Copilotで作ったイラストを広告、収益化ブログ、商品などに使いたいときは、無料か有料かだけでは判断できません。個人向けMicrosoft Copilot、Bing Image Creator、Microsoft Designer、組織向けCopilotでは、適用される規約が異なります。さらに、サービスの利用条件、生成画像の権利、第三者の権利侵害リスク、補償の対象は別々に確認する必要があります。
確認日:2026年10月20日。本記事は公開されている公式規約・資料の確認方法を整理したもので、個別案件の法的判断を保証するものではありません。実際に画像を生成したサービスとアカウントに適用される最新の規約を確認してください。
結論:「無料版は禁止、有料版なら自由」とは整理できない
従来の「無料Copilotの生成画像はすべて商用利用不可」「商用利用にはMicrosoft 365 E3/E5が必須」という一律の説明は適切ではありません。ただし、反対に「無料の生成画像なら何でも商用利用できる」と考えるのも危険です。最初に、実際に使う機能を次の4つに分けてください。
- 個人向けMicrosoft Copilot:現行の補足利用規約にはサービスを個人利用に限る記載があります。生成物についてMicrosoftが所有権を主張しないこととは、別の条件です。
- Bing Image Creator:独自の利用規約があります。現在の規約に、生成物を一律に非商用へ限定する旧来の文言は見当たりませんが、これを無条件の商用利用保証と読むことはできません。
- Microsoft Designer:Microsoftアカウントでの利用について、公式FAQは個人的・非商業的用途のライセンスと説明しています。
- 組織向けCopilot:職場・学校アカウント、契約、製品条項、利用する機能を確認します。ライセンスの要件はE3/E5だけではありません。
以下では、それぞれの確認先と注意点を説明します。画面に「Copilot」や「Designer」と表示されているだけで、別サービスの規約を当てはめないことが重要です。
個人向けCopilot・Bing Image Creator・Designerの違い
個人向けMicrosoft Copilot:個人利用の条件を確認する
2026年8月18日発効のMicrosoft Copilotの補足利用規約は、個人向けのWeb・デスクトップ・モバイルアプリなどを対象とし、職場・学校・組織のEntraアカウントでサインインする利用者は対象外としています。本文にはサービスを自分の個人利用に限る条件があり、無料利用者だけを対象とした記載ではありません。
このため、個人向けCopilotを企業の業務や受託制作に使うことを、生成物の所有権に関する説明だけで正当化しないでください。一方、このサービス利用条件と、生成済み画像の個別の利用可否も同じ論点ではありません。広告や販売に使う予定なら、用途を具体化して適用契約を確認し、判断がつかなければMicrosoftや法務担当者に確認するのが適切です。
Bing Image Creator:独自規約を読む
Bing Image Creator / Bing Video Creator利用規約は2026年3月更新で、旧称を「Image Creator from Designer」と説明しています。現在の本文には、生成物の利用を一律に非商用へ限定する条文は見当たりません。利用に当たっては法令、規約、行動規範、第三者の権利を守ることが条件です。また、オンラインサービスは娯楽目的である旨の条件もあります。Microsoftは生成物の所有権を主張しない一方、権利非侵害を保証していません。
また、Microsoftサービス規約も組み込まれています。同規約のBing・MSN上の素材に関する条件、サービス固有の条件、第三者素材の権利を区別して確認してください。検索結果に表示された写真を取得することと、自分で画像を生成することを混同してはいけません。「非商用限定の条文が見当たらない」ことだけで、あらゆる商品化・再配布が許されると断定しないようにしましょう。
Microsoft Designer:非商用の案内を見落とさない
Microsoft Designerの公式FAQでは、Microsoftアカウントで利用するDesignerは個人的・非商業的用途にライセンスされると案内されています。Bing Image Creatorの旧名称にDesignerという言葉が含まれるからといって、両サービスの条件を同一視することはできません。
画像生成のあとにDesignerへ移動して編集するなど、複数サービスをまたぐ場合は、生成元だけでなく編集先の条件も確認してください。課金によってこの制限が自動的に解除されるとは判断せず、購入予定の製品・機能に適用される条件を確かめる必要があります。
組織向けCopilotとライセンスの確認
個人向けの有料契約と法人向け契約は別
組織で利用するCopilotには、Microsoft製品条項とデータ保護に関する契約が適用されます。組織向けCopilotのエンタープライズデータ保護では、Microsoft 365 CopilotおよびMicrosoft 365 Copilot Chatの名称を、それぞれMicrosoft Copilot、Microsoft Copilot Chatへ移行していることも案内されています。本記事では個人向けとの混同を避けるため「組織向け」と表記します。
業務で使う場合は、組織が承認したアカウント・機能・契約であることを確認してください。個人向け製品の支払いをしていることと、組織向けの契約や保護が適用されることは同じではありません。また、データ保護の仕組みがあることは、出力画像の権利処理が済んでいることを意味しません。
E3/E5のみが選択肢ではない
Microsoft Learnのライセンス一覧には、E3/E5のほか、Microsoft 365 Business Basic、Business Standard、Business Premiumなど、複数の対象プランが掲載されています。対象の基本ライセンスを持つことと、必要なCopilot機能を利用できることは別なので、追加ライセンスの要否や含まれる機能を個別に確認してください。
ユーザー単位のライセンスが必要な機能では、管理者による適切な割り当ても必要です。ただし、ライセンスを割り当てる操作が、生成画像に含まれる第三者の著作権や商標の利用許諾を与えるわけではありません。購入前に、使いたい画像生成機能、アカウント、契約上の用途が一致しているか確認しましょう。
生成画像の権利と、商用利用の安全性は別問題
Microsoftが所有しない=独占権や非侵害の保証ではない
「Microsoftが生成物の所有権を主張しない」という条項は、利用者がその画像について必ず著作権を取得するという約束ではありません。また、同じような出力を他の利用者が得る可能性もあります。納品時に独占利用や完全なオリジナル性を保証する場合は、特に慎重な確認が必要です。
日本の著作権に関しては、文化庁「AIと著作権」セミナー資料(PDF)が生成物の著作物性と第三者の権利侵害を別々に整理しています。AI生成物が著作物として保護されるかは、人の創作意図や創作的寄与などにより判断されます。また、既存作品との類似性・依拠性があり、許諾や権利制限規定などの根拠がない利用は、著作権侵害となる可能性があります。
公開前に確認したい具体的なリスク
- 入力素材:参考画像、写真、ロゴ、顧客資料などを、そのサービスへ入力・加工してよいか確認します。手元にファイルがあるだけで、必要な権利があるとは限りません。
- 出力の内容:既存キャラクター、ブランドロゴ、実在人物に似た表現や、事実と誤認される表現がないか点検します。必要に応じて画像検索などを補助に使いますが、検索で見つからないことは非侵害の証明にはなりません。
- 公開・納品条件:広告媒体、販売先、クライアントのAI利用ルールや表示条件を確認します。海外へ展開する場合は、対象国・地域の条件も個別に確認します。
- 出所表示:CopilotやBing Image Creatorの行動規範では、AI生成を示すコンテンツ資格情報などの削除・改変が禁止されています。出所を隠すための加工は避けてください。
商品パッケージ、ブランドのロゴ、人物を用いた広告など、修正や回収の影響が大きい用途では、公開前に法務・専門家へ確認することを勧めます。「個人ブログ」「非営利」「社内だけ」といった名称だけで、規約や法律上の条件を満たすとは判断しないでください。
Customer Copyright Commitmentは何を意味するか
Microsoft製品条項の生成AIサービス・CCC条項には、一定の条件のもとで対象製品の出力に関する第三者の知的財産権の請求に対応するCustomer Copyright Commitment(CCC)があります。これはすべての画像の合法性を保証する制度でも、商用利用の許可証でもありません。対象製品・契約・請求内容を確認する必要があります。
対象製品の範囲は製品条項の用語集(Covered Product)で定義され、無料プレビューの除外や、有償のボリュームライセンス・オンラインサービス契約との関係が示されています。単に「有料」「Copilotという名前」という理由だけで対象と判断しないでください。
- 安全フィルターや製品の保護機能を無効化・回避していないこと。
- 侵害のおそれを知りながら、または知るべき状況で、出力を改変・使用・配布していないこと。
- 入力データを利用するための十分な権利があること。
- 商取引での出力利用について、第三者の商標などの権利侵害を主張する請求ではないこと。
- 該当する製品では、指定された追加のリスク低減措置を実施していること。
上記は確認ポイントの要約です。補償を前提に制作・納品を進める場合は、契約全文と適用条件を法務担当者などと確認してください。
商用利用前の確認手順
- 1.サービスとアカウントを特定する:生成したURL・アプリ名、利用した機能、個人用か職場・学校用かを記録します。別サービスで編集した場合はその経路も残します。
- 2.用途を具体化する:社内検討、広告、収益化サイト、販売商品、顧客納品など、誰がどこで何に使うかを書き出します。
- 3.適用条件を確認する:規約の対象範囲、個人利用・非商用の制限、素材の再配布、表示条件、データの取り扱いを読みます。不明な点は用途を添えて問い合わせます。
- 4.画像ごとに権利を点検する:入力と出力の両方を確認し、必要な許諾や社内承認を得ます。料金プランの確認だけで終えないようにします。
- 5.判断の記録を残す:利用時点の規約、生成日時、プロンプト、入力素材の権利、出力、編集内容、承認結果を保存します。用途を変更するときは再確認します。
確認できない条件が残る場合は、公開や販売を先に進めず、利用条件を確認できる素材への差し替えや、権利関係を整理した制作方法を検討してください。
他の画像生成・デザインツールを検討するとき
代替サービスを選ぶ際も、「有料だから安全」「商用利用可能と書いてあるから何にでも使える」とは考えないでください。画像生成AI、デザイン編集、ストック素材では対象となる権利やライセンスが異なります。次の項目を比較すると、用途に合うか判断しやすくなります。
- 生成画像・テンプレート・写真・フォントそれぞれの利用条件。
- 販売商品への利用、素材単体の再配布、ロゴ利用、顧客への納品に関する制限。
- プランや使用するAIモデルごとの条件、公開設定、補償の対象範囲。
- 契約を終了した後の利用条件と、制作過程やライセンス証明の保存方法。
Canvaなどを比較候補にする場合も、生成AI機能の条件と、組み合わせる素材のライセンスを分けて確認してください。以下は機能を調べるための公式ページであり、すべての用途での利用許可を示すものではありません。
よくある質問
有料プランに変更すれば、過去の画像も商用利用できる?
後から課金しただけで、以前に別サービス・別条件で作った画像の扱いまで自動的に変わるとは限りません。生成時と現在の規約、編集に使ったサービス、予定する利用方法を確認してください。
AIが「商用利用できます」と答えたら、それを根拠にしてよい?
AIの回答を、契約書や権利者の許諾の代わりにすることはできません。画面上の利用規約や公式の契約文書を根拠にし、不明点はサービス提供者や専門家へ確認してください。
まとめ
Copilot画像の商用利用は、無料・有料の二択ではなく、サービス、アカウント、適用規約、用途、画像ごとの権利を順番に確認する問題です。個人向けCopilotの個人利用条件、Designerの非商用の案内、Bing Image Creatorの独自規約、組織向けの契約を区別してください。ライセンスの取得と第三者の権利確認、条件付きの補償はそれぞれ別の手続きです。


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