PHPでクラス内にメソッドを定義する方法をわかりやすく解説

PHPでプログラミングを行う際、クラスとメソッドを使用することでコードの再利用性や保守性が大幅に向上します。クラスはオブジェクト指向プログラミング(OOP)の中心的な要素であり、メソッドはそのクラス内に定義される関数のような役割を果たします。これにより、データとそれに関連する処理を一つにまとめて扱うことが可能になります。本記事では、PHPのクラス内にメソッドを定義する方法について、基礎から応用までをわかりやすく解説します。まずは、クラスとオブジェクトの基礎知識から学びましょう。

目次

クラスとオブジェクトの基礎知識

オブジェクト指向プログラミングにおいて、クラスとはオブジェクトの設計図のようなもので、データ(プロパティ)と処理(メソッド)をまとめて管理するための構造です。PHPではクラスを使用してオブジェクトを作成し、プログラム内で複数のオブジェクトを扱うことができます。

クラスの定義とオブジェクトの生成

PHPではclassキーワードを使ってクラスを定義し、そのクラスからnewキーワードを用いてオブジェクトを生成します。以下のコードは、簡単なクラスとオブジェクトの生成の例です。

class Car {
    public $color;
    public $brand;

    public function showDetails() {
        echo "This car is a " . $this->color . " " . $this->brand . ".";
    }
}

$myCar = new Car(); // オブジェクトの生成
$myCar->color = "red"; // プロパティの設定
$myCar->brand = "Toyota";
$myCar->showDetails(); // メソッドの呼び出し

この例では、Carというクラスを定義し、そのクラスから$myCarというオブジェクトを生成しています。オブジェクトのプロパティに値を設定し、メソッドを呼び出して情報を表示することができます。

クラスとオブジェクトの関係

クラスはあくまで設計図であり、実際のデータを持つのはオブジェクトです。複数のオブジェクトを同じクラスから作成することで、共通の構造を持つ異なるデータを効率的に扱えるようになります。これにより、プログラムの再利用性が向上し、保守性が高まります。

メソッドとは何か

メソッドとは、クラス内で定義される関数のことを指します。通常の関数と同様に処理を記述しますが、メソッドは特定のクラスに関連付けられているため、そのクラスのオブジェクトを通じてアクセスされます。メソッドを使用することで、クラスのデータ(プロパティ)を操作したり、特定の処理をカプセル化して再利用することができます。

関数とメソッドの違い

PHPにおける関数とメソッドには以下の違いがあります:

  • 関数:グローバルに定義され、どこからでも呼び出すことができる。
  • メソッド:クラス内に定義され、そのクラスのオブジェクトを通じて呼び出す必要がある。

メソッドはクラスの一部として動作するため、そのクラスが持つデータ(プロパティ)に直接アクセスできる点が特徴です。たとえば、次のコードのように$thisキーワードを使ってクラスのプロパティを参照できます。

class Person {
    public $name;

    public function sayHello() {
        echo "Hello, my name is " . $this->name . ".";
    }
}

$person = new Person();
$person->name = "John";
$person->sayHello(); // "Hello, my name is John." と出力

この例では、sayHelloメソッドがクラスのnameプロパティにアクセスしています。

メソッドを定義する際のポイント

メソッドを定義する際には、クラス内でどのような処理を行うかを明確にすることが重要です。また、メソッドの名前は、その機能が分かりやすいものにすることで、コードの可読性が向上します。メソッドの適切な定義は、オブジェクト指向プログラミングの設計において重要な役割を果たします。

メソッドの定義方法

PHPでメソッドを定義する際には、functionキーワードを使用します。メソッドはクラスの中に書かれ、クラスの一部として動作します。メソッドの定義には、アクセス修飾子(public、private、protected)を指定することも重要です。

基本的なメソッドの定義

メソッドを定義する基本的な構文は次のとおりです。

class Example {
    public function sayHello() {
        echo "Hello, world!";
    }
}

$example = new Example();
$example->sayHello(); // "Hello, world!" と出力

この例では、sayHelloという名前のメソッドを定義し、publicアクセス修飾子を使っています。これにより、オブジェクトを通じて外部からメソッドを呼び出すことが可能です。

アクセス修飾子によるメソッドの制御

メソッドにアクセス修飾子を指定することで、そのメソッドの使用範囲を制御できます。以下はアクセス修飾子の基本的な使い方です:

  • public:クラスの外部からもアクセス可能です。
  • private:そのクラス内でのみアクセス可能です。
  • protected:そのクラスおよびそのクラスを継承したサブクラスからアクセス可能です。
class Example {
    private function privateMethod() {
        echo "This is a private method.";
    }

    public function publicMethod() {
        $this->privateMethod(); // クラス内からはprivateメソッドを呼び出せる
        echo "This is a public method.";
    }
}

$example = new Example();
$example->publicMethod(); // "This is a private method. This is a public method." と出力
// $example->privateMethod(); // エラー: privateメソッドには直接アクセスできない

この例では、privateMethodprivateアクセス修飾子を持つため、クラス外部から直接呼び出すことができませんが、クラス内では問題なく利用できます。

引数と戻り値を持つメソッド

メソッドは引数を受け取ることも、戻り値を返すこともできます。これにより、メソッドの柔軟性と汎用性が高まります。

class Calculator {
    public function add($a, $b) {
        return $a + $b;
    }
}

$calculator = new Calculator();
$result = $calculator->add(5, 3); // $resultは8になる

この例では、addメソッドが2つの引数を受け取り、その合計を返しています。引数と戻り値を利用することで、メソッドの機能を効果的に拡張することができます。

アクセス修飾子の使い方

アクセス修飾子は、クラス内のメソッドやプロパティへのアクセス範囲を制御するためのキーワードです。PHPでは、publicprivateprotectedの3つのアクセス修飾子が用意されており、それぞれの役割と使い方を理解することで、コードのセキュリティや再利用性を向上させることができます。

public

publicアクセス修飾子を使用すると、クラス外部からでもそのメソッドやプロパティにアクセスすることができます。多くの場合、クラスのインターフェースとして外部に公開したいメソッドにはpublicが指定されます。

class Car {
    public $brand;

    public function showBrand() {
        echo "This car is a " . $this->brand . ".";
    }
}

$car = new Car();
$car->brand = "Toyota"; // クラス外部からプロパティにアクセス
$car->showBrand(); // "This car is a Toyota." と出力

この例では、brandプロパティとshowBrandメソッドがpublicで定義されており、クラス外部からアクセス可能です。

private

privateアクセス修飾子を使用すると、そのメソッドやプロパティはクラス内部からのみアクセス可能です。外部からは直接アクセスできないため、データの不正な変更や操作を防ぐのに役立ちます。

class BankAccount {
    private $balance = 0;

    public function deposit($amount) {
        if ($amount > 0) {
            $this->balance += $amount;
        }
    }

    public function getBalance() {
        return $this->balance;
    }
}

$account = new BankAccount();
$account->deposit(100);
echo $account->getBalance(); // 100 と出力
// $account->balance = 500; // エラー: privateプロパティには直接アクセスできない

この例では、balanceプロパティがprivateで定義されているため、外部から直接アクセスできません。depositメソッドを通じてのみ変更可能です。

protected

protectedアクセス修飾子を使用すると、そのメソッドやプロパティはクラス自身およびそのクラスを継承したサブクラスからのみアクセス可能です。クラス外部からは直接アクセスできませんが、継承関係にあるクラスで共有する必要があるデータに便利です。

class Animal {
    protected $name;

    public function setName($name) {
        $this->name = $name;
    }
}

class Dog extends Animal {
    public function speak() {
        echo "Woof! My name is " . $this->name . ".";
    }
}

$dog = new Dog();
$dog->setName("Buddy");
$dog->speak(); // "Woof! My name is Buddy." と出力

この例では、nameプロパティがprotectedで定義されているため、Dogクラスからアクセスできますが、クラス外部から直接アクセスすることはできません。

アクセス修飾子を使い分ける際のポイント

  • public:クラスの外部に公開する必要があるメソッドやプロパティに使用します。
  • private:クラス内でのみ利用され、外部からのアクセスを防ぐ必要がある場合に使用します。
  • protected:継承関係にあるクラス間で共有する必要がある場合に使用します。

アクセス修飾子を適切に使い分けることで、クラスの設計がより安全で柔軟になります。

メソッドの引数と戻り値

メソッドの引数と戻り値を利用することで、より柔軟で再利用可能なコードを記述することができます。PHPのメソッドは、引数を通じて外部からデータを受け取り、必要に応じて処理結果を戻り値として返すことができます。

引数の使用方法

メソッドに引数を設定することで、外部から値を受け取ることができます。引数はメソッドの定義時にカッコ内に記述し、呼び出し時に渡される値がその引数に格納されます。

class Greeting {
    public function sayHello($name) {
        echo "Hello, " . $name . "!";
    }
}

$greeting = new Greeting();
$greeting->sayHello("Alice"); // "Hello, Alice!" と出力

この例では、sayHelloメソッドが$nameという引数を受け取り、その値を使って挨拶メッセージを出力しています。引数は複数指定することも可能です。

デフォルト値を持つ引数

引数にはデフォルト値を設定することができ、呼び出し時に値が渡されなかった場合にそのデフォルト値が使用されます。

class Greeting {
    public function sayHello($name = "Guest") {
        echo "Hello, " . $name . "!";
    }
}

$greeting = new Greeting();
$greeting->sayHello(); // "Hello, Guest!" と出力
$greeting->sayHello("Bob"); // "Hello, Bob!" と出力

ここでは、引数$nameにデフォルト値として"Guest"を指定しています。

戻り値の使用方法

メソッドはreturnキーワードを使って呼び出し元に値を返すことができます。これにより、メソッドの処理結果を外部で利用することが可能になります。

class Calculator {
    public function add($a, $b) {
        return $a + $b;
    }
}

$calculator = new Calculator();
$result = $calculator->add(5, 3);
echo $result; // 8 と出力

この例では、addメソッドが引数$a$bの合計を計算し、その結果を戻り値として返しています。

戻り値の型指定

PHPでは、戻り値の型を明示的に指定することもできます。これにより、メソッドが特定の型のデータを返すことを保証できます。

class Calculator {
    public function add(int $a, int $b): int {
        return $a + $b;
    }
}

$calculator = new Calculator();
echo $calculator->add(5, 3); // 8 と出力

この例では、戻り値の型をintに指定することで、addメソッドが整数値を返すことが保証されています。

引数と戻り値を効果的に使うポイント

  • 引数の利用:外部からデータを受け取り、メソッド内で処理するために引数を活用します。
  • デフォルト値:引数にデフォルト値を設定することで、柔軟な呼び出し方が可能になります。
  • 戻り値の利用:計算結果や処理結果を呼び出し元に返し、他の処理でその結果を利用できるようにします。
  • 型指定:引数や戻り値の型を指定することで、コードの安全性と可読性を向上させます。

引数と戻り値を適切に使い分けることで、より洗練されたメソッドを作成することができます。

静的メソッドの定義と使用

静的メソッドは、オブジェクトを生成せずにクラス名を通じて直接呼び出せるメソッドです。PHPでは、staticキーワードを使用して静的メソッドを定義します。通常のメソッドとは異なり、静的メソッドはクラス全体で共有されるため、特定のオブジェクトの状態に依存しない処理を実装するのに適しています。

静的メソッドの定義

静的メソッドを定義するには、staticキーワードをfunctionの前に付けます。以下の例では、staticMethodという名前の静的メソッドを定義しています。

class MathUtility {
    public static function add($a, $b) {
        return $a + $b;
    }
}

// クラス名を使って静的メソッドを呼び出す
$result = MathUtility::add(5, 3);
echo $result; // 8 と出力

この例では、MathUtilityクラスのaddメソッドをオブジェクトのインスタンスを作成せずに直接呼び出しています。

静的メソッドの使いどころ

静的メソッドは、次のような場面で役立ちます:

  • ユーティリティ関数:特定のオブジェクトの状態に依存しない、計算やデータ処理のための共通関数を提供する場合。
  • クラスレベルの設定や構成の管理:アプリケーション全体で一意の設定値を管理するための静的メソッド。
  • ファクトリメソッドの実装:特定のクラスのオブジェクトを生成するための工場(ファクトリ)メソッドの実装。

静的プロパティとの併用

静的メソッドは、クラス内の静的プロパティと併用することで、クラスレベルでデータを保持したり操作したりできます。静的プロパティもstaticキーワードを使って定義され、クラス全体で共有されます。

class Counter {
    private static $count = 0;

    public static function increment() {
        self::$count++;
    }

    public static function getCount() {
        return self::$count;
    }
}

Counter::increment();
Counter::increment();
echo Counter::getCount(); // 2 と出力

この例では、Counterクラスの静的プロパティ$countを静的メソッドincrementgetCountを使って操作しています。self::を使ってクラス内の静的プロパティを参照することがポイントです。

静的メソッドの注意点

静的メソッドにはいくつかの制限があります:

  • $thisを使用できない:静的メソッド内では$thisキーワードを使ってクラスのインスタンスにアクセスすることはできません。オブジェクト固有のプロパティやメソッドを操作する場合は、通常のメソッドを使用する必要があります。
  • 依存性の注入が難しい:静的メソッドはインスタンスに依存しないため、依存性の注入を行うには工夫が必要です。

静的メソッドを使うべきケースと避けるべきケース

  • 使うべきケース:ユーティリティ関数やクラスレベルで共有される処理、設定の管理、ファクトリメソッドなど、オブジェクトの状態に依存しない処理を行う場合。
  • 避けるべきケース:オブジェクト固有のデータを操作する処理や依存性が多い処理。こういった場合は、通常のインスタンスメソッドを使用する方が適しています。

静的メソッドを適切に使うことで、コードの効率性や読みやすさが向上しますが、その特性を理解して使いどころを選ぶことが大切です。

コンストラクタとデストラクタ

PHPのクラスにおいて、オブジェクトが生成されたときや破棄されるときに自動的に実行される特別なメソッドが、コンストラクタとデストラクタです。これらを使うことで、オブジェクトの初期化や後片付けを行うことができます。

コンストラクタ

コンストラクタは、クラスからオブジェクトが生成されたときに自動的に呼び出されるメソッドです。オブジェクトの初期化に役立ち、通常、オブジェクトのプロパティに初期値を設定するために使用されます。PHPでは、__constructという名前のメソッドを使ってコンストラクタを定義します。

class Person {
    public $name;
    public $age;

    // コンストラクタの定義
    public function __construct($name, $age) {
        $this->name = $name;
        $this->age = $age;
    }

    public function introduce() {
        echo "Hello, my name is " . $this->name . " and I am " . $this->age . " years old.";
    }
}

$person = new Person("Alice", 25);
$person->introduce(); // "Hello, my name is Alice and I am 25 years old." と出力

この例では、Personクラスのコンストラクタが引数$name$ageを受け取り、それらをクラスのプロパティに設定しています。オブジェクト生成時に自動的にコンストラクタが呼び出されるため、簡潔に初期化処理を行うことができます。

デストラクタ

デストラクタは、オブジェクトが破棄される直前に自動的に呼び出されるメソッドです。PHPでは、__destructという名前のメソッドを使ってデストラクタを定義します。デストラクタは、リソースの解放やログの記録など、後片付けが必要な処理を実行するのに役立ちます。

class FileHandler {
    private $fileHandle;

    // コンストラクタでファイルを開く
    public function __construct($fileName) {
        $this->fileHandle = fopen($fileName, 'w');
        echo "File opened.\n";
    }

    // デストラクタでファイルを閉じる
    public function __destruct() {
        fclose($this->fileHandle);
        echo "File closed.\n";
    }
}

$fileHandler = new FileHandler("example.txt");
// ファイルの操作を実行
// スクリプトの終了時に自動的にデストラクタが呼び出され、ファイルが閉じられる

この例では、FileHandlerクラスのコンストラクタでファイルを開き、デストラクタでファイルを閉じています。スクリプトの終了時やオブジェクトが明示的に破棄される際に、__destructメソッドが自動的に実行されます。

コンストラクタとデストラクタの使いどころ

  • コンストラクタの主な用途
  • オブジェクトのプロパティに初期値を設定する。
  • リソース(データベース接続、ファイルハンドルなど)を初期化する。
  • 必要な初期設定を行う。
  • デストラクタの主な用途
  • 開いたリソース(ファイル、データベース接続など)を解放する。
  • 一時データの削除やセッションの終了処理を行う。
  • オブジェクトの破棄時に必要な後処理を行う。

コンストラクタとデストラクタの注意点

  • コンストラクタが複雑になりすぎないようにする:初期化処理が多すぎるとメソッドが肥大化するため、適切な役割分担を考慮することが重要です。
  • デストラクタでのエラーハンドリング:デストラクタ内でエラーが発生しても例外をスローすることは避けるべきです。代わりに、ログを記録するなどの手法で処理するのが良いでしょう。

コンストラクタとデストラクタを活用することで、オブジェクトのライフサイクルを管理しやすくなり、コードの品質を向上させることができます。

メソッドのオーバーロードとオーバーライド

PHPにおけるオブジェクト指向プログラミングでは、メソッドのオーバーロードとオーバーライドという技術が重要な役割を果たします。これらを理解することで、コードの柔軟性と再利用性を向上させることができます。

メソッドのオーバーロード

メソッドのオーバーロードとは、同じ名前のメソッドを異なる引数の組み合わせで定義することを指します。しかし、PHPでは他の言語のような正式なメソッドのオーバーロード機能はサポートされていません。代わりに、可変長引数や引数の数に応じた条件分岐を使って、オーバーロードのような動作を実現できます。

class Calculator {
    public function add($a, $b, $c = 0) {
        return $a + $b + $c;
    }
}

$calculator = new Calculator();
echo $calculator->add(5, 3); // 8 と出力
echo $calculator->add(5, 3, 2); // 10 と出力

この例では、addメソッドが引数を2つまたは3つ受け取ることができ、3つ目の引数が省略された場合はデフォルト値として0が使用されます。

可変長引数を使用したオーバーロードの実現

可変長引数(...)を使用することで、任意の数の引数を受け取るメソッドを定義できます。

class MathUtility {
    public function sum(...$numbers) {
        return array_sum($numbers);
    }
}

$utility = new MathUtility();
echo $utility->sum(1, 2, 3); // 6 と出力
echo $utility->sum(4, 5); // 9 と出力

この例では、sumメソッドが可変長引数を使用して任意の数の引数を受け取り、それらの合計を返しています。

メソッドのオーバーライド

メソッドのオーバーライドは、親クラスで定義されたメソッドをサブクラスで再定義することを指します。これにより、親クラスのメソッドを継承しつつ、サブクラスで特定の処理を上書きすることが可能になります。

class Animal {
    public function speak() {
        echo "The animal makes a sound.";
    }
}

class Dog extends Animal {
    public function speak() {
        echo "Woof! Woof!";
    }
}

$animal = new Animal();
$animal->speak(); // "The animal makes a sound." と出力

$dog = new Dog();
$dog->speak(); // "Woof! Woof!" と出力

この例では、DogクラスがAnimalクラスのsp​eakメソッドをオーバーライドして、特定の動物の鳴き声を出力しています。

オーバーライド時の`parent`キーワードの使用

オーバーライドされたメソッド内で親クラスのメソッドを呼び出す場合は、parent::を使います。

class Bird extends Animal {
    public function speak() {
        parent::speak(); // 親クラスのメソッドを呼び出す
        echo " Chirp! Chirp!";
    }
}

$bird = new Bird();
$bird->speak(); // "The animal makes a sound. Chirp! Chirp!" と出力

この例では、Birdクラスのsp​eakメソッド内でparent::speak()を使って親クラスのメソッドを呼び出し、その後に独自のメッセージを追加しています。

オーバーロードとオーバーライドの使い分け

  • オーバーロード(PHPでの実現方法):引数の数や型に応じた異なる処理が必要な場合に使用します。正式なオーバーロード機能がないため、引数の数や型に基づく条件分岐や可変長引数を利用します。
  • オーバーライド:親クラスのメソッドをサブクラスで特定の動作に変更したい場合に使用します。ポリモーフィズムを実現するための重要な技術です。

注意点

  • オーバーライド時にアクセス修飾子を変更しない:親クラスのメソッドをオーバーライドする際には、アクセス修飾子を変えないことが推奨されます。
  • finalキーワードの利用:オーバーライドを禁止したいメソッドにはfinalキーワードを付けて定義します。

オーバーロードとオーバーライドを理解し、適切に使い分けることで、クラス設計の柔軟性とメンテナンス性が向上します。

実践例:簡単なクラスとメソッドの作成

ここでは、実際にクラスとメソッドを使ってPHPのオブジェクト指向プログラミングを体験できるようなコード例を紹介します。基本的なクラスの作成から、メソッドの定義、プロパティの操作までを実際のコードで解説します。

基本的なクラスとメソッドの作成

まず、シンプルなクラスを作成し、そのクラスにメソッドを追加してみましょう。今回は、Bookというクラスを例にします。

class Book {
    public $title;
    public $author;

    // コンストラクタ
    public function __construct($title, $author) {
        $this->title = $title;
        $this->author = $author;
    }

    // メソッド: 書籍情報を表示する
    public function displayInfo() {
        echo "Title: " . $this->title . ", Author: " . $this->author . "\n";
    }

    // メソッド: 著者名を変更する
    public function setAuthor($newAuthor) {
        $this->author = $newAuthor;
    }
}

// オブジェクトの生成
$book1 = new Book("1984", "George Orwell");
$book1->displayInfo(); // "Title: 1984, Author: George Orwell" と出力

// 著者名を変更
$book1->setAuthor("Eric Arthur Blair");
$book1->displayInfo(); // "Title: 1984, Author: Eric Arthur Blair" と出力

この例では、Bookクラスを作成し、コンストラクタを用いて書籍のタイトルと著者を初期化しています。また、displayInfoメソッドで書籍情報を表示し、setAuthorメソッドで著者名を変更できるようにしています。

アクセス修飾子の活用

次に、プロパティのアクセス範囲を制御するためにアクセス修飾子を活用してみましょう。privateアクセス修飾子を使用して、プロパティをクラス外部から直接変更できないようにします。

class SecureBook {
    private $title;
    private $author;

    // コンストラクタ
    public function __construct($title, $author) {
        $this->title = $title;
        $this->author = $author;
    }

    // メソッド: 書籍情報を表示する
    public function displayInfo() {
        echo "Title: " . $this->title . ", Author: " . $this->author . "\n";
    }

    // メソッド: 著者名を変更する
    public function setAuthor($newAuthor) {
        $this->author = $newAuthor;
    }

    // メソッド: タイトルを取得する
    public function getTitle() {
        return $this->title;
    }
}

// オブジェクトの生成
$book2 = new SecureBook("Brave New World", "Aldous Huxley");
$book2->displayInfo(); // "Title: Brave New World, Author: Aldous Huxley" と出力

// タイトルを取得
echo "The book title is: " . $book2->getTitle() . "\n";

// $book2->title = "New Title"; // エラー: privateプロパティには直接アクセスできない

ここでは、titleauthorプロパティをprivateにして、外部から直接アクセスできないようにしています。代わりに、getTitleメソッドを使ってタイトルを取得する方法を提供しています。

継承を使用したクラスの拡張

クラスを拡張して新しい機能を追加する方法として、継承を使用することができます。次の例では、EbookクラスをSecureBookクラスから継承し、電子書籍用の新しいプロパティとメソッドを追加します。

class Ebook extends SecureBook {
    private $fileSize;

    public function __construct($title, $author, $fileSize) {
        parent::__construct($title, $author);
        $this->fileSize = $fileSize;
    }

    // メソッド: ファイルサイズを表示する
    public function displayFileSize() {
        echo "File size: " . $this->fileSize . " MB\n";
    }
}

// オブジェクトの生成
$ebook = new Ebook("The Great Gatsby", "F. Scott Fitzgerald", 1.5);
$ebook->displayInfo(); // "Title: The Great Gatsby, Author: F. Scott Fitzgerald" と出力
$ebook->displayFileSize(); // "File size: 1.5 MB" と出力

この例では、EbookクラスがSecureBookクラスを継承し、新たにfileSizeプロパティとdisplayFileSizeメソッドを追加しています。parent::__construct()を使用して親クラスのコンストラクタを呼び出し、基本情報を初期化しています。

実践的な応用例

クラスとメソッドを使って、現実のシナリオをシミュレーションすることも可能です。例えば、図書館の蔵書管理システムやオンラインショッピングのカートシステムなどで役立ちます。以下のように、PHPのオブジェクト指向機能を使いこなすことで、複雑なシステムを簡潔かつ効率的に設計できます。

これらの例を実践しながら、PHPにおけるクラスとメソッドの活用方法を学んでください。実際のプロジェクトでオブジェクト指向プログラミングを適用するための基礎が身につくでしょう。

メソッドの演習問題

学んだ内容をより深く理解するために、PHPのクラスとメソッドに関するいくつかの演習問題を通して実践的なスキルを磨きましょう。各問題では、解決方法を考えながら実際にコードを書いてみてください。

演習1: シンプルなクラスとメソッドの作成

以下の要件を満たすRectangleクラスを作成してください:

  • widthheightという2つのプロパティを持つ。
  • コンストラクタでwidthheightを初期化する。
  • 面積を計算して返すcalculateAreaメソッドを作成する。
// ここにコードを書いてください
class Rectangle {
    public $width;
    public $height;

    public function __construct($width, $height) {
        $this->width = $width;
        $this->height = $height;
    }

    public function calculateArea() {
        return $this->width * $this->height;
    }
}

// テストコード
$rect = new Rectangle(5, 10);
echo "Area: " . $rect->calculateArea(); // "Area: 50" と出力

演習2: アクセス修飾子を使ったプロパティの保護

上記のRectangleクラスを改良して、widthheightprivateプロパティに変更し、値を設定するsetWidthおよびsetHeightメソッド、値を取得するgetWidthおよびgetHeightメソッドを追加してください。

// ここにコードを書いてください
class Rectangle {
    private $width;
    private $height;

    public function __construct($width, $height) {
        $this->width = $width;
        $this->height = $height;
    }

    public function setWidth($width) {
        $this->width = $width;
    }

    public function setHeight($height) {
        $this->height = $height;
    }

    public function getWidth() {
        return $this->width;
    }

    public function getHeight() {
        return $this->height;
    }

    public function calculateArea() {
        return $this->width * $this->height;
    }
}

// テストコード
$rect = new Rectangle(5, 10);
$rect->setWidth(7);
echo "Width: " . $rect->getWidth(); // "Width: 7" と出力
echo "Area: " . $rect->calculateArea(); // "Area: 70" と出力

演習3: 継承を使ってクラスを拡張

Rectangleクラスを継承して、新たにColoredRectangleクラスを作成してください。このクラスは、colorプロパティを持ち、displayInfoメソッドで色と面積を出力する機能を追加します。

// ここにコードを書いてください
class ColoredRectangle extends Rectangle {
    private $color;

    public function __construct($width, $height, $color) {
        parent::__construct($width, $height);
        $this->color = $color;
    }

    public function displayInfo() {
        echo "Color: " . $this->color . ", Area: " . $this->calculateArea() . "\n";
    }
}

// テストコード
$coloredRect = new ColoredRectangle(4, 8, "blue");
$coloredRect->displayInfo(); // "Color: blue, Area: 32" と出力

演習4: 静的メソッドを使ったユーティリティクラスの作成

MathHelperというクラスを作成し、以下の静的メソッドを実装してください:

  • add($a, $b):2つの数値を加算して返す。
  • subtract($a, $b):2つの数値を減算して返す。
  • multiply($a, $b):2つの数値を掛け算して返す。
  • divide($a, $b):2つの数値を割り算して返す。ただし、0で割ろうとした場合はエラーメッセージを返す。
// ここにコードを書いてください
class MathHelper {
    public static function add($a, $b) {
        return $a + $b;
    }

    public static function subtract($a, $b) {
        return $a - $b;
    }

    public static function multiply($a, $b) {
        return $a * $b;
    }

    public static function divide($a, $b) {
        if ($b == 0) {
            return "Error: Division by zero.";
        }
        return $a / $b;
    }
}

// テストコード
echo MathHelper::add(5, 3); // 8 と出力
echo MathHelper::divide(10, 0); // "Error: Division by zero." と出力

これらの演習問題に取り組むことで、PHPのオブジェクト指向プログラミングの理解が深まり、クラスやメソッドの効果的な使い方が身につくでしょう。コードを実際に書いてみて、さまざまなシナリオに応じた実装を試してみてください。

まとめ

本記事では、PHPでのクラス内にメソッドを定義する方法について、基本から応用までを解説しました。クラスとオブジェクトの基礎知識、メソッドの定義方法やアクセス修飾子の使い方、さらに静的メソッド、コンストラクタとデストラクタ、オーバーロードとオーバーライドの概念など、幅広い内容をカバーしました。

実践的なコード例や演習問題を通じて、オブジェクト指向プログラミングの基本的な考え方とPHPでの実装方法を理解するための基礎が身についたと思います。これらの知識を活用して、実際のプロジェクトで効果的にクラスとメソッドを設計し、柔軟でメンテナンス性の高いコードを作成してください。

コメント

コメントする

目次