Webサイトの表示速度はユーザー体験に大きな影響を与える要素の一つです。ページの読み込みが遅いと、訪問者の離脱率が高くなり、検索エンジンの評価にも悪影響を及ぼします。こうした問題を解決する手段の一つが「コンテンツの圧縮」です。
Apacheは、広く利用されているWebサーバーソフトウェアであり、圧縮を通じてHTTPレスポンスのサイズを減少させる機能を備えています。これにより、通信量を削減し、ページのロード時間を短縮できます。
本記事では、Apacheにおける圧縮の重要性や具体的な設定方法、圧縮レベルの調整方法を詳しく解説します。圧縮を適切に設定することで、Webサイトのパフォーマンス向上だけでなく、サーバー負荷の軽減にもつながります。Apacheでの圧縮設定をマスターして、快適なWeb環境を構築しましょう。
Apacheにおける圧縮の重要性
Webサイトのパフォーマンス向上において、Apacheの圧縮機能は非常に重要です。圧縮を行うことで、Webページのファイルサイズを大幅に削減し、以下のようなメリットを得ることができます。
ページ読み込み速度の向上
圧縮されたコンテンツはファイルサイズが小さくなるため、クライアント(ブラウザ)がサーバーから受け取るデータ量が減少します。その結果、ページの読み込み速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスが改善されます。特にモバイルユーザーや低速回線の環境では、圧縮の効果が顕著に表れます。
サーバーの負荷軽減
圧縮によって転送データ量が減少することで、サーバーの帯域幅使用量が抑えられます。これにより、多くのリクエストを効率的に処理できるようになり、サーバーの負荷が軽減されます。結果的に、サーバーが同時に多くのユーザーに対応できるようになります。
SEO(検索エンジン最適化)への効果
検索エンジンはページの読み込み速度をランキング要因の一つとしています。圧縮によって読み込み速度が向上すれば、検索結果の順位向上につながる可能性があります。これは、Webサイトのアクセス数増加にも寄与します。
ユーザー離脱率の低減
ページの読み込みが遅いと、ユーザーは途中でサイトを離れてしまう可能性が高くなります。圧縮により表示速度が改善されることで、訪問者の離脱を防ぎ、コンバージョン率向上にも寄与します。
Apacheでの圧縮は、単にデータサイズを小さくするだけでなく、サイト全体のパフォーマンスやユーザー満足度、さらにはサーバーリソースの最適化にも貢献する重要な施策です。
圧縮の仕組みと主要な圧縮形式
Apacheで利用できる圧縮技術には、いくつかの種類があります。それぞれの圧縮形式には特徴があり、用途に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、主要な圧縮形式とその仕組みについて解説します。
gzip圧縮
gzipは最も一般的に使用される圧縮形式で、多くのブラウザが対応しています。gzipはファイルサイズを約70%削減できる場合があり、テキストベースのファイル(HTML、CSS、JavaScriptなど)に特に効果を発揮します。
- 利点:高速な圧縮と解凍が可能で、幅広い環境でサポートされています。
- 欠点:圧縮率はbrotliほど高くありませんが、速度とのバランスが良いです。
brotli圧縮
brotliはGoogleが開発した圧縮形式で、gzipよりも高い圧縮率を誇ります。特にHTMLやCSSの圧縮において効果的で、データ転送量をさらに削減できます。
- 利点:gzipよりも圧縮率が高く、転送データ量を大幅に削減可能です。
- 欠点:圧縮処理に時間がかかることがありますが、一度圧縮すればキャッシュを活用できます。
Deflate圧縮
Deflateはgzipと同様のアルゴリズムを使用して圧縮しますが、ヘッダー情報が少なくなるため、わずかにファイルサイズが小さくなります。ただし、サポートが限定的であり、gzipの方が一般的に使用されます。
- 利点:gzipと似た効果が得られます。
- 欠点:互換性の問題があるため、gzipが優先されることが多いです。
どの圧縮形式を選ぶべきか
- テキストベースのコンテンツ(HTML、CSS、JS):gzipまたはbrotliが最適です。圧縮率を重視する場合はbrotliを選択します。
- 画像や動画ファイル:これらは既に圧縮されているため、再圧縮の効果はほとんどありません。必要に応じてWebPなどの軽量フォーマットを選ぶと良いでしょう。
- 旧環境対応が必要な場合:互換性が高いgzipが推奨されます。
Apacheで圧縮を導入する際は、これらの圧縮形式の特徴を理解し、サイトの特性やターゲットとするユーザー環境に合わせて選択することが重要です。
Apacheで圧縮を有効にする方法
Apacheで圧縮を有効にすることで、Webサイトのパフォーマンスが大幅に向上します。Apacheにはmod_deflateとmod_brotliという2つの主要なモジュールがあり、これを利用して簡単に圧縮を実装できます。ここでは、それぞれのモジュールの有効化方法を解説します。
mod_deflateを使用してgzip圧縮を有効にする
mod_deflateはgzip圧縮を実現するためのApacheモジュールで、ほぼすべてのApache環境で利用可能です。以下はmod_deflateを有効にし、基本的な圧縮設定を行う手順です。
1. mod_deflateモジュールの有効化
以下のコマンドでmod_deflateを有効にします。
sudo a2enmod deflate
sudo systemctl restart apache2
※a2enmod
が利用できない場合は、Apacheの設定ファイルを直接編集します。
2. 圧縮対象のファイルタイプを指定
Apacheの設定ファイル(通常は/etc/apache2/apache2.conf
または.htaccess
)に以下を追加します。
<IfModule mod_deflate.c>
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html text/plain text/xml
AddOutputFilterByType DEFLATE text/css application/javascript
AddOutputFilterByType DEFLATE application/json application/xml
</IfModule>
3. 圧縮の動作確認
設定後、以下のコマンドを使って設定を確認します。
apachectl configtest
sudo systemctl restart apache2
ブラウザの開発者ツールやcurl
コマンドを利用し、HTTPヘッダーを確認してContent-Encoding: gzip
が表示されていれば成功です。
mod_brotliを使用してbrotli圧縮を有効にする
mod_brotliはApache 2.4.26以降で利用可能なモジュールで、gzipよりも高い圧縮率を提供します。以下の手順でbrotliを有効にします。
1. mod_brotliのインストールと有効化
sudo apt install brotli
sudo a2enmod brotli
sudo systemctl restart apache2
2. Brotliの圧縮設定
設定ファイルまたは.htaccess
に以下を追加します。
<IfModule mod_brotli.c>
BrotliCompressionQuality 6
BrotliEnable On
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/html text/plain text/xml
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/css application/javascript
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS application/json application/xml
</IfModule>
3. 動作確認
以下のコマンドでApacheを再起動し、設定が適用されているか確認します。
sudo systemctl restart apache2
ブラウザのデバッグツールを利用してContent-Encoding: br
と表示されていれば成功です。
gzipとbrotliの併用について
gzipとbrotliを併用することも可能です。クライアントが対応している圧縮形式を自動的に選択するため、より高い互換性とパフォーマンスを両立できます。
<IfModule mod_deflate.c>
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html text/plain text/xml
</IfModule>
<IfModule mod_brotli.c>
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/html text/plain text/xml
</IfModule>
これにより、古いブラウザはgzipを、新しいブラウザはbrotliを利用して圧縮が行われます。
圧縮レベルの基本設定と推奨値
Apacheでは、圧縮レベルを設定することで、ファイルの圧縮率と処理速度のバランスを調整できます。圧縮レベルを高く設定するとファイルサイズは小さくなりますが、サーバーの処理負荷が増加します。逆に圧縮レベルを低く設定すると処理は高速ですが、圧縮率は低くなります。ここでは、gzipおよびbrotliの圧縮レベルの設定方法と推奨値を解説します。
gzip圧縮レベルの設定方法
gzipの圧縮レベルは0から9までの範囲で設定可能です。
- 0:圧縮なし
- 1-4:低圧縮(高速)
- 5-7:中圧縮(バランスが良い)
- 8-9:高圧縮(高負荷)
設定方法
Apacheの設定ファイルまたは.htaccess
に以下の設定を追加します。
<IfModule mod_deflate.c>
DeflateCompressionLevel 6
</IfModule>
推奨値
- 一般的なWebサイト:
DeflateCompressionLevel 5-6
(圧縮率と速度のバランス) - 低スペックのサーバー:
DeflateCompressionLevel 3-4
(CPU負荷を抑えつつ圧縮) - 高性能サーバー:
DeflateCompressionLevel 7-8
(高圧縮でデータ転送量を最小化)
brotli圧縮レベルの設定方法
brotliの圧縮レベルは0から11までの範囲で設定できます。brotliはgzipよりも圧縮率が高く、特に高圧縮レベルでその効果が顕著です。
- 0-4:低圧縮(高速)
- 5-8:中圧縮(バランスが良い)
- 9-11:高圧縮(高負荷)
設定方法
以下の設定をApacheの設定ファイルまたは.htaccess
に追加します。
<IfModule mod_brotli.c>
BrotliCompressionQuality 6
</IfModule>
推奨値
- 標準的な設定:
BrotliCompressionQuality 5-6
- 高圧縮を重視:
BrotliCompressionQuality 8-9
- 処理速度を優先:
BrotliCompressionQuality 3-4
圧縮レベルの選択基準
圧縮レベルを選択する際は、以下の要因を考慮します。
- サイトのトラフィック量:高トラフィックサイトは中程度の圧縮レベルが適しています。
- サーバースペック:CPUリソースに余裕がある場合は高圧縮レベルを検討します。
- ユーザー層:モバイルユーザーが多い場合は、圧縮率を高くして転送量を減らすと効果的です。
適切な圧縮レベルを設定することで、サーバーの負荷を抑えつつ、Webサイトのパフォーマンスを最大限に引き出せます。
.htaccessを用いた圧縮レベルの調整
Apacheでは、サーバー全体の設定だけでなく、.htaccess
ファイルを使用して特定のディレクトリやサイト単位で圧縮レベルを調整できます。.htaccessを使うことで、簡単に設定の変更や調整が可能となり、柔軟に圧縮設定をカスタマイズできます。
gzip圧縮を.htaccessで設定する方法
.htaccess
ファイルを使ってgzip圧縮を有効にするには、以下のコードを追加します。
<IfModule mod_deflate.c>
# HTML, CSS, JavaScript, Textの圧縮
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html text/plain text/xml
AddOutputFilterByType DEFLATE text/css application/javascript
AddOutputFilterByType DEFLATE application/json application/xml
AddOutputFilterByType DEFLATE font/woff2 application/vnd.ms-fontobject
# 圧縮レベルの設定
DeflateCompressionLevel 6
# 特定のブラウザでのバグ回避
BrowserMatch ^Mozilla/4 gzip-only-text/html
BrowserMatch ^Mozilla/4\.0[678] no-gzip
BrowserMatch \bMSIE !no-gzip !gzip-only-text/html
</IfModule>
ポイント解説
AddOutputFilterByType
:圧縮するファイルタイプを指定します。HTMLやCSS、JSなどが対象です。DeflateCompressionLevel
:圧縮レベルを指定し、5-7程度のバランスが推奨されます。- ブラウザ互換性:一部の古いブラウザでは圧縮が正常に動作しないため、
BrowserMatch
で例外を設定します。
brotli圧縮を.htaccessで設定する方法
brotliを使用する場合は、以下のコードを.htaccess
に追加します。
<IfModule mod_brotli.c>
# HTML, CSS, JavaScript, Textの圧縮
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/html text/plain text/xml
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/css application/javascript
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS application/json application/xml
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS font/woff2 application/vnd.ms-fontobject
# Brotliの圧縮レベルを設定
BrotliCompressionQuality 6
# Brotliを有効化
BrotliEnable On
</IfModule>
ポイント解説
AddOutputFilterByType
:brotliで圧縮するファイルタイプを指定します。gzipとほぼ同じ形式です。BrotliCompressionQuality
:圧縮レベルを設定します。5-6がバランスの取れた設定です。BrotliEnable On
:brotli圧縮を有効化します。
特定のファイルタイプを除外する方法
画像や動画など、既に圧縮されているファイルを除外することが可能です。圧縮処理を不要にすることで、パフォーマンスが向上します。
<IfModule mod_deflate.c>
SetEnvIfNoCase Request_URI \.(?:gif|jpe?g|png|webp|mp4|avi|mov|pdf)$ no-gzip dont-vary
</IfModule>
ポイント解説
SetEnvIfNoCase
:指定した拡張子のファイルは圧縮対象から除外されます。画像、動画、PDFファイルなどを対象としています。
.htaccessでの設定の反映方法
.htaccess
ファイルを対象のディレクトリに配置します。- ファイルをアップロード後、Apacheを再起動します。
sudo systemctl restart apache2
- 以下のコマンドで設定の確認を行います。
curl -I -H "Accept-Encoding: gzip,br" https://example.com
Content-Encoding: gzip
やContent-Encoding: br
が表示されれば、圧縮が有効になっています。
.htaccessを使えば、簡単に圧縮レベルを変更し、サイトパフォーマンスを最適化できます。必要に応じて圧縮対象を絞り込むことで、サーバーの負荷軽減や処理速度向上につながります。
圧縮の効果を検証する方法
Apacheで圧縮を設定した後は、その効果を検証し、正しく機能しているかを確認することが重要です。圧縮の効果を検証することで、圧縮率や読み込み速度の改善を具体的に把握できます。ここでは、圧縮が適用されているかを確認する方法と、圧縮率を測定するためのツールを紹介します。
1. curlコマンドを使った圧縮確認
Apacheの圧縮が有効かどうかを手軽に確認する方法として、curl
コマンドを使用します。
curl -I -H "Accept-Encoding: gzip" https://example.com
このコマンドを実行すると、レスポンスヘッダーが表示されます。
Content-Encoding: gzip
と表示されていれば、gzip圧縮が適用されています。Content-Encoding: br
が表示されている場合は、brotli圧縮が適用されています。
brotli圧縮を確認する場合
curl -I -H "Accept-Encoding: br" https://example.com
2. ブラウザ開発者ツールを使った確認方法
ブラウザの開発者ツールを利用することで、簡単に圧縮状態を確認できます。
- ChromeまたはFirefoxで対象のWebサイトを開きます。
- 開発者ツールを起動します。(
F12
またはCtrl + Shift + I
) - 「Network」タブを選択します。
- サイトをリロードし、リクエストを確認します。
- 任意のリクエストをクリックし、「Headers」を確認します。
確認ポイント
Content-Encoding: gzip
またはContent-Encoding: br
が存在するか確認します。- 圧縮が適用されている場合、
Content-Length
が圧縮後のサイズになります。
3. GTmetrixを使った圧縮効果の検証
GTmetrixは、Webサイトのパフォーマンスを測定する無料ツールです。圧縮が適用されているかを視覚的に確認できます。
- GTmetrixにアクセスします。
- サイトURLを入力してテストを開始します。
- 分析結果の「PageSpeed」セクションで、圧縮が適切に行われているかを確認します。
4. WebPageTestで詳細分析
WebPageTestは、詳細なWebサイトのロード時間と圧縮状況を分析できるツールです。圧縮率の測定やロード時間の削減効果を具体的に数値で確認できます。
- WebPageTestにアクセスします。
- URLを入力してテストを実行します。
- 分析結果で「Compression」の項目を確認し、圧縮が有効か確認します。
5. Lighthouseを使ったパフォーマンス検証
GoogleのLighthouseは、サイトのパフォーマンス、アクセシビリティ、SEOを分析するツールです。圧縮の有無も検出されます。
- Chromeの開発者ツールで「Lighthouse」タブを選択します。
- 「Generate Report」をクリックして分析を開始します。
- 結果に「Enable text compression」の項目が表示された場合は、圧縮が不足している可能性があります。
圧縮率の計算方法
圧縮前後のデータサイズを比較し、圧縮率を計算することも重要です。
圧縮率 = (1 - 圧縮後のサイズ ÷ 圧縮前のサイズ) × 100
例:圧縮前が100KBで圧縮後が30KBの場合
(1 - 30 ÷ 100) × 100 = 70%
この場合、圧縮率は70%となります。
まとめ
Apacheでの圧縮効果を検証することで、サイトの読み込み速度やパフォーマンスの向上を確認できます。curl
やブラウザの開発者ツール、GTmetrixなどのオンラインツールを活用し、適切な圧縮設定を維持しましょう。
圧縮設定での注意点とトラブルシューティング
Apacheで圧縮を設定する際には、圧縮が適切に動作しない場合や、特定のコンテンツが圧縮されないといった問題が発生することがあります。ここでは、圧縮設定時の注意点とトラブルシューティング方法について解説します。
1. 圧縮されないファイルがある
問題点:HTMLやCSSは圧縮されているが、JavaScriptやJSONファイルが圧縮されない。
原因:.htaccess
やApache設定ファイルで圧縮対象のMIMEタイプが不足している可能性があります。
解決方法:圧縮対象のMIMEタイプを追加します。
<IfModule mod_deflate.c>
AddOutputFilterByType DEFLATE application/javascript application/json
AddOutputFilterByType DEFLATE application/xml text/css text/html
</IfModule>
brotliを使用する場合は、以下のように追加します。
<IfModule mod_brotli.c>
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS application/javascript application/json
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS application/xml text/css text/html
</IfModule>
2. 古いブラウザで圧縮が機能しない
問題点:古いブラウザや特定のクライアントで圧縮が適用されない。
原因:古いブラウザは圧縮に対応していないか、圧縮データを正しく処理できません。
解決方法:ブラウザの種類に応じて圧縮を回避する設定を追加します。
<IfModule mod_deflate.c>
BrowserMatch ^Mozilla/4 gzip-only-text/html
BrowserMatch ^Mozilla/4\.0[678] no-gzip
BrowserMatch \bMSIE !no-gzip !gzip-only-text/html
</IfModule>
3. 画像や動画が圧縮されていない
問題点:画像や動画が圧縮されていない。
原因:JPEG、PNG、MP4などのファイルは既に圧縮されており、再圧縮の効果がないためです。
解決方法:これらのファイルは圧縮対象から除外し、サーバー負荷を軽減します。
<IfModule mod_deflate.c>
SetEnvIfNoCase Request_URI \.(?:gif|jpe?g|png|webp|mp4|avi|mov|pdf)$ no-gzip dont-vary
</IfModule>
4. 圧縮によってコンテンツが壊れる
問題点:圧縮後のファイルが破損して表示されない。
原因:圧縮プロセスでエラーが発生している可能性があります。
解決方法:圧縮レベルを下げるか、特定のファイルを除外します。
DeflateCompressionLevel 5
また、以下のコードで特定のファイルのみ圧縮を回避します。
SetEnvIfNoCase Request_URI \.json$ no-gzip
5. 圧縮の設定が反映されない
問題点:設定を追加しても圧縮が有効にならない。
原因:モジュールが無効、または設定ファイルにミスがある可能性があります。
解決方法:モジュールが有効になっているか確認します。
sudo a2enmod deflate
sudo a2enmod brotli
sudo systemctl restart apache2
設定ファイルの文法をチェックします。
apachectl configtest
エラーが出た場合は、設定ファイルを修正して再起動します。
6. 圧縮が期待よりも効果が少ない
問題点:圧縮は有効だが、効果が十分に感じられない。
原因:圧縮レベルが低い、または既に軽量なファイルが圧縮対象となっている可能性があります。
解決方法:圧縮レベルを上げることで、ファイルサイズをさらに縮小します。ただし、サーバー負荷に注意が必要です。
DeflateCompressionLevel 7
BrotliCompressionQuality 7
まとめ
Apacheの圧縮設定はサイトのパフォーマンス向上に効果的ですが、適切に設定しないとトラブルの原因になります。設定後は検証を行い、ブラウザの互換性やサーバー負荷を考慮しつつ、最適な圧縮レベルを見つけることが重要です。
圧縮の応用例とベストプラクティス
Apacheでの圧縮設定は単純なファイル圧縮にとどまらず、特定のコンテンツだけを圧縮対象としたり、ファイルタイプごとに異なる圧縮レベルを設定することで、さらなるパフォーマンス向上が可能です。ここでは、圧縮の応用例と効果的な運用方法を紹介します。
1. 静的コンテンツと動的コンテンツで圧縮レベルを変える
動的に生成されるHTMLはリアルタイムで処理が必要なため、圧縮レベルを低めに設定してCPU負荷を軽減します。一方で、CSSやJavaScriptなどの静的コンテンツは高い圧縮レベルを適用し、転送サイズを最小化します。
設定例
<IfModule mod_deflate.c>
# 動的コンテンツ
<LocationMatch "\.(php|html)$">
DeflateCompressionLevel 4
</LocationMatch>
# 静的コンテンツ
<LocationMatch "\.(css|js|json|xml)$">
DeflateCompressionLevel 7
</LocationMatch>
</IfModule>
これにより、処理速度と圧縮率のバランスを最適化できます。
2. 特定のディレクトリのみ圧縮を適用する
サイト全体ではなく、特定のディレクトリ内のコンテンツだけ圧縮する方法です。これにより、必要な部分だけを圧縮し、サーバーの負荷を軽減できます。
設定例
<Directory /var/www/html/assets>
<IfModule mod_deflate.c>
AddOutputFilterByType DEFLATE text/css application/javascript
</IfModule>
</Directory>
/assets
ディレクトリ内のCSSやJavaScriptファイルにのみ圧縮を適用しています。
3. 圧縮対象から特定のファイルを除外する
すでに圧縮されているファイル(画像や動画、PDFなど)を圧縮対象から除外することで、無駄な処理を防ぎます。
設定例
<IfModule mod_deflate.c>
SetEnvIfNoCase Request_URI \.(?:gif|jpg|jpeg|png|mp4|pdf|zip|tar|gz)$ no-gzip
</IfModule>
この設定により、画像や動画など圧縮の効果が少ないファイルは除外されます。
4. Brotliとgzipの併用
最新のブラウザはbrotli圧縮をサポートしているため、対応しているブラウザにはbrotliを、それ以外にはgzipを使用するという方法が効果的です。
設定例
<IfModule mod_deflate.c>
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html text/plain text/xml
</IfModule>
<IfModule mod_brotli.c>
AddOutputFilterByType BROTLI_COMPRESS text/html text/plain text/xml
</IfModule>
これにより、brotli対応ブラウザは自動的に優先され、それ以外はgzipで圧縮されます。
5. キャッシュと圧縮の併用
圧縮と合わせてブラウザキャッシュを利用することで、さらなるパフォーマンス向上が期待できます。
設定例
<IfModule mod_expires.c>
ExpiresActive On
ExpiresByType text/css "access plus 1 month"
ExpiresByType application/javascript "access plus 1 month"
ExpiresByType text/html "access plus 1 day"
</IfModule>
これにより、静的コンテンツは長期間キャッシュされ、サーバーへの負荷が軽減されます。
6. HTTP/2との併用でさらなる高速化
ApacheでHTTP/2を有効にすることで、圧縮されたファイルの転送がさらに効率化されます。HTTP/2は複数のリクエストを並行して処理できるため、ページの読み込み速度が向上します。
設定例
<IfModule mod_http2.c>
Protocols h2 h2c http/1.1
</IfModule>
これにより、HTTP/2が有効になり、ブラウザが対応している場合は自動的にHTTP/2で通信されます。
まとめ
Apacheの圧縮は、基本的な設定だけでなく、ファイルタイプやディレクトリ単位でカスタマイズすることで、さらに効率的なパフォーマンス改善が可能です。gzipとbrotliの併用やキャッシュとの組み合わせなど、多様な応用例を活用してサーバー負荷を軽減し、快適なWeb環境を構築しましょう。
まとめ
Apacheでの圧縮設定は、Webサイトのパフォーマンス向上に大きく寄与します。圧縮を適切に設定することで、ページの読み込み速度が向上し、サーバーの負荷を軽減できるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスの改善やSEOの強化にもつながります。
本記事では、Apacheにおける圧縮の重要性や圧縮形式(gzip・brotli)、具体的な設定方法と圧縮レベルの調整、さらに応用例やトラブルシューティング方法について解説しました。
圧縮設定は一度行うだけでなく、定期的に検証し、サイトの規模やトラフィックに応じて最適化を続けることが重要です。圧縮とキャッシュ、HTTP/2の併用など、多様な手法を組み合わせて、Webサイトのパフォーマンスを最大限に引き出しましょう。
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