Windows Server 2025 known issues and notificationsを確認する目的は、「Windows Server 2025に更新してよいか」だけを判断することではありません。実務では、既知の問題の状態、影響を受けるサーバー、更新プログラムの適用方法、サードパーティ製パッチ管理ツールの設定まで確認することが重要です。
結論から言うと、管理者が優先して見るべきポイントは3つです。1つ目は、2026年4月のセキュリティ更新後に一部のドメインコントローラーで発生し得るLSASSクラッシュ問題がOOB更新で解決済みであること。2つ目は、Windows Server 2022 / 2019からWindows Server 2025への予期しないアップグレード問題は解決済みだが、機能更新プログラムを「任意」として扱う設定確認が引き続き必要なこと。3つ目は、WUSAでネットワーク共有上の複数の.msuファイルから更新する運用には、まだ注意が必要なことです。Microsoftの公式ページは、Windows Server 2025の既知の問題とサービス状態を確認するための情報源として案内されています。(Microsoft Learn)
Windows Server 2025 known issues and notificationsで確認できること
Windows Server 2025 known issues and notificationsは、Windows Server 2025に関する既知の問題、サービス提供状況、更新プログラム適用後の不具合、回避策、解決状況を確認するためのMicrosoft Learn上のページです。
特に企業環境では、Windows Update、WSUS、Microsoft Configuration Manager、Intune、Azure Update Manager、サードパーティ製パッチ管理ツールなどを組み合わせて運用していることが多くあります。そのため、単に「更新プログラムがあるから適用する」ではなく、次の観点で確認する必要があります。
| 確認項目 | 見るべき理由 |
|---|---|
| 既知の問題の状態 | 未解決、軽減、解決済みのどれかで対応方針が変わる |
| 影響を受けるOS | Windows Server 2025だけでなく、2019 / 2022 / 2016などが含まれる場合がある |
| 発生条件 | すべての環境で起きるのか、特定の構成だけで起きるのかを判断できる |
| 回避策・解決策 | OOB更新、KIR、ローカルインストールなど、具体的な対応を決められる |
| 更新管理ツールの扱い | 任意更新を誤って自動配信しないための設定確認につながる |
Microsoftは、Windows Server 2025をWindows Server向けの最新LTSCリリースとして案内しており、Windows Server 2022およびWindows Server 2019からのインプレースアップグレードを行う場合、Windows Server 2025は「任意」の更新プログラムとして提供されると説明しています。自動的にインストールされる前提ではなく、組織側で展開方法を選ぶ前提です。(Microsoft Learn)
2026年5月時点で管理者が確認すべき主な既知の問題
2026年5月8日に公開または更新された公式情報として見る場合、実務上の注目点は「新機能」よりも「更新管理の事故を防ぐこと」です。以下は、Windows Server 2025 known issues and notificationsで確認すべき内容を運用目線で整理したものです。
| 項目 | 状態 | 主な影響範囲 | 管理者が取るべき対応 |
|---|---|---|---|
| 4月のセキュリティ更新後にドメインコントローラーが繰り返し再起動する可能性 | 解決済み | PAMを使用し、フォレスト内に複数ドメインがある環境のドメインコントローラー | KB5091157またはホットパッチ対象環境ではKB5091470の適用状況を確認する |
| Windows Server 2022 / 2019が予期せずWindows Server 2025へアップグレードされる問題 | 解決済み | 一部のサードパーティ製更新管理ツールを使用する環境 | 機能更新プログラムを任意更新として扱うよう、パッチ管理ツールの分類・承認ルールを確認する |
| WUSAで共有フォルダーから.msuをインストールすると失敗する可能性 | 軽減 | Windows Server 2025、Windows 11 24H2 / 25H2など | .msuをローカルにコピーしてから実行し、必要に応じてKIRのグループポリシーを展開する |
Microsoftの状態定義では、「解決済み」は解決策がKB記事として提供された状態、「軽減」は回避策が案内されている状態です。つまり、軽減は「完全に対応不要になった」という意味ではありません。運用手順に回避策を反映し、今後の更新で恒久対応が出るかを継続確認する必要があります。(Microsoft Learn)
ドメインコントローラーの再起動問題で確認すべきこと
もっとも影響が大きいのは、2026年4月のWindowsセキュリティ更新プログラムKB5082063をインストールして再起動した後、特定環境のドメインコントローラーでLSASSクラッシュが発生し、DCが繰り返し再起動する可能性がある問題です。
対象となり得るのは、Privileged Access Management、つまりPAMを使用し、フォレスト内に複数のドメインがある環境です。影響を受けると、認証やディレクトリサービスが機能しなくなり、ドメインが利用できなくなる可能性があります。これはクライアントPCではなくWindows Serverに影響する問題として案内されています。(Microsoft Learn)
確認すべきサーバー
次のようなサーバーは優先して確認してください。
| 確認対象 | 確認内容 |
|---|---|
| ドメインコントローラー | KB5082063、KB5091157、KB5091470の適用状況 |
| PAMを使う環境 | 複数ドメイン構成かどうか |
| 認証基盤に関わるサーバー | LSASSクラッシュ、再起動履歴、イベントログ |
| ホットパッチ対象サーバー | 通常のOOB更新ではなく、ホットパッチ用OOB更新を適用すべきか |
Microsoftは、この問題は2026年4月19日にリリースされたOOB更新で解決すると説明しています。標準のOOB更新はKB5091157、Windows Server 2025デバイスがホットパッチに登録されている場合はKB5091470を適用する必要があります。ホットパッチ用OOB更新はWindows Update経由で提供され、再起動不要とされています。(Microsoft Learn)
現場で使える確認例
Windows Server上で、対象KBの適用状況を確認する場合は、PowerShellで次のように確認できます。
Get-HotFix -Id KB5082063,KB5091157,KB5091470 -ErrorAction SilentlyContinue
ドメインコントローラーでは、更新適用後に以下も確認しておくと安全です。
dcdiag /e /c
repadmin /replsummary
ポイントは、更新プログラムの適用確認だけで終わらせないことです。認証、レプリケーション、グループポリシー、監査ログ、監視アラートまで見て、業務影響が残っていないかを確認します。
Windows Server 2025への予期しないアップグレード問題で見るべき設定
Windows Server 2025は、Windows Server 2019およびWindows Server 2022を実行するデバイスに対して、Windows Update設定上で任意のアップグレードとして提供されます。ところが一部環境では、サードパーティ製品で更新を管理している場合に、Windows Server 2025へ自動アップグレードされる事象が確認されていました。(Microsoft Learn)
この問題自体は解決済みですが、管理者にとって重要なのは「今後も機能更新プログラムの分類を誤解しないこと」です。Microsoftは、Windows Server 2025の機能更新プログラムがUpgrade Classificationの「DeploymentAction=OptionalInstallation」としてリリースされたため、パッチ管理ツールはこれを「推奨」ではなく「任意」と解釈する必要があると説明しています。(Microsoft Learn)
確認すべき更新管理ツールの設定
| 設定項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 自動承認ルール | 機能更新プログラムをセキュリティ更新と同じ扱いで自動承認していないか |
| 分類ルール | Optional、Feature Update、Upgradeの分類を正しく解釈しているか |
| 展開リング | 検証環境、パイロット、本番の順に分かれているか |
| サードパーティ製ツール | Windows Server 2025を推奨更新として扱っていないか |
| インプレースアップグレード手順 | バックアップ、復旧手順、ロール検証が事前に定義されているか |
特に注意したいのは、サーバー更新を「毎月の累積更新」と同じ感覚で扱うことです。Windows Serverの機能更新は、OSバージョンの移行です。業務アプリ、エージェント、バックアップソフト、監視ツール、ウイルス対策、ドライバー、ライセンス認証まで影響確認が必要です。
WUSAで.msuを共有フォルダーから実行する運用の注意点
WUSAを使ってWindows更新プログラムをインストールする環境では、ネットワーク共有に複数の.msuファイルがある状態で、WUSAまたは.msuファイルのダブルクリックから更新すると、ERROR_BAD_PATHNAMEで失敗する可能性があります。
この問題は、2025年5月28日以降にリリースされた更新プログラムをインストールしたデバイスで発生する可能性があり、Windows Server 2025も影響対象に含まれています。Microsoftは、共有フォルダーに.msuファイルが1つだけの場合や、.msuファイルをローカルに保存している場合には発生しないと説明しています。(Microsoft Learn)
安全な運用例
共有フォルダーから直接実行するのではなく、対象サーバーのローカルフォルダーにコピーしてから実行します。
mkdir C:\Temp\Updates
copy \\fileserver\updates\KBxxxxxxx.msu C:\Temp\Updates\
wusa.exe C:\Temp\Updates\KBxxxxxxx.msu /quiet /norestart
更新後に再起動した場合、設定アプリの更新履歴で「再起動が必要」と表示され続けることがあります。Microsoftは、この表示は一時的なもので、WUSAで.msuをインストールした後は、更新履歴を確認する前に15分以上待つよう案内しています。(Microsoft Learn)
KIRを使う場合の注意点
このWUSAの問題はKnown Issue Rollback、つまりKIRによる軽減が案内されています。KIRは、Windows Updateで発生した特定の問題変更だけをロールバックする仕組みであり、更新プログラム全体をアンインストールするものではありません。Microsoftは、KIRはセキュリティ以外の更新プログラムに適用され、エンタープライズ環境では.msi形式のポリシー定義を配布し、グループポリシーで展開できると説明しています。(Microsoft Learn)
マネージドデバイスでは、KIRの.msiを導入し、必要なGPOを作成・構成してから対象に適用します。グループポリシーの既定構成では、端末が新しいポリシーを適用するまで90〜120分程度かかる可能性があり、適用後は対象デバイスの再起動が必要です。(Microsoft Learn)
移行・展開前に確認すべき実務チェックリスト
Windows Server 2025への移行や更新展開では、既知の問題だけでなく、アップグレード方式そのものの選定も重要です。Microsoftは、インプレースアップグレード、クリーンインストール、移行、クラスターOSローリングアップグレード、ライセンス変換など複数の方法を案内しており、それぞれダウンタイム、複雑さ、ハードウェア要件に違いがあります。(Microsoft Learn)
| フェーズ | 確認すること | 失敗しやすいポイント |
|---|---|---|
| 事前調査 | Windows Server 2025 known issues and notificationsを確認する | 「解決済み」だけ見て、適用すべきKBを確認しない |
| 資産棚卸し | OS、ビルド、役割、DC、クラスタ、業務アプリを整理する | 重要サーバーを通常サーバーと同じ展開リングに入れる |
| 更新管理 | Optional / Feature Updateの扱いを確認する | 任意更新を自動承認してしまう |
| 検証 | パイロット環境で更新・再起動・業務確認を行う | 更新適用だけで検証完了にする |
| 展開 | メンテナンス時間、ロールバック、連絡体制を決める | 認証基盤やバックアップ基盤の影響を見落とす |
| 事後確認 | ビルド、KB、イベントログ、サービス稼働を確認する | 更新履歴の一時表示を障害と誤判定する |
インプレースアップグレードやクリーンインストール、移行を実行する前には、システムと重要ファイルを必ずバックアップすることが推奨されています。また、ロールや機能がインプレースアップグレードをサポートするか、ライセンス要件を満たすか、クラスターの場合はローリングアップグレードの制約を確認する必要があります。(Microsoft Learn)
開発者・自動化担当が確認すべきポイント
Windows Server 2025 known issues and notificationsは、管理者だけでなく、更新管理を自動化する開発者やSREにも関係します。特に、更新プログラムの適用可否をスクリプトや社内ポータルで判断している場合、既知の問題情報を手作業で読むだけでは不十分です。
Microsoftは、Windows Updates API in Microsoft Graphを使って、既知の問題情報をプログラムで取得できると案内しています。Microsoft GraphのWindows Updates productリソースには、製品に関連する既知の問題を表すknownIssuesリレーションシップがあり、特定製品に関連する既知の問題を取得するメソッドも用意されています。ただし、Microsoft Graphの該当APIはbetaであり、変更される可能性があるため、実運用に組み込む場合は仕様変更を前提に設計する必要があります。(Microsoft Learn)
自動化で避けたい実装
| 避けたい実装 | 理由 |
|---|---|
| KB番号だけで安全と判断する | 同じKBでも環境条件によって既知の問題の影響が変わる |
| 共有フォルダー上の.msuを直接WUSAで実行する | WUSAの既知の問題に該当する可能性がある |
| OptionalをRecommendedとして扱う | 意図しないOSアップグレードにつながる |
| API結果を長期間キャッシュする | 既知の問題の状態は後から更新される |
| エラー時に自動再試行だけ行う | LSASSクラッシュや認証影響など、再試行では解決しない問題がある |
自動化する場合は、「更新プログラムを配る仕組み」だけでなく、「配ってよいかを止める仕組み」を作ることが重要です。たとえば、既知の問題ステータスが「調査中」「軽減」の場合は本番展開を止める、ドメインコントローラーは別リングにする、OOB更新の有無を確認する、といったガードレールを設けると運用事故を減らせます。
Windows Release Healthを継続監視する方法
Windows Server 2025の既知の問題は、一度確認すれば終わりではありません。月例更新、OOB更新、KIR、ステータス変更によって、数日単位で判断が変わることがあります。
Microsoft 365管理センターのWindowsリリース正常性ページでは、月次更新プログラムや機能更新プログラムに関する既知の問題情報を確認できます。また、既知の問題の状態変更、新しい回避策、問題解決に関するメール通知を受け取る設定も用意されています。(Microsoft Learn)
実務では、次の運用をおすすめします。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 月例更新の公開直後 | Windows Server 2025 known issues and notificationsを確認する |
| 検証環境への展開前 | 対象KBと既知の問題の影響範囲を照合する |
| 本番展開前 | ステータスが更新されていないか再確認する |
| 障害発生時 | サポート問い合わせ前にRelease HealthとKBの既知の問題欄を確認する |
| 定期運用 | メール通知またはMicrosoft Graphで監視する |
Windows更新のトラブルは、原因が自社環境にあるとは限りません。既知の問題として公開されている場合、回避策やOOB更新がすでに案内されていることがあります。まず公式情報で「既知の問題かどうか」を確認するだけで、切り分け時間を大きく短縮できます。
今回の情報から取るべき次の行動
Windows Server 2025 known issues and notificationsを読んだ後に、管理者がすぐ行うべきことは次の5つです。
| 優先度 | 行動 |
|---|---|
| 高 | Windows Server 2025、2022、2019、2016のドメインコントローラーを棚卸しする |
| 高 | KB5082063、KB5091157、KB5091470の適用状況を確認する |
| 高 | サードパーティ製パッチ管理ツールがFeature Updateを任意更新として扱っているか確認する |
| 中 | WUSAでネットワーク共有上の複数.msuを扱う手順を見直す |
| 中 | Windows Release Healthのメール通知またはGraph APIによる監視を検討する |
今回のポイントは、Windows Server 2025そのものを避けることではありません。重要なのは、Windows Updateの分類、既知の問題の状態、対象サーバーの役割、展開順序をセットで判断することです。
特にドメインコントローラー、認証基盤、クラスタ、業務アプリを持つサーバーは、通常のクライアントPCと同じ更新運用にしてはいけません。公式の既知の問題を確認し、検証環境、パイロット、本番の順で展開し、更新後の確認項目まで手順化しておくことが、Windows Server 2025運用で最も現実的なリスク対策です。

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