メモリ整合性(HVCI)を有効にした後にブルースクリーンが出る場合は、停止コードと直前の変更を記録し、起動回復を優先します。古いドライバーの一括削除や、原因を確認しないハイパーバイザー設定変更は避けてください。この記事は、起動できる場合とできない場合を分け、互換ドライバーの確認からValorantの要件確認までを案内します。
メモリ整合性(HVCI)とは?なぜBSODの原因になるのか
HVCIは仮想化ベースのセキュリティ(VBS)を使い、カーネルモードのコード整合性を保護する機能です。「Windows セキュリティ」→「デバイス セキュリティ」→「コア分離の詳細」で確認できます。
Microsoftの公式説明では、非互換のドライバーやアプリが機器・ソフトの動作不良を起こし、まれに起動時のブルースクリーンにつながるとされています。非互換なら必ずBSODになる、古い日付なら危険、と判断することはできません。
停止コード、画面に表示された.sys名、HVCIを変更した日時、直前に導入した機器・ドライバーを記録します。GPU、周辺機器、仮想化ソフト、VPN、アンチチート等は確認対象になり得ますが、製品が入っているだけでは原因と断定しません。SrtTrail.txtの存在やセーフモードの失敗だけでも、ドライバーやハイパーバイザーに原因を限定できません。
まずはWindowsを起動できる状態に戻す(最優先)
回復操作やUEFI変更の前にBitLocker回復キーを利用できるか確認します。業務・学校の管理端末は管理者へ相談してください。保存できるデータをバックアップし、初期化やドライバーの強制削除を最初に行わないでください。
Windowsにサインインできる場合
Windows セキュリティ→デバイス セキュリティ→コア分離の詳細で、直前に有効にしたメモリ整合性を一時的にオフにすることが、互換性問題の切り分けになる場合があります。ただし保護は低下します。再起動後の結果を記録し、対応ドライバーを確認してから再有効化を検討します。設定が管理されている場合はポリシーを回避しません。
通常起動できない場合:WinREとセーフモード
Windows回復環境の公式手順に従います。サインイン画面が操作できるならShiftを押しながら再起動する方法があります。自動修復が表示されている場合は詳細オプションへ進みます。起動を妨げる強制電源断を何度も繰り返さないでください。
WinREの「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」から、4またはF4でセーフモードを試します。回復キーが求められることがあります。セーフモードでWindows セキュリティの画面が利用できるとは限らないため、画面が出ないときは無理に同じ操作を繰り返さず、復元ポイントからの回復など利用可能な回復方法を確認します。
セーフモードにも入れない場合は、PCメーカーまたは管理者へ停止コードと直前の変更を伝えます。MicrosoftのHVCIトラブルシューティングには回復手順がありますが、ポリシーとUEFIロックの状態で対応が変わります。bcdeditでハイパーバイザーを停止すれば必ず起動する、という汎用手順ではありません。影響する仮想化機能やセキュリティ機能を把握せず、BCDやレジストリを変更しないでください。
HVCI対応の環境に整える:再発防止のための準備
Windowsが通常起動できるようになったら、「HVCIをONにしても落ちない状態」へ環境を整える作業に入ります。変更前の状態と原因候補を整理し、同じ操作だけを繰り返さないようにします。
Windows Updateとシステムファイルの整合性チェック
通常起動できたら、Windows Updateで適用対象の更新と再起動を確認します。プレビュー更新やすべてのオプションドライバーを一括導入する必要はありません。直前の更新後から発生した場合は、その更新とメーカーの既知問題を確認します。
Windowsのシステムファイル破損も疑われる場合に限り、管理者のターミナルでDISM、その完了後にSFCを実行します。これらは非互換の他社ドライバーを対応版に変える処理ではありません。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
UEFI(BIOS)設定とファームウェアの確認
PCメーカーの機種別手順で、ハードウェア仮想化の対応と設定を確認します。タスクマネージャー→パフォーマンス→CPUの「仮想化」は手掛かりですが、それだけでHVCIの互換性全体を証明するものではありません。
VT-x/SVMなどの名称、IOMMUやSecure Bootの要件は構成により異なります。すべてのスイッチを一律に変更せず、必要な要件を確認してください。ファームウェア更新はメーカーが示す対象・注意事項・安定した電源を確認して行います。BitLocker回復キーと復旧手段を準備し、TPMのクリアや無関係なストレージ設定変更はしません。
互換性のないドライバーを洗い出す
次に、HVCIとの互換性を確認すべきドライバーを特定していきます。
手順:
- 「設定」 >「プライバシーとセキュリティ」 >「Windows セキュリティ」 >「デバイス セキュリティ」。
- 「コア分離の詳細」を開き、「互換性のないドライバー」が表示されていないか確認。
- 表示されているドライバー名・ファイル名・発行元をメモ。
ここに名前が挙がっているドライバーは、ただちに削除とは限りませんが、優先的に最新版へ更新する/不要ならアンインストールする対象です。
| 確認対象のドライバー・ソフト | 具体例 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| 古いGPUドライバー | NVIDIA / AMD / Intel の旧版ドライバー | PC・GPUメーカーの対応ドライバーを確認 |
| オーディオ & 周辺機器ドライバー | 古いUSBオーディオ、ゲーミングマウス/キーボードのドライバー | ベンダー公式の最新ソフトに入れ替え |
| 仮想化ソフト | 旧版 VirtualBox / VMware、古いAndroidエミュレータ | 対応版と使用中の仮想マシンへの影響を確認 |
| VPN / TAPドライバー | 古いVPNクライアント、TAP-Windows Adapterなど | 接続や管理への影響を確認し、対応版を管理者に相談 |
| OC / RGB / 監視ツール | 古いASUS/MSI/Corsairユーティリティなど | 最新バージョンへ更新、不要機能はオフ |
| 古いアンチウイルス/アンチチート残骸 | 昔使っていたセキュリティソフトやゲームのドライバー | 製品を特定し、メーカーの正式な削除手順を確認 |
pnputilではまずドライバー情報を確認する
Windows セキュリティに表示された名前と使用製品を照合し、まずWindows Updateまたはメーカー公式の対応版を確認します。Microsoftのドライバー読み込みエラーの案内も、更新された互換ドライバーの確認を勧めています。
管理者のターミナルで、次の読み取りコマンドからサードパーティードライバーパッケージを確認できます。出力の公開名・元の名前・プロバイダー・クラス・バージョン等を見比べます。
pnputil /enum-drivers
PnPUtilの公式仕様で、削除の /uninstall は利用デバイスからのアンインストール、/force は使用中でも削除する指定です。日付が古いという理由だけでINFを選び、強制削除しないでください。必要な機器が使えなくなる可能性があります。削除が必要と判断されたときだけ、製品の通常アンインストールやメーカーの案内、再導入手段を確認して対象を限定します。
アプリの変更は原因候補を絞って行う
VPN、仮想化ソフト、周辺機器ユーティリティ、アンチチートを一括削除しません。表示されたドライバーや発生時期との関係を確認し、対応版への更新を優先します。業務のVPNやセキュリティ製品は管理者の判断で扱います。
クリーンブート状態でメモリ整合性を再度ONにする
クリーンブートは常駐アプリやサービスの影響を比較する方法です。すべてのカーネルドライバーを取り除くものではなく、成功しても原因確定にはなりません。通常起動と回復手段が確保でき、管理者の制限がない場合に検討します。無効化前の状態を記録しておきます。Microsoftのクリーンブート手順を参照し、msconfigのブート詳細オプションは変更しません。比較後は記録したサービス・スタートアップ状態へ戻します。
クリーンブートの設定
- Win + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、
msconfigと入力。 - 「サービス」タブで、「Microsoft のサービスをすべて隠す」にチェックを入れる。
- 残っているサービスをすべて「無効」にする。
- 「スタートアップ」タブで「タスクマネージャーを開く」をクリックし、起動時に不要なアプリをすべて無効にする。
- PCを再起動。
メモリ整合性をONにして挙動を確認
クリーンブート状態で再起動したら、再度「コア分離の詳細」からメモリ整合性をONにします。
- 正常に起動できたら、周辺機器・通常利用するアプリ・ゲームも確認します。起動成功だけで互換性確認が完了したとは限りません。
- 再びBSODが出たら停止コードとログを記録し、同じ有効化を繰り返さず原因調査に戻ります。ドライバー以外の可能性も残ります。
正常に起動できるようになった場合は、msconfigの無効化したサービスを少しずつ有効に戻しながら再起動を繰り返し、どのサービス/ソフトを有効にしたタイミングで不具合が再発するかを確認していきます。
それが「犯人候補」です。
それでもメモリ整合性ONでBSODが出る場合の追加対策
ここまでやってもまだBSODが出る場合、より深い層のドライバーやハードウェアを疑います。
GPU・仮想化・周辺機器ドライバーを個別に確認する
ログにGPUや周辺機器のドライバー名がある場合は、PCメーカーまたは機器メーカーが対応を案内する版を確認します。初手でDDU等の削除ツールを使う必要はありません。再インストールはメーカーの手順、元に戻す方法、画面表示やネットワークへの影響を確認して行います。
仮想化ソフトやエミュレーターは使用する版のHVCI/Hyper-V対応を確認します。仮想マシンや設定を退避せず、すべてアンインストールする方法は避けます。OC・RGB・ファン制御等も、ドライバー名と製品の関係を確認して個別に扱います。
メモリ診断でハードウェア異常もチェック
頻度は低いですが、物理メモリ(RAM)に問題があると、仮想化ベースのセキュリティを有効化したときだけエラーが顕在化するケースもあります。念のためメモリ診断を行っておくと安心です。
- スタートメニューで「Windows メモリ診断」を検索し起動。
- 「今すぐ再起動して問題の有無を確認する」を選択。
- 診断結果を確認し、エラーが出るようならメモリモジュールの交換を検討。
Valorant(Vanguard)を遊ぶときの注意点
ゲームに表示されたエラーコードと必要条件を記録し、Riot公式のメモリ整合性の案内を確認します。HVCI、TPM、Secure Bootの表示を混同せず、PCメーカーの対応手順と合わせて確認してください。
「HVCIを有効にしてからVanguardを入れ直せば署名やロード順が整理される」とは保証できません。再インストールの要否は実際のエラーに対応するRiotの手順で判断します。Windowsが起動不能な間はゲーム側の操作より回復を優先します。
ログを集めて原因を特定しやすくする
自力で調査したり、フォーラム等で相談する場合は、以下のログを揃えておくと原因特定のスピードが段違いに上がります。
- ミニダンプファイル
- 場所:
C:\Windows\Minidump - 最新の .dmp ファイルをZIPにまとめて保存。
- 場所:
- イベントビューアーのログ
- イベントビューアー > Windowsログ > システム
- BSODが起きた時間帯の「BugCheck」「volmgr」「イベントID 41」周辺を保存。
- SrtTrail.txt
- 場所:
C:\Windows\System32\LogFiles\Srt\SrtTrail.txt - 自動修復で何が失敗しているかのヒントが記録されていることがあります。
- 場所:
- システム情報(msinfo32)
- Win + R →
msinfo32と入力。 - 「ファイル」 >「保存」で
.nfoファイルとして保存。
- Win + R →
停止コード・発生時刻と照合して調査します。イベントID 41だけでは原因を特定できません。ダンプやシステム情報には個人・組織の情報が含まれる場合があるため、公開掲示板へそのまま掲載せず、信頼できるサポートの指示に従って必要最小限を共有します。
メモリ整合性を諦める前に確認したいこと
対応ドライバーが提供されていない機器や業務ソフトでは、機器・ソフトの更新、代替製品、構成変更をメーカーや管理者に相談します。古いCPUでは性能への影響も考慮しますが、古いという理由だけで不安定と決めつけません。保護機能を無効にしたまま放置するのではなく、対応策と再確認の条件を決めます。
まとめ:起動回復と互換性確認を分ける
まず回復キーと停止コードを確認し、起動できる場合は直前の変更と非互換ドライバーを照合します。起動できない場合はWinREの公式回復手順を使い、必要ならメーカーへ相談します。日付だけでのドライバー強制削除、一律のBCD変更、全ソフト削除は行わず、一つずつ変更と結果を記録してください。


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