2026年6月23日(日本時間)に更新が確認されたMicrosoft 365 Roadmap ID 551195では、Copilot MemoryがMicrosoft 365上の仕事データや利用状況を使い、より文脈に合った回答を返す方向へ強化されることが示されています。
今回の更新で最も重要なのは、機能内容が大きく追加されたことではなく、一般提供予定が2026年7月から2026年11月へ延期されたことです。機能名には「Copilot is now personalized with work data」とありますが、現時点のステータスは「開発中」であり、すべてのテナントで利用可能になったという意味ではありません。(Microsoft 365 Message Center Archive)
管理者は提供開始を待つだけでなく、拡張パーソナライズの設定、Microsoft 365内のアクセス権、Copilot Memoryの保持方法、利用者への周知内容を確認しておく必要があります。
Copilot Memoryが仕事データでパーソナライズされると何が変わる?
これまでのCopilot Memoryは、主に次の情報を使って回答をパーソナライズしていました。
- Copilot Chatから保存されたメモリ
- 過去のチャット履歴から推測された情報
- 利用者が設定したカスタム指示
今回の強化では、これらに加えてMicrosoft 365のアクティビティを利用し、利用者の仕事内容や状況に合った回答を生成しやすくなります。また、Copilotが記憶している内容やパーソナライズ設定を、利用者が確認・管理しやすくなる予定です。(Microsoft 365 Message Center Archive)
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| Roadmap ID | 551195 |
| 機能名 | Enhanced M365 Copilot Memory |
| ステータス | 開発中 |
| 提供段階 | 一般提供 |
| 一般提供予定 | 2026年11月 |
| 以前の予定 | 2026年7月 |
| 対象クラウド | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| 対象プラットフォーム | Web、Desktop、Mac、iOS、Android |
Microsoft 365 Roadmapの提供日は見込みであり、今後も変更される可能性があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
2026年6月23日の更新で変わったのは提供時期
今回の更新前後で、機能説明の中心部分は変わっていません。
引き続き、CopilotがMicrosoft 365のアクティビティを使って、より関連性が高く文脈に沿った回答を提供することや、メモリとパーソナライズ設定を管理しやすくすることが案内されています。
変更されたのは一般提供予定で、2026年7月から2026年11月へ約4カ月延期されました。したがって、2026年6月23日時点で利用者側に新機能が一斉に追加されたわけではありません。(Microsoft 365 Message Center Archive)
企業にとっては、延期によって準備期間が増えたと捉えられます。特に、既定設定のまま導入するか、対象グループを限定するかを決めていない場合は、11月までに運用方針を整理しておく必要があります。
「仕事データ」には何が含まれる?
Roadmapでは「M365 activity」と表現されており、対象となるデータがすべて列挙されているわけではありません。
Microsoftの拡張パーソナライズに関する関連ドキュメントでは、利用される可能性がある情報の例として、次のデータが挙げられています。
- Microsoft Teamsのチャット
- Outlookのメール
- 会議のトランスクリプト
- Microsoft 365に接続されたコネクタのデータ
これらは、個々の利用者向けにCopilotを効率化、パーソナライズする目的で使用されます。公式説明では、パーソナライズ情報が他の利用者と共有されるものではありません。(Microsoft Learn)
ただし、Microsoft 365上のメールやチャットが、そのまますべて「保存済みメモリ」として複製されるという説明ではありません。保存済みメモリ、チャット履歴からの推測、Microsoft 365アクティビティの利用は、区別して考える必要があります。
Copilotのアクセス権が広がる変更ではない
仕事データが利用されると聞くと、「Copilotが社内のすべての情報を見られるようになるのでは」と不安になるかもしれません。
Microsoft 365 Copilotは、原則として利用者本人に閲覧権限があるデータだけを利用します。今回のパーソナライズ強化によって、アクセス権のないファイル、メール、チャットを新たに参照できるようになるわけではありません。
また、Microsoftは、Microsoft Graph経由で参照したデータ、プロンプト、回答を基盤となる大規模言語モデルの学習には使用しないと説明しています。(Microsoft Learn)
一方で、SharePointやTeamsで必要以上に広い権限が設定されている場合、その情報は利用者がもともと閲覧できるデータとしてCopilotにも利用される可能性があります。Copilot Memoryの設定だけでなく、既存の共有範囲やアクセス権も確認することが重要です。
対象となる利用者と影響
Microsoft 365 Copilot利用者
利用者にとっては、毎回同じ背景情報を説明する手間が減る可能性があります。
たとえば、担当業務、よく使う報告形式、繰り返し行う作業、文章の好みなどをCopilotが把握していれば、最初から利用者に合った回答を得やすくなります。
一方で、古くなった情報や誤って推測された内容が残っていると、その情報を前提に回答が生成される可能性があります。異動、担当変更、プロジェクト終了などがあった場合は、保存済みメモリやカスタム指示を見直す必要があります。
Microsoft 365管理者
管理者への影響が大きいのは、拡張パーソナライズが既定で有効と案内されている点です。Copilot Memoryを有効にするための操作は原則不要で、利用させたくない場合に無効化する考え方となっています。(Microsoft Learn)
組織全体で無効化するほか、Microsoft Entraグループを指定して対象ユーザーの利用を制限する仕組みも用意されています。現行ドキュメントでは、Microsoft GraphのenhancedPersonalizationSettingによる制御が案内されています。(Microsoft Learn)
なお、この設定に使用するMicrosoft Graph APIはベータ版として掲載されています。運用スクリプトを作成する場合は、仕様変更を前提に検証環境で確認する必要があります。
利用者が確認したいCopilot Memoryの設定
利用者はMicrosoft 365 Copilot Chatの設定から、パーソナライズに関する項目を確認できます。画面名称は提供時期や更新状況によって変わる可能性がありますが、基本的には次の項目が対象です。
- 保存済みメモリ
- チャット履歴を使ったパーソナライズ
- カスタム指示
保存済みメモリは、Copilotの画面右上にあるメニューから「設定」「パーソナライズ」と進み、管理できます。保存内容を個別に削除するほか、すべてのメモリを削除することも可能です。(Microsoft サポート)
ここで注意したいのは、メモリ機能をオフにすることと、保存済みメモリを削除することは別の操作だという点です。設定をオフにしても、すでに保存されているメモリが自動的に削除されるとは限りません。
一時的な相談や、今後の回答に反映させたくない内容を扱う場合は「一時チャット」を利用できます。一時チャットでは、パーソナライズ情報へのアクセスやメモリの更新が行われず、通常のチャット履歴にも表示されません。ただし、組織の保持ポリシーに従ってデータが一定期間保持され、管理者が確認できる場合があります。(Microsoft サポート)
管理者がすぐ確認したい運用上の注意
拡張パーソナライズの現在値を確認する
最初に、組織で拡張パーソナライズを許可するか決めます。
全面的に許可する、特定部門だけ無効化する、検証グループから段階的に利用するなど、組織の情報管理方針に合わせて判断します。既定で有効になる前提で、未判断のまま一般提供を迎えないことが重要です。
Copilot Memoryの保持は通常のチャット履歴と異なる
Copilot Memoryには、通常のCopilotチャットとは異なる保持上の注意があります。
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| Purviewの保持ポリシー・保持ラベル | Copilot Memoryには適用されない |
| 保存済みメモリ | 利用者が明示的に削除するまで保持される |
| チャットの削除 | 関連する保存済みメモリは自動削除されない |
| メモリ設定の無効化 | メモリの利用を停止するが、保存済みデータを削除するとは限らない |
| 監査ログ | メモリやパーソナライズ操作では監査ログが生成されない |
| 管理者による調査 | eDiscoveryとMicrosoft Graphを利用して検索・削除できる |
特に、Copilot Chatに「3カ月後に削除」などの保持ポリシーを設定していても、その設定がCopilot Memoryにも適用されるとは限りません。(Microsoft Learn)
個人情報や機密情報の削除依頼に対応する必要がある組織では、Copilot Memoryを対象にした検索・削除手順を別途用意しておく必要があります。
Microsoft 365の共有範囲を見直す
Copilotは既存のアクセス権に従います。そのため、設定ミスによって広く共有されているファイルやサイトがあると、Copilotの回答にも影響します。
少なくとも次の場所は確認しておくと安全です。
- 全社公開になっているSharePointサイト
- 「リンクを知っている全員」など広い共有リンク
- 長期間利用されていないTeamsやMicrosoft 365グループ
- 外部ユーザーが残っている共有領域
- 機密情報に適切な秘密度ラベルが付いているか
Copilot Memoryだけを無効化しても、Microsoft 365 Copilotによる通常の情報検索や回答生成に関する共有リスクがすべて解消されるわけではありません。
利用者向けルールを準備する
一般提供前に、利用者へ次の点を案内しておくと混乱を減らせます。
- Copilotが記憶している内容を定期的に確認する
- 誤ったメモリや古いメモリは削除する
- メモリをオフにするだけでは保存データが削除されない
- 一時的な相談には一時チャットを使う
- Copilotの回答は、保存された前提が正しいか確認する
- 人事、法務、健康情報などを安易に記憶させない
特に、利用者自身が「何を記憶させたか」を把握できるようにすることが重要です。
よくある誤解
2026年6月23日から全員が利用できる?
利用できるとは限りません。Roadmap上は開発中で、一般提供予定は2026年11月です。テナントやプラットフォームによって表示時期が異なる可能性もあります。
Copilot Memoryをオフにすればデータも削除される?
自動的にすべて削除されるとは限りません。保存済みメモリは、利用者による個別削除または一括削除が必要です。
仕事データを使うと他人のメールも参照される?
アクセス権のないデータを参照できるようになる変更ではありません。ただし、もともと広く共有されているデータは対象になり得るため、アクセス権の点検が必要です。
一般提供までに進めたい対応
2026年6月23日の更新は、新機能の即時提供ではなく、一般提供予定を2026年11月へ変更する内容です。
管理者は、延期された期間を使って次の順番で準備するとよいでしょう。
- 拡張パーソナライズを許可する範囲を決める
- 現在の設定値と対象グループを確認する
- SharePoint、Teams、OneDriveの共有範囲を点検する
- Copilot Memoryの検索・削除手順を整備する
- 利用者向けにメモリの確認方法と一時チャットを周知する
- Roadmap ID 551195の提供時期を継続して確認する
利用者側では、Microsoft 365 Copilotの「設定」「パーソナライズ」を開き、保存済みメモリ、チャット履歴、カスタム指示の状態を確認することが最初の対応になります。
Copilot Memoryは回答の関連性を高める一方、記憶内容が古い、誤っている、不要である場合には回答品質にも影響します。便利さだけでなく、何を記憶させ、誰が管理し、どのように削除するかまで含めて運用を決めることが重要です。

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