八月の月例セキュリティ更新の適用後、Windows の内蔵回復機能「この PC をリセット」や「Windows Update で問題を解決する」が開始後にロールバックし、最後まで完了しない不具合が相次いで報告されました。Microsoft はこの事象を既知の不具合として公開し、発生条件や影響範囲を正式に認めています。対象は Windows 11 の一部旧バージョンと Windows 10 系列(LTSC を含む)で、MDM の RemoteWipe による遠隔リセットも失敗する可能性があります。
影響を受けるバージョンと修正状況
今回の不具合は八月のセキュリティ更新(累積更新プログラム)適用後に発生しました。Microsoft は臨時のオフライン修正(Out-of-Band, OOB)を公開し、これを適用することで回復機能が復旧します。
| 対象 | 原因となる更新 | 主な症状 | 修正用更新 | 更新後のビルド | 補足 |
|---|---|---|---|---|---|
| Windows 11 版 23H2 / 22H2 | KB5063875(適用後のビルド 22631.5768 / 22621.5768) | 「この PC をリセット」「Windows Update で問題を解決」「RemoteWipe」が失敗してロールバック | KB5066189(臨時修正) | 22631.5771 / 22621.5771 | 再起動が必要。累積のため過去の更新を別途入れる必要はなし。 |
| Windows 10 版 22H2 および Enterprise LTSC 2021 / IoT 2021 | KB5063709(適用後のビルド 19045.6216 / 19044.6216) | 同上 | KB5066188(臨時修正) | 19045.6218 / 19044.6218 | Windows Update から「オプションの更新」として提供。WSUS からは提供されない。 |
| Windows 10 Enterprise LTSC 2019 / IoT 2019 | KB5063877(適用後のビルド 17763.7678) | 同上 | KB5066187(臨時修正) | 17763.7683 | 更新履歴と OOB の両ページで修正内容が明示。 |
なお、Windows 11 の最新版(版 24H2)に配信された KB5063878 は今回の「リセット失敗」不具合の対象としては公表されていません。同更新には別途配信経路に関する既知の問題(WSUS 経由での配布時のエラー)などが記載されていますが、回復機能の不具合については対象外です。
いますぐ取るべき対策
- 臨時修正の適用を最優先:設定から Windows Update を開き、「オプションの更新プログラム」に表示される該当の OOB 更新(Windows 11 は KB5066189、Windows 10 は KB5066188、LTSC 2019 は KB5066187)をインストールします。再起動後に回復機能が復旧します。
- 回復機能の操作は修正適用まで控える:修正未適用の状態で「この PC をリセット」や「Windows Update で問題を解決」を実行すると途中で元に戻る可能性があります。
- 企業環境では遠隔リセットを停止:MDM の
RemoteWipe CSPでの初期化も失敗対象です。修正適用までワイプ運用を一時停止してください。
更新の入手方法と展開の注意
家庭や小規模環境向け
- 設定を開く → Windows Update → 更新プログラムのチェック。
- オプションの更新プログラムに表示される該当の OOB 更新を選んでインストール。
- 再起動後、「回復」から機能が動作するかを確認。
Windows 11 の OOB 更新はオプションとして提供され、Windows 10 の OOB 更新も Windows Update から適用できます。
企業や教育機関向け
- Windows 10 の臨時更新は WSUS には直接流れません。Microsoft Update カタログからスタンドアロン パッケージを取得し、配布ツールで展開してください。
- Windows 11 の臨時更新は Windows Update for Business のポリシーに従いオプションで提供されます。適用には再起動が必要です。
不具合の発生条件と症状の詳細
- 対象更新の適用後に以下の操作を開始すると失敗し、変更が取り消されます。
- 設定 → 回復 → この PC をリセット
- 設定 → 回復 → Windows Update で問題を解決する
- MDM の
RemoteWipe(遠隔初期化)
Microsoft は、該当更新の公開から数日内に不具合を認め、臨時修正をリリースしました。公開文書には発生日や解消日時(太平洋時間での記録)も明記されています。
修正適用後の確認ポイント
- 更新履歴で OOB 更新(例:KB5066189 / KB5066188 / KB5066187)のインストールを確認。
- 設定 → システム → バージョン情報で OS ビルドが表の値(Windows 11 は 22631.5771 / 22621.5771、Windows 10 は 19045.6218 / 19044.6218、LTSC 2019 は 17763.7683)になっているか確認。
- 管理者としてコマンド プロンプトを開き、回復環境の状態を確認。
reagentc /info
状態が無効になっている場合は次で有効化できます。
reagentc /enable
上記は一般的な回復環境の有効化手順です。今回の不具合は基本的に OOB 更新の適用で解消されます。
やむを得ず更新を戻す場合の手順
臨時修正をすぐに適用できない事情があり、問題の累積更新を一時的に取り除く必要がある場合は、DISM を利用します。wusa /uninstall は結合パッケージでは機能しません。
- 管理者としてコマンド プロンプトを起動。
- インストール済みパッケージ名を取得。
DISM /online /get-packages | findstr /I "Package_for_RollupFix"
- 該当パッケージ名を指定して削除。
DISM /online /remove-package /packagename:Package_for_RollupFix~<省略可> /norestart
再起動後、更新の一時停止や配布除外の設定を行い、臨時修正の適用準備を進めてください。
よくある誤解への注意
- 最新版は対象外:Windows 11 の最新版は対象一覧に含まれていません(今回の回復機能の不具合は主に旧版の 23H2 / 22H2 と Windows 10 系列で発生)。
- データ消失の広範な報告は確認されていない:記録されている主な症状は操作の失敗とロールバックです。
実運用での推奨プラクティス
- 回復系の作業前に復元ポイントやフルバックアップを作成する。
- 重要端末は月例更新の段階展開を徹底し、検証環境での事前適用を行う。
- 臨時修正や既知の不具合は Microsoft の公開情報を定期的に確認する(Windows リリースヘルス)。
まとめ
今回の不具合は、八月のセキュリティ更新に起因して Windows の回復機能が完了しないという重大なものですが、Microsoft が公開した臨時修正を適用すれば復旧します。対象の KB と OOB を把握し、適切に展開することでリセットやトラブルシューティングが再び利用可能になります。
編集部メモ:本文中の製品名・機能名は各社の商標または登録商標です。作業は自己責任で実施してください。

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