この記事では、リレーショナルデータベース(RDBMS)とNoSQLデータベースでのトランザクション処理の違いについて詳しく解説します。それぞれのデータベースがどのようにトランザクションを取り扱い、そのメリットとデメリットは何か、具体的な例を用いて説明します。
目次
RDBMSにおけるトランザクション
リレーショナルデータベースにおいて、トランザクションはACID(Atomicity, Consistency, Isolation, Durability)プロパティに基づいて設計されます。
ACIDプロパティ
ACIDプロパティとは、以下のような特性を有するものです。
- Atomicity(原子性):トランザクション内の全ての操作が完全に成功するか、あるいは全く実行されない。
- Consistency(一貫性):トランザクションはデータベースを一貫した状態から別の一貫した状態へと遷移させる。
- Isolation(隔離性):並行して行われるトランザクションが互いに影響を与えない。
- Durability(耐久性):トランザクションが成功した後、その結果は永続的に保存される。
RDBMSでのトランザクションの例
具体的なSQLコマンドを用いたトランザクションの例を以下に示します。
BEGIN;
UPDATE accounts SET balance = balance - 100 WHERE id = 1;
UPDATE accounts SET balance = balance + 100 WHERE id = 2;
COMMIT;
NoSQLにおけるトランザクション
NoSQLデータベースでは、トランザクションの扱いがRDBMSとは大きく異なります。一般に、ACIDプロパティを全て満たす設計は少ないです。
BASEプロパティ
NoSQLデータベースでは、BASE(Basically Available, Soft State, Eventually Consistent)プロパティが用いられます。
- Basically Available(基本的に利用可能):データは基本的にいつでも読み書きできる。
- Soft State(ソフトステート):システムの状態は時間とともに変わる。
- Eventually Consistent(最終的に一貫性が保たれる):時間が経つとデータは一貫した状態になる。
NoSQLでのトランザクションの例
NoSQLの一例としてMongoDBにおけるトランザクションを考えます。
db.runCommand({
findAndModify: "users",
query: { _id: 1 },
update: { $inc: { balance: -100 } }
});
db.runCommand({
findAndModify: "users",
query: { _id: 2 },
update: { $inc: { balance: 100 } }
});
両者の違い
RDBMSとNoSQLでの主なトランザクションの違いを以下のテーブルで比較します。
RDBMS | NoSQL |
---|---|
ACIDプロパティを厳格に守る | BASEプロパティに基づく柔軟性がある |
SQL言語で操作 | 専用のAPIやクエリ言語で操作 |
まとめ
RDBMSとNoSQLデータベースでは、トランザクションの扱いが大きく異なります。RDBMSはACIDプロパティを厳格に守りますが、NoSQLはBASEプロパティに基づいて設計されているため、より柔軟なトランザクションが可能です。これらの違いを理解することで、プロジェクトに最適なデータベースを選ぶ際の判断材料になるでしょう。
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