Windows 10 LTSC 2019のファイル履歴「資格情報が無効」エラーをKB5120238で修正する方法

Windows 10 Enterprise LTSC 2019で、ファイル履歴の保存先にNASやファイルサーバーのSMB共有を指定していると、「資格情報が無効です」と表示され、バックアップが止まることがあります。共有フォルダーにはエクスプローラーから問題なく接続できるのに、ファイル履歴だけが失敗する場合は、パスワードではなくWindows側の不具合である可能性があります。

Microsoftはこの問題を、2026年8月11日公開の累積更新プログラム「KB5120238」で修正しました。まずKB5120238、またはそれ以降の累積更新プログラムをWindows 10 Enterprise LTSC 2019に適用し、再起動後にファイル履歴を再実行してください。(マイクロソフトサポート)

目次

結論:KB5120238以降の累積更新プログラムを適用する

今回のファイル履歴エラーに該当する場合、最初に行うべき対処は資格情報の削除やバックアップ先の初期化ではありません。

Windows 10 Enterprise LTSC 2019をOSビルド17763.9121以降へ更新することが基本対処です。

確認項目内容
対象OSWindows 10 Enterprise LTSC 2019
Windowsバージョン1809
発生する機能Windows File History(ファイル履歴)
保存先SMBを使用するネットワーク共有
表示される内容「無効な資格情報」「invalid credentials」など
実際の状態スケジュールされたバックアップでファイルがコピーされない
修正更新KB5120238
修正後のOSビルド17763.9121
対処KB5120238または後続の累積更新を適用して再起動

KB5120238は累積更新プログラムです。すでにKB5120238より新しい累積更新プログラムが適用され、OSビルドが17763.9121を上回っている場合は、通常、この修正も含まれています。

LTSC 2019のファイル履歴エラーで起きる症状

Microsoftが公表している問題は、ファイル履歴からSMB共有へ自動バックアップするときに、実際には資格情報が正しくても「無効な資格情報」と誤って判定されるものです。

この問題が発生すると、ファイル履歴の画面上ではエラーが表示されるだけでなく、予定されていたバックアップ処理で新しいファイルがコピーされません。エラーを放置すると、画面上ではファイル履歴が設定されたままでも、バックアップの世代が更新されていない状態になります。(マイクロソフトサポート)

KB5120238の不具合に該当しやすい条件

次の条件がそろっている場合は、KB5120238で修正された問題を疑います。

確認内容KB5120238の問題に該当しやすい状態
OSWindows 10 Enterprise LTSC 2019
保存先NASやWindows ServerなどのSMB共有
エクスプローラーからの接続正常に開ける
ファイルの手動作成共有フォルダーへ書き込みできる
他のSMB利用通常どおり利用できる
失敗する処理ファイル履歴の自動バックアップ
OSビルド17763.9121未満
エラー内容資格情報が無効と表示される

反対に、エクスプローラーからも共有フォルダーを開けない場合や、共有フォルダー内にファイルを作成できない場合は、実際のパスワード、アカウント、共有アクセス許可、NTFSアクセス許可などに問題がある可能性があります。

「資格情報が無効」と表示されてもパスワードが原因とは限らない

エラーメッセージだけを見ると、パスワードの入力ミスや保存済み資格情報の破損を疑いがちです。しかし、今回の不具合ではエラーメッセージそのものが誤っています。

次のような作業を先に行うと、原因の切り分けが難しくなることがあります。

  • Windows資格情報をすべて削除する
  • NAS側のユーザーパスワードを変更する
  • ファイル履歴の保存先を初期化する
  • 既存の「FileHistory」フォルダーを削除する
  • SMB 1.0を有効化する
  • Windowsを初期化する

特に、バックアップ先にある「FileHistory」フォルダーを削除すると、過去のファイル履歴から復元できなくなる可能性があります。まず更新プログラムを適用し、既存の設定とバックアップデータを残した状態で再確認するのが安全です。

KB5120238を適用する前に確認すること

Windows 10 Enterprise LTSC 2019か確認する

Windowsキー + Rを押し、次のコマンドを入力します。

winver

表示された画面で、次の内容を確認します。

  • Windows 10 Enterprise LTSC 2019
  • バージョン1809
  • OSビルド17763.xxxx

Windows 10 Enterprise LTSC 2021や通常版のWindows 10 22H2では、対象となる更新プログラム番号が異なります。KB5120238は、Windows 10 Enterprise LTSC 2019およびWindows Server 2019向けの更新プログラムです。(マイクロソフトサポート)

PowerShellでOSビルドを確認する

PowerShellを開き、次のコマンドを実行します。

$cv = Get-ItemProperty 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion'

[PSCustomObject]@{
    ProductName = $cv.ProductName
    Version     = $cv.ReleaseId
    OSBuild     = "$($cv.CurrentBuild).$($cv.UBR)"
}

修正前の端末では、OSビルドが次の値より古くなっています。

17763.9121

OSビルドが17763.9121以上であれば、KB5120238または後続の累積更新プログラムが適用されている可能性があります。

KB5120238がインストール済みか確認する

PowerShellで次のコマンドを実行します。

Get-HotFix -Id KB5120238

インストールされていれば、KB番号やインストール日が表示されます。

ただし、後続の累積更新プログラムで置き換えられている環境では、KB5120238が一覧に表示されなくても修正が含まれていることがあります。そのため、KB番号だけでなくOSビルドも確認することが重要です。

KB5120238をインストールする方法

Windows Updateからインストールする

個別に更新を制御していない端末では、Windows Updateを利用するのが最も簡単です。

  1. 「スタート」を開きます。
  2. 「設定」を選択します。
  3. 「更新とセキュリティ」を開きます。
  4. 「Windows Update」を選択します。
  5. 「更新プログラムのチェック」をクリックします。
  6. 表示された累積更新プログラムをインストールします。
  7. Windowsを再起動します。

KB5120238はWindows Updateから自動配信される更新プログラムです。Windows Update for Business、Microsoft Updateカタログ、WSUSからも入手できます。(マイクロソフトサポート)

すでに後続の累積更新プログラムが配信されている場合、KB5120238ではなく、より新しいKB番号が表示されることがあります。その場合は、新しい累積更新プログラムを適用してください。

Microsoft Updateカタログから手動インストールする

インターネットへ直接接続できない端末や、更新プログラムを手動配布している環境では、Microsoft Updateカタログを利用します。

  1. Microsoft Updateカタログで「KB5120238」を検索します。
  2. 端末のアーキテクチャに合うパッケージを選択します。
  3. 更新ファイルをダウンロードします。
  4. 対象端末で更新ファイルを実行します。
  5. インストール完了後に再起動します。
  6. winverでOSビルドを確認します。

64ビット版のLTSC 2019には通常x64パッケージを使用しますが、必ず「設定」または「システム情報」でシステムの種類を確認してから選択してください。

WSUSで配信する

WSUSを使用している場合は、同期対象の製品と分類を確認します。

WSUS設定Microsoftが示している値
製品Windows 10 LTSB、Windows Server 2019
分類セキュリティ更新プログラム

Windows 10 Enterprise LTSC 2019を利用していても、WSUSの製品名では「Windows 10 LTSB」と表示される点に注意が必要です。ここが未選択だと、KB5120238が同期されない可能性があります。(マイクロソフトサポート)

WSUS環境では、次の順番で展開すると安全です。

  1. 検証用端末へ先行配信する
  2. 再起動後のOSビルドを確認する
  3. ファイル履歴の手動バックアップを実行する
  4. 次回の自動バックアップが成功するか確認する
  5. 問題がなければ対象端末へ段階的に展開する

手動インストールではKB5005112の前提条件に注意する

Microsoftは、KB5120238をインストールする前に、2021年8月10日公開のサービススタック更新プログラム「KB5005112」をインストールしておく必要があると案内しています。

また、KB5120238には新しいサービススタック更新プログラムKB5104020が累積更新プログラムと組み合わせて含まれていますが、KB5005112は事前条件として別途確認が必要です。(マイクロソフトサポート)

通常のWindows UpdateやWSUSで継続的に更新している端末では、すでに前提条件を満たしていることが多いものの、次のような端末では注意してください。

  • 長期間Windows Updateを停止していた
  • 閉域網で運用している
  • 更新プログラムを個別に選んで適用している
  • オフラインでMSUファイルを手動インストールしている
  • 古いマスターイメージから展開した

KB5120238のインストールに失敗する場合は、更新履歴や管理ツールのインベントリでKB5005112の有無を確認してください。

更新後にファイル履歴が直ったか確認する手順

更新プログラムを入れただけで終わらせず、実際にファイルがコピーされることを確認します。

OSビルドを確認する

再起動後にwinverを実行し、OSビルドが次の値以上になっていることを確認します。

17763.9121

後続の累積更新プログラムを適用した場合は、17763.9121より大きな値になります。

ファイル履歴を開く

Windowsキー + Rを押し、次のコマンドを実行します。

control /name Microsoft.FileHistory

コントロールパネルのファイル履歴が開きます。

テストファイルを作成する

バックアップ対象である「ドキュメント」フォルダーなどに、テスト用ファイルを作成します。

例:

file-history-test.txt

ファイルの中に現在日時を入力して保存しておくと、更新されたファイルか判断しやすくなります。

「今すぐ実行」で手動バックアップする

ファイル履歴の画面から「今すぐ実行」を選択します。

完了後、次の点を確認してください。

  • ファイル履歴の最終実行日時が更新された
  • 「資格情報が無効」のエラーが表示されない
  • SMB共有上のバックアップフォルダーが更新された
  • 作成したテストファイルが保存された
  • イベントログに新しいエラーが記録されていない

自動バックアップも確認する

今回の不具合は、特にスケジュールされた自動バックアップでファイルがコピーされない問題です。

「今すぐ実行」が成功しただけで判断せず、設定されているバックアップ間隔を経過したあとに、もう一度最終実行日時と保存先を確認してください。

実務では、次の2段階で確認すると見落としを防げます。

  1. 更新直後に手動バックアップを実行する
  2. 次回の自動バックアップが成功することを確認する

KB5120238適用後もエラーが続く場合の確認項目

OSビルドが17763.9121以上でもエラーが続く場合は、Microsoftが修正した誤表示とは別の原因を調べます。

SMB共有へ直接アクセスできるか確認する

エクスプローラーのアドレス欄へ、保存先のUNCパスを入力します。

\\server-name\backup-share

NASの場合は、次のような形式です。

\\nas-name\filehistory

共有フォルダーを開くだけでなく、テスト用ファイルを作成して削除できるか確認してください。閲覧できても書き込み権限がなければ、ファイル履歴はバックアップできません。

共有アクセス許可とNTFSアクセス許可を確認する

Windows Server上の共有フォルダーでは、次の両方が必要です。

  • 共有アクセス許可
  • NTFSアクセス許可

共有アクセス許可で「変更」が許可されていても、NTFSアクセス許可が「読み取り」のみであれば書き込めません。

反対に、NTFS側で変更が許可されていても、共有アクセス許可が読み取りのみであればバックアップは失敗します。

アカウントの状態を確認する

実際の資格情報エラーでは、次の原因が考えられます。

  • パスワードの有効期限切れ
  • アカウントのロック
  • NAS側でユーザーが無効化されている
  • ドメインアカウントとローカルアカウントを取り違えている
  • 保存されているパスワードが古い
  • 接続先サーバー名を変更した
  • 同じサーバーへ別のアカウントで接続している

ユーザー名は環境に応じて、次のような形式で指定します。

DOMAIN\username
SERVERNAME\username
[email protected]

保存済みのWindows資格情報を確認する

更新後も手動アクセスで認証に失敗する場合は、「資格情報マネージャー」を確認します。

  1. コントロールパネルを開きます。
  2. 「ユーザーアカウント」を選択します。
  3. 「資格情報マネージャー」を開きます。
  4. 「Windows資格情報」を選択します。
  5. 対象のNASまたはサーバーに関する資格情報を確認します。
  6. 古い資格情報だけを削除します。
  7. 共有フォルダーへ再接続して正しい資格情報を入力します。

すべてのWindows資格情報を一括削除する必要はありません。他のファイルサーバー、リモートデスクトップ、業務システムに影響する可能性があるため、対象サーバーの項目だけを処理してください。

既存のSMB接続を確認する

コマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

net use

同じサーバーに別のユーザーで接続していると、新しい資格情報で接続できないことがあります。

対象共有への接続を解除する場合は、開いているファイルがないことを確認してから実行します。

net use \\server-name\backup-share /delete

その後、エクスプローラーから共有フォルダーへ再接続します。

イベントビューアーを確認する

ファイル履歴の詳細なエラーは、イベントビューアーで確認できます。

アプリケーションとサービス ログ
  └ Microsoft
     └ Windows
        └ FileHistory-Engine
           └ BackupLog

コマンドでイベントビューアーを開く場合は、次を実行します。

eventvwr.msc

バックアップを再実行した時刻と一致するエラーを確認し、認証エラー、ネットワーク切断、保存容量不足、アクセス拒否などが記録されていないか調べます。

空き容量とクォータを確認する

SMB共有へ接続できても、次の状態ではファイル履歴が停止することがあります。

  • NASの空き容量が不足している
  • ユーザー単位のディスククォータに達している
  • ファイルサーバー側のクォータ制限に達している
  • バックアップ用共有が読み取り専用になっている
  • スナップショット領域やボリュームに障害がある

「資格情報が無効」という表示だけで判断せず、保存先の空き容量も確認してください。

SMB 1.0を有効にしてはいけない

ファイル履歴がSMB共有へ接続できないとき、古い解説記事を参考にしてSMB 1.0を有効化する対処が紹介されることがあります。

しかし、KB5120238で修正された問題は、SMB 1.0を有効にして解決するものではありません。

NASがSMB 2またはSMB 3に対応している場合は、SMB 1.0を無効のまま利用してください。ファイル履歴エラーのためだけに古いSMBプロトコルを有効にするのは適切ではありません。

ファイル履歴の保存先を初期化するのは最後にする

KB5120238を適用しても改善せず、SMB接続、権限、容量、資格情報にも問題がない場合は、ファイル履歴の保存先を再選択します。

ただし、次の操作は最後の手段です。

  • ファイル履歴をオフにする
  • 別のドライブを選択する
  • ネットワークの場所を再登録する
  • ローカルのファイル履歴設定を作り直す
  • バックアップ先の既存履歴を削除する

既存の履歴を削除する前に、必要な過去バージョンを復元できることを確認し、バックアップフォルダーを別の場所へ保全してください。

今回の問題だけであれば、通常は保存先の初期化ではなく、累積更新プログラムの適用が先です。

管理者向けの展開チェックリスト

複数台のLTSC 2019端末を管理している場合は、次の順番で対応します。

作業確認内容
対象端末の抽出Windows 10 Enterprise LTSC 2019か
ビルド確認17763.9121未満か
利用状況確認ファイル履歴の保存先がSMB共有か
事前確認共有フォルダーへ手動で書き込みできるか
前提条件確認KB5005112が適用済みか
更新配信KB5120238または後続の累積更新を配信
再起動保留中の再起動が残っていないか
手動試験「今すぐ実行」が成功するか
自動試験次回スケジュールでファイルがコピーされるか
ログ確認FileHistory-Engineにエラーがないか

特に重要なのは、更新プログラムの「インストール済み」だけで完了としないことです。実際のSMB共有にテストファイルが保存され、自動バックアップの最終実行日時が更新されるところまで確認してください。

よくある質問

KB5120238より新しい更新プログラムを入れてもよいですか

問題ありません。Windowsの月例更新は累積的に提供されるため、KB5120238を含む後続の累積更新プログラムを適用すれば、通常は同じ修正が含まれます。

確認時は、KB5120238の表示だけでなくOSビルドが17763.9121以上かを確認してください。

パスワードを変更すれば直りますか

今回の不具合に該当する場合、パスワードを変更しても根本的な解決にはなりません。

エクスプローラーから同じ共有へ接続でき、ファイルを書き込める場合は、先にWindows Updateを適用してください。

ファイル履歴の設定を一度削除する必要はありますか

最初から削除する必要はありません。

まず既存設定を残したままKB5120238または後続の累積更新を適用し、再起動後に「今すぐ実行」を試します。設定の再作成は、更新後も別の原因で失敗するときに検討します。

KB5120238がGet-HotFixに表示されません

後続の累積更新プログラムがインストールされている場合、KB5120238そのものが表示されないことがあります。

次のコマンドでOSビルドを確認してください。

$cv = Get-ItemProperty 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion'
"$($cv.CurrentBuild).$($cv.UBR)"

17763.9121以上であれば、ビルド番号を基準に修正の適用状況を判断します。

更新したのに自動バックアップだけ動きません

「今すぐ実行」が成功しても、自動バックアップが動くとは限りません。

次の点を確認してください。

  • ファイル履歴のバックアップ間隔
  • PCが設定時刻に起動していたか
  • ネットワークへ接続されていたか
  • ファイル履歴サービスが無効化されていないか
  • イベントログにエラーがないか
  • NASがスリープや切断状態になっていなかったか

まとめ

Windows 10 Enterprise LTSC 2019で、ファイル履歴からSMB共有へのコピーが停止し、「資格情報が無効」と表示される場合は、実際のパスワードエラーとは限りません。

Microsoftはこの問題をKB5120238で修正しており、基本的な対応手順は次のとおりです。

  1. エクスプローラーからSMB共有へ書き込みできるか確認する
  2. Windows 10 Enterprise LTSC 2019であることを確認する
  3. OSビルドが17763.9121未満か確認する
  4. KB5120238または後続の累積更新プログラムを適用する
  5. Windowsを再起動する
  6. ファイル履歴の「今すぐ実行」でテストする
  7. 次回の自動バックアップでもファイルがコピーされるか確認する

更新後もエラーが続く場合に限り、保存済み資格情報、共有アクセス許可、NTFSアクセス許可、既存のSMB接続、空き容量、イベントログを順番に確認してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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