Valorantなどのゲームを遊ぶために「メモリ整合性(コア分離 / HVCI)」を有効化したら、再起動後にブルースクリーン(BSOD)でループして起動不能…。この記事では、その状態から安全にWindowsを復旧しつつ、最終的にメモリ整合性を安定してONにするまでの手順を、原因分析も含めて詳しく解説します。
メモリ整合性(HVCI)とは?なぜBSODの原因になるのか
まず、「メモリ整合性(HVCI)」が何をしているのかを知っておくと、なぜBSODになるのか理解しやすくなります。
- 正式名称:Hypervisor-protected Code Integrity(HVCI)
- 場所:Windows セキュリティ > デバイス セキュリティ > コア分離の詳細
- 役割:カーネルドライバーなどのコードを仮想化ベースのセキュリティ(VBS)上で厳しく検証する機能
平たく言うと、「カーネルに読み込まれるドライバーがちゃんと署名されていて安全か、仮想化の仕組みを使って常にチェックする」イメージです。
その結果、以下のようなドライバーが混ざっていると、読み込み時点でOSが落ちる=BSODになります。
- 古い署名形式のドライバー
- 非公式・独自のカーネルドライバー
- 昔の仮想化ソフト・周辺機器ユーティリティのドライバー
- 古いアンチチートやセキュリティ製品の残骸ドライバー
特に、Valorant などのカーネルレベルのアンチチート、仮想化ソフト(VirtualBox/VMwareなど)、古いGPUドライバー、マザーボードメーカーの古いユーティリティが同時に入っていると、衝突しやすくなります。
| 症状 | 想定される主な原因 | 確認する場所 | 主な対処 |
|---|---|---|---|
| メモリ整合性ON直後にBSOD | HVCI非対応または互換性のないカーネルドライバー | コア分離の詳細「互換性のないドライバー」 | 該当ドライバーの更新・削除 |
| 自動修復ループ / SrtTrail.txt | 起動時に読み込まれるドライバーのクラッシュ | C:\Windows\System32\LogFiles\Srt\SrtTrail.txt | セーフモード起動、問題ドライバーの無効化/削除 |
| セーフモードも不可 | ハイパーバイザー自体が起動直後に落ちる | bcdedit 設定 | hypervisorlaunchtype を一時的に off |
まずはWindowsを起動できる状態に戻す(最優先)
メモリ整合性をONにした結果、BSODでループしているなら、最初にやるべきことは「メモリ整合性をいったんOFFに戻す」ことです。そのために、セーフモードやWinREを使って起動を取り戻します。
セーフモードで起動できる場合
以下の操作は、Windows 11 / 10 共通のイメージです。
- 電源ボタン長押しで強制オフ → 再度電源オンを数回繰り返し、自動修復画面(WinRE)を表示させる。
- 「トラブルシューティング」 > 「詳細オプション」 > 「スタートアップ設定」 > 「再起動」を選択。
- 再起動後の選択画面で 4 または F4(セーフモード) を選ぶ。
セーフモードに入れたら、デスクトップに到達したタイミングで以下を実施します。
- 「スタート」 >「設定」 >「プライバシーとセキュリティ」 >「Windows セキュリティ」
- 「デバイス セキュリティ」 >「コア分離の詳細」
- メモリ整合性をオフにして再起動
これで通常起動に戻れるかを確認します。元に戻ったら、次の章以降の「環境整備」を進めていきます。
セーフモードにも入れない場合:ハイパーバイザーを一時的に止める
メモリ整合性をONにした結果、そもそもハイパーバイザー(Hyper-V)が起動した瞬間に落ちているケースでは、セーフモードすら起動しないことがあります。その場合は、WinREのコマンドプロンプトからハイパーバイザーを一時的に停止します。
- WinRE(自動修復画面)を開く。
- 「トラブルシューティング」 >「詳細オプション」 >「コマンド プロンプト」を選択。
- 以下のコマンドを入力してEnter:
bcdedit /set hypervisorlaunchtype off
そのまま exit と入力してコマンドプロンプトを閉じ、再起動します。
これでハイパーバイザーが起動しなくなるため、多くの環境で通常のWindowsが起動できるようになります。
後ほどメモリ整合性を再チャレンジするタイミングで、設定を元に戻します。
bcdedit /set hypervisorlaunchtype auto
なお、SrtTrail.txt が生成されているからといって、必ずしもOSファイルが壊れているわけではありません。
多くの場合は「起動時に読み込まれるカーネルドライバーがHVCIと衝突している」だけです。
HVCI対応の環境に整える:再発防止のための準備
Windowsが通常起動できるようになったら、「HVCIをONにしても落ちない状態」へ環境を整える作業に入ります。これをサボると、再度メモリ整合性をONにした時に同じBSODが再発しがちです。
Windows Updateとシステムファイルの整合性チェック
まずはOS側を最新・健全な状態にしておきます。
- 「設定」 >「Windows Update」で、利用可能な更新プログラムをすべて適用する。
可能であれば「その他のオプション」内のオプションの品質更新プログラムも入れておく。 - 管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellを開く。
- システムファイルチェッカーを実行:
sfc /scannow
- 続いてDISMでコンポーネントストアを修復:
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
これで、Windows自体のファイル破損が原因になっている可能性をかなり潰すことができます。
UEFI(BIOS)設定とファームウェアの確認
HVCIを安定して動かすには、CPUの仮想化機能と、セキュアブート周りが正しく有効になっていることが重要です。
- マザーボード / ノートPCの UEFI(BIOS)を最新バージョンに更新
- UEFI設定で以下をEnabledにしておく
- Intel:Intel VT-x、VT-d
- AMD:SVM、IOMMU
- Secure Boot(セキュアブート)を有効化(可能な限りONを推奨)
- 強めのオーバークロック設定は、検証中は一旦リセットまたはマイルドな設定へ
UEFI設定の反映後、Windows側で「タスクマネージャー > パフォーマンス > CPU」を開き、下部に「仮想化:有効」と表示されているか確認しておくと安心です。
互換性のないドライバーを洗い出す
次に、HVCI非対応または古いドライバーを特定していきます。
手順:
- 「設定」 >「プライバシーとセキュリティ」 >「Windows セキュリティ」 >「デバイス セキュリティ」。
- 「コア分離の詳細」を開き、「互換性のないドライバー」が表示されていないか確認。
- 表示されているドライバー名・ファイル名・発行元をメモ。
ここに名前が挙がっているドライバーは、ただちに削除とは限りませんが、優先的に最新版へ更新する/不要ならアンインストールする対象です。
| よく問題になりやすいドライバー・ソフト | 具体例 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| 古いGPUドライバー | NVIDIA / AMD / Intel の旧版ドライバー | DDUなどでクリーンインストールして最新版へ |
| オーディオ & 周辺機器ドライバー | 古いUSBオーディオ、ゲーミングマウス/キーボードのドライバー | ベンダー公式の最新ソフトに入れ替え |
| 仮想化ソフト | 旧版 VirtualBox / VMware、古いAndroidエミュレータ | 最新版へ更新 or 一旦アンインストール |
| VPN / TAPドライバー | 古いVPNクライアント、TAP-Windows Adapterなど | 不要なら削除、必要な場合は最新版へ |
| OC / RGB / 監視ツール | 古いASUS/MSI/Corsairユーティリティなど | 最新バージョンへ更新、不要機能はオフ |
| 古いアンチウイルス/アンチチート残骸 | 昔使っていたセキュリティソフトやゲームのドライバー | 専用アンインストーラーやクリーナーで削除 |
pnputilで不要な旧INFドライバーを整理する
デバイスマネージャーから削除しても、古いドライバーパッケージ自体は残っていることがあります。
その場合は pnputil を使って、古いドライバーを丸ごと削除するのが有効です。
- 管理者としてPowerShellまたはコマンドプロンプトを起動。
- ドライバー一覧をテキストに出力:
pnputil /enum-drivers > %USERPROFILE%\Desktop\drivers.txt
- デスクトップに出力された
drivers.txtをメモ帳などで開き、日付が古い・不要なベンダーのINF名(例:oem23.inf)を控える。 - 以下のように削除(例として oem23.inf の場合):
pnputil /delete-driver oem23.inf /uninstall /force
誤って必要なドライバーを消すとデバイスが動かなくなることもあるため、「明らかに不要」または「別の最新版に置き換わっている」と判断できるものから慎重に削除していきます。
競合しやすいソフトを一時的にアンインストールする
HVCI検証中は、以下のようなソフトをいったんアンインストールしておくと、原因切り分けが早くなります。
- 旧版 VirtualBox / VMware / 古いAndroidエミュレータ
- 古いVPNクライアント(TAPドライバー付き)
- 古い周辺機器ユーティリティ(マザボOCツール・RGBソフトなど)
- 昔使っていたセキュリティソフトやゲームランチャ
メモリ整合性をONにしても安定して起動できる状態が確認できたら、最新版のみを入れ直す形で環境を再構築すると安心です。
クリーンブート状態でメモリ整合性を再度ONにする
OSとドライバーがある程度整ったら、クリーンブート状態でメモリ整合性をONにすると、問題の切り分けがしやすくなります。
クリーンブートの設定
- Win + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、
msconfigと入力。 - 「サービス」タブで、「Microsoft のサービスをすべて隠す」にチェックを入れる。
- 残っているサービスをすべて「無効」にする。
- 「スタートアップ」タブで「タスクマネージャーを開く」をクリックし、起動時に不要なアプリをすべて無効にする。
- PCを再起動。
メモリ整合性をONにして挙動を確認
クリーンブート状態で再起動したら、再度「コア分離の詳細」からメモリ整合性をONにします。
- ONにして再起動 → 正常に起動 → ほぼ環境としてはクリア。
- ONにして再起動 → 再びBSOD → まだ何かしらのドライバーがHVCIと衝突。
正常に起動できるようになった場合は、msconfigの無効化したサービスを少しずつ有効に戻しながら再起動を繰り返し、どのサービス/ソフトを有効にしたタイミングで不具合が再発するかを確認していきます。
それが「犯人候補」です。
それでもメモリ整合性ONでBSODが出る場合の追加対策
ここまでやってもまだBSODが出る場合、より深い層のドライバーやハードウェアを疑います。
GPUドライバーのクリーンインストール(DDU)
ゲームPCでは、GPUドライバーが原因でHVCI有効化時に落ちるケースが少なくありません。特に長期間アップデートしていなかったり、複数社GPUを差し替えた履歴があると要注意です。
- セーフモードで起動。
- Display Driver Uninstaller(DDU)などのツールを使い、GPUドライバーを完全削除。
- 通常起動に戻し、GPUベンダー公式サイトから最新のドライバーをインストール。
- クリーンブート状態でメモリ整合性を再度ONにして確認。
DDUを使う際は、必ず手順どおりにセーフモードで実行するようにします。
仮想化ソフト・エミュレータの共存調整
古いVirtualBoxやVMware、Androidエミュレータなどは、独自の仮想化ドライバーを入れることが多く、HVCIと相性が悪い場合があります。
- 古いバージョンのまま長期間使っている
- インストールとアンインストールを何度も繰り返している
- 複数の仮想化ソフトを並行インストールしている
このような場合は、いったんすべてアンインストール → メモリ整合性が安定してから必要なものだけ最新版を入れ直す方がトラブルを減らせます。
周辺機器ソフト・残骸ドライバーの整理
ゲーミングPCでは、マザーボードメーカーや周辺機器メーカーのユーティリティソフトが多数入っていることが多く、これらがHVCI非対応のドライバーを持っているケースがあります。
- マザーボードメーカーのOCツールやファン制御ソフト
- RGBライティング制御ソフト
- ハードウェア監視ツール(電圧・温度モニタリングなど)
古いバージョンのまま放置している場合は、一度アンインストールし、最新版をメーカーサイトからダウンロードして入れ直すことをおすすめします。
古いバージョンはカーネルドライバーの署名方式が現在の要件と合わず、HVCIで弾かれることがあります。
メモリ診断でハードウェア異常もチェック
頻度は低いですが、物理メモリ(RAM)に問題があると、仮想化ベースのセキュリティを有効化したときだけエラーが顕在化するケースもあります。念のためメモリ診断を行っておくと安心です。
- スタートメニューで「Windows メモリ診断」を検索し起動。
- 「今すぐ再起動して問題の有無を確認する」を選択。
- 診断結果を確認し、エラーが出るようならメモリモジュールの交換を検討。
Valorant(Vanguard)を遊ぶときの注意点
Valorantのアンチチート「Vanguard」は、カーネルレベルで動作するドライバーを持っており、Windows側のセキュリティ機能(Secure Boot / HVCI)との組み合わせがシビアです。
安定させるコツは、次のような「順番」を意識することです。
- Windowsとドライバーをすべて最新版にする。
- UEFIで仮想化機能とSecure Bootを有効化。
- 上記の手順どおり、メモリ整合性(HVCI)を有効にして安定するところまで確認する。
- その状態でValorant / Vanguardをインストールまたは再インストールする。
特に、メモリ整合性を有効にした後でVanguardを入れ直すと、ドライバーの署名とロード順が整理され、安定するケースが多いです。
逆に、HVCIを後からONにすると、既にインストール済みのドライバーが要件を満たさずにBSODを引き起こすことがあります。
ログを集めて原因を特定しやすくする
自力で調査したり、フォーラム等で相談する場合は、以下のログを揃えておくと原因特定のスピードが段違いに上がります。
- ミニダンプファイル
- 場所:
C:\Windows\Minidump - 最新の .dmp ファイルをZIPにまとめて保存。
- 場所:
- イベントビューアーのログ
- イベントビューアー > Windowsログ > システム
- BSODが起きた時間帯の「BugCheck」「volmgr」「イベントID 41」周辺を保存。
- SrtTrail.txt
- 場所:
C:\Windows\System32\LogFiles\Srt\SrtTrail.txt - 自動修復で何が失敗しているかのヒントが記録されていることがあります。
- 場所:
- システム情報(msinfo32)
- Win + R →
msinfo32と入力。 - 「ファイル」 >「保存」で
.nfoファイルとして保存。
- Win + R →
これらのログがあれば、どのドライバーがHVCI有効化時に落としているかの当たりを付けやすくなります。自分で解析できなくても、情報として共有すれば詳しい人に診てもらいやすくなります。
メモリ整合性を諦める前に確認したいこと
どうしてもメモリ整合性をONにするとBSODになってしまう場合でも、いきなり諦めるのではなく、最後に次のポイントを確認しておくと良いでしょう。
- CPUがHVCI(VBS)に正式対応しているか
- かなり古いCPUだと、HVCIが「推奨されない」構成になる場合があります。
- その場合、パフォーマンス低下や不安定さが出やすく、無理にONにするよりも他のセキュリティ対策を厚くする方が現実的なこともあります。
- 業務用ソフトとの兼ね合い
- 古い業務ソフトやドングルドライバーがHVCI非対応で、どうしても置き換えられないケースもあります。
- この場合は、ゲーム用PCと業務PCを分離する、といった構成の見直しも選択肢になります。
それでも多くの一般的なゲーミング環境では、ドライバーとソフトを整理することでHVCIをONにしても問題なく運用できるケースがほとんどです。
まとめ:BSODを回避しながらメモリ整合性を有効化するコツ
最後に、本記事のポイントを整理します。
- 最優先は「起動回復」
- セーフモードで起動してメモリ整合性をOFFに戻す。
- セーフモードすら不可なら
bcdedit /set hypervisorlaunchtype offでハイパーバイザーを一時停止。
- BSODの主因は「古い or 互換性のないドライバー」
- Windows Update、UEFI更新、仮想化とSecure Bootの有効化。
- コア分離の「互換性のないドライバー」を確認し、更新または削除。
pnputilで古いINFドライバーを整理。
- クリーンブートでメモリ整合性を再ON
msconfigで非Microsoftサービスとスタートアップを停止してから再トライ。- 問題なければサービスを少しずつ戻し、犯人ドライバー/ソフトを切り分け。
- それでもダメな場合の重点チェック
- GPUドライバーをDDUでクリーンインストール。
- 古い仮想化ソフト・VPN・周辺機器ソフトを最新版で再構成。
- メモリ診断でハードウェア異常も確認。
- Valorant/Vanguardは「HVCIを有効にしてから入れ直す」と安定しやすい
- 最終的に安定したら、忘れずにハイパーバイザー設定を元に戻す
bcdedit /set hypervisorlaunchtype auto
メモリ整合性(HVCI)は、カーネルレベルの攻撃に強くなる非常に強力なセキュリティ機能です。その反面、古いドライバーが混ざっている環境では、今回のようにBSODとして表面化しやすくなります。
この記事の手順に沿って環境を整理していけば、起動不能のループから抜け出しつつ、最終的にはメモリ整合性を有効にしたままValorantなどのゲームを快適にプレイできる状態に近づけるはずです。

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