Windows 11 でゲーム中やゲーム終了直後に突然ブルースクリーン(BSOD)が出て、イベントビューアーには「WHEA ID 46」、ダンプには「AuthenticAMD.sys」と出ている――そんな現象は、多くの場合ハードウェアの「ちょっとした不安定さ」が原因です。この記事では、Ryzen 9 5900X+RTX 4070 Ti 構成の実例をベースに、同様の症状に悩む人が最短距離で原因を切り分け、安定動作まで持っていくための手順を詳細に解説します。
WHEA ID 46 と BSOD:どんなトラブルなのか
まず、この記事で扱う典型的な症状を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現象 | ゲームの高負荷中、またはゲーム終了時に BSOD(ブルースクリーン)が発生 |
| イベントログ | 「WHEA-Logger」「イベント ID 46」などのハードウェアエラーが記録 |
| ミニダンプ | スタックに AuthenticAMD.sys(AMD CPU 関連) が登場 |
| テスト | MemTest 正常、CPU/GPU ストレステストも完走してしまう |
| 構成例 | Ryzen 9 5900X/16GB RAM/GeForce RTX 4070 Ti/Windows 11 |
ポイントは、一般的なメモリテストやベンチマークでは異常が出ないのに、ゲームだけ不安定という点です。これは「テストでは踏まない負荷パターン」で電圧やタイミングのギリギリを踏んでしまっているケースが多く、特に以下のような条件が揃うと発生しやすくなります。
- CPU の PBO(Precision Boost Overdrive)や Curve Optimizer で攻めた設定
- メモリの XMP/EXPO プロファイルを有効化し、高クロックで運用
- マザーボードの「自動 OC(自動電圧盛り)」系機能がオンになっている
- GPU の OC、あるいは高負荷時の消費電力が PSU(電源)ギリギリ
この記事の結論を先に言うと、最優先でやるべきことは「すべて定格(デフォルト)に戻す」ことです。実際に、Ryzen 9 5900X+RTX 4070 Ti+Windows 11 環境のケースでは、CPU/GPU/RAM の OC と XMP/EXPO をすべてオフにしただけで、ゲーム中のクラッシュが完全に止まりました。
なぜ MemTest やストレステストでは問題が出ないのか
「MemTest は一晩回した」「Cinebench や各種ベンチも問題ない」のにゲームだけ落ちるのは不思議に感じますが、実は珍しい話ではありません。
ゲーム中の負荷は、次のような特徴があります。
- CPU、GPU、メモリ、PCIe、ストレージが同時に高負荷になる
- ロードやシーン切り替えで瞬間的な電力の山が発生する
- ウィンドウ切り替え・Alt+Tab・ゲーム終了時にクロック・電圧が急激に変動する
- 各種オーバーレイ(録画・配信・オーバークレイ)や常駐アプリも負荷に参加する
一方、MemTest や単体の CPU/GPU ベンチは負荷のかけ方が比較的単純で、特定の部位しか試さないことがほとんどです。そのため、「総合的な負荷+電源の揺れ+クロック変動」という条件が揃うゲーム中だけ、ギリギリのラインを踏み越えてしまい WHEA が発生する、というわけです。
一番重要なのは「すべて定格に戻す」こと
WHEA ID 46 で BSOD が出ているなら、まずは次の方針を徹底します。
- CPU/GPU/メモリのオーバークロックをすべて無効化
- RAM の XMP/EXPO プロファイルを無効化し、JEDEC 定格に戻す
- PBO や Curve Optimizer も一旦すべてオフ
- BIOS/UEFI と AMD チップセットドライバーを最新化
この「全部いったん定格」は、遠回りに見えて実は最短ルートです。いろいろな OC 設定を残したまま原因探しをしても、条件が複雑すぎて何が悪いのか分からないからです。
| 優先度 | 対処内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 最優先 | BIOS で定格化(OC/XMP/EXPO/PBO/Curve Optimizer を全部オフ) | ソフト要因と軽いハード不安定を一気に排除する |
| 高 | BIOS/UEFI と AMD チップセットドライバーを最新版へ更新 | CPU マイクロコードや電源管理の不具合修正を取り込む |
| 中 | GPU ドライバーをクリーンインストール、OC を解除 | ドライバーの破損や GPU 側の不安定要因を除去 |
| 中 | 電源・ケーブル・温度・ホコリのチェック | 物理トラブルや過熱による瞬断を疑う |
| 補助 | アプリのハードウェアアクセラレーションを一時停止 | 負荷ピークを少し下げて症状の出方を変える |
優先度付きチェックリスト(詳解)
BIOS で完全に定格化する
まずは BIOS/UEFI 設定から見直します。マザーボードメーカーごとに名称が違うので、代表的な例も挙げます。
- 最適化既定値の読み込み
BIOS メニュー内の「Load Optimized Defaults」「Load UEFI Defaults」などを実行し、一度工場出荷状態にリセットします。 - メモリの XMP/EXPO を無効化
- ASUS:D.O.C.P./EXPO プロファイル
- MSI:A-XMP/EXPO
- GIGABYTE:XMP/EXPO Profile
- PBO と Curve Optimizer を無効化
- Precision Boost Overdrive:Disabled
- Curve Optimizer:Disabled もしくは設定をクリア
- CPU 電圧関連を Auto に戻す
手動で Vcore や SoC 電圧をいじっている場合は、一旦すべて Auto に戻して様子を見ましょう。
ここまで設定したら BIOS を保存・再起動し、ゲームや 3D ベンチマークを数時間遊んでみて、WHEA ID 46 が再発するか確認します。
マザーボード製品ページから BIOS / チップセットを更新
定格化と同じくらい重要なのが、BIOS/UEFI と AMD チップセットドライバーの更新です。
- マザーボード型番を確認
マニュアル、箱、あるいは CPU-Z などのツールで、正確な型番を把握します。 - メーカー公式サイトへアクセス
「サポート」→「ダウンロード」から、自分のマザーボードのページを開きます。 - 最新 BIOS(AGESA 更新を含む)を適用
説明に「CPU 安定性の向上」「システム安定性の改善」などと書かれている場合は、まさに WHEA 由来の BSOD 対策が含まれている可能性が高いです。 - AMD チップセットドライバーを更新
できれば マザーボードメーカーが配布している版を優先し、Windows Update 任せにしないのがポイントです。
BIOS 更新時は、停電・再起動・ケーブル抜けなどがあると最悪起動不能になります。ノート PC ならバッテリーを満充電+AC 接続、デスクトップなら安定した電源環境で実行してください。
GPU ドライバーのクリーンインストールと OC の解除
CPU 周りだけでなく、GPU ドライバーや GPU 自身の OC も WHEA BSOD に絡むことがあります。特に RTX 4070 Ti クラスは高負荷時の消費電力も大きく、電源の瞬間的な落ち込み → CPU 側のエラーという連鎖も起きがちです。
- NVIDIA ドライバーをクリーンインストール
- 「Display Driver Uninstaller(DDU)」などを使ってセーフモードで旧ドライバーを完全削除
- 公式サイトから最新ドライバーをダウンロードし、「クリーンインストール」で導入
- GPU の OC をすべて無効化
MSI Afterburner などでクロック・電圧を盛っている場合は、一度 すべてリセットして NVIDIA 標準クロックに戻すのが鉄則です。 - それでも不安定なら、軽くアンダークロック
一時的に -150 ~ -200 MHz 程度コアクロックを下げて様子を見ると、電力ピークが下がり BSOD が消えることがあります。
電源・温度・物理的な要因をチェック
ハードウェアエラーなので、物理的な問題も見逃せません。
- 補助電源ケーブルの差し込みを確認
- GPU の 8pin/12VHPWR コネクタが奥まで確実に刺さっているか
- 変換アダプタを使っている場合、ケーブルの曲げ過ぎや緩みがないか
- CPU 補助電源(EPS 8pin)もぐらついていないか
- PCIe スロットへの挿さり具合
GPU が斜めに刺さっていたり、ライザーケーブルを使っている場合は特に要注意です。 - 温度とエアフローの確認
- CPU/GPU 温度が高負荷時に 90℃ 近くまで上がっていないか
- ケースファンの向き(吸気・排気)が適切か
- ヒートシンクやフィルターにホコリが詰まっていないか
- 電源ユニット(PSU)の余裕
定格 650W 級でハイエンド GPU+CPU を動かしていると、品質次第では境界運用になります。より容量の大きい PSU に一時的に交換して症状が消えるかも、切り分けとして有効です。
メモリ設定・電圧・LLC を見直す
WHEA はメモリまわりの微妙な不安定でも起こりやすいです。XMP/EXPO を切っても症状が残る場合は、次を確認します。
- メモリ電圧が定格になっているか
DDR4 なら 1.2V、DDR5 なら 1.1V 前後が JEDEC の定格です。これ以上に盛られていないか確認しましょう。 - LLC(Load-line Calibration)の設定
「Turbo」「Extreme」など極端に強い LLC は、一見安定しそうに見えて電圧の揺れが大きくなり逆効果なことがあります。迷ったら中庸(Level 3 など)に戻すと良いです。 - メモリスロットの挿し直し
接触不良も稀に WHEA の原因になります。電源ケーブルを抜き、メモリを一度外してエアダスターで軽く清掃し、推奨スロット(2・4番など)にしっかり挿し直すのも有効です。
アプリ側での負荷軽減(暫定策)
根本原因ではありませんが、「とりあえず BSOD 連発を止めたい」という場合は、アプリ側で負荷を少し軽くするのも手です。
- Teams/Outlook/ブラウザ等のハードウェアアクセラレーションを一時オフ
- 録画・配信ソフトのオーバーレイ・リプレイ機能を止める
- ゲーム内設定で FPS 上限を設ける(例:144Hz モニタなら 140fps 限界)
- レイトレーシングや高負荷フィルタを一時的にオフ
これらを行うことで、CPU・GPU・VRAM・電源のピーク負荷を少し削り、「ギリギリ不安定」ゾーンから抜け出せることがあります。
ログとツールで原因を追い込む
イベントビューアーで WHEA / Kernel-Power を確認
Windows のイベントビューアーは、WHEA BSOD の原因を探るうえで非常に重要です。
- イベントビューアーを開く
Windows キーを押して「eventvwr」と入力 → Enter。 - 左ペインで「Windows ログ」→「システム」を選択
- 右ペインの「現在のログをフィルター」で、以下をチェック
- ソース:WHEA-Logger
- ソース:Kernel-Power(イベント ID 41)
WHEA-Logger の詳細に「エラーの種類」「影響を受けたコンポーネント(Processor / Memory / PCI Express など)」が書かれている場合、その内容も参考になります。多くのケースでは Processor が関与しており、CPU クロック/電圧/メモリまわりの設定を疑うべき状況と言えます。
Driver Verifier によるドライバー切り分け(上級者向け)
WHEA は基本的にハード寄りの問題ですが、ドライバーの異常が BSOD を引き起こすこともあります。Windows 標準の Driver Verifier を使うと、怪しいドライバーを炙り出せます。
管理者権限のコマンドプロンプト、もしくは Windows Terminal を開き、次を実行します。
verifier /standard /all
- PC を再起動すると、Driver Verifier が有効になり、怪しいドライバーがあれば意図的に BSOD を発生させて原因をログに残してくれます。
- 原因が判明したら、そのドライバーを更新・ロールバック・削除することで安定する場合があります。
Driver Verifier を解除するには、再度管理者権限で次を実行します。
verifier /reset
もし起動時に BSOD ループに入ってしまった場合は、セーフモードで起動してから同じコマンドを実行するか、システムの復元を試してください。
ミニダンプに「AuthenticAMD.sys」が見える場合
WHEA BSOD のミニダンプを WinDbg などで開くと、スタックに AuthenticAMD.sys が見えることがあります。これは AMD CPU のマイクロコードや電源管理などを扱うシステムドライバーであり、次のように解釈するのが無難です。
- CPU 自体、または CPU 周辺(メモリ・VRM・電源)の「ハード寄りの不安定」が検出された
- BIOS(AGESA)のバージョンや PBO/OC 設定が影響している可能性が高い
このため、やはり 定格化+BIOS/チップセット更新 が最優先の対処となります。実例でも、これだけで症状が消えたケースが多数あります。
WHEA BSOD を防ぐための設計思想
トラブルが解消した後も、再発を防ぐためには「攻めない OC/安定性重視の設定」を心がけるのが得策です。
- 一度に 1 つだけ設定を変え、結果をメモする
例:PBO を有効化 → 数日プレイして様子を見る → 問題なければ次にメモリクロックを少しだけ上げる、といったように段階的に攻めます。 - 安定が確認できるまでは完全定格運用
新しい BIOS に更新した直後や、新しいパーツを載せ替えた直後は、しばらく定格のまま使って挙動を見るのが安全です。 - OC を戻すときも「小刻みに」
いきなり 200MHz アップや大きな負の Curve Optimizer を入れず、10~25MHz刻み/1 ステップずつ調整していくイメージです。 - 大きな変更前にはバックアップ
BIOS 更新前や、大幅な OC プロファイル変更前には、システムイメージや復元ポイントを作っておくと安心です。
| レイヤー | 主な原因例 | チェック方法 |
|---|---|---|
| CPU | PBO/Curve Optimizer の盛り過ぎ、電圧不足 | 定格化、PBO 無効、長時間ゲームプレイ |
| メモリ | XMP/EXPO プロファイルがシステムと相性悪 | JEDEC 定格での運用、別メモリでの比較 |
| GPU・電源 | GPU OC、高負荷時の電源瞬断・容量不足 | GPU 定格化、別 PSU でのテスト |
| ソフトウェア | 古い GPU ドライバー、常駐系の競合 | クリーンインストール、常駐アプリ停止 |
それでも直らない場合の最終チェック
ここまでの手順をすべて試しても WHEA ID 46 の BSOD が続く場合、パーツ単位での不良や相性も視野に入れる必要があります。
- 最小構成での起動テスト
GPU 以外の拡張カードを外し、メモリも 1 枚だけにし、ストレージも OS 用 SSD のみという「最小構成」でゲームやベンチを試します。これで安定するなら、外したどれかに問題がある可能性が高いです。 - 別電源での検証
予備の PSU を持っている、あるいは知人から一時的に借りられるなら、別電源で同じ構成を動かしてみると切り分けが一気に進みます。 - 別スロット/別メモリでの検証
メモリスロットやメモリモジュール自体の不良も考えられます。別のメモリキットで試すと判断がしやすくなります。 - RMA(保証対応)の検討
上記すべてを試しても 完全定格で WHEA ID 46 が頻発するなら、CPU・マザーボード・メモリ・電源のいずれかに個体不良がある可能性もあります。購入店やメーカーサポートに問い合わせ、症状と試した対処内容を整理して伝えるとスムーズです。
まとめ:WHEA ID 46 BSOD を短時間で収束させるコツ
最後に、この記事の内容を「最短でやるべき順番」に整理します。
- BIOS で完全定格に戻す
XMP/EXPO・PBO・Curve Optimizer をすべて無効化し、最適化既定値を読み込んでから必要最低限だけ調整する。 - BIOS/UEFI と AMD チップセットドライバーを最新化
マザーボード製品ページから最新版を入れて、CPU マイクロコードや電源管理の修正を取り込む。 - GPU ドライバーをクリーンインストールし、OC を解除
必要に応じて一時的にアンダークロックして、電力ピークを抑えつつ挙動を見る。 - 電源・ケーブル・温度・ホコリを確認
補助電源の差し込み、PCIe スロット、エアフロー、PSU 容量を一通りチェックする。 - アプリ側で負荷を軽くして再現性を確認
ハードウェアアクセラレーションやオーバーレイを一時オフにし、ゲームのグラフィック設定も少し落としてみる。 - イベントビューアーと Driver Verifier でログを精査
WHEA-Logger や Kernel-Power の内容を把握し、必要なら Driver Verifier でドライバー異常を切り分ける。 - 最小構成・別電源・別メモリでハード故障を切り分ける
それでも解決しない場合は、RMA(保証)も含めてパーツ交換を検討する。
特に、OC/XMP/EXPO を切る+BIOS・チップセットを最新にするだけで直るケースは非常に多く、今回紹介した 5900X+RTX 4070 Ti 環境の例でも、このステップで BSOD が再発しなくなりました。WHEA ID 46 の BSOD は「致命的に壊れている」よりも、「設定やマージンが少し攻めすぎている」パターンが多いトラブルです。
まずは落ち着いて、定格化から一つずつ確認していきましょう。時間をかけて丁寧に切り分ければ、Windows 11 でのゲームも安定して楽しめるようになるはずです。

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