Windows 11 バージョン 24H2 では、長年親しまれてきた軽量リッチテキストエディタ「WordPad」が標準アプリから姿を消しました。業務で RTF やテキストの簡易編集を行っていたユーザーにとっては痛い変更ですが、実は旧バージョンの Windows からファイルをコピーするだけで、24H2 環境でもほぼ従来どおり利用できます。本記事では、初心者でも失敗しにくい安全な手順を中心に、WordPad 復活の全方法と注意点、さらに Microsoft が削除に踏み切った背景や将来の代替策まで詳細にまとめます。
なぜ WordPad は削除されたのか ― Microsoft の方針転換
WordPad は Windows 95 から標準搭載され、RTF・TXT などの軽量文書編集に重宝されてきました。しかし 2023 年後半から Insider ビルドのリリースノートに「WordPad は今後 Windows から削除される予定」との記述が登場。24H2 で正式に除外されるに至った背景は大きく分けて次の 3 点です。
- AI & クラウドファースト戦略 Microsoft 365 / Microsoft Designer / Copilot など AI やクラウド連携機能を核とするサービス群を強化するため、ローカル専用のレガシーアプリは優先度が下がった。
- メンテナンス負荷の削減 WordPad は 32bit UI フレームワークのコードが多く、現行の WinUI 3 へ移植するにはコストが高い。脆弱性対策やローカライゼーションの維持も負担になる。
- 重複機能の整理 Windows には改良版 Notepad、Edge の Web Word、無料版 Microsoft Word Online など、すでに複数の編集手段があるため機能が重複していた。
復活させる 3 つの方法 ― 最短 5 分で完了
以下は推奨度の高い順に並べています。基本は「旧 PC から正規ファイルをコピー」が最も安全です。
| 方法 | 手順のポイント | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A. 旧 PC からフォルダーを丸ごとコピー | 1. 旧 PC (Windows 10 / 11 23H2) の C:\Program Files\Windows NT\Accessories を USB メモリへコピー2. 新 PC の任意フォルダー (例: ドキュメント\Oldies\WordPad) に貼り付け3. wordpad.exe をダブルクリックで起動4. 右クリック > プロパティ > 互換性 で 管理者として実行 にチェックすると権限エラーを防ぎやすい | ・オフラインで完結 ・正規 Microsoft 製ファイルで改ざんリスクが低い | ・Windows フォルダー直下に置くと累積更新プログラムで上書きされる場合があるため、ユーザーフォルダーを推奨 |
| B. 信頼できる公開アーカイブを利用 | 1. Winaero などが配布する WordPad (23H2 版) をダウンロード 2. SHA‑256 のハッシュ値を公式フォーラムなどで照合3. 手順は A と同様に配置 | ・旧 PC が手元になくても導入可能 ・複数バージョンを比較して動作検証できる | ・アドウェア付きインストーラに注意 ・ウイルス対策ソフトで二重チェック推奨 |
| C. 予備メディアにバックアップ | 1. 方法 A/B で取得した Accessories フォルダーを USB/外付け SSD/クラウドにコピー2. ファイル名を WordPad23H2backup.zip などにして保管3. 必要な PC に都度展開し wordpad.exe を実行 | ・将来 PC を買い替えても即インストール可 ・オフライン環境でも使える | ・バックアップ先が感染するとマルウェアを拡散する危険があるため、定期的なスキャンが必須 |
導入前の事前チェック
- ビルド番号を確認: 設定 > システム > バージョン情報で Windows 11 24H2 であることを確認。
- セキュリティソフトを最新に: コピーした EXE が古いシグネチャを持つ場合、誤検知されることがあるため定義ファイルを更新。
- 管理者アカウントでログイン: Standard ユーザーでは 実行から 10 分後にアプリが終了する ケースが報告されている。
実践ガイド:方法 A を画像付きで詳解
1. 旧 PC 側でフォルダーを検索
Win + E でエクスプローラーを開き、アドレスバーに %ProgramFiles%\Windows NT\Accessories と入力。該当フォルダーが表示されたら、丸ごとドラッグして USB メモリへコピーします。容量は 7~9 MB 程度のため数秒で完了します。
2. 新 PC で安全な配置場所を作成
ユーザープロファイル直下に Oldies フォルダーを新規作成し、その中に WordPad を作ると整理しやすくなります。ここにコピーしたフォルダーを貼り付けます。
3. ファイルのブロック解除
USB 経由で入手した EXE は「インターネットから取得したファイル」として NTFS の ZoneIdentifier 情報が付くため、プロパティ画面の下部に「ブロックの解除」チェックボックスが表示される場合があります。必ず解除してから開きましょう。
4. 既定のアプリに関連付け
- 任意の
.rtfファイルを右クリックし、プログラムから開く → 別のアプリを選択。 - 常にこのアプリを使う にチェックを入れ、その他のアプリ → 参照 から
wordpad.exeを指定。 - アイコンが WordPad に変われば完了。
安全性・ライセンス上の懸念とその回避策
WordPad は元々 Windows にバンドルされていた無償コンポーネントであり、旧 PC からの 個人的なバックアップ目的 でのコピーはライセンス違反に当たりません。ただし次のリスクを念頭に置きましょう。 セキュリティパッチが適用されない マイクロソフトは既に WordPad 向け更新プログラムの配布を停止しています。未知の脆弱性を悪用した細工ファイルを開くと、任意コード実行につながる可能性があります。業務ファイルや不審な添付文書は Edge の Web Word やサンドボックス内でプレビューして安全を確認してから編集しましょう。 ハッシュ値の検証不足 公開アーカイブを利用する場合は必ず SHA-256 / SHA-1 など複数アルゴリズムで署名値を照合し、改ざんの有無をチェックしてください。PowerShell の Get-FileHash コマンドが便利です。 企業ネットワークでの利用 一部のサイバー保険や内部監査基準では「サポート終了アプリの持ち込み禁止」が明記されています。導入前に IT 管理部門へ必ず相談し、許可が下りない場合は後述の代替アプリを検討しましょう。
WordPad の後継候補 ― 無料・有料アプリ比較
いずれサポート切れアプリを使い続けることは現実的に難しくなります。移行先を早めに検討しておくと安心です。
| 分類 | アプリ名 | 主な特徴 | オフライン対応 |
|---|---|---|---|
| マイクロソフト純正 (無料) | メモ帳 (Notepad) | タブ対応・Markdown プレビュー・AI 連携 (Copilot) | ◎ |
| マイクロソフト純正 (無料) | Word Online | ブラウザ完結、RTF・DOCX 双方向編集 | △ (PWA モードで一部キャッシュ) |
| OSS | LibreOffice Writer | Word 互換が高く、拡張機能が豊富 | ◎ |
| 有料 (サブスク) | Microsoft 365 (Word) | クラウド保存、Copilot、共同編集に最適 | ○ (インストール版はオフライン可) |
| 軽量フリー | Jarte / AbiWord | 数 MB の小型エディタ、RTF 中心 | ◎ |
よくある質問 (FAQ)
Q. コピーした WordPad が急に起動しなくなった
A. Windows Update 後にシステム保護機能が EXE を隔離した可能性があります。セキュリティソフトの履歴を確認し、許可リストに追加してください。また、実行パスが C:\Program Files 直下だと保護対象フォルダー扱いになるため、ユーザーフォルダー配下に移動して再試行すると改善する事例があります。
Q. アンインストール方法は?
A. 標準のアプリ一覧には表示されないため、wordpad.exe と同じフォルダーをそのまま削除するだけで完了します。関連付けを戻す場合は「設定 > アプリ > 既定のアプリ」から .rtf/.txt をメモ帳や Word に再割り当てしてください。
Q. Windows Server 2025 でも同じ手順で復活できる?
A. 技術的には可能ですが、サーバー OS では役割ベースの機能削除により依存 DLL が不足するケースがあります。検証済みのクライアント OS 版 (23H2) のファイルに限定し、影響範囲を十分にテストしてから導入してください。
PowerShell で自動化 ― 一括コピー & ハッシュ検証スクリプト
複数台に同じ手順を行う場合、PowerShell のワンライナーでコピーとハッシュ検証を同時に行うと手間を削減できます。
$src = "E:\Accessories"
$dest = "$env:USERPROFILE\Oldies\WordPad"
Copy-Item $src $dest -Recurse -Force
$hashExpected = "5E1C0C1F...省略..."
$hashActual = (Get-FileHash "$dest\wordpad.exe" -Algorithm SHA256).Hash
if($hashActual -eq $hashExpected){
Write-Host "ハッシュ照合 OK ― WordPad を起動します"
Start-Process "$dest\wordpad.exe"
}else{
Write-Warning "ハッシュ不一致 ― コピーを中断しました"
}
Microsoft へのフィードバック方法
Win + F で Feedback Hub を開き、「WordPad feature request」などのキーワードで新規フィードバックを作成すると、同じ要望を持つユーザーが Upvote できます。投票数が一定数を超えると、マイクロソフトのプロダクトチームが オプション機能 や Microsoft Store アプリ として再公開を検討する可能性が残っています。
まとめ ― 今こそバックアップと代替策の検討を
- WordPad は Windows 11 24H2 で削除されたが、旧バージョンから
Accessoriesフォルダーをコピーするだけで簡単に復活できる。 - 最も安全なのはオフラインコピー (方法 A)。旧 PC がない場合は信頼できるアーカイブを取得し、ハッシュ値で真正性を確認する。
- 公式サポート外のアプリである以上、未知の脆弱性リスクを抱える。セキュリティ指針に沿って利用し、将来的には Notepad や LibreOffice などへの乗り換えを検討すべき。
- Microsoft へのフィードバック送信で復活要望を可視化しつつ、自前でバックアップを保持しておくことが現実的な防衛策となる。
最短 5 分で愛用の WordPad を取り戻し、Windows 11 24H2 環境でも快適な軽量編集環境を維持しましょう。

コメント