Windows 11でBITSのシャットダウンに時間がかかる問題を改善|対象ビルドと対処法

Windows 11で「シャットダウンしています」の表示が長く続く場合、Background Intelligent Transfer Service(BITS)の終了処理が影響している可能性があります。Microsoftは2026年7月20日、Windows 11 version 26H1のRelease Preview向けOS Build 28000.2605で、PCの電源を切る際にBITSのシャットダウンに要する時間を改善したと案内しました。(Microsoft Learn)

ただし、今回公表されたのはRelease Preview Channelの情報です。この改善が一般提供チャネルのすべてのWindows 11へ配信済みとは断定できません。また、改善対象はBITSの終了処理であり、あらゆる原因によるシャットダウン遅延が解消されるわけではありません。

目次

Windows 11でBITSのシャットダウン時間を改善

Microsoftが公開した情報を整理すると、対象は次のとおりです。

項目内容
対象OSWindows 11 version 26H1
配信チャネルRelease Preview Channel
OSビルド28000.2605
公開日2026年7月20日
改善内容PCの電源を切る際、BITSのシャットダウンに要する時間を改善
配信方式段階的ロールアウト
一般提供状況一般チャネルへ広く反映済みとは断定できない

Build 28000.2605のリリースノートでは、BITSに関する変更が「General performance」の項目に記載されています。また、この項目は段階的ロールアウトに分類されており、同じビルドを使用していても、端末によって反映時期が異なる可能性があります。(Microsoft Learn)

ここで重要なのは、Microsoftの説明が「PC全体のシャットダウンを高速化した」ではなく、「BITSをシャットダウンする時間を改善した」という内容である点です。

Microsoftは、今回の変更について次の情報を公表していません。

  • どのような処理がBITSの終了を遅らせていたのか
  • 影響を受ける端末やアプリの具体的な条件
  • シャットダウン時間が何秒短縮されるのか
  • 遅延が完全に解消されるのか

したがって、「BITSの終了待ちがボトルネックになっていた一部の環境で、電源オフまでの待ち時間が短くなる可能性がある」と捉えるのが適切です。

BITSとは何をするサービスなのか

BITSは「Background Intelligent Transfer Service」の略称で、HTTPサーバーやSMBファイル共有との間で、ファイルをバックグラウンド転送するWindowsのシステムサービスです。

ネットワークの混雑状況や通信コストを考慮し、ユーザーが行っている作業への影響を抑えながら転送します。ネットワークが切断された場合は転送を一時停止し、接続が戻った後やPCの再起動後に処理を再開できます。Windowsが更新プログラムをダウンロードする際にも利用されることがあります。(Microsoft Learn)

BITSは、単にファイルをダウンロードするだけの常駐アプリではありません。Windowsやアプリから登録された「転送ジョブ」を管理し、通信状況に応じて一時停止、再開、完了処理を行います。

BITSがシャットダウンを遅らせる可能性がある理由

Windowsを終了するときは、起動中のアプリだけでなく、BITSを含む各種システムサービスにも停止要求が送られます。

BITS側で転送ジョブや内部状態の終了処理に時間がかかると、Windowsがサービスの停止を待つため、電源が切れるまでの時間が長くなる可能性があります。今回の改善内容からは、影響を受ける環境でBITSの終了待ちがシャットダウン時間の一因になっていたと読み取れます。

ただし、Microsoftは具体的な原因や内部処理を説明していません。転送中のファイル、破損したジョブ、特定のネットワーク構成などを原因と断定することはできません。

今回の改善が関係しそうな症状

BITSの改善が関係する可能性があるのは、主にPCの電源を切る段階で発生する遅延です。

症状BITSとの関連の見方
「シャットダウンしています」が長時間表示されるBITSを含むサービスの終了待ちが関係する可能性がある
更新やダウンロードを行った直後だけ終了が遅いBITSの転送処理が関係している可能性がある
毎回ほぼ同じ時間だけシャットダウンが遅れるサービス、ドライバー、常駐アプリを含めた確認が必要
「更新しています。電源を切らないでください」と表示される更新プログラムの適用処理であり、今回のBITS改善とは分けて考える
特定のアプリの終了待ち画面が出るそのアプリ側の問題である可能性が高い
画面が消えた後も電源ランプやファンが動き続けるドライバー、ファームウェア、電源管理なども確認する
スリープや休止状態への移行だけが遅い今回のリリースノートの直接的な対象とは確認できない

Microsoftの説明は「PCの電源を切る際」となっており、再起動、スリープ、休止状態については明記されていません。これらの動作が遅い場合に、同じ改善が有効だとは断定できません。(Microsoft Learn)

使用中のWindows 11が対象か確認する方法

最初に、現在のWindows 11のバージョンとOSビルドを確認します。

winverで確認する

  1. WindowsキーとRキーを押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. Enterキーを押します。
  4. 表示された画面で「バージョン」と「OSビルド」を確認します。

対象ビルドでは、次のように表示されます。

バージョン 26H1
OS ビルド 28000.2605

設定画面から確認する場合は、次の場所を開きます。

設定
→ システム
→ バージョン情報
→ Windowsの仕様

Windowsのバージョンは「設定」の「システム」から「バージョン情報」を開いて確認できます。(マイクロソフトサポート)

表示内容ごとの判断

PCの状態今回の改善との関係
version 26H1、Build 28000.2605、Release PreviewMicrosoftが改善を案内した直接の対象
version 26H1だがBuild 28000.2605未満今回の改善が含まれているとは確認できない
version 26H1でBuild 28000.2605より新しい新しいビルドのリリースノートで継承状況を確認する
version 24H2または25H2今回のRelease Preview情報の対象外
Release Previewに参加していない26H1端末一般チャネルへ改善が反映済みか、個別の更新履歴を確認する

Release Preview Channelへの参加状況は、次の場所で確認できます。

設定
→ Windows Update
→ Windows Insider Program

version 26H1は既存PC向けの通常アップデートではない

Windows 11 version 26H1自体は、一部の新しいハードウェアにプリインストールされる製品リリースです。一方、今回のBITS改善を記載したBuild 28000.2605はRelease Preview Channel向けに案内されています。

Microsoftによると、version 26H1は次世代シリコン向けに最適化されたリリースで、対応する一部の新規デバイスにプリインストールされます。既存のversion 24H2や25H2搭載PCへ、Windows Updateを通じた機能更新として提供されるものではありません。(Microsoft Learn)

そのため、BITSの改善だけを目的として、24H2や25H2のPCへ26H1を無理に導入しようとする必要はありません。一般利用者は、現在使用しているWindows 11の通常更新を適用し、24H2または25H2向けの更新履歴に同様の改善が追加されるかを確認するのが安全です。

Build 28000.2605を使用している場合の確認手順

対象ビルドを使用している場合は、次の順番で改善状況を確認します。

Windows Updateを最新状態にする

次の場所を開き、利用可能な更新プログラムをインストールします。

設定
→ Windows Update
→ 更新プログラムのチェック

更新後は一度再起動してください。更新プログラムの適用直後は、バックグラウンドで追加処理が続いていることがあるため、再起動後に数分待ってからシャットダウンを試します。

同じ条件で複数回測定する

シャットダウン時間は、更新プログラムの適用、アプリの終了処理、クラウド同期などによって変動します。1回だけで判断せず、次の条件をそろえて3回程度確認すると判断しやすくなります。

  • 開いているアプリを閉じる
  • Windows Updateが処理中でないことを確認する
  • 大容量ファイルのダウンロードを停止する
  • 毎回スタートメニューから通常のシャットダウンを行う
  • 操作開始から電源ランプが消えるまでを測る

Build 28000.2605ではBITSの変更が段階的に提供されるため、同じビルドでもすぐに変化が現れない可能性があります。(Microsoft Learn)

BITSの状態を安全に確認する方法

シャットダウンが引き続き遅い場合は、BITSを無効化するのではなく、まず状態を確認します。

BITSトラブルシューティングツールを実行する

Windows 11には、BITSの問題を診断するためのトラブルシューティング機能があります。

  1. スタートメニューから「問い合わせ」または「Get Help」アプリを開きます。
  2. 検索欄に次の文字列を入力します。
Background Intelligent Transfer Service troubleshooter
  1. 表示された案内に従って診断を進めます。

Microsoftは、BITSサービスの問題を修復する方法として、Get HelpアプリのBITSトラブルシューティングツールを案内しています。(マイクロソフトサポート)

Windows Updateのトラブルシューティングも実行する

BITSはWindows Updateのダウンロードに利用されることがあるため、更新エラーやダウンロード停止も発生している場合は、Windows Updateの診断も行います。

設定
→ システム
→ トラブルシューティング
→ その他のトラブルシューティングツール
→ Windows Update
→ 実行

診断が完了したらPCを再起動し、Windows Updateで再度更新プログラムを確認します。(マイクロソフトサポート)

サービスの状態を確認する

  1. WindowsキーとRキーを押します。
  2. services.mscと入力します。
  3. 一覧から「Background Intelligent Transfer Service」を探します。
  4. スタートアップの種類が「無効」になっていないか確認します。

BITSは、処理するジョブがないときに停止していることがあります。そのため、「状態」が停止中になっているだけで故障とは判断できません。

一方、スタートアップの種類を「無効」にすることは推奨されません。Microsoftは、BITSを無効化すると、BITSによるファイル転送を利用するアプリが正常に動作しなくなる可能性があると説明しています。(Microsoft Learn)

PowerShellでBITSジョブを確認する

管理者や詳しい利用者は、Windows PowerShellからBITSの状態と転送ジョブを確認できます。

Windows PowerShellを管理者として開き、次のコマンドを実行します。

Get-Service -Name BITS

PC上のBITS転送ジョブを確認する場合は、次のコマンドを実行します。

Get-BitsTransfer -AllUsers |
    Select-Object DisplayName, JobState, OwnerAccount

-AllUsersを指定するには管理者権限が必要です。コマンドは、現在登録されているBITSジョブの名前、状態、所有者を表示します。(Microsoft Learn)

確認時は、次のような状態に注目します。

JobState意味
Transferring転送中
Suspended一時停止中
TransientError一時的なエラー
Errorエラーにより停止
Transferred転送完了後の確定待ち

長期間同じエラー状態にあるジョブが見つかっても、すぐに一括削除しないでください。Windows Updateや業務アプリが作成したジョブを削除すると、更新やファイル取得をやり直す必要が生じることがあります。

まずDisplayNameとOwnerAccountを確認し、どのソフトウェアが作成したジョブなのかを特定します。

イベントビューアーでBITSのエラーを確認する

BITSのエラーや警告は、イベントビューアーで確認できます。

  1. WindowsキーとRキーを押します。
  2. eventvwr.mscと入力します。
  3. 次の順番でログを開きます。
アプリケーションとサービス ログ
→ Microsoft
→ Windows
→ Bits-Client
→ Operational

シャットダウンが遅くなった時刻の直前に、エラーや警告が記録されていないか確認します。MicrosoftのBITS関連資料でも、詳細なエラー確認先としてBits-Client/Operationalログが案内されています。(Microsoft Learn)

ただし、今回のBuild 28000.2605の問題に固有のイベントIDやエラーコードは公表されていません。BITS関連のイベントが記録されているだけで、今回のシャットダウン遅延と同じ原因だと断定しないようにしてください。

BITSのシャットダウンが遅いときに避けるべき対処

BITSを常時無効にしない

シャットダウンを速くする目的でBITSを無効にすると、Windows UpdateやBITSを利用するアプリのダウンロード処理に影響する可能性があります。

一時的にサービスを停止して原因を切り分ける場合でも、作業後は既定の設定に戻す必要があります。

BITSジョブをすべて削除しない

インターネット上では、すべてのBITSジョブを削除するコマンドが紹介されることがあります。しかし、どのアプリが作成したジョブかを確認せずに削除すると、正常な更新処理まで中断する可能性があります。

ジョブの削除は、エラー状態のジョブを特定し、所有元と影響を確認したうえで行うべきです。

電源ボタンの長押しを繰り返さない

シャットダウンが遅いからといって、毎回電源ボタンを長押しして強制終了すると、未保存データや更新処理に影響するおそれがあります。

数分待っても終了せず、画面や操作に変化がない場合の最終手段として扱ってください。

改善だけを目的にInsiderビルドへ移行しない

Release Previewは正式提供前の変更を確認するためのチャネルです。BITSの改善だけを目的に、業務用PCや安定性を優先するPCをInsider Programへ移行するのは適切ではありません。

現在の安定版を維持し、利用中のWindows 11向けに公開される累積更新プログラムを待つほうが安全です。

BITSを改善してもシャットダウンが遅い場合

Build 28000.2605を適用しても改善しない場合は、BITS以外の原因を確認します。

主な切り分け対象は次のとおりです。

  • 終了できていないデスクトップアプリ
  • Windows Updateの適用処理
  • OneDriveなどのクラウド同期
  • USB機器や外付けストレージ
  • グラフィックス、ネットワーク、ストレージのドライバー
  • セキュリティソフトやバックアップソフト
  • メーカー独自の電源管理アプリ
  • Windowsのシステムファイル破損

特定のアプリを起動した日だけ遅くなる場合は、そのアプリを閉じた状態と開いた状態で比較します。周辺機器を接続している場合は、安全に取り外してからシャットダウンを試すと、原因を絞り込みやすくなります。

企業や自治体などの管理端末では、グループポリシー、プロキシ、WSUS、資産管理ソフトがBITSを利用していることがあります。利用者がサービス設定やジョブを変更せず、イベントログと発生時刻を管理者へ伝えることが重要です。

まとめ

Windows 11でBITSのシャットダウンに時間がかかる問題について、Microsoftはversion 26H1のRelease Preview向けOS Build 28000.2605で改善を案内しています。ただし、対象はBITSの終了処理であり、すべてのシャットダウン遅延を解消する変更ではありません。

まずwinverでバージョンとOSビルドを確認してください。Build 28000.2605を使用している場合は、Windows Updateを最新状態にしたうえで、同じ条件で複数回シャットダウン時間を比較します。

24H2や25H2を使用している場合は、今回の情報だけを根拠に26H1やInsiderビルドへ変更する必要はありません。通常の更新プログラムを適用し、改善が利用中のバージョンにも追加されるかを今後の更新履歴で確認します。

改善しない場合は、BITSやWindows Updateのトラブルシューティング、Bits-Client/Operationalログ、転送ジョブの状態を順番に確認します。BITSを無効化したり、転送ジョブを一括削除したりする前に、BITSが本当に遅延の原因なのかを切り分けることが重要です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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