Windows 10 から Windows 11 24H2 へ上書きアップグレードしようとしたとき、「コンピューターに加えた変更を元に戻しています」と表示されてロールバックし、エラーコード 0xC1900101 – 0x40017 が残るケースが増えています。本記事では、実際に有効だった「メモリ整合性(Memory Integrity / HVCI)」を有効化して解決する手順と、うまくいかない場合の追加対処を、ログ解析やドライバー整理の観点も交えながら詳しく解説します。
Windows 10 から Windows 11 24H2 へのアップグレードで発生する症状
まずは実際にどのような挙動になるのか、典型的なパターンを整理します。Windows 10 から Windows 11 24H2 へ、ISO イメージをマウントして Setup.exe を実行する形で上書きアップグレードを行った場合、セットアップ自体は一見順調に進みます。
しかし、再起動を何度か繰り返し、パーセンテージ表示がかなり進んだ終盤で突然次のようなメッセージが表示されます。
- 「コンピューターに加えた変更を元に戻しています」
- そのまま数分~数十分待つと、自動的に Windows 10 にロールバック
- デスクトップに戻ると、0xC1900101 – 0x40017 のエラーコードがセットアップ履歴に記録されている
このエラーコードは、Windows セットアップの内部的なステージでいうと SECOND_BOOT 段階/BOOT 処理中のエラー として分類されます。つまり、Windows 11 の環境に切り替わって再起動したあと、ドライバーやサービスを読み込んでいる途中で問題が発生し、ロールバックに入っていることを示しています。
典型的な環境の例を表にまとめると次のようになります。
| 項目 | 状況の例 |
|---|---|
| 元の OS | Windows 10 Pro / Home(21H2 / 22H2 など) |
| アップグレード方法 | Windows 11 24H2 ISO をマウントし、Setup.exe から上書きインストール |
| 失敗タイミング | 再起動後、進捗バーがかなり進んだ SECOND_BOOT フェーズ |
| 画面表示 | 「コンピューターに加えた変更を元に戻しています」→ 自動ロールバック |
| エラーコード | 0xC1900101 – 0x40017(ドライバー関連エラー) |
多くのユーザーは、ドライバー更新・空き容量の確保・SFC/DISM によるシステム修復・クリーンブート・周辺機器の取り外しなど、一般的な対処を一通り試しても改善せず、Panther / Rollback ログを確認しても決定的な原因が読み取れない…という状態で詰まりがちです。
結論:メモリ整合性(Memory Integrity / HVCI)を有効化してから再アップグレードする
今回、実際にアップグレードが成功した決め手になったのが、「メモリ整合性(Memory Integrity)」を有効化する という操作です。すでに多くの対処を試したあとでも、これを切り替えただけで 24H2 へのアップグレードが通ったケースがあります。
メモリ整合性を有効化する手順
Windows 10 上で以下の操作を行います。
- タスクトレイやスタートメニューから [Windows セキュリティ] を開く
- [デバイス セキュリティ] をクリック
- [コア分離の詳細] を開く
- 「メモリ整合性」のスイッチを オン に切り替える
- 求められたら PC を再起動する
- 再起動後、マウントした ISO の
Setup.exeから再度 Windows 11 24H2 へのアップグレードを実行する
ポイントを簡単に表にまとめると次のとおりです。
| ステップ | 操作内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1~3 | Windows セキュリティ → デバイス セキュリティ → コア分離の詳細 | 「コア分離」が表示されているか |
| 4 | メモリ整合性のスイッチをオン | オンにしたあと警告や互換性ドライバーが表示されないか |
| 5 | 再起動 | 再起動後もメモリ整合性がオンのままになっているか |
| 6 | ISO から再アップグレード | 0xC1900101 – 0x40017 が再発しないか |
この設定変更だけで、今まで SECOND_BOOT で失敗していたアップグレードが、何事もなかったかのように最後まで完走することがあります。裏側では何が起きているのでしょうか。
メモリ整合性(HVCI)とは何か
「メモリ整合性」は、正式には HVCI(Hypervisor-protected Code Integrity) と呼ばれる機能で、Windows の 仮想化ベースのセキュリティ(VBS) の一部です。ざっくり言うと、カーネルモードで動作するコード(ドライバーなど)が正しく署名されているかを、ハイパーバイザーの保護下で厳密にチェックし、信頼できるものだけがロードされるようにする仕組みです。
主な役割をまとめると以下のとおりです。
| 機能名 | 役割 |
|---|---|
| VBS(仮想化ベースのセキュリティ) | CPU の仮想化機能を使って、OS 内に分離された保護領域を作る |
| HVCI / メモリ整合性 | その保護領域内でコード整合性を厳密に評価し、信頼できるカーネルモード ドライバーだけを許可する |
| Secure Boot | 起動時に UEFI レベルで OS ブートローダーやドライバーを検証する |
| TPM 2.0 | 各種セキュリティ機能の鍵や測定値を安全に保存し、信頼の起点になる |
Windows 11 では、これらのセキュリティ機能を積極的に利用することが強く推奨されており、特に 24H2 では 「セキュリティ機能が有効になっていること」自体がアップグレード時の互換性判定に影響する ケースが増えています。つまり、ハードウェア要件を満たしていても、メモリ整合性(HVCI)が無効のままだと、特定のドライバー構成ではブロック要因になってしまうことがあります。
0xC1900101 – 0x40017 はなぜドライバー(+セキュリティ設定)絡みなのか
0xC1900101 系エラーは、古くから Windows アップグレードにおける「ドライバー絡みのトラブル」を示す典型的なコード群として知られています。特に 0xC1900101 – 0x40017 は、SECOND_BOOT フェーズでのドライバー読み込み時の異常 を意味します。
セットアップのフェーズとエラーの関係を簡単に整理しておきます。
| フェーズ名 | 概要 | 0xC1900101 の代表例 |
|---|---|---|
| DOWNLEVEL | 元の OS(ここでは Windows 10)上でアップグレード準備をする段階 | 既存のソフト・ドライバーの互換性チェック |
| SAFE_OS | 最低限の環境でブートして準備作業を行う段階 | ブート関連ドライバーの不整合 |
| FIRST_BOOT | 新しい OS で最初に起動する段階 | 初回構成中のエラー |
| SECOND_BOOT | ユーザーモード環境やドライバー構成を最終調整する段階 | 0xC1900101 – 0x40017 など、ドライバー構成の最終チェックでの失敗 |
SECOND_BOOT で失敗するということは、Windows 11 側でドライバーをロードしている途中で、HVCI などの新しいセキュリティ要件に合わないドライバーが見つかった、あるいは セキュリティ機能の有効/無効の整合性が取れず、整合性チェックに失敗した と解釈できます。
今回のように、メモリ整合性をオンにしただけでアップグレードが完走したという事実は、裏を返せば
- メモリ整合性が無効だった状態では、特定のドライバーが「グレーゾーン」として扱われ、評価が不安定になっていた
- あるいは、Windows 11 24H2 側が想定する セキュリティ ベースライン と、現在の OS 設定とのギャップが、SECOND_BOOT の評価でロールバックを引き起こしていた
という可能性が高いことを示唆しています。
メモリ整合性をオンにできない・オンにしても失敗する場合の追加対処
理想的には、メモリ整合性をオンにするだけで問題が解消してくれるのがベストですが、実際には
- 「メモリ整合性をオンにできません。この設定を妨げているドライバーがあります。」と表示される
- オンにはできたが、アップグレードは依然として 0xC1900101 – 0x40017 で失敗する
といったケースも存在します。その場合は、次のような順番で原因を絞り込んでいくと効率的です。
1. メモリ整合性を阻害しているドライバーの除去
「コア分離の詳細」画面に、互換性のないドライバー が列挙される場合があります。ここに名前が出てきているドライバーは、真っ先に疑うべき候補です。
- 表示されたドライバー名をメモする
- デバイス マネージャーで該当デバイス(ネットワーク、ストレージ、VPN、仮想デバイスなど)を探す
- メーカー公式サイトから最新ドライバーを入れ直す、または問題のソフトウェアそのものをアンインストールする
特に、次のようなドライバーは HVCI と相性問題を起こしやすい傾向があります。
- 古い VPN クライアント(カーネルモードのフィルタードライバーを持つもの)
- サードパーティ製ウイルス対策ソフト・ファイアウォール
- ディスク暗号化・バックアップ・ディスク最適化ツール
- 古い仮想 CD/DVD ドライブソフト
- 旧世代の SATA/RAID コントローラードライバー
デバイス マネージャーでは、[表示]→[非表示のデバイスの表示] を有効にして、過去に使っていたけれど今は接続されていないハードウェアの残骸ドライバーも確認することをおすすめします。
2. UEFI/BIOS 設定でセキュリティ機能を有効にする
メモリ整合性や VBS を使うためには、ハードウェア側の設定が土台として整っている必要があります。お使いの PC の UEFI/BIOS 画面で、以下の項目を確認してください。
| 項目 | 推奨設定 | 備考 |
|---|---|---|
| Secure Boot | Enabled(有効) | Legacy Boot が有効だと問題になることがあります |
| TPM / fTPM / PTT | 有効(TPM 2.0) | TPM 1.2 のみの環境では Windows 11 要件を満たしません |
| CPU 仮想化支援(Intel VT-x / AMD-V 等) | Enabled(有効) | VBS / HVCI 利用に必要です |
| 仮想化関連の追加機能(IOMMU 等) | 可能であれば有効 | デバイスガード等の高度な機能で利用されることがあります |
設定変更後は必ず保存して再起動し、Windows 上でメモリ整合性がオンにできるか再確認します。
3. チップセット・ストレージ・GPU ドライバーを最新化
Windows Update だけでなく、PC メーカー(またはマザーボードメーカー)のサイト からチップセットドライバーやストレージ関連ドライバー、グラフィックスドライバーを直接アップデートすることも重要です。
- チップセットドライバー … 電源管理や PCIe デバイス管理に影響し、VBS とも密接に関係
- SATA / NVMe ドライバー … ブート時の安定性に直結
- GPU ドライバー … Windows 11 の新しい表示スタックとの互換性に関係
可能であれば、Windows 11 を正式サポートしているバージョンを明記したドライバーを選ぶと安心です。
4. サードパーティ製常駐ソフトを一時的にアンインストール
クリーンブート(msconfig でサービスを止める)だけでは足りず、実際にアンインストールしないと解決しないケースもあります。とくに次のようなソフトは、一度完全に削除した状態でアップグレードを試すと成功率が上がります。
- 常駐型ウイルス対策ソフト(Windows Defender 以外)
- VPN クライアントソフト
- ディスク暗号化・バックアップソフト
- 仮想ドライブ・エミュレータ系ソフト
アップグレード完了後、Windows 11 上で最新バージョンを改めてインストールし直すのがおすすめです。
5. アップグレード時の「引き継ぎ範囲」を変えてみる
セットアップの途中で「引き継ぐものを選んでください」という画面が表示された場合、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」 ではなく、あえて 「個人用ファイルのみを引き継ぐ」(アプリ非引き継ぎ)を選ぶことで、問題のあるドライバーやソフトの自動移行を避けられることがあります。
この方法は、アプリの再インストール手間は増えるものの、ドライバー競合の影響を最小限に抑えられるため、どうしてもエラーが解消しない場合の「妥協案」として有効です。
ログで原因を追跡したい人向け:Panther / Rollback ログの見方のヒント
より根本的な原因を知りたい方、あるいは複数台の PC を管理していて共通の問題を切り分けたい方は、セットアップログを確認するのが有効です。代表的なログの場所は次のとおりです。
C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setupact.logC:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setuperr.logC:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback\setupact.logC:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback\setuperr.log
メモ帳やテキストエディタで開き、次のキーワードで検索していくとヒントが見つかることがあります。
C1900101rollbackfailure.sys(カーネルモードドライバー拡張子)
特定のドライバー名(例:xxxdrv.sys)とともにエラーが記録されている場合、そのドライバーが HVCI などの新しいセキュリティ要件に対応していない可能性が高く、そのデバイスやソフトウェアを重点的に対処する方針が立てやすくなります。
それでもダメな場合の最終手段:クリーンインストールと専門的なドライバー掃除
上記の対処を一通り試しても 0xC1900101 – 0x40017 が解消しない場合、残された選択肢は次の 2 つになります。
1. バックアップを取ったうえでのクリーンインストール
もっとも確実なのは、重要なデータをバックアップしたうえで、Windows 11 24H2 を クリーンインストール する方法です。クリーンインストールであれば、古いドライバーやレガシーなソフトがアップグレード経路を汚染する心配はほぼなくなります。
ただし、アプリの再設定やライセンスの再認証などの手間がかかるため、業務マシンなどでは事前に十分な計画と検証を行う必要があります。
2. 専門家による FRST(Farbar)用 fixlist でのドライバー掃除
インターネット上では、FRST(Farbar Recovery Scan Tool) を用いて、不要または問題のあるドライバーを一括で整理・削除し、アップグレードの互換性評価をリフレッシュする手法が紹介されることがあります。ただし、ここには重要な注意点があります。
- FRST 用の fixlist.txt は「機種ごと・環境ごとに内容が異なる」カスタムスクリプト である
- 他人の環境向けに作られた fixlist を流用すると、必要なドライバーまで削除してしまい、最悪の場合起動不能になる
- 実施する場合は、必ずバックアップを取り、内容を理解したうえで、専門家の指示に従って行う必要がある
つまり、FRST を使ったドライバー掃除は「最後の最後の切り札」であり、一般ユーザーが安易に真似すべき方法ではない、という点を強調しておきます。
再発防止のために意識しておきたいポイント
今回のような 0xC1900101 – 0x40017 のエラーは、環境が複雑になればなるほど発生しやすくなります。今後の Windows 11 の機能アップデートや、次のバージョンへの移行時に備え、次のような点を日頃から意識しておくとトラブルを減らせます。
- メモリ整合性を常時オンにして運用する
→ 最初から HVCI 前提でドライバーやソフトを選ぶことになり、将来のアップグレード時もスムーズになりやすい - 不要なドライバー・ソフトを溜め込まない
→ 使わなくなった VPN、仮想ドライブ、古い周辺機器用ドライバーはこまめにアンインストールする - PC メーカーのサポートページを定期的に確認する
→ Windows 11 24H2 対応 BIOS/UEFI や最新チップセットドライバーが出ていないかチェックする - システムのイメージバックアップを取る習慣をつける
→ 万一アップグレードに失敗しても、簡単に元に戻せる状態にしておく
まとめ:0xC1900101 – 0x40017 で詰まったら、まずメモリ整合性を疑う
Windows 10 から Windows 11 24H2 へのアップグレード中に発生する 0xC1900101 – 0x40017 は、多くの場合 ドライバーとセキュリティ機能(特に HVCI / メモリ整合性)の不整合 に起因します。本記事で紹介したように、
- Windows セキュリティ → デバイス セキュリティ → コア分離の詳細から、メモリ整合性をオンにする
- 必要に応じて、阻害ドライバーの除去・UEFI 設定の見直し・BIOS/チップセット更新を行う
といった手順を踏むことで、これまでロールバックを繰り返していた環境でも、問題なく Windows 11 24H2 へアップグレードできる可能性が高まります。
「とりあえずクリーンインストール」ではなく、まずは メモリ整合性の設定を見直す ことから始めることで、環境を崩さずにアップグレードを成功させられるかもしれません。アップグレードに悩んでいる方は、ぜひ本記事の手順を順番に試してみてください。

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