Windows 11 24H2 の機能更新で「インストール エラー 0xC1900201」や「システム予約済みパーティションを更新できません」と表示され、何度試しても失敗するケースが増えています。本記事では、とくに EFI システム パーティション(ESP)の空き容量不足が原因のパターンに絞り、実際に 24H2 のセットアップを通せた手順と、恒久対策までを詳しく解説します。
Windows 11 24H2 で発生するエラー 0xC1900201 の症状
典型的なメッセージと挙動
Windows 11 24H2 の機能更新に失敗する場合、Windows Update 画面や「更新の履歴」に次のような表示が出ることが多いです。
- インストール エラー – 0xC1900201
- We couldn’t update the system reserved partition(システム予約済みパーティションを更新できませんでした)
- 途中まで進んだあと 25% 付近で一度ロールバックし、「ダウンロード」に戻る
この挙動は、更新中にブート関連のファイルやフォントなどを EFI システム パーティション(ESP) に書き込もうとして、空き容量が足りずに失敗しているときによく見られます。Microsoft や各メーカーのフォーラムでも、0xC1900201 はほぼ例外なく「EFI / System Reserved / WinRE パーティションの空き不足」が原因だと説明されています。
「23H2 はしばらく待ったら適用できたのに…」という疑問
23H2 では、リリース直後の既知の不具合がサーバー側の修正や再配信で解消され、しばらく待つといつの間にか適用できた、というケースもありました。
しかし 0xC1900201(System Reserved / EFI パーティションの空き不足) は、基本的に クライアント側のパーティション構成が原因 のため、時間経過だけで勝手に直るものではありません。EFI パーティションの空きを増やすか、サイズそのものを拡張しないかぎり、24H2 でも何度でも同じエラーが出る可能性があります。
原因:EFI システム パーティション(ESP)の空き容量不足
EFI システム パーティションとは?
UEFI ブートの PC では、ディスクの先頭付近に「EFI システム パーティション(ESP)」と呼ばれる隠しパーティションがあります。Windows の「ディスクの管理」では通常「EFI システム パーティション」と表示され、サイズは 100〜260MB 程度が一般的です。
この ESP には次のようなものが含まれています。
- Windows Boot Manager(\EFI\Microsoft\Boot)
- OEM メーカーのブートローダーや回復用ファイル(例:\EFI\Dell\…)
- ブート時のフォントやローカライズ用ファイル(\EFI\Microsoft\Boot\Fonts など)
Windows 11 24H2 では、機能更新の際にブート関連ファイルやフォントを ESP に書き込む必要があり、空き容量が不足していると 0xC1900201 で失敗します。
どのくらい空きがあればよいか
環境により必要容量は前後しますが、各種ドキュメントや検証事例から、次のように考えると安全です。
| 観点 | 目安 | コメント |
|---|---|---|
| 最低限必要な空き | 15MB 以上 | 理論上はこの程度でも更新できるとされる |
| 実務上の安心ライン | 20〜30MB 以上 | フォントや OEM ファイルが多い環境でも余裕を持って更新しやすい |
| 将来の更新も見据えたサイズ | EFI パーティション自体を 200〜260MB 程度に拡張 | 機能更新や BIOS アップデート時のトラブルを減らせる |
今回の事例では、空き約 10MB の ESP を整理し、約 29MB まで増やしたところ 24H2 の更新が通りました。
作業前の重要な準備と注意事項
EFI システム パーティションの操作を誤ると、PC が起動しなくなる危険があります。次の準備を必ず行ってください。
- 重要データのバックアップ
- 外付け HDD / SSD などにユーザーデータを退避
- 可能ならシステム全体のイメージバックアップも取得
- BitLocker 使用時
- 回復キーを控えておく
- コマンド例:
manage-bde -protectors -disable C:で一時的に保護を無効化
- 作業は必ず「管理者として実行したコマンド プロンプト」で行う
- パスのタイプミスに注意(特に
Y: /sの前後のスペース、\Boot\Fonts\*.ttfのパス)
以降の手順は、ある程度 PC に慣れたユーザー向けです。不安な場合は PC メーカーやシステム管理者への相談も検討してください。
EFI システム パーティションをマウントして中身を確認する
1. EFI システム パーティションを一時的にマウント
まずは ESP をドライブレター(ここでは Y:)として割り当てます。
mountvol Y: /s
Y:と/sの間に半角スペースが必要です。- すでに Y: が使われているなどで「The directory is not empty.」と表示された場合は、いったん次のコマンドでアンマウントしてからやり直します。
mountvol Y: /d
2. PowerShell で大きなファイルを洗い出す
割り当てた Y: ドライブの中で、サイズの大きいファイルを上位から確認します。
powershell -command "GCI Y:\ -File -Recurse | Sort Length -desc | Select FullName,Length,Mode -first 10"
上記コマンドは次のことを行っています。
GCI Y:\ -File -Recurse: Y: 配下のファイルを再帰的に列挙Sort Length -desc: サイズ順に降順ソートSelect FullName,Length,Mode -first 10: 上位 10 件のフルパスとサイズを表示
今回の Dell 機の例では、次のようなファイルが特に大きく、空き容量を圧迫していました。
Y:\EFI\Dell\bios\recovery\BIOS_PRE.rcv(約 19MB)Y:\EFI\Dell\bios\recovery\BIOS_CUR.rcv(約 19MB)
Dell 機の具体例:BIOS_PRE.rcv を退避して空きを確保
3. Dell 機での決め手になった操作
Dell PC では、BIOS リカバリ用の .rcv ファイルが ESP に置かれているケースがあり、これが数十 MB を占有していることがあります。今回のケースでは、BIOS_PRE.rcv をシステムドライブ C: へ一時退避することで空き容量が大きく増え、24H2 のセットアップが通りました。
cd /d Y:\EFI\Dell\bios\recovery
move BIOS_PRE.rcv C:\
この操作により、ESP の空き容量は 約 10MB → 約 29MB に増加し、その後の 24H2 アップデートが正常に完了しました。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| EFI パーティションの空き容量 | 約 10MB | 約 29MB |
| 0xC1900201 エラー | 発生(インストール失敗) | 発生せず(24H2 インストール完了) |
注意:BIOS_PRE.rcv / BIOS_CUR.rcv は BIOS リカバリ用のファイルです。通常は削除せず、C:\ などに退避させるにとどめることを推奨します。BIOS 更新やリカバリが必要になったときに元の場所へ戻せるよう、退避先とファイル名を控えておきましょう。
4. Windows ブート用フォントの削除(必要な場合のみ)
環境によっては、Y:\EFI\Microsoft\Boot\Fonts 配下に多数の .ttf フォントが格納されており、ここを削除することでかなりの空き容量が確保できます。これらのフォントはブート関連の再構築時に再生成されるため、一般的には削除しても問題ないとされています。
ファイルが存在する場合のみ、次のコマンドを実行します。
del /q Y:\EFI\Microsoft\Boot\Fonts\*.ttf
\Boot\Fonts\*.ttfの「Fonts」の直前の\を忘れないよう注意してください。- 環境によっては該当フォルダーやファイルが存在しない場合もあります。その際はエラーが出ても問題ありません。
5. 空き容量の確認
ここまでの操作で、ESP の空き容量がどのくらい増えたかを確認します。
dir Y:\
出力の末尾に表示される “bytes free” が 15〜30MB 以上になっていれば、24H2 のアップデートを試す条件としては十分なことが多いです。
6. 24H2 のセットアップを再実行
ESP の空きを確保したら、Windows Update またはインストール アシスタントから Windows 11 24H2 の機能更新を再実行します。
- 進捗が 25% 前後で一度「ダウンロードに戻る」動作をしても、動的更新(Dynamic Updates)の適用で起こり得る通常の挙動です。
- そのまま完了するかどうかを確認しましょう。
7. 作業後は ESP をアンマウント
作業が済んだら、割り当てた Y: をアンマウントして元の状態に戻します。
mountvol Y: /d
他メーカー・他環境での「余分なファイル」の例
PC メーカーや構成によって、ESP に保存されているファイルは大きく異なります。むやみに削除するのは危険ですが、次のようなファイルが大きな容量を占めていることが多いです。
| パスの例 | 用途 | 扱いの目安 |
|---|---|---|
Y:\EFI\Microsoft\Boot\Fonts\*.ttf | ブート用フォント | 削除しても再生成されるため、比較的安全な候補 |
Y:\EFI\Dell\bios\recovery\BIOS_PRE.rcv | Dell の BIOS リカバリ用 | 削除は避け、C:\ などに一時退避するのが無難 |
Y:\EFI\Dell\SOS\Fonts\*.ttf | Dell 独自の回復環境用フォント | 基本的には削除しない。どうしても空きが足りない場合のみ、十分検証した上で慎重に検討 |
Y:\EFI\OEM名\Recovery\*.wim | メーカー独自の回復イメージ | 削除すると工場出荷状態への復元に影響する可能性があるため、原則触らない |
方針としては、まず Microsoft 純正の Fonts フォルダーの削除、次に BIOS の .rcv ファイルなどを「削除ではなく退避」する方向で検討するのが安全です。
恒久対策:EFI システム パーティションを 200〜260MB へ拡張
毎回の機能更新や BIOS 更新のたびに ESP の空きを気にするのは面倒です。将来のトラブルを減らすには、EFI パーティションそのものを 200〜260MB 程度に拡張しておくのが理想的です。
拡張の基本的な考え方
- C: ドライブの前にある EFI パーティション(100MB 前後)を特定
- その直後のパーティション(通常は C:)を 少しだけ縮小して未割り当て領域を作成
- その未割り当て領域を EFI パーティションに結合し、サイズを 200〜260MB 程度に拡張
Windows 標準の「ディスクの管理」でも簡易的に行えますが、EFI パーティションの前後関係や未割り当て領域の位置によっては操作できない場合があります。その場合は、次のようなサードパーティ製パーティションツールを使うのが現実的です。
- AOMEI Partition Assistant Standard(無料版で EFI 拡張が可能)
- その他、信頼できるパーティション管理ツール
重要:パーティション操作は失敗するとデータ喪失のリスクがあります。必ずフルバックアップを取得し、「何をどの方向へ動かすか」を事前に紙に書き出すなどしてから慎重に行ってください。
まだうまくいかないときのチェックポイント
EFI の空き容量を再確認する
まずは、mountvol Y: /s → dir Y:\ で、少なくとも 15〜30MB 以上の空きがあるかを再確認します。フォント削除や BIOS ファイル退避が正しく行われているかも見直しましょう。
セットアップログと SetupDiag の活用
それでも 0xC1900201 で失敗する場合は、Windows セットアップのログから原因を特定します。代表的なログパスは次の通りです。
C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setuperr.logC:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setupact.log- ロールバック後のログ:
C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback\setupact.log
加えて、Microsoft が提供している SetupDiag ツールを使うと、ログを自動解析して原因を整理してくれます。
- SetupDiag は Windows 10/11 のセットアップに同梱されており、失敗時に自動で実行されることもあります。
- 手動で実行する場合は、Microsoft Docs の SetupDiag ページから最新版をダウンロードし、管理者権限で
SetupDiag.exeを実行します。 - 結果は通常、
%WinDir%\Logs\SetupDiag\SetupDiagResults.xmlやSetupDiagResults.logとして保存されます。
SetupDiag の結果に「EFI / System Reserved / WinRE パーティションの空き不足」やそれを示唆するルール名が出ている場合は、EFI だけでなく WinRE パーティションの空きも確認・調整する必要があるケースもあります。
コピペ用:最小手順(Dell 機での一例)
ここまでの内容をもとに、Dell 機で EFI の空きを確保し、0xC1900201 を回避した最小コマンド列をまとめておきます。すべて「管理者として実行したコマンド プロンプト」で実行してください。
:: 管理者コマンド プロンプト
mountvol Y: /s
powershell -command "GCI Y:\ -File -Recurse | Sort Length -desc | Select FullName,Length -first 15"
cd /d Y:\EFI\Dell\bios\recovery
move BIOS_PRE.rcv C:\
del /q Y:\EFI\Microsoft\Boot\Fonts\*.ttf
dir Y:\
mountvol Y: /d
ポイント:
- 最重要なのは EFI システム パーティションの空きをしっかり確保すること。
- Dell 環境では
BIOS_PRE.rcvの退避と、必要に応じた\Microsoft\Boot\Fontsの削除が特に効果的でした。 - ほかのメーカーでも、同様に「大きなファイル」を見つけて退避・整理する発想は共通です。
まとめ:0xC1900201 を見たらまず EFI の空きを疑う
- エラー 0xC1900201 は、Windows 11 24H2 で広く報告されている EFI / System Reserved パーティションの空き不足が原因のエラーです。
- 「そのうち直る既知不具合」ではなく、ローカル環境のパーティション構成を整えないと何度でも再発します。
- まずは
mountvol Y: /sで ESP をマウントし、PowerShell で容量の大きいファイルを洗い出して、退避または安全な削除候補(Fonts フォルダーなど)から整理しましょう。 - 将来のアップデートや BIOS 更新でのトラブルを防ぐには、EFI パーティション自体を 200〜260MB 程度へ拡張しておくのが理想的です。
- どうしても解決しない場合は、セットアップログと SetupDiag で原因を解析し、WinRE パーティションなど他の要因も含めて確認するとよいでしょう。
エラー 0xC1900201 は、一見すると謎の「インストール エラー」に見えますが、裏側では「起動に関わる小さなパーティションの容量不足」という非常に具体的な問題が起きています。落ち着いて ESP の中身と空き容量を確認し、適切に整理・拡張していくことで、Windows 11 24H2 へのアップデートを無事完了させることができます。

コメント