Windowsコマンドプロンプトでの「choice」コマンドを使った選択制御の完全ガイド

Windowsのコマンドプロンプトで利用できる「choice」コマンドは、スクリプト内でユーザーの選択を受け付ける強力なツールです。本記事では、この「choice」コマンドを用いた選択制御の方法を、初心者から上級者まで分かりやすく解説します。具体的な使い方や応用例、エラーハンドリングの実装方法などを詳しく紹介し、実際のシナリオでの活用法を学びます。

目次

「choice」コマンドとは

「choice」コマンドは、ユーザーに対して選択肢を提示し、その選択結果をスクリプトで利用するためのコマンドです。主にバッチファイル内で使用され、ユーザーの入力を基に分岐処理を行うことができます。例えば、特定の操作を選ばせたり、メニューからの選択を受け付けたりする場合に便利です。これにより、対話型のスクリプトを簡単に作成することができます。

基本的な「choice」コマンドの使い方

「choice」コマンドの基本的な使い方を以下に示します。基本的な構文と簡単な例を見ていきましょう。

構文

choice /c [選択肢] /m [メッセージ]
  • /c:選択肢を指定します。例: /c YN(YとNを選択肢として提示)
  • /m:ユーザーに表示するメッセージを指定します。

簡単な例

以下の例では、ユーザーに「続行しますか?」というメッセージとともに、Y(はい)またはN(いいえ)を選択させます。

@echo off
choice /c YN /m "続行しますか?"
if errorlevel 2 echo いいえが選択されました。
if errorlevel 1 echo はいが選択されました。

このスクリプトを実行すると、「続行しますか?」というメッセージが表示され、ユーザーがYまたはNを押すことで、それに応じたメッセージが表示されます。

複数の選択肢を持つスクリプトの作成

「choice」コマンドを使って複数の選択肢を提供するスクリプトの例を示します。ここでは、ユーザーに対していくつかのオプションを提示し、それに応じた処理を実行します。

例:複数の選択肢を提示するスクリプト

次のスクリプトは、ユーザーに対してA、B、Cの3つの選択肢を提示し、それぞれの選択に応じたメッセージを表示します。

@echo off
echo 選択肢を選んでください:
echo [A] オプション1
echo [B] オプション2
echo [C] オプション3

choice /c ABC /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 3 echo オプション3が選択されました。
if errorlevel 2 echo オプション2が選択されました。
if errorlevel 1 echo オプション1が選択されました。

スクリプトの解説

  1. echoコマンドでユーザーに選択肢を表示します。
  2. choiceコマンドでA、B、Cの選択肢を提示し、メッセージを表示します。
  3. if errorlevelを使ってユーザーの選択に応じた処理を実行します。

このスクリプトを実行すると、ユーザーはA、B、Cのいずれかを選択できます。それぞれの選択に応じて、対応するメッセージが表示されます。この方法を使うことで、簡単に対話型のスクリプトを作成することができます。

「choice」コマンドのオプションの解説

「choice」コマンドにはいくつかのオプションがあり、それぞれ異なる用途に利用できます。以下に主要なオプションとその使い方を解説します。

/c [選択肢]

指定した選択肢の中からユーザーに選ばせます。デフォルトでは「YN」となっています。

choice /c ABC /m "選択を入力してください:"

この例では、A、B、Cの3つの選択肢を提示します。

/n

メッセージを表示する際に、選択肢を表示しません。

choice /c ABC /m "選択を入力してください:" /n

この例では、「選択を入力してください:」というメッセージのみが表示され、選択肢は表示されません。

/m [メッセージ]

ユーザーに表示するメッセージを指定します。

choice /c YN /m "続行しますか?"

この例では、「続行しますか?」というメッセージが表示されます。

/t [秒数] /d [デフォルト選択]

指定した秒数が経過した後、自動的にデフォルト選択を選びます。

choice /c YN /m "続行しますか?" /t 10 /d Y

この例では、10秒後に自動的にYが選択されます。

/cs

選択肢の大小文字を区別します。

choice /c YN /m "続行しますか?" /cs

この例では、yYが区別されます。

実行例

以下に、各オプションを組み合わせたスクリプトの例を示します。

@echo off
echo メニューを選択してください:
echo [A] オプション1
echo [B] オプション2
echo [C] オプション3

choice /c ABC /m "選択を入力してください:" /t 5 /d A

if errorlevel 3 echo オプション3が選択されました。
if errorlevel 2 echo オプション2が選択されました。
if errorlevel 1 echo オプション1が選択されました。

このスクリプトは、5秒後に自動的にAが選択されるように設定されています。ユーザーの選択に応じて適切なメッセージが表示されます。

エラーハンドリングの実装

スクリプト内で「choice」コマンドを使う際、ユーザーの選択ミスや無効な入力に対応するエラーハンドリングが重要です。以下に、エラーハンドリングの方法を紹介します。

無効な入力の対応

無効な入力があった場合に再度選択を促すためのループ処理を追加します。

例:エラーハンドリングを含むスクリプト

以下のスクリプトは、ユーザーが有効な選択をするまでループし、無効な選択があった場合にエラーメッセージを表示します。

@echo off
:menu
echo メニューを選択してください:
echo [A] オプション1
echo [B] オプション2
echo [C] オプション3
choice /c ABC /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 4 (
    echo 無効な選択です。もう一度入力してください。
    goto menu
)
if errorlevel 3 echo オプション3が選択されました。
if errorlevel 2 echo オプション2が選択されました。
if errorlevel 1 echo オプション1が選択されました。

スクリプトの解説

  1. :menuラベルでメニューを表示するセクションを定義します。
  2. choiceコマンドで選択を受け付けます。
  3. if errorlevel 4で無効な選択があった場合、エラーメッセージを表示し、再度メニューを表示するためにgoto menuでループします。
  4. 有効な選択があった場合、それぞれの選択に応じたメッセージを表示します。

ユーザー入力の検証

ユーザーが適切な選択をするまで繰り返し入力を促すことで、スクリプトの信頼性を高めることができます。この方法により、誤った入力が処理を中断させることなく、スムーズな操作が可能になります。

応用例:メニューシステムの作成

「choice」コマンドを応用して、シンプルなメニューシステムを作成する方法を解説します。メニューシステムを利用することで、ユーザーに複数の操作を選択させることができ、スクリプトの柔軟性が高まります。

メニューシステムの例

以下のスクリプトは、ユーザーに対して3つの操作を選ばせるメニューシステムを示します。選択に応じて、それぞれの処理を実行します。

@echo off
:menu
echo ===================================
echo メインメニュー
echo ===================================
echo [1] ファイルのリスト表示
echo [2] ディスクの空き容量確認
echo [3] スクリプトの終了
echo ===================================
choice /c 123 /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 4 (
    echo 無効な選択です。もう一度入力してください。
    goto menu
)
if errorlevel 3 goto end
if errorlevel 2 goto check_disk
if errorlevel 1 goto list_files

:list_files
echo -----------------------------------
echo ファイルのリストを表示します。
dir
goto menu

:check_disk
echo -----------------------------------
echo ディスクの空き容量を確認します。
echo.
echo ドライブC:
chkdsk C:
goto menu

:end
echo スクリプトを終了します。

スクリプトの解説

  1. :menuラベルでメニューを表示します。
  2. choiceコマンドでユーザーの選択を受け付けます。
  3. if errorlevel 4で無効な選択があった場合、エラーメッセージを表示し、メニューに戻ります。
  4. if errorlevel 3で3が選択された場合、スクリプトを終了します。
  5. if errorlevel 2で2が選択された場合、ディスクの空き容量を確認するセクションにジャンプします。
  6. if errorlevel 1で1が選択された場合、ファイルのリストを表示するセクションにジャンプします。

メニューシステムの利点

このメニューシステムを使用することで、ユーザーは直感的に操作を選択でき、スクリプトは選択に応じて適切な処理を実行します。これにより、複数のタスクを一つのスクリプトで効率的に管理できるようになります。

このように「choice」コマンドを活用してメニューシステムを構築することで、対話型のバッチスクリプトを簡単に作成することができます。

「choice」コマンドの実行結果の利用方法

「choice」コマンドの実行結果を利用して、条件分岐を行う方法を説明します。これにより、ユーザーの選択に応じた処理を柔軟に実装できます。

実行結果を利用した条件分岐

「choice」コマンドの実行結果はerrorlevel変数を使って取得します。errorlevelは、選択されたオプションの番号に応じて値を返します。この値を使って条件分岐を行います。

例:条件分岐を利用したスクリプト

以下のスクリプトは、ユーザーの選択に応じて異なるメッセージを表示します。

@echo off
echo メニューを選択してください:
echo [1] こんにちはを表示
echo [2] 現在の日時を表示
echo [3] プログラムを終了

choice /c 123 /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 3 goto end
if errorlevel 2 goto datetime
if errorlevel 1 goto hello

:hello
echo こんにちは!
goto end

:datetime
echo 現在の日時は以下の通りです:
date /t
time /t
goto end

:end
echo プログラムを終了します。

スクリプトの解説

  1. choiceコマンドでユーザーに3つの選択肢を提示します。
  2. if errorlevelステートメントを使用して、選択されたオプションに応じて処理を分岐させます。
  • if errorlevel 3 goto end: オプション3が選択された場合、スクリプトを終了します。
  • if errorlevel 2 goto datetime: オプション2が選択された場合、現在の日時を表示します。
  • if errorlevel 1 goto hello: オプション1が選択された場合、「こんにちは」を表示します。

実行結果の利用方法

この方法により、スクリプトはユーザーの選択に応じた処理を実行できます。選択結果を変数に格納し、さらに複雑なロジックを実装することも可能です。

@echo off
choice /c 123 /m "選択を入力してください:"
set choice_result=%errorlevel%

if %choice_result%==3 goto end
if %choice_result%==2 goto datetime
if %choice_result%==1 goto hello

この例では、選択結果をchoice_result変数に格納し、条件分岐に利用しています。このように、選択結果を柔軟に利用することで、スクリプトの応用範囲が広がります。

演習問題

「choice」コマンドを使った選択制御の理解を深めるために、以下の演習問題に挑戦してみましょう。これらの問題を通じて、実際にスクリプトを作成し、動作を確認してください。

演習問題1: 簡単な計算機を作成する

ユーザーに対して、加算、減算、乗算、除算の4つの選択肢を提示し、それぞれの選択に応じて計算を行うスクリプトを作成してください。

@echo off
:menu
echo 数字を2つ入力してください:
set /p num1=1つ目の数字:
set /p num2=2つ目の数字:

echo 選択肢を選んでください:
echo [A] 加算
echo [B] 減算
echo [C] 乗算
echo [D] 除算

choice /c ABCD /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 5 echo 無効な選択です。もう一度入力してください。 & goto menu
if errorlevel 4 goto division
if errorlevel 3 goto multiplication
if errorlevel 2 goto subtraction
if errorlevel 1 goto addition

:addition
set /a result=num1 + num2
echo 結果: %num1% + %num2% = %result%
goto end

:subtraction
set /a result=num1 - num2
echo 結果: %num1% - %num2% = %result%
goto end

:multiplication
set /a result=num1 * num2
echo 結果: %num1% * %num2% = %result%
goto end

:division
if %num2%==0 (
    echo "ゼロで割ることはできません。"
    goto menu
)
set /a result=num1 / num2
echo 結果: %num1% / %num2% = %result%
goto end

:end
echo スクリプトを終了します。

演習問題2: ファイル操作メニューを作成する

ユーザーに対して、ファイルのコピー、移動、削除の選択肢を提示し、それぞれの選択に応じてファイル操作を行うスクリプトを作成してください。

@echo off
:menu
echo ファイル操作を選んでください:
echo [C] ファイルのコピー
echo [M] ファイルの移動
echo [D] ファイルの削除

choice /c CMD /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 4 echo 無効な選択です。もう一度入力してください。 & goto menu
if errorlevel 3 goto delete_file
if errorlevel 2 goto move_file
if errorlevel 1 goto copy_file

:copy_file
set /p src="コピー元のファイルパスを入力してください: "
set /p dest="コピー先のファイルパスを入力してください: "
copy %src% %dest%
echo ファイルをコピーしました。
goto end

:move_file
set /p src="移動元のファイルパスを入力してください: "
set /p dest="移動先のファイルパスを入力してください: "
move %src% %dest%
echo ファイルを移動しました。
goto end

:delete_file
set /p file="削除するファイルのパスを入力してください: "
del %file%
echo ファイルを削除しました。
goto end

:end
echo スクリプトを終了します。

演習問題3: システム情報表示メニューを作成する

ユーザーに対して、システム情報の表示、ネットワーク設定の表示、ディスク使用量の表示の選択肢を提示し、それぞれの情報を表示するスクリプトを作成してください。

@echo off
:menu
echo システム情報を選択してください:
echo [S] システム情報の表示
echo [N] ネットワーク設定の表示
echo [D] ディスク使用量の表示

choice /c SND /m "選択を入力してください:"

if errorlevel 4 echo 無効な選択です。もう一度入力してください。 & goto menu
if errorlevel 3 goto disk_usage
if errorlevel 2 goto network_info
if errorlevel 1 goto system_info

:system_info
systeminfo
goto end

:network_info
ipconfig
goto end

:disk_usage
echo ディスク使用量を表示します。
wmic logicaldisk get size,freespace,caption
goto end

:end
echo スクリプトを終了します。

演習問題のまとめ

これらの演習問題に取り組むことで、「choice」コマンドを使ったスクリプトの基本から応用までを実践的に学ぶことができます。自分の環境で実際にスクリプトを動かし、結果を確認してみてください。

まとめ

「choice」コマンドは、Windowsのコマンドプロンプトでユーザーの選択を受け付ける強力なツールです。本記事では、基本的な使い方から複数の選択肢を持つスクリプトの作成、オプションの解説、エラーハンドリング、応用例、実行結果の利用方法、そして演習問題までを詳しく解説しました。これらの知識を活用して、よりインタラクティブで使いやすいスクリプトを作成し、業務の自動化や効率化に役立ててください。

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