JavaScriptでDOMイベントを効果的に制御するための基本知識とテクニックを学びましょう。DOMイベントは、ユーザーインターフェースの操作を感知し、適切な反応を行うための重要な仕組みです。この記事では、イベントの発生から伝播、そして制御方法までを詳細に解説します。特に、イベント伝播の仕組みと、その制御方法であるstopPropagationとpreventDefaultの使い方に焦点を当てます。これにより、より洗練されたインタラクティブなウェブアプリケーションを作成するスキルを身につけることができます。
DOMイベントの基本概念
DOM(Document Object Model)は、ウェブページの構造を表現するモデルであり、JavaScriptから操作することができます。DOMイベントとは、ユーザーの操作(クリック、キー押下、マウス移動など)やブラウザの動作(ページ読み込み、ウィンドウのリサイズなど)によって発生するイベントを指します。
イベントリスナー
イベントが発生したときに実行される関数をイベントリスナーと呼びます。イベントリスナーは、特定のイベントが発生したときに特定の要素で実行されるように設定できます。
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function() {
alert("Button clicked!");
});
イベントオブジェクト
イベントが発生すると、イベントオブジェクトが自動的に生成され、イベントリスナーに渡されます。イベントオブジェクトには、イベントに関する詳細な情報(イベントの種類、発生した位置、対象の要素など)が含まれています。
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function(event) {
console.log(event.type); // "click"
console.log(event.target); // クリックされた要素
});
イベントは通常、親要素から子要素へと伝播します。これにより、特定の要素で発生したイベントが、その親要素やさらに上位の親要素でもキャプチャできます。次のセクションでは、イベント伝播の詳細と3つのフェーズについて説明します。
イベント伝播の3つのフェーズ
DOMイベントが発生すると、そのイベントは特定の順序で伝播します。この伝播には3つのフェーズがあり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
キャプチャリングフェーズ
キャプチャリングフェーズは、イベントがドキュメントのルートからイベントが発生した要素まで降りてくる過程です。このフェーズでは、親要素から子要素へと順にイベントリスナーが呼び出されます。キャプチャリングフェーズはあまり一般的に使われませんが、特定のシナリオで役立つことがあります。
document.getElementById("parent").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Capturing phase");
}, true); // 第三引数をtrueにするとキャプチャリングフェーズで実行されます
ターゲットフェーズ
ターゲットフェーズは、イベントが実際に発生した要素でイベントリスナーが呼び出されるフェーズです。ここで、イベントリスナーはイベントが発生した具体的な要素上で実行されます。
document.getElementById("child").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Target phase");
});
バブリングフェーズ
バブリングフェーズは、イベントが発生した要素からドキュメントのルートまで逆に伝播する過程です。このフェーズでは、子要素から親要素へと順にイベントリスナーが呼び出されます。バブリングフェーズは最も一般的に使用されるフェーズです。
document.getElementById("parent").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Bubbling phase");
});
これらのフェーズを理解することで、イベントがどのように伝播するかを制御し、必要な場面で適切に反応することが可能になります。次のセクションでは、イベント伝播を制御するための具体的な方法について詳しく解説します。
stopPropagationの使用方法
イベント伝播を制御するために、JavaScriptではstopPropagationメソッドを使用します。stopPropagationは、イベントが現在の要素から先に進むのを防ぎ、キャプチャリングフェーズまたはバブリングフェーズのどちらでも使用できます。これにより、イベントが親要素に伝播するのを防ぎます。
stopPropagationの基本的な使い方
stopPropagationメソッドは、イベントオブジェクトに対して呼び出されます。以下の例では、子要素のクリックイベントが親要素に伝播しないように制御しています。
document.getElementById("child").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
console.log("Child element clicked");
});
document.getElementById("parent").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Parent element clicked");
});
このコードでは、子要素をクリックしても「Parent element clicked」というメッセージは表示されず、「Child element clicked」だけが表示されます。
ネストされたイベントの制御
複数の要素がネストされている場合でも、stopPropagationを使用することで特定のイベントだけを制御できます。例えば、次のコードでは、内側の要素でのクリックイベントが外側の要素に伝播するのを防ぎます。
document.getElementById("inner").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
console.log("Inner element clicked");
});
document.getElementById("outer").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Outer element clicked");
});
この例では、内側の要素をクリックすると、「Outer element clicked」は表示されず、「Inner element clicked」のみが表示されます。
注意点
stopPropagationを使用すると、イベント伝播が完全に停止するため、他の親要素で設定されているイベントリスナーが実行されなくなります。これを考慮して、必要な場合にのみstopPropagationを使用し、意図しない動作を避けるようにしましょう。
次のセクションでは、デフォルトのイベント動作を防ぐためのpreventDefaultメソッドの使用方法について解説します。
preventDefaultの使用方法
イベントが発生した際に、そのデフォルトの動作を防ぐために使用されるのがpreventDefaultメソッドです。例えば、フォームの送信やリンクのクリックなど、ブラウザが通常行うアクションをキャンセルする場合に利用します。
preventDefaultの基本的な使い方
preventDefaultメソッドは、イベントオブジェクトに対して呼び出されます。以下の例では、リンクのクリックによるページ遷移を防ぎます。
document.getElementById("myLink").addEventListener("click", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Link click prevented");
});
このコードでは、リンクをクリックしてもページが遷移せず、「Link click prevented」というメッセージが表示されます。
フォームの送信を防ぐ
フォームが送信される際のデフォルト動作(ページのリロード)を防ぐには、以下のようにします。
document.getElementById("myForm").addEventListener("submit", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Form submission prevented");
});
このコードでは、フォームを送信しようとしても、ページはリロードされず、「Form submission prevented」というメッセージが表示されます。
コンテキストメニューの表示を防ぐ
右クリック時に表示されるコンテキストメニューを防ぐには、以下のようにします。
document.getElementById("myElement").addEventListener("contextmenu", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Context menu prevented");
});
このコードでは、指定した要素で右クリックしてもコンテキストメニューが表示されず、「Context menu prevented」というメッセージが表示されます。
注意点
preventDefaultを使用することで、ユーザーが期待する通常の動作を妨げる可能性があります。そのため、このメソッドを使用する際は、ユーザーエクスペリエンスを考慮し、本当に必要な場合にのみ使用するようにしましょう。
次のセクションでは、stopPropagationとpreventDefaultの違いと使い分けについて具体例を交えて解説します。
stopPropagationとpreventDefaultの違い
stopPropagationとpreventDefaultはどちらもイベントの挙動を制御するために使用されますが、それぞれ異なる目的と機能を持っています。このセクションでは、両者の違いと使い分けについて具体例を交えて解説します。
stopPropagationの機能と用途
stopPropagationは、イベントが親要素に伝播するのを防ぎます。つまり、現在の要素でイベントの伝播を止め、親要素や他の祖先要素にイベントが伝わらないようにします。
document.getElementById("child").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
console.log("Child element clicked");
});
document.getElementById("parent").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Parent element clicked");
});
この例では、子要素のクリックイベントが親要素に伝播しないため、親要素のイベントリスナーは実行されません。
preventDefaultの機能と用途
preventDefaultは、イベントのデフォルトの動作をキャンセルします。例えば、リンクのクリックによるページ遷移やフォームの送信などを防ぎます。
document.getElementById("myLink").addEventListener("click", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Link click prevented");
});
この例では、リンクをクリックしてもページが遷移しませんが、イベントは伝播し続けます。
stopPropagationとpreventDefaultの使い分け
両者を組み合わせることで、イベントの伝播を止めつつデフォルトの動作も防ぐことができます。
document.getElementById("child").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
event.preventDefault();
console.log("Child element clicked and default prevented");
});
この例では、子要素のクリックイベントが親要素に伝播せず、かつデフォルトのクリック動作も防がれます。
具体例での使い分け
以下に、具体的なシナリオでのstopPropagationとpreventDefaultの使い分けを示します。
フォーム送信ボタンの制御
フォーム送信ボタンをクリックしたときに、バリデーションエラーが発生した場合に送信を防ぐが、他の要素に伝播させる場合。
document.getElementById("submitButton").addEventListener("click", function(event) {
if (!formIsValid()) {
event.preventDefault(); // フォームの送信を防ぐ
alert("Form is not valid");
}
});
ネストされたクリックイベントの制御
ネストされた要素でのクリックイベントが親要素に伝播するのを防ぐが、デフォルトの動作はそのままにする場合。
document.getElementById("nestedChild").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation(); // イベント伝播を防ぐ
console.log("Nested child clicked");
});
このように、stopPropagationとpreventDefaultはそれぞれ異なる状況で役立つツールです。次のセクションでは、イベントリスナーの基本的な設定方法と注意点について説明します。
イベントリスナーの設定方法
JavaScriptでは、DOM要素に対してイベントリスナーを設定することで、特定のイベントが発生した際に実行される関数を指定できます。イベントリスナーの設定は、ユーザーインターフェースの操作に対して適切に反応するための基本的なテクニックです。
基本的なイベントリスナーの設定
イベントリスナーを設定するためには、addEventListenerメソッドを使用します。このメソッドは、イベントの種類とそのイベントが発生したときに実行される関数を指定します。
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function() {
console.log("Button clicked");
});
このコードでは、ボタンがクリックされたときに「Button clicked」というメッセージがコンソールに表示されます。
イベントリスナーの削除
addEventListenerで追加したイベントリスナーは、removeEventListenerメソッドで削除することができます。これにより、特定の状況でイベントリスナーを無効にすることが可能です。
function handleClick() {
console.log("Button clicked");
}
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", handleClick);
// イベントリスナーの削除
document.getElementById("myButton").removeEventListener("click", handleClick);
このコードでは、最初に設定したイベントリスナーが削除されるため、ボタンをクリックしても「Button clicked」というメッセージは表示されません。
複数のイベントリスナーの設定
1つの要素に対して複数のイベントリスナーを設定することができます。これにより、同じイベントに対して異なる処理を行うことが可能です。
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function() {
console.log("First listener");
});
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function() {
console.log("Second listener");
});
このコードでは、ボタンがクリックされると「First listener」と「Second listener」というメッセージが順に表示されます。
イベントリスナーのオプション
addEventListenerメソッドには、オプションとして3番目の引数を指定することができます。この引数には、キャプチャリングフェーズで実行するかどうかを示すブール値や、パッシブリスナーを指定するためのオブジェクトを渡すことができます。
document.getElementById("myButton").addEventListener("click", function() {
console.log("Button clicked in capturing phase");
}, true); // キャプチャリングフェーズで実行
注意点
イベントリスナーを設定する際には、以下の点に注意する必要があります。
- メモリリークを防ぐために、不要になったイベントリスナーは適切に削除する。
- パフォーマンスを考慮し、頻繁に発生するイベント(例:scroll、resizeなど)にはパッシブリスナーを使用する。
- 複数のイベントリスナーが同じ要素に設定されている場合、実行順序に注意する。
次のセクションでは、ネストしたイベントの制御方法とその応用について解説します。
ネストしたイベントの制御
DOM要素がネストされている場合、イベントは子要素から親要素へと伝播します。このイベント伝播を理解し、適切に制御することで、より洗練されたインタラクティブなウェブアプリケーションを構築することができます。
ネストされた要素でのイベント伝播
イベントがネストされた要素内で発生すると、まずターゲット要素でイベントが発生し、その後親要素へと伝播します。この伝播の過程で、各要素に設定されたイベントリスナーが順に呼び出されます。
<div id="outer">
<div id="inner">
Click me
</div>
</div>
document.getElementById("outer").addEventListener("click", function() {
console.log("Outer element clicked");
});
document.getElementById("inner").addEventListener("click", function() {
console.log("Inner element clicked");
});
この例では、#inner
要素をクリックすると、まず「Inner element clicked」が表示され、その後「Outer element clicked」が表示されます。
イベント伝播の制御
イベント伝播を制御するためには、stopPropagationメソッドを使用します。これにより、イベントが親要素に伝播するのを防ぐことができます。
document.getElementById("inner").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
console.log("Inner element clicked and propagation stopped");
});
この例では、#inner
要素をクリックすると、「Inner element clicked and propagation stopped」のみが表示され、「Outer element clicked」は表示されません。
ネストされたイベントの応用例
ネストされたイベントの制御は、例えばモーダルウィンドウやドロップダウンメニューなどのインタラクティブなUIコンポーネントで役立ちます。
<div id="modal">
<div id="content">
<button id="close">Close</button>
</div>
</div>
document.getElementById("modal").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Modal background clicked");
event.stopPropagation();
});
document.getElementById("close").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Close button clicked");
event.stopPropagation();
document.getElementById("modal").style.display = "none";
});
この例では、モーダルウィンドウの背景部分をクリックしてもモーダルは閉じず、閉じるボタンをクリックするとモーダルが閉じます。
実用的なテクニック
イベント伝播を効果的に制御するためのいくつかの実用的なテクニックを紹介します。
イベントデリゲーション
イベントデリゲーションは、親要素にイベントリスナーを設定し、子要素で発生したイベントをキャプチャする方法です。これにより、動的に生成される子要素にも対応できます。
<ul id="itemList">
<li>Item 1</li>
<li>Item 2</li>
<li>Item 3</li>
</ul>
document.getElementById("itemList").addEventListener("click", function(event) {
if (event.target.tagName === 'LI') {
console.log(event.target.textContent + " clicked");
}
});
この例では、リストアイテムがクリックされると、そのテキスト内容が表示されます。
次のセクションでは、具体的なコード例を用いて、イベント伝播の制御方法をさらに詳しく解説します。
実用的なサンプルコード
ここでは、イベント伝播の制御方法を具体的なコード例を通して解説します。これにより、実際のプロジェクトでどのようにイベント伝播を扱うかを理解できます。
クリックイベントの伝播制御
次の例では、ネストされた要素でのクリックイベントを制御し、親要素への伝播を防ぐ方法を示します。
<div id="outer" style="padding: 20px; background-color: lightblue;">
Outer Element
<div id="inner" style="padding: 20px; background-color: lightcoral;">
Inner Element
</div>
</div>
document.getElementById("outer").addEventListener("click", function() {
console.log("Outer element clicked");
});
document.getElementById("inner").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
console.log("Inner element clicked and propagation stopped");
});
この例では、#inner
要素をクリックすると、「Inner element clicked and propagation stopped」のみが表示され、#outer
要素のクリックイベントは発生しません。
フォーム送信の制御
フォーム送信イベントを制御し、デフォルトの送信動作を防ぐ方法を示します。
<form id="myForm">
<input type="text" id="name" placeholder="Enter your name" required>
<button type="submit">Submit</button>
</form>
document.getElementById("myForm").addEventListener("submit", function(event) {
event.preventDefault();
const name = document.getElementById("name").value;
console.log("Form submission prevented. Name: " + name);
});
このコードでは、フォームが送信されてもページはリロードされず、入力された名前がコンソールに表示されます。
コンテキストメニューの表示防止
右クリック時に表示されるコンテキストメニューを防ぐ方法を示します。
<div id="noContext" style="width: 200px; height: 200px; background-color: lightgreen;">
Right-click is disabled here
</div>
document.getElementById("noContext").addEventListener("contextmenu", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Context menu prevented");
});
この例では、#noContext
要素内で右クリックしても、コンテキストメニューは表示されず、「Context menu prevented」というメッセージがコンソールに表示されます。
イベントデリゲーションの活用
動的に生成される要素に対して、親要素にイベントリスナーを設定する方法を示します。
<ul id="itemList">
<li>Item 1</li>
<li>Item 2</li>
<li>Item 3</li>
</ul>
<button id="addItem">Add Item</button>
document.getElementById("itemList").addEventListener("click", function(event) {
if (event.target.tagName === 'LI') {
console.log(event.target.textContent + " clicked");
}
});
document.getElementById("addItem").addEventListener("click", function() {
const newItem = document.createElement("li");
newItem.textContent = "Item " + (document.getElementById("itemList").children.length + 1);
document.getElementById("itemList").appendChild(newItem);
});
このコードでは、「Add Item」ボタンをクリックすると新しいリストアイテムが追加され、追加されたアイテムをクリックするとそのテキストがコンソールに表示されます。
これらのサンプルコードを通して、DOMイベントの伝播とその制御方法についての理解が深まるでしょう。次のセクションでは、イベント伝播に関する一般的な問題とその解決方法を紹介します。
デバッグとトラブルシューティング
イベント伝播に関する問題は、予期しない動作やバグの原因になることがよくあります。ここでは、一般的な問題とその解決方法について紹介します。
イベントが伝播しない
イベントが意図した通りに伝播しない場合、いくつかの原因が考えられます。
原因1: stopPropagationが呼ばれている
どこかのイベントリスナーでstopPropagationが呼ばれていると、その後の伝播が停止します。コード内でstopPropagationが使用されている箇所を確認し、必要に応じて削除します。
document.getElementById("inner").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation(); // これが伝播を止めている可能性があります
console.log("Inner element clicked");
});
原因2: イベントリスナーの設定ミス
イベントリスナーが正しく設定されていない場合、イベントがキャプチャされないことがあります。イベントリスナーが適切な要素に設定されているか確認しましょう。
document.getElementById("correctElement").addEventListener("click", function() {
console.log("Element clicked");
});
イベントが複数回発生する
イベントが意図せず複数回発生する場合、イベントリスナーが複数回設定されている可能性があります。
原因: イベントリスナーの二重登録
同じ要素に対して複数回イベントリスナーを登録している場合、イベントが複数回発生します。イベントリスナーの登録が一度だけ行われているか確認します。
function handleClick() {
console.log("Element clicked");
}
document.getElementById("myElement").addEventListener("click", handleClick);
// 以下のように複数回登録されていないか確認
// document.getElementById("myElement").addEventListener("click", handleClick);
デフォルト動作が防げない
preventDefaultが機能していない場合、以下の点を確認します。
原因: preventDefaultの呼び出しミス
preventDefaultが正しく呼び出されていない場合、デフォルト動作を防げません。イベントオブジェクトに対して正しく呼び出されているか確認します。
document.getElementById("myLink").addEventListener("click", function(event) {
event.preventDefault();
console.log("Link click prevented");
});
原因: フォーム要素の設定ミス
フォーム要素の場合、ボタンのtype属性が「submit」になっているか確認します。ボタンのtype属性が「button」になっていると、フォーム送信は行われません。
<button type="submit">Submit</button>
デバッグテクニック
イベント伝播に関する問題をデバッグするためのテクニックをいくつか紹介します。
コンソールログを活用する
イベントが発生したかどうか、どのフェーズで発生したかを確認するために、コンソールログを活用します。
document.getElementById("myElement").addEventListener("click", function(event) {
console.log("Event type:", event.type);
console.log("Event phase:", event.eventPhase);
});
ブラウザの開発者ツールを使用する
ブラウザの開発者ツールを使用して、イベントリスナーが正しく設定されているか、イベントが発生しているかを確認します。ElementsパネルやConsoleパネルを活用しましょう。
これらの方法を活用することで、イベント伝播に関する問題を効果的に解決できます。次のセクションでは、実際に手を動かして学べる応用例や演習問題を提供します。
応用例と演習問題
ここでは、実際に手を動かして学べる応用例と演習問題を提供します。これにより、イベント伝播とその制御方法に関する理解を深めることができます。
応用例1: モーダルウィンドウの実装
モーダルウィンドウを開閉するためのイベント伝播制御を実装します。
<button id="openModal">Open Modal</button>
<div id="modal" style="display: none;">
<div id="modalContent" style="background-color: white; padding: 20px;">
<span id="closeModal" style="cursor: pointer;">×</span>
<p>This is a modal window</p>
</div>
</div>
document.getElementById("openModal").addEventListener("click", function() {
document.getElementById("modal").style.display = "block";
});
document.getElementById("closeModal").addEventListener("click", function() {
document.getElementById("modal").style.display = "none";
});
document.getElementById("modal").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
document.getElementById("modal").style.display = "none";
});
document.getElementById("modalContent").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
});
この例では、モーダルウィンドウの背景部分をクリックするとウィンドウが閉じ、モーダルウィンドウ内のコンテンツをクリックしてもウィンドウが閉じません。
応用例2: ドロップダウンメニューの実装
ドロップダウンメニューの開閉を制御するイベントリスナーを実装します。
<div id="dropdown">
<button id="dropdownButton">Toggle Menu</button>
<div id="dropdownContent" style="display: none;">
<a href="#">Link 1</a>
<a href="#">Link 2</a>
<a href="#">Link 3</a>
</div>
</div>
document.getElementById("dropdownButton").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
var content = document.getElementById("dropdownContent");
content.style.display = content.style.display === "none" ? "block" : "none";
});
document.addEventListener("click", function() {
document.getElementById("dropdownContent").style.display = "none";
});
document.getElementById("dropdownContent").addEventListener("click", function(event) {
event.stopPropagation();
});
この例では、ドロップダウンボタンをクリックするとメニューが表示され、メニュー外をクリックするとメニューが閉じます。
演習問題1: コンテキストメニューのカスタマイズ
右クリック時に表示されるコンテキストメニューをカスタマイズする機能を実装してください。
<div id="customContext" style="width: 200px; height: 200px; background-color: lightgray;">
Right-click me
</div>
<div id="contextMenu" style="display: none; position: absolute; background-color: white; border: 1px solid black;">
<ul>
<li>Option 1</li>
<li>Option 2</li>
<li>Option 3</li>
</ul>
</div>
document.getElementById("customContext").addEventListener("contextmenu", function(event) {
event.preventDefault();
var menu = document.getElementById("contextMenu");
menu.style.display = "block";
menu.style.left = event.pageX + "px";
menu.style.top = event.pageY + "px";
});
document.addEventListener("click", function() {
document.getElementById("contextMenu").style.display = "none";
});
この演習では、右クリック時にカスタムコンテキストメニューが表示され、他の場所をクリックするとメニューが非表示になります。
演習問題2: イベントデリゲーションを用いた動的リスト
イベントデリゲーションを用いて、動的に追加されるリストアイテムをクリックした際にアラートを表示する機能を実装してください。
<ul id="dynamicList">
<li>Item 1</li>
<li>Item 2</li>
</ul>
<button id="addItem">Add Item</button>
document.getElementById("dynamicList").addEventListener("click", function(event) {
if (event.target.tagName === 'LI') {
alert(event.target.textContent + " clicked");
}
});
document.getElementById("addItem").addEventListener("click", function() {
var newItem = document.createElement("li");
newItem.textContent = "Item " + (document.getElementById("dynamicList").children.length + 1);
document.getElementById("dynamicList").appendChild(newItem);
});
この演習では、「Add Item」ボタンをクリックして新しいリストアイテムを追加し、追加されたアイテムをクリックするとその内容をアラート表示します。
これらの応用例と演習問題を通じて、イベント伝播とその制御方法についての理解を深めることができます。次のセクションでは、記事の内容を簡潔にまとめます。
まとめ
本記事では、JavaScriptを使用してDOMイベントの伝播とその制御方法について詳しく解説しました。まず、イベント伝播の基本概念と3つのフェーズ(キャプチャリング、ターゲット、バブリング)について学びました。次に、stopPropagationとpreventDefaultの使用方法と、それぞれの違いについて具体例を交えて説明しました。
さらに、イベントリスナーの設定方法やネストされたイベントの制御方法についても取り上げ、実用的なサンプルコードを提供しました。イベント伝播に関する一般的な問題とそのトラブルシューティング方法、そして応用例と演習問題を通じて、実際に手を動かして学ぶことができました。
イベント伝播の仕組みとその制御方法を理解することで、より洗練されたインタラクティブなウェブアプリケーションを構築するスキルを身につけることができます。今後のプロジェクトで、これらの知識を活用して、ユーザーエクスペリエンスを向上させることを目指しましょう。
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