普段の使い方で特に支障が出ない場合は、必要以上に心配しなくても大丈夫です。むしろ、エラーログが1つもない状態の方が不自然な場合さえあります。
定期的にイベントビューアーを開いて傾向を掴む
大きなトラブルが発生する前に、定期的にエラーログの傾向を見ておくと早期発見につながります。突然エラーログの量が急増したときは、ソフトのアップデートやドライバーの変更が原因になっていないか確認してみましょう。
ログのフィルター機能の活用
イベントビューアーにはログのフィルター機能があり、警告以上を対象にしたり、特定のソースのみを表示させるなど、自分が知りたい情報だけを絞り込むことができます。すべてのログを延々と眺めるよりも目的に応じてフィルターをかけると効率が上がります。
まとめ: エラーや警告と上手に付き合うための心構え
Windows 11のイベントビューアーには多くのエラーログや警告が溜まりやすいとはいえ、その大半はOS自体が自動的に復旧できる軽微な問題です。起動時のドライバー競合やセキュリティソフトの保護プロセスなど、システム内部でのやり取りが細かく記録されているだけのことも多く、日常使用に特に支障がなければ過度に不安になる必要はありません。
ただし、同じエラーが連続していたり、ブルースクリーンなど深刻な症状を伴う場合は、ドライバー更新やWindowsアップデート、あるいは専門家への相談など適切な対処が欠かせません。ログの見方を身につければ、自力でもある程度原因を推測できますし、サポートに問い合わせをする際の情報源としても役立ちます。
最後に、イベントビューアーをまったく見ないのも選択肢のひとつですが、パソコンを長く使う上でエラーがどうしても多くなってきたときに素早く問題を特定できるよう、定期的に様子をチェックしておくのも大切な習慣です。



私もかつて、何度もブルースクリーンが起きて困ったとき、イベントビューアーを見たら同じエラーが連発していることに気づき、グラフィックドライバーを更新したら症状が治まったという経験があります。うまく使うと強い味方になりますよ。
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