Microsoft VivaのCopilot Dashboardでは、Copilotライセンス保有者全体またはアクティブユーザーを対象に、Copilot Pulse調査を配信する機能が計画されています。Microsoft 365 Roadmap ID 568072として登録された「Targeted Audience Surveys」で、組織や職務などのフィルターを維持したまま対象者を絞り込める点が特徴です。
2026年8月5日時点では「In development」で、Worldwide環境向けに2026年8月のプレビュー、同年9月の一般提供が予定されています。調査対象はViva Insightsのデータに基づいて自動更新されますが、結果は集団レベルでのみ表示され、個人単位の回答がCopilot Dashboardに表示される仕組みではありません。
Roadmap 568072で追加されるCopilot Pulse調査とは
Roadmap 568072の正式名称は「Microsoft Viva: Copilot Dashboard – Targeted Audience Surveys」です。
ここでいうCopilot Pulse調査とは、独立した新しいアンケート製品ではありません。Viva Pulseの「Microsoft 365 Copilot impact」調査をCopilot Dashboardから起動し、Copilotの利用状況と従業員の主観的な評価を組み合わせて分析するための機能です。(Microsoft Learn)
| 項目 | Roadmapの内容 |
|---|---|
| Roadmap ID | 568072 |
| 機能名 | Targeted Audience Surveys |
| 対象サービス | Microsoft Viva、Copilot Dashboard |
| 配信対象 | Copilotライセンス保有者全体、またはアクティブユーザー |
| 絞り込み | 組織、職務など既存のDashboardフィルターを反映 |
| 対象者データ | Viva Insightsのデータに基づいて自動更新 |
| 結果の表示 | 集団レベルのみ |
| 対象環境 | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| プラットフォーム | Web |
| プレビュー予定 | 2026年8月 |
| 一般提供予定 | 2026年9月 |
| 現在の状態 | In development |
| 公式APIの更新日時 | 2026-07-29T23:07:26.9947260Z |
更新日時は日本時間では2026年7月30日8時7分頃です。プレビューと一般提供は月単位の予定であり、各月の初日にすべてのテナントへ一斉提供されることを意味するものではありません。
従来のPulse調査との違い
Copilot Dashboardには、すでにSentiment領域からViva Pulse調査を開始する機能があります。現在のMicrosoft Learnでも、Copilot DashboardのSentiment領域にある「Start new Pulse survey」から調査を作成する手順が案内されています。(Microsoft Learn)
Roadmap 568072で追加される主な違いは、調査の宛先をInsightsデータから直接作成できることです。
従来は、Viva Pulse側で受信者を確認し、必要に応じて追加や削除を行う運用が中心でした。新機能では、次のような対象者をCopilot Dashboardの分析条件から選べるようになる計画です。
- Copilotライセンスを持つユーザー全体
- 実際にCopilotを利用しているアクティブユーザー
- 特定の組織に所属するユーザー
- 特定の職務に該当するユーザー
- 上記の条件を組み合わせた対象者
対象者候補がInsightsデータに基づいて更新されるため、静的な配布リストを毎回作り直す作業を減らせる可能性があります。
ただし、Roadmapには「配信済みの調査へ、後から対象者が自動的に追加される」とまでは記載されていません。自動更新は、調査を作成する際の対象者データに関する説明として捉え、送信後の動作は正式公開後のドキュメントで確認する必要があります。
ライセンス保有者とアクティブユーザーのどちらを選ぶべきか
対象ユーザーの選択は、調査の目的に合わせることが重要です。
| 対象 | 適した目的 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ライセンス保有者全体 | 全社展開状況や導入障壁の確認 | 未利用者や利用頻度が低い人も対象にできる | Copilotを使っていない人は、効果に関する質問へ回答しにくい |
| アクティブユーザー | 実際の使用感や業務効果の確認 | 利用経験に基づく具体的な回答を得やすい | 積極的に使う人へ回答者が偏る可能性がある |
| 特定の組織 | 部門別研修や導入施策の評価 | 部門固有の課題を確認しやすい | 人数が少ないとプライバシーしきい値を満たせない |
| 特定の職務 | 営業、開発、人事など職種別の効果測定 | 業務内容に即した分析ができる | 職務データが未登録または古いと対象が不正確になる |
ライセンス保有者全体が向いているケース
ライセンスを配布したものの、実際の利用が広がっていない段階では、ライセンス保有者全体を対象にするのが適しています。
例えば、次のような疑問を確認できます。
- Copilotを利用できることが認知されているか
- 操作方法が分からず利用を開始できていない人がいないか
- 業務での利用場面を想像できているか
- 情報管理や回答精度に不安を感じていないか
Copilot Impact調査の標準質問は利用効果を尋ねる内容が中心です。そのため、未利用者が多い場合は、「利用していない理由」や「必要な研修」といった追加質問を組み合わせると、結果を行動につなげやすくなります。
アクティブユーザーが向いているケース
実際にCopilotを使った人から、品質、速度、生産性、使いにくさなどの評価を集めたい場合は、アクティブユーザーが適しています。
現行のCopilot Dashboardでは、アクティブユーザーを「過去28日間に少なくとも1回Copilotの操作を行った従業員」と定義しています。ただし、Roadmap 568072の対象者選択で、この28日間という定義がそのまま使われるかは明記されていません。正式提供後に対象期間を確認してください。(Microsoft Learn)
また、アクティブユーザーだけを継続的に調査すると、回答者の構成が毎回変わります。研修後に新しい利用者が増えた場合、スコアの変化が施策の効果なのか、回答者構成の変化なのかを判断しにくくなります。
比較調査では、次の情報も記録しておくのが安全です。
- 調査時点の対象者数
- 回答者数
- 回答率
- 対象者の定義
- 適用した組織・職務フィルター
- 調査期間
- 調査直前に実施した研修や利用促進施策
Copilot Dashboardから対象者を絞ってPulse調査を配信する方法
Roadmap 568072の新しい画面構成やボタン名は、現時点では公開されていません。既存の操作手順とRoadmapの説明を組み合わせると、一般提供後は次のような流れになると考えられます。
Copilot Dashboardを開く
Viva InsightsのWebアプリを開き、左側のメニューからCopilot Dashboardへ移動します。
調査を送信する担当者には、Copilot Dashboardへのアクセス権とViva Pulseの調査作成権限が必要です。Copilot Dashboardへのアクセスは、Microsoft 365管理センターからユーザーまたはグループ単位で管理できます。アクセス設定の変更が反映されるまで、最大24時間かかる場合があります。(Microsoft Learn)
組織や職務のフィルターを設定する
対象を特定部門に限定する場合は、Copilot Dashboard上で次のフィルターを設定します。
- Scope
- Organization
- Job function
- グループ
- 必要に応じてライセンスタイプ
Roadmapでは、対象ユーザーの作成時に既存の組織・職務フィルターを尊重すると説明されています。例えばOrganizationを「営業本部」、Job functionを「Sales」に設定した状態で調査を開始すれば、その条件に該当するユーザーを対象にできると考えられます。
Sentiment領域から新しいPulse調査を開始する
Copilot DashboardのImpactページまたはSentiment領域を開き、「Start new Pulse survey」を選択します。
Microsoft Learnの資料によってSentimentが独立したタブとして記載されている場合と、Impactページ内の領域として記載されている場合があります。実際のテナントに表示される画面に従って操作してください。(Microsoft Learn)
対象ユーザーの種類を選ぶ
Roadmap 568072の提供後は、ここで次のいずれかを選択できる計画です。
- ライセンス保有者全体
- アクティブユーザー
先に設定したOrganizationやJob functionなどのフィルターが、対象者へ反映される想定です。
送信前には、必ず対象人数を確認してください。意図した人数より極端に多い場合はフィルターが反映されていない可能性があり、少なすぎる場合は組織データの欠損やプライバシーしきい値の影響が考えられます。
質問、終了日時、メッセージを確認する
現行のMicrosoft 365 Copilot Impactテンプレートには、次の4つの中核的な質問が含まれています。
- Copilotが成果物の品質向上に役立っているか
- 定型作業や反復作業に必要な精神的負担を減らせているか
- 作業をより早く完了できるようになったか
- 生産性向上に役立っているか
これらの中核質問は、Viva Pulseの回答とViva Insightsの利用データとの関係を維持するため、削除できない仕様です。追加質問の挿入、追加した質問の削除、質問順の変更などは可能です。現行仕様では、調査期間の初期値は7日間で、終了日時や回答者向けのメッセージを変更できます。(Microsoft Learn)
配信して結果を確認する
調査終了後、作成者へ結果確認の通知が届きます。Copilot Dashboardから作成した場合は、Copilot DashboardとViva Pulseレポートの両方から結果を確認できます。(Microsoft Learn)
Copilot Dashboardでは、利用状況と従業員のセンチメントを並べて確認します。例えば、利用率は高いものの調査評価が低い部門があれば、利用を促す施策よりも、使い方の改善や業務別トレーニングを優先すべきだと判断できます。
組織・職務フィルターを正しく機能させるための準備
Roadmap 568072では既存フィルターを使って対象者を決めるため、フィルターの元になる組織データの品質が重要です。
| フィルター | 主なデータ源 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| Scope、Your group | ManagerIdまたはMicrosoft_ManagerEmail | 上司・部下の階層が正しいか |
| Organization | Microsoft Entra IDのDepartment、またはアップロードしたOrganization | 部署名の表記が統一されているか |
| Job function | FunctionTypeまたはMicrosoft_JobDiscipline | 職務属性が登録されているか |
| ライセンス保有者 | Copilotライセンス割り当てデータ | 異動者や退職者の割り当てが残っていないか |
| アクティブユーザー | Copilot利用状況データ | 対象期間やデータ遅延を考慮しているか |
Job functionフィルターは、管理者がFunctionTypeまたはMicrosoft_JobDiscipline属性を含む組織データをアップロードしている場合に表示されます。Microsoft Entra IDの標準データだけでは、必要な職務分類がそろわない場合があります。(Microsoft Learn)
自動更新でもリアルタイムではない
Roadmapでは対象者がInsightsデータを使って自動更新されると説明されていますが、更新間隔は明記されていません。
現行のCopilot Dashboardは日次で更新される一方、表示対象は過去28日間のデータで、最大6日程度の遅延が発生する場合があります。新しくライセンスを割り当てたユーザーが分析対象へ含まれるまで、追加で最大7日かかる場合もあります。(Microsoft Learn)
そのため、次のような即日運用は避けた方が安全です。
- 午前中にライセンスを割り当て、同日午後に調査を送る
- 研修直後にアクティブユーザーだけを対象として配信する
- 組織データを更新した直後に部門別調査を送る
変更後はCopilot Dashboardで対象人数が安定したことを確認してから配信します。
調査を配信できるユーザーとライセンス
Roadmapで使われている「change leaders」は、変革推進担当者やCopilot導入リーダーを表す利用者像です。Microsoft 365の新しい管理者ロール名ではありません。
実際に調査を送信するには、少なくとも次の条件を確認する必要があります。
- Copilot Dashboardへアクセスできる
- Viva Pulseで調査を作成できる
- 管理者によってViva Pulseの利用を無効化されていない
現行のViva Pulseでは、Viva Pulse、Viva Glint、Viva Suite、またはMicrosoft 365 Copilotのライセンスを持つユーザーがPulse調査を送信できます。一方、調査を受け取る側は、基本的に同じMicrosoft Entraテナントに所属していればフィードバック提供者になれます。(Microsoft Learn)
Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーにはViva Pulseの機能が既定で有効になりますが、管理者はViva Feature Access Managementを使って、テナント、グループ、ユーザー単位で機能を制御できます。(Microsoft Learn)
Copilot Pulse調査のプライバシー仕様
対象者を細かく絞っても個人結果は表示されない
Roadmap 568072では、結果を「population-level reporting only」、つまり集団レベルでのみ報告すると明記しています。
特定の組織や職務を対象に調査を送信できても、「誰がどの選択肢を回答したか」をCopilot Dashboardから確認する機能ではありません。対象者の絞り込み精度と、結果の個人識別性は分けて考える必要があります。
最小グループサイズを下回る結果は表示されない
Copilot Dashboardには、少人数の集団から個人を推測されることを防ぐための最小グループサイズがあります。
既定値は10人です。管理者は設定を変更できますが、最小値は5人です。設定変更は反映まで最大24時間かかる場合があります。(Microsoft Learn)
Sentiment結果では、次のいずれかに該当するとデータが表示されないことがあります。
- 調査全体の回答数が最小グループサイズを下回る
- 特定の質問に対する回答数がしきい値を下回る
- 特定の質問で肯定的と分類された回答数がしきい値を下回る
対象者が10人いても、回答者が4人しかいなければ、結果を確認できない可能性があります。部門や職務を細かく分割しすぎないことが重要です。(Microsoft Learn)
Viva Pulse側にも回答数のしきい値がある
Viva Pulse自体にも、調査を送信するための最低受信者数と、作成者が結果を見るための最低回答数があります。これらはViva Pulse管理者が組織の方針に合わせて設定できます。
結果は調査が終了し、必要な回答数を満たした後に作成者へ表示されます。(Microsoft Learn)
「集団表示」と「完全匿名」は同じではない
Roadmapが保証しているのは、Copilot Dashboardでの集団レベル表示です。「Microsoft 365内のどの権限者からも、回答者を一切特定できない」という意味ではありません。
Viva Pulseには、管理者が許可した場合に調査作成者が名前付き回答を収集できる設定があります。名前付きで収集する場合は、回答者にも氏名が表示されることが明示されます。(Microsoft Learn)
また、Microsoftは、特定の管理者や高い権限を持つユーザーが回答を識別できる場合があると説明しています。Viva Pulseの要求、回答、レポート内の会話などは、権限と条件を満たす場合にMicrosoft PurviewのeDiscovery対象にもなります。(Microsoft Learn)
社内向けの説明では、「完全匿名です」と断定するのではなく、次のように表現するのが正確です。
Copilot Dashboardの閲覧者には集団単位で結果が表示され、少人数グループの結果はプライバシーしきい値によって非表示になります。
自由記述には個人情報を書かせない
名前を表示しない設定でも、回答者が自由記述欄に氏名、担当案件、顧客名、具体的な出来事を書けば、本人や関係者を推測できる場合があります。
調査の案内文には、次のような注意を入れておくと安全です。
自由記述欄には、氏名、顧客名、案件名、個人を特定できる情報を記載しないでください。
実務で使いやすい調査パターン
全社展開前後の比較
ライセンス保有者全体を対象に、展開前と展開後で同じ質問を実施します。
確認する項目は、利用効果だけでなく、利用開始を妨げている要因も含めます。
- 利用方法を理解しているか
- 自分の業務での使い道が分かるか
- 情報管理に不安があるか
- 追加で必要な研修は何か
研修後のアクティブユーザー調査
部門別研修を実施した後、対象部門のアクティブユーザーへ配信します。
例えば営業部門であれば、標準の4質問に加えて、次のような質問を追加します。
- メール作成時間を減らせたか
- 商談準備に役立ったか
- 出力内容の確認に時間がかかっていないか
- どのアプリで最も効果を感じたか
利用率は高いが評価が低い部門の深掘り
Copilot Dashboardで利用率が高い一方、満足度やPulse調査の評価が低い組織を対象にします。
この場合は、利用促進よりも次の課題を確認します。
- プロンプトの作り方が分からない
- 回答の正確性を確認する負担が大きい
- 業務データへアクセスできない
- 利用できる機能が業務に合っていない
- 社内ルールが分かりにくい
「利用率が高いから導入は成功」と判断せず、利用量と従業員の評価を組み合わせることが重要です。
導入時に失敗しやすいポイント
フィルター後の対象人数を確認しない
OrganizationとJob functionを組み合わせると、想定より対象者が少なくなることがあります。送信できても、回答数がプライバシーしきい値を下回り、結果を表示できない場合があります。
アクティブユーザーの変化を無視して比較する
前回と今回でアクティブユーザーの構成が異なると、同じ質問でも単純比較できません。対象人数、回答率、対象期間を記録してください。
組織データが古いまま配信する
異動前の部署、空欄の職務、誤った上司情報が残っていると、対象者も不正確になります。Roadmap 568072の価値はInsightsデータの品質に大きく左右されます。
個人評価の材料として使用する
Pulse調査は、Copilot導入施策や業務環境を改善するために使うべきです。個人の勤務評価や利用回数の競争に結び付けると、率直な回答が集まりにくくなります。
Roadmapの日付を確定日として社内告知する
2026年8月のプレビュー、9月の一般提供は現時点の計画です。In developmentの機能は、提供時期、対象環境、画面構成が変更される可能性があります。社内計画では「予定」と明記してください。
プレビュー開始前に確認しておくこと
Roadmap 568072の提供を待つ間に、次の準備を進めておくとスムーズです。
- Microsoft Entra IDの上司、部署、在籍情報を確認する
- Job functionを使う場合は職務属性を整備する
- 調査を送る担当者へCopilot Dashboardのアクセス権を設定する
- Viva Pulseの調査作成権限とライセンスを確認する
- 最小グループサイズと最低回答数を確認する
- 名前付き回答を許可するか組織方針を決める
- 自由記述に個人情報を書かせない案内文を準備する
- 全社向けとアクティブユーザー向けで調査目的を分ける
- 対象人数、回答率、フィルター条件を記録する様式を作る
- 2026年8月のプレビュー開始後、実際の対象者数と画面動作を小規模な部門で検証する
Copilot Dashboardの対象ユーザー別Copilot Pulse調査は、利用データだけでは分からない「なぜ使われないのか」「使った人が本当に効果を感じているか」を確認しやすくする機能です。
まずは組織データ、権限、プライバシーしきい値を整備してください。そのうえで、導入状況を確認したい場合はライセンス保有者全体、実利用の効果を確認したい場合はアクティブユーザーを選び、利用指標と調査結果をセットで評価することが重要です。

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