Windows 11 の更新が「完了できませんでした」と失敗し、同時に Word や Acrobat などのアプリで印刷しようとすると落ちる──このセットは、HP の USB/プリンタードライバーが原因のことが非常に多いです。本記事では、エラー 0x80070103 と印刷クラッシュをまとめて解消するための、実務レベルの手順を詳しく解説します。
トラブルの概要と症状の整理
Windows Update 側の症状
- 「更新プログラムを構成できませんでした」「更新を完了できませんでした」などのメッセージが表示される
- 更新の履歴に、以下のような項目が繰り返し表示される
- 「Hewlett‑Packard – USB – 2017/02/10 – 44.1.2402.1741」インストール エラー 0x80070103
- 再起動しても同じ更新がまた出てきて、何度も失敗する
印刷・アプリ側の症状
- Word や Acrobat で印刷ダイアログを開いた瞬間にアプリが落ちる
- 印刷ダイアログでプリンターを選ぼうとすると固まる
- 「プリンターとスキャナー」やコントロール パネルの「デバイスとプリンター」が開かない/途中でフリーズする
- プリンターのテストページが印刷できない
よくある原因のパターン
今回のケースでは、次のような状況が組み合わさっている可能性が高いです。
| 症状 | 想定される原因 |
|---|---|
| エラー 0x80070103 が HP USB ドライバーで繰り返し発生 | 既に入っているドライバーと同等・それ以下のバージョンを Windows Update が当てようとしている/互換性の低い HP ドライバーを当てようとしている |
| 印刷しようとするとアプリがクラッシュ | 印刷ドライバーやポートの混在・破損により、Print Spooler(プリント スプーラー)サービスが不安定 |
| プリンター一覧を開くだけで固まる | 不要な仮想プリンターや旧バージョンの HP ドライバーが多数残っている/スプーラーキューに破損ジョブが残っている |
エラー 0x80070103 とは何か
エラーコード 0x80070103 は、Windows Update がドライバーをインストールしようとして失敗したときによく出るコードです。代表的なパターンは次のとおりです。
- 既に同じバージョンのドライバーが入っている
- 既に入っているドライバーより古い/互換性が低いドライバーを当てようとしている
- ハードウェア構成に合わない(別型番向けなど)ドライバーを当てようとしている
特にプリンターや USB デバイスはモデル数が多く、Windows Update から配信される「汎用ドライバー」が、実機に対して微妙に不適合なことがあります。その結果、
- ドライバー更新だけ失敗し続ける
- スプーラーやアプリが巻き込まれて不安定になる
という状態に陥ります。
したがって解決の基本方針は、
- 失敗しているドライバー更新を Windows Update から切り離す
- HP プリンター/USB ドライバーを一度きれいに削除して、公式サイトから入れ直す
の 2 本柱で進めます。
全体の解決フロー
この記事では、次の順番で対処していきます。
- 問題の HP ドライバー更新を Windows Update から切り離す
- HP プリンター/USB ドライバーをクリーン再インストールする
- Windows Update コンポーネントとシステムの整合性をチェックする
- 印刷時クラッシュの切り分け(Print to PDF/テストページなど)
- どうしても直らない場合の最終手段(インプレース修復など)
上から順に試すことで、不要な再インストールや初期化を避けつつ、効率よく原因を絞り込めます。
問題の HP ドライバー更新を Windows Update から切り離す
更新履歴から失敗しているドライバーを確認
- [設定] を開く(Win + I)
- [Windows Update] → [更新の履歴] を開く
- 「ドライバーの更新」または「その他」の中に
- Hewlett‑Packard – USB – 2017/02/10 – 44.1.2402.1741
同じ項目が何度も「失敗」と並んでいる場合、これをそのまま放置すると、毎回の更新チェックで時間を取られ、場合によっては他の更新も巻き込んで失敗することがあります。
オプションの更新からインストールしないようにする
- [設定] → [Windows Update] → [詳細オプション] を開く
- [オプションの更新プログラム] → [ドライバー更新プログラム] をクリック
- 一覧の中に同じ「Hewlett‑Packard – USB …」が表示されている場合は、チェックを入れずに無視する
ここで自動的にインストールされないようにしておくことで、不要な再試行を防げます。
「更新プログラムの表示または非表示」トラブルシューターでブロック
それでも何度も提案されてしまう場合は、Microsoft が配布している「更新プログラムの表示または非表示」トラブルシューター(wushowhide)で、該当のドライバーを非表示にしてしまう方法があります。
- wushowhide ツールを実行する
- [次へ] → [更新プログラムを非表示] をクリック
- 一覧から Hewlett‑Packard – USB – 2017/02/10 – 44.1.2402.1741 を選択し、非表示にする
非表示にした更新は、以後 Windows Update に出てこなくなります(再度表示させることも可能です)。
管理者向け:品質更新からドライバーを一括除外する
「そもそもドライバーはメーカー公式からしか入れない」という運用にしたい場合は、レジストリで Windows Update 経由のドライバー配信を一括で拒否することもできます。
※レジストリ編集は自己責任です。事前にシステムのバックアップや復元ポイント作成を強く推奨します。
- Win + R →
regeditと入力 → Enter - 以下のキーを開く
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate - 右クリック → [新規] → [DWORD (32 ビット) 値] を選択し、名前を
ExcludeWUDriversInQualityUpdateにする - 値をダブルクリックして 1 を設定
キー: HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate
値: ExcludeWUDriversInQualityUpdate (DWORD) = 1
これにより、通常の「品質更新プログラム」にドライバーが含まれなくなります。今後は、プリンターなどのドライバーは HP 公式サイトや HP Smart アプリから手動インストールする運用に切り替えましょう。
HP プリンター/USB ドライバーをクリーン再インストール
次に、すでにシステムに残っている HP 関連ドライバーとスプーラーの残骸をきれいに掃除し、正しいドライバーだけを入れ直します。
作業前の準備
- USB 接続プリンターの場合:PC から USB ケーブルを抜いた状態で作業を始める
- Wi‑Fi プリンターの場合:プリンターの電源を入れたままでもよいが、途中で IP 変更や再起動が入らないように注意
- 作業は可能なら「ローカル管理者」アカウントで実施
プリンター本体の削除
- [設定] → [Bluetooth とデバイス] → [プリンターとスキャナー] を開く
- 該当の HP プリンターをクリックし、[デバイスの削除] を選択
- 同じプリンターが複数登録されている場合は、わかる範囲ですべて削除する
プリント スプーラーの初期化
印刷キューの中に壊れたジョブが残っていると、アプリが印刷ダイアログを開いた瞬間に落ちることがあります。スプーラーサービスをいったん止め、キューを空にします。
- [スタート] ボタンを右クリック → [Windows ターミナル (管理者)] または [コマンド プロンプト (管理者)] を開く
- 次のコマンドを順番に実行
net stop spooler
del /q /f %systemroot%\System32\spool\PRINTERS\*.*
net start spooler
これで、印刷待ちのジョブがすべて削除され、スプーラーがクリーンな状態に戻ります。
古い HP ドライバー パッケージの削除
次に、Windows に登録されている古いプリンタードライバーを削除します。
- Win + R →
printui.exe /s /t2と入力 → Enter - 「プリントサーバー プロパティ」の [ドライバー] タブが開く
- 一覧から HP 関連のドライバー(プリンター名・ドライバー名に HP が含まれるもの)を選択し、[削除] をクリック
- 「ドライバーとドライバー パッケージを削除」を選べる場合は、そちらを選択
可能であれば、Print Management(printmanagement.msc) も併用して、不要なポートやフォームも合わせて削除するとより確実です。
- Win + R →
printmanagement.mscと入力 - [プリントサーバー] → [ローカル サーバー名] → [ドライバー] で同様に不要な HP ドライバーを削除
- [ポート] に残っている古い IP アドレスのポートなども整理
すべて削除できたら、PC をいったん再起動します。
HP 公式ドライバーのインストール
再起動後、Windows に任せるのではなく、必ず HP 公式のドライバーを先に入れます。
- HP Smart アプリから対象プリンターを追加する
- または、機種名で検索して フル機能ソフトウェア/ドライバーをダウンロードし、インストールする
USB プリンターの場合は、セットアップ中に表示される「今すぐ接続してください」といったタイミングで、初めて USB ケーブルを接続します。最初から挿しっぱなしにしておくと、汎用ドライバーで勝手に認識されてしまい、再び混乱の元になります。
再インストール後の確認ポイント
- [プリンターとスキャナー] に HP プリンターが 1 台だけ表示されているか
- 「デバイスの状態」が「オンライン」になっているか
- [プリンターのプロパティ] → [テスト ページの印刷] が成功するか
ここまででテストページが問題なく出るようであれば、ドライバー周りはほぼ正常化しています。
Windows Update 周りの基本修復
ドライバーを整理したうえで、Windows Update 自体も整えておくと安心です。
Windows Update トラブルシューティングの実行
- [設定] → [システム] → [トラブルシューティング] を開く
- [その他のトラブルシューティング] をクリック
- 一覧から [Windows Update] → [実行] を押す
自動的にいくつかの診断・修復が走るので、指示にしたがって進めます。
SFC/DISM によるシステムファイルの整合性チェック
- [スタート] を右クリック → [Windows ターミナル (管理者)] を開く
- 次のコマンドを順番に実行
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow:システムファイルの破損チェックと修復DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth:システムイメージの破損チェックと修復
どちらも完了まで時間がかかる場合がありますが、ここでエラーが出るようなら、より深刻なシステム側の問題が隠れている可能性があります。
Windows Update コンポーネントのリセット
Windows Update の履歴やキャッシュが破損していると、特定の更新だけ何度も失敗することがあります。その場合、コンポーネントを手動でリセットします。
- 管理者権限のコマンドプロンプトを開く
- 以下のコマンドを順番に実行
net stop wuauserv
net stop cryptSvc
net stop bits
net stop msiserver
ren %systemroot%\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
ren %systemroot%\System32\catroot2 catroot2.old
net start wuauserv
net start cryptSvc
net start bits
net start msiserver
その後、[設定] → [Windows Update] から [更新プログラムのチェック] を実行し、HP ドライバー以外の更新が正常に適用されるか確認します。
「更新の一時停止 → 再開」でキューをリフレッシュ
更新のキューが詰まっているときは、一度一時停止してから再開すると流れがリセットされることがあります。
- [設定] → [Windows Update]
- [1 週間一時停止] をクリック
- 数分待ってから [再開] をクリック
その後、再度更新チェックを行い、同じエラーが出ないか確認します。
印刷時にアプリが落ちる場合の追加切り分け
ドライバーと Windows Update を整理しても、まだ Word や Acrobat が印刷時に落ちる場合は、次のように切り分けます。
Microsoft Print to PDF への印刷テスト
まず、物理プリンターではなく、仮想プリンターである 「Microsoft Print to PDF」 に対して印刷します。
- Word や Acrobat で適当なファイルを開く
- [ファイル] → [印刷] を選択
- プリンターに Microsoft Print to PDF を選択
- 印刷を実行し、エラーやクラッシュが出ないか確認
| 結果 | 疑うべきポイント |
|---|---|
| Print to PDF でもクラッシュする | アプリ本体の不具合/Office や Acrobat のアドイン/スプーラーサービス全体の異常 |
| Print to PDF なら正常に印刷できる | HP プリンタードライバーまたはプリンター固有のポート設定に問題 |
テストページの印刷でドライバー側を確認
- [設定] → [Bluetooth とデバイス] → [プリンターとスキャナー]
- 対象のプリンターをクリック
- [プリンターのプロパティ] → [全般] タブの [テスト ページの印刷] をクリック
- テストページが印刷できない:ドライバー/ポート/物理接続のいずれかに問題
- テストページは出るが、特定アプリだけクラッシュ:そのアプリ固有の設定やアドインを疑う
Print Spooler サービスの再起動
- Win + R →
services.mscと入力 → Enter - 一覧から Print Spooler を探して右クリック → [再起動]
頻繁にスプーラーが落ちている場合は、イベントビューアー(eventvwr.msc)で「システム」ログを確認すると、どのドライバーでエラーが発生しているかヒントが得られることがあります。
クリーンブートで常駐アプリの干渉を除外
セキュリティソフトや PDF 閲覧ソフト、プリンター関連のツールが印刷処理に割り込んでいるケースもあります。クリーンブートで一度常駐アプリをストップしてみましょう。
- Win + R →
msconfigと入力 → Enter - [サービス] タブで「Microsoft のサービスをすべて隠す」にチェック → [すべて無効]
- [スタートアップ] タブ → [タスク マネージャーを開く] → 不要なスタートアップ項目を「無効」にする
- PC を再起動し、印刷を試す
クリーンブート状態でクラッシュしなくなる場合は、無効にしたサービス・スタートアップのどれかが原因です。少しずつ有効に戻していき、問題のアプリを特定します。
Acrobat の場合:画像として印刷
Adobe Acrobat では、「画像として印刷」を使うと、複雑なフォントやドライバー機能をバイパスして印刷できる場合があります。
- [ファイル] → [印刷]
- [詳細設定] をクリック
- [画像として印刷] にチェックを入れて印刷
これで印刷できる場合、本質的な原因は残っていますが、一時的な回避策として利用できます。
まだ直らないときの最終手段:インプレース修復
ここまで対応しても、
- 特定の更新が必ず失敗する
- システムファイルチェックで修復不能なエラーが出る
- 印刷関連で原因不明のクラッシュが続く
といった場合は、Windows 11 のインプレース修復(上書きインストール)を検討します。
インプレース修復では、
- ユーザープロファイル(ドキュメント・デスクトップなど)
- インストール済みアプリ
を維持したまま、Windows のシステム部分だけを入れ直します。
インプレース修復の大まかな流れ
- 重要なデータを別ドライブやクラウドにバックアップする
- Windows 11 のセットアップメディア(インストールアシスタントや ISO)を用意する
- セットアップを起動し、「この PC を今すぐアップグレード」を選択
- 画面の指示に従い、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択して進める
インプレース修復後は、必ず HP ドライバーを先に手動で導入し、そのうえで Windows Update を実行します。あわせて、前述の ExcludeWUDriversInQualityUpdate でドライバーの自動配信を止めておくと、再発を防ぎやすくなります。
迅速対応のためのチェックリスト
最後に、本記事で紹介した手順を一覧にしておきます。トラブル対応時のチェック用メモとして活用してください。
| 項目 | 内容 | 実施状態 |
|---|---|---|
| 1. エラー内容の確認 | 更新履歴で HP USB ドライバーの 0x80070103 を確認 | □ |
| 2. ドライバー更新を除外 | オプションの更新/wushowhide/レジストリで 該当ドライバーを適用しない設定にする | □ |
| 3. HP ドライバーのクリーン再インストール | プリンター削除 → スプーラー初期化 → printui.exe で古いドライバー削除 → 再起動 → HP 公式ドライバー導入 | □ |
| 4. Windows Update 基本修復 | Windows Update トラブルシューティング/SFC/DISM/Update コンポーネント リセットを実施 | □ |
| 5. 印刷テスト | Print to PDF/テストページ印刷/クリーンブートでの動作確認 | □ |
| 6. 最終手段 | 状況に応じてインプレース修復を検討 | □ |
日常運用での再発防止ポイント
- プリンタードライバーは「Windows Update ではなくメーカー公式」から入れる
- 不要なプリンターや古いドライバーを長期間残さない(年に 1 回は整理するイメージ)
- トラブルが起きたら、まずは
- Print Spooler の再起動
- Print to PDF での動作確認
- 業務で複数のプリンターを使う場合は、「テストページ専用プリンター」を 1 台決めておくと切り分けが楽
補足メモ:よく使うショートカット&ツール
| 用途 | 操作・コマンド |
|---|---|
| スクリーンショット | Win + Shift + S |
| OS のバージョン確認 | Win + R → winver |
| デバイス マネージャー | Win + R → devmgmt.msc |
| サービス(スプーラー再起動) | Win + R → services.msc |
| プリントサーバー設定 | Win + R → printui.exe /s /t2 |
| プリント管理 | Win + R → printmanagement.msc |
Windows 11 でのプリンターとドライバー管理は、いったんハマると長引きがちですが、
- 問題のある更新を Windows Update から切り離す
- ドライバーをクリーンに入れ直す
- システムと Update を整える
という順番で落ち着いて進めれば、エラー 0x80070103 のループと印刷クラッシュを同時に解消できるケースが多くあります。印刷が業務のボトルネックになっている方は、ぜひ本記事の手順を上から順に試してみてください。

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