Windows 11にアップデート後、Excelでファイルを終了する際に表示される保存ダイアログが変わってしまったと感じている方も多いでしょう。従来は「×」をクリックすると「名前をつけて保存」ダイアログが表示されていましたが、最近では「このファイルの変更内容を保存しますか?」という新しいダイアログが表示されるようになりました。この変更により、クラウドへの自動保存が推奨されるようになっています。本記事では、この保存ダイアログを従来の状態に戻すための具体的な方法を解説します。Excelの設定変更からクラウド自動保存の無効化、さらにはVBAコードを使用する方法まで、さまざまな解決策を紹介します。
Excelの設定を変更する手順
Windows 11で従来の「名前をつけて保存」ダイアログを表示させるために、Excelの設定を変更する手順を説明します。
Excelを開き「ファイル」メニューをクリック
まず、Excelを開き、左上にある「ファイル」タブをクリックします。これにより、バックステージビューが表示されます。
「オプション」を選択
バックステージビューの左側メニューから「オプション」を選択します。これにより、Excelオプションのダイアログボックスが開きます。
「保存」タブをクリック
Excelオプションのダイアログボックス内で、「保存」タブをクリックします。このタブには、ファイルの保存に関する設定が含まれています。
「Backstageを表示しない」にチェックを入れる
「キーボードショートカットを使ってファイルを開いたり保存したりするときにBackstageを表示しない」というオプションにチェックを入れます。これにより、従来の保存ダイアログが表示されるようになります。
「OK」をクリックして設定を保存
最後に、ダイアログボックスの右下にある「OK」ボタンをクリックして設定を保存します。これで、Excelの設定変更が完了し、従来の保存ダイアログが表示されるようになります。
クラウドへの自動保存を無効にする方法
Excelでファイルをクラウドに自動保存しないように設定する手順を解説します。
Excelを開き「ファイル」メニューをクリック
Excelを開き、左上の「ファイル」タブをクリックして、バックステージビューを表示します。
「オプション」を選択
バックステージビューの左側メニューから「オプション」を選択します。これにより、Excelオプションのダイアログボックスが開きます。
「保存」タブをクリック
Excelオプションのダイアログボックス内で、「保存」タブをクリックします。このタブには、ファイルの保存に関する詳細な設定が含まれています。
「自動保存」オプションを無効にする
「デフォルトでクラウドに保存されたファイルを[アプリケーション]に自動保存する」というチェックボックスをオフにします。これにより、ファイルが自動的にクラウドに保存されることがなくなります。
「デフォルトでコンピュータに保存」にチェックを入れる
「デフォルトでコンピュータに保存」というオプションにチェックを入れます。これにより、ファイルを保存する際にデフォルトでローカルコンピュータのフォルダが選択されます。
「デフォルトのローカルファイルの場所」を設定する
「デフォルトのローカルファイルの場所」を設定します。これにより、ファイルの保存先が常に指定したローカルフォルダになるようになります。
「OK」をクリックして設定を保存
最後に、ダイアログボックスの右下にある「OK」ボタンをクリックして設定を保存します。これで、クラウドへの自動保存が無効になり、ファイルがデフォルトでローカルに保存されるようになります。
VBAコードを使用して保存ダイアログを抑制する方法
特定のExcelファイルに対して保存ダイアログを表示させないようにするために、VBAコードを使用する方法を紹介します。
VBAエディタを開く
Excelを開き、Alt + F11キーを押してVBAエディタを開きます。これにより、ExcelのVBA(Visual Basic for Applications)開発環境が表示されます。
新しいモジュールを挿入する
VBAエディタのメニューから「挿入」 > 「モジュール」を選択して、新しいモジュールを挿入します。これにより、コードを入力するための新しいウィンドウが開きます。
保存ダイアログを抑制するVBAコードを入力する
以下のVBAコードを新しいモジュールに入力します。
Sub CloseWorkbookWithoutSave()
Workbooks("YourWorkbookName.xlsm").Close SaveChanges:=False
End Sub
このコードは、指定したExcelファイル(ここでは “YourWorkbookName.xlsm”)を保存せずに閉じるものです。ファイル名を実際のワークブック名に置き換えてください。
コードを実行する
入力したコードを実行するために、VBAエディタのメニューから「実行」 > 「サブ/ユーザーフォームの実行」を選択し、「CloseWorkbookWithoutSave」を選択して「実行」をクリックします。これにより、指定したファイルが保存ダイアログを表示せずに閉じられます。
必要に応じてマクロを追加する
特定のアクションに自動的にこのマクロを実行させるために、Workbookイベント(例えばWorkbook_BeforeClose)にコードを追加することもできます。以下は、その例です。
Private Sub Workbook_BeforeClose(Cancel As Boolean)
Me.Close SaveChanges:=False
End Sub
このコードを「ThisWorkbook」オブジェクトに追加すると、ファイルを閉じる際に自動的に保存ダイアログが抑制されます。
これで、VBAコードを使用してExcelファイルの保存ダイアログを抑制する方法が完了です。
設定変更の結果
各方法を試した結果、Excelの保存ダイアログがどのように変わるかを説明します。
Excelの設定変更の結果
Excelの設定を変更して「Backstageを表示しない」にチェックを入れることで、従来の「名前をつけて保存」ダイアログが再び表示されるようになります。これにより、クラウド保存の通知がなくなり、従来の保存方法に戻ることができます。
クラウド自動保存を無効にした結果
クラウド自動保存機能を無効にし、「デフォルトでコンピュータに保存」オプションを選択することで、ファイルの保存先がローカルに設定され、クラウドへの自動保存が行われなくなります。これにより、クラウドへの不必要なバックアップが避けられ、ローカルファイルの管理がしやすくなります。
VBAコード使用の結果
VBAコードを使用して保存ダイアログを抑制する方法では、特定のファイルに対して保存ダイアログが表示されなくなります。この方法を使用すると、特定のファイルを閉じる際に自動的に変更内容を保存せずに閉じることが可能です。特に大量のファイルを処理する場合に便利です。
注意点
VBAコードを使用する場合、コードの誤用や誤動作によってデータが失われる可能性があるため、慎重に使用する必要があります。また、他のユーザーと共有する場合は、コードの動作について十分に説明しておくことが重要です。
これらの方法を適用することで、Excelの保存ダイアログを従来の状態に戻し、作業効率を向上させることができます。それぞれの方法の結果を確認し、自分に最適な設定を選択してください。
まとめ
Excelの保存ダイアログを従来の「名前をつけて保存」に戻すために、いくつかの方法をご紹介しました。以下がそれぞれの方法の要点です。
Excelの設定を変更する
Excelの設定を変更することで、従来の保存ダイアログを再び表示させることができます。この方法は簡単かつ確実で、多くのユーザーに適しています。
クラウド自動保存を無効にする
クラウドへの自動保存機能を無効にし、ファイルのデフォルト保存先をローカルに設定することで、クラウドに不必要に保存されることを防ぎます。ローカル保存を優先したいユーザーにはこの方法がお勧めです。
VBAコードを使用する
VBAコードを使って特定のファイルに対する保存ダイアログを抑制する方法は、特定の条件下で便利ですが、慎重に使用する必要があります。特に多くのファイルを一度に処理する場合に有効です。
以上の方法を試して、ご自身の作業環境に最適な設定を見つけてください。それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますが、最適な方法を見つけることで、Excelでの作業効率が大幅に向上するでしょう。
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