Excel VBAで数値の丸め誤差を考慮したフィルタによる業務効率化

この記事では、Excel VBA(Visual Basic for Applications)を用いて、数値の丸め誤差を考慮したフィルタリングを行う方法について説明します。この手法は、金融、会計、エンジニアリングなど、精度が求められる業務において非常に有用です。具体的なコードとその詳細な解説、さらには応用例まで、詳しくご紹介します。

目次

Excel VBAの基本

Excel VBA(Visual Basic for Applications)は、Microsoft Excelに組み込まれたプログラミング言語です。これを用いると、単純作業の自動化だけでなく、高度なデータ分析やレポート作成も可能になります。

そもそも、どこにVBAコードを書いて、どう実行すれば良いのか分からない場合は、以下の記事をご参照ください。

なぜ数値の丸め誤差が問題なのか

数値計算において、丸め誤差はよく発生します。特に、浮動小数点数を使用すると、理論値とは微妙に異なる値が格納される可能性があります。これがデータのフィルタリングに影響を与える場合があり、それによって誤った判断や処理を行ってしまう可能性があります。

丸め誤差の一例

例えば、1/3 を浮動小数点数で表すと、0.3333333… と無限に続く数になりますが、コンピュータではこれを有限の桁数でしか表現できません。その結果、小数点以下が切り捨てられ、丸め誤差が発生します。

VBAでの解決策

Excel VBAを用いて、このような丸め誤差を考慮したフィルタリングを行う方法を紹介します。

基本的なコード


' 数値の丸め誤差を考慮したフィルタリングを行うVBAコード
Sub FilterWithRoundingError()
    Dim TargetRange As Range
    Dim Cell As Range
    Dim ValueToFind As Double
    
    ' 対象となる範囲を設定(A1:A10と仮定)
    Set TargetRange = Worksheets("Sheet1").Range("A1:A10")
    
    ' フィルタリングする値(この例では0.333)
    ValueToFind = 0.333
    
    For Each Cell In TargetRange
        ' 丸め誤差を考慮してフィルタリング
        If Abs(Cell.Value - ValueToFind) < 0.0001 Then
            Cell.Interior.Color = RGB(255, 255, 0)
        End If
    Next Cell
End Sub

コードの詳細解説

このコードでは、`TargetRange`という範囲内の各セルをループで処理しています。各セルの値と、目的の値(この場合は0.333)との差の絶対値が0.0001より小さい場合、そのセルの背景色を黄色に変更しています。この0.0001は丸め誤差の許容範囲を表しています。

応用例

応用例1:複数の値をフィルタリング


' 複数の値を丸め誤差を考慮してフィルタリングするVBAコード
Sub MultiValueFilter()
    Dim TargetRange As Range
    Dim Cell As Range
    Dim ValueArray As Variant
    Dim i As Integer
    
    ' 対象となる範囲と値の配列を設定
    Set TargetRange = Worksheets("Sheet1").Range("A1:A10")
    ValueArray = Array(0.333, 0.666, 0.999)
    
    For Each Cell In TargetRange
        For i = LBound(ValueArray) To UBound(ValueArray)
            ' 丸め誤差を考慮してフィルタリング
            If Abs(Cell.Value - ValueArray(i)) < 0.0001 Then
                Cell.Interior.Color = RGB(255, 255, 0)
                Exit For
            End If
        Next i
    Next Cell
End Sub

応用例2:色を変更する代わりにセルの値を変更


' 丸め誤差を考慮してセルの値を修正するVBAコード
Sub ModifyValue()
    Dim TargetRange As Range
    Dim Cell As Range
    Dim ValueToFind As Double
    
    ' 対象となる範囲を設定(A1:A10と仮定)
    Set TargetRange = Worksheets("Sheet1").Range("A1:A10")
    
    ' フィルタリングする値(この例では0.333)
    ValueToFind = 0.333
    
    For Each Cell In TargetRange
        ' 丸め誤差を考慮して値を修正
        If Abs(Cell.Value - ValueToFind) < 0.0001 Then
            Cell.Value = ValueToFind
        End If
    Next Cell
End Sub

応用例3:最小値と最大値でフィルタリング


' 丸め
誤差を考慮して最小値と最大値でフィルタリングするVBAコード
Sub MinMaxFilter()
    Dim TargetRange As Range
    Dim Cell As Range
    Dim MinVal As Double, MaxVal As Double
    
    ' 対象となる範囲を設定(A1:A10と仮定)
    Set TargetRange = Worksheets("Sheet1").Range("A1:A10")
    
    ' フィルタリングする最小値と最大値(この例では0.3と0.4)
    MinVal = 0.3
    MaxVal = 0.4
    
    For Each Cell In TargetRange
        ' 丸め誤差を考慮してフィルタリング
        If Cell.Value >= MinVal And Cell.Value <= MaxVal Then
            Cell.Interior.Color = RGB(255, 255, 0)
        End If
    Next Cell
End Sub

まとめ

Excel VBAを用いて数値の丸め誤差を考慮したフィルタリングが可能であることを示しました。この方法は、多くの業務で役立つ技術です。特に、金融やエンジニアリングなど、高度な計算が求められる分野での活用が期待されます。

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