いつも通り電源を入れたのに、Windows 10 のサインイン画面で「入力された PIN が違います」と表示されて先へ進めないと、とても焦ります。このページでは、原因の整理から具体的な復旧手順、再発防止策までをまとめて解説します。
Windows 10 の PIN サインインを正しく理解しておく
まずは「PIN とは何か」を整理しておくと、原因の切り分けがしやすくなります。
PIN は「短い暗証番号」でもパスワードとは別物
- 数字(または英数字)4~6桁程度の短い暗証番号
- Microsoft アカウントのパスワードとは別に設定される
- PC ごとに紐づく(同じ Microsoft アカウントでも、PC ごとに別の PIN を持てる)
- TPM(セキュリティチップ)や暗号化と連動して、PC 内で安全に管理される
この仕組みのおかげで、PIN は「覚えやすいのに安全性が高い」というメリットがありますが、逆に言えば、PC 内部の PIN 情報(NGC フォルダー)や TPM の状態が壊れると、突然ログインできなくなることがあります。
今回のような「急に PIN が違うと言われる」典型パターン
次のような症状が出ている場合、Windows 10 のサインイン情報や関連設定のどこかに問題が発生している可能性が高いです。
- 前日まで普通に使えていたのに、急に「入力された PIN が違います」と表示される
- PIN を変えた記憶がないのに、何度入力してもエラーになる
- パスワードでサインインしようとしても、やり方が分からない・切り替えられない
- 「PIN を忘れた場合」や PIN のリセット操作がうまく進まない
代表的な原因と対処のイメージを、先に一覧にしておきます。
| 症状・状況 | よくある原因 | 基本的な対処 |
|---|---|---|
| 突然「入力された PIN が違います」と出る | PIN 情報の破損 / アップデート後の不整合 | サインイン画面から PIN をリセット |
| 「PIN を忘れた場合」が表示されない | サインインオプションの表示切り替え / 一時的な不具合 | パスワードサインインに切り替えてログイン |
| PIN を再設定しようとしてもエラーになる | NGC フォルダーの破損 / 権限不整合 | NGC フォルダーのリセット → PIN 再作成 |
| デバイスの暗号化やセキュリティ関連のエラー | TPM の無効化 / BIOS 設定変更 | BIOS/UEFI で TPM(セキュアエレメント)の有効化を確認 |
ここから、具体的な復旧手順を順番に解説します。
サインイン画面から PIN をリセットする手順
もっとも安全で簡単な方法は、サインイン画面に表示される「PIN を忘れた場合」からリセットすることです。特に難しい操作は不要で、Microsoft アカウントのパスワードや確認コードが分かれば進められます。
作業前に確認しておきたいポイント
- Microsoft アカウントのパスワードが分かるかどうか
- 登録済みのメールアドレスや電話番号に確認コードが受け取れるか
- PC がインターネットにつながっているか(無線 LAN のスイッチやルーター電源も確認)
これらが問題なければ、そのままサインイン画面から PIN リセットに進みます。
サインイン画面での具体的な操作手順
- Windows 10 のサインイン画面を表示する(電源を入れて、ユーザー選択画面まで進める)。
- 画面右下、またはパスワード入力欄の付近にある 「サインイン オプション」 をクリックする。
- 鍵のアイコン(PIN / Windows Hello PIN)を選択して、PIN 入力欄を表示する。
- PIN を入力する欄の下にある 「PIN を忘れた場合」 をクリックする。
- 画面の案内に従い、Microsoft アカウントのパスワードを入力して本人確認を行う。
- 登録済みのメールアドレスまたは電話番号に確認コードを送信する画面が出るので、いずれかを選択する。
- 届いた確認コードを入力し、本人確認を完了させる。
- 新しい PIN を 2 回入力して設定を完了させる。
- 必要に応じて PC を再起動し、新しい PIN でサインインできるか確認する。
正常に完了すれば、これでトラブルは解消します。もし途中でエラーになったり、「PIN を忘れた場合」というリンク自体が表示されない場合は、次のセクションに進んでください。
よくあるつまずきポイントと対処
- 確認コードが届かない
→ メールの場合は迷惑メールフォルダーを確認し、スマホの場合は電波状況や SMS 受信設定を見直します。 - 登録しているメールアドレスや電話番号が使えない
→ 別のデバイスから Microsoft アカウントのセキュリティ情報を更新してから再度試します。 - インターネットに接続されていない
→ 有線 LAN ケーブルの接続や Wi-Fi 接続の有無を確認し、必要ならルーターを再起動します。
PIN リセットが表示されない・失敗する場合の対処
サインイン画面に「PIN を忘れた場合」が出てこない、または操作してもエラーで進めない場合は、一度パスワードでのサインインに切り替えてから PIN を再設定するのが現実的です。
パスワードサインインに切り替える手順
- サインイン画面で 「サインイン オプション」 をクリックする。
- 鍵束のようなアイコン(パスワード)を選択する。
- Microsoft アカウントに設定している パスワード を入力してサインインする。
もしパスワードを忘れてしまっている場合は、別のデバイス(スマホや別 PC)から Microsoft アカウントの管理ページにアクセスし、「パスワードを忘れた場合」からリセットします。そこでも確認コードによる本人確認が必要になります。
Microsoft アカウントのパスワードをリセットする流れ(別デバイス)
- スマホや別 PC のブラウザで Microsoft アカウントの管理ページを開く。
- サインイン画面で「パスワードを忘れた場合」を選択する。
- 登録済みのメールアドレスまたは電話番号を使って本人確認を行う。
- 案内に従って新しいパスワードを設定する。
- 問題の PC に戻り、新しいパスワード を使ってサインインする。
パスワードで無事にサインインできたら、次は Windows 10 の設定画面から改めて PIN を登録し直します。
サインイン後に新しい PIN を登録する
- デスクトップが表示されたら、画面左下の スタートボタン をクリックする。
- 「設定」(歯車マーク)を開く。
- 「アカウント」 → 「サインイン オプション」 を選択する。
- 「PIN(Windows Hello)」 の項目から 「追加」または「変更」 をクリックする。
- 画面の指示に従い、新しい PIN を入力・確認して登録する。
ここまで完了すれば、次回起動時からは新しい PIN でサインインできるようになります。
NGC フォルダーのリセットで PIN 情報を初期化する
パスワードではサインインできるのに、どうしても PIN が登録できない・認識されない場合、PIN 情報を保存している「NGC フォルダー」が壊れている可能性があります。このとき有効なのが、NGC フォルダーのリセットです。
ただしこの操作は、管理者権限が必要であり、誤操作すると他のサインイン情報にも影響する可能性があります。手順をよく読み、自己責任で行ってください。
NGC フォルダーの場所
NGC フォルダーは、次のパスにあります。
C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\NGC
「ServiceProfiles」以下は普段は表示されない隠しフォルダーなので、エクスプローラーの表示設定を変更する必要があります。
NGC フォルダーをリセットする具体的な手順
- 管理者権限を持つユーザーで Windows にサインインする(パスワードサインインで OK)。
- タスクバーのフォルダアイコンから エクスプローラー を開く。
- 上部メニューの 「表示」 タブで、「隠しファイル」 にチェックを入れ、隠しフォルダーを表示する。
- アドレスバーに
C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoftと入力して、Microsoft フォルダー を開く。 - その中の 「NGC」 フォルダーを探す。
- NGC フォルダーを開き、中身のファイル・フォルダーをすべて選択して削除する。
※このとき、「管理者権限が必要です」などのメッセージが表示されたら、指示に従って許可する。
NGC フォルダー内を空にすることで、Windows に登録されている古い PIN 情報を初期化できます。削除が終わったら、改めて PIN を設定します。
NGC フォルダー削除後の PIN 再設定
- スタートボタン → 「設定」 を開く。
- 「アカウント」 → 「サインイン オプション」 を選択する。
- 「PIN(Windows Hello)」 の項目から 「追加」 をクリックする。
- Microsoft アカウントのパスワードを入力し、新しい PIN を設定する。
この操作で PIN の登録が通るようになれば、NGC フォルダーの破損が原因だったと考えられます。
| 状況 | NGC フォルダー操作の可否 | 対応 |
|---|---|---|
| パスワードでログインできる | 可能 | NGC フォルダーをリセットして PIN 再作成 |
| どの方法でもサインインできない | 不可 | この方法は使えない。別の復旧手段(回復ドライブ、リセット等)を検討 |
TPM が無効化されていないか確認する(上級者向け)
Windows Hello の PIN は、TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール)というセキュリティチップと連携して動作している場合があります。BIOS/UEFI 設定で TPM が無効化されていると、PIN 周りの機能が正しく動作しないことがあります。
ただし、BIOS/UEFI の設定変更は PC の動作に直接影響するため、慣れていない場合は無理に変更しない方が安全です。以下は、あくまで概要として確認してください。
TPM 有効化の一般的な流れ
- PC を再起動し、起動直後にメーカー指定のキー(例:F2、F10、Del など)を押して BIOS/UEFI 画面を開く。
- 「Security」 や 「TPM」、「Trusted Computing」 といったメニューを探す。
- TPM や「セキュアエレメント」に相当する項目が Enabled(有効) になっているか確認する。
- 無効になっている場合は有効にし、設定を保存して終了する。
- Windows を起動し直し、PIN の登録やサインインを試す。
メーカーや機種によって項目名や場所が大きく異なるため、詳細は PC のマニュアルやメーカーサイトを参照してください。不安な場合は、無理に変更せず、メーカーサポートに相談するのが安全です。
それでもダメなときに試したい追加のチェックポイント
ここまでの操作でも解決しない場合、次のような点も改めて確認してみてください。
キーボードの状態・入力ミスを疑う
- Caps Lock / Num Lock の状態 が普段と逆になっていないか
- キーボード配列がいつもと違う(英語キーボード扱いになっている等)可能性
- テンキー付きキーボードの場合、Num Lock 無効で数字が入力されていない
PIN に限らず、パスワードを入力する際もこの点は要注意です。ログイン画面でメモ帳は開けませんが、入力欄にわざと英字を入力してみて、意図通りの文字が入っているか確認するとよいでしょう。
ローカルアカウントか Microsoft アカウントかを整理する
Windows 10 のユーザーアカウントには、ざっくり次の 2 種類があります。
- Microsoft アカウント:メールアドレスでサインインするタイプ
- ローカルアカウント:その PC のみで完結するユーザー名 + パスワードのタイプ
どちらのアカウントでも PIN を設定できますが、パスワードのリセット方法や確認コードの送り先が異なるため、「自分がどちらで使っているのか」を把握しておくことが大切です。PC の画面左下やサインイン画面に表示されるユーザー名をよく確認してみましょう。
会社支給 PC・学校 PC の場合は IT 管理者に相談
会社や学校で配布された PC は、独自のセキュリティポリシー(グループポリシー)や管理ツールが入っており、自分では変更できない PIN 設定ルールがあることも珍しくありません。この場合、個人の判断で NGC フォルダーを削除したり、TPM 設定を変えてしまうと、逆に状況を悪化させる可能性もあります。
少しでも心当たりがある場合は、早めに IT 管理者やシステム担当に相談しましょう。
再発防止のためにやっておきたい設定・習慣
一度トラブルを経験した PC は、同じ原因が再発しないようにケアしておくと安心です。ここでは、日常的に意識しておきたいポイントを整理します。
Windows Update をこまめに適用する
- セキュリティ修正や不具合修正が継続的に提供されている
- 古いビルドのままだと、特定の環境で PIN 周りの不具合が残ることもある
「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」 から、更新プログラムの状態を定期的に確認し、「今すぐインストール」「今すぐ再起動」などを実行しておきましょう。
日付と時刻を自動で正しく保つ
Windows のサインインや認証処理は、システム時計の時刻が大きくずれているとエラーになる場合があります。特に、長期間電源を入れていなかった PC や、CMOS バッテリーが弱っている古い PC は要注意です。
- 「設定」→「時刻と言語」→「日付と時刻」を開く。
- 「時刻を自動的に設定する」 をオンにする。
- 必要に応じて、「今すぐ同期」ボタンでインターネット時刻と同期する。
サインイン方法を複数用意しておく
PIN が使えなくなったときに備えて、パスワードや別のサインインオプションも準備しておくと安心です。
- Microsoft アカウントのパスワードを忘れないよう、安全な場所に控えておく
- 顔認証や指紋認証(対応機種の場合)など、Windows Hello の別オプションも有効化する
- 必要に応じて物理的なセキュリティキーの導入を検討する
| 対策内容 | 目的 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| Windows Update の定期的な適用 | OS の不具合修正・セキュリティ向上 | ★★★★★ |
| 日付と時刻の自動同期をオン | 認証エラー防止 | ★★★★☆ |
| パスワード・PIN 情報の控えを安全に保管 | うっかり忘れによるロックアウト防止 | ★★★★★ |
| 顔・指紋など複数のサインイン方法を設定 | いずれかが使えなくなったときの保険 | ★★★★☆ |
実際のトラブル例:パスワードリセットで解決したケース
最後に、今回の想定ケースに近い実例をもう少し具体的に整理します。
あるユーザーは、普段から Windows 10 のノート PC を PIN でのみサインイン していました。ところがある日突然、「入力された PIN が違います」と表示され、どれだけ PIN を打ち直してもログインできなくなってしまいました。
ユーザー自身は PIN を変更した記憶がなく、「何度試してもエラーになるので PC が壊れたのでは…」と不安になっていました。このときの解決手順は次の通りです。
- 別の PC から Microsoft アカウントの管理ページにアクセス。
- 「パスワードを忘れた場合」から本人確認を行い、アカウントのパスワードをリセット。
- 問題のノート PC を起動し、サインイン画面で パスワードサインインに切り替え。
- 新しく設定したパスワードでサインインに成功。
- サインイン後、「設定」→「アカウント」→「サインイン オプション」から PIN を新規作成。
最終的に、パスワードを経由してサインインし直すことで PIN まわりの不具合が解消し、その後は再登録した PIN で問題なく使えるようになりました。
このケースから分かるポイントは次の通りです。
- PIN に問題が起きても、Microsoft アカウントのパスワードが分かれば復旧できる可能性が高い
- 別のデバイスからアカウント情報を確認・リセットできるようにしておくと心強い
- 「PIN がダメならパスワード」「パスワードがダメなら別デバイスからアカウント操作」と、段階的に切り替えていくことが大切
まとめ:焦らず「パスワード → PIN 再設定 → NGC/TPM」の順にチェック
Windows 10 で「入力された PIN が違います」と表示されてログインできないと、とても不安になりますが、原因を整理しながら順に対処していけば、多くのケースで復旧が可能です。
- まずはサインイン画面からの 「PIN を忘れた場合」 でリセットを試す
- うまく行かないときは パスワードサインインに切り替え、必要なら別デバイスからパスワードをリセット
- サインインできるようになったら、NGC フォルダーのリセット や TPM 設定の確認 に進む
- 日頃から Windows Update や時刻の自動同期、複数のサインイン方法の準備を行い、再発を防ぐ
ひとつの方法だけで解決しない場合でも、アプローチを変えれば道は開けることが多いです。慌てずに、ここで紹介した手順を上から順番に試してみてください。

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