Microsoft Teamsを導入する際に、Microsoft 365ライセンス選びで悩む方は多いでしょう。特にBusiness BasicでデスクトップアプリのTeamsが使えるのかは、頻繁に寄せられる質問の一つです。ここでは、その疑問を解消しつつ、活用のポイントを詳しく解説します。
Business BasicでTeamsデスクトップアプリは本当に使える?
Business BasicはクラウドベースのOfficeアプリ機能に特化したプランで、WordやExcelなどのインストール型Officeアプリを含まない点が特徴です。では、同じ「インストール型」のアプリであるTeamsデスクトップアプリは、果たして利用できるのでしょうか。
結論:Business Basicでも問題なく使える
Microsoft Teamsはクラウドサービスという位置づけで提供されているため、TeamsのデスクトップアプリはBusiness Basicのユーザーでも使用可能です。WordやExcel、PowerPointなどのインストール型Officeアプリとは異なり、Teamsに関しては利用可否がライセンスの「クラウドサービス枠」によって決まります。
なぜデスクトップアプリが許容されるのか
Officeアプリ(Word、Excelなど)はローカルPCにインストールして文書作成や編集を行うのに対し、Teamsはリアルタイムコミュニケーションとコラボレーションに重点を置いたサービスです。Microsoftとしても、Teamsをより広く活用してもらうため、インストール版の提供をライセンスの制限に設けていません。
そのため、Business Basicであっても、デスクトップ版Teamsを自由にダウンロードして使うことが可能なのです。
デスクトップ版Officeアプリが必要なら別ライセンスを検討
「デスクトップ版のTeamsが使えるなら、WordやExcelも使えるんじゃないか?」と考える方もいるかもしれません。しかし、残念ながらBusiness BasicではWordやExcelなどのインストール版Officeアプリを利用する権利は含まれていません。
Business StandardやBusiness Premiumとの比較
デスクトップ版Officeアプリが使えるかどうかは、次のプランで大きく分かれます。下表で比較してみましょう。
プラン | Teams デスクトップアプリ | デスクトップ版Word/Excel/PowerPoint/Outlook | OneDrive容量 | Exchange (メール) | SharePoint | Teams会議録画のストレージ |
---|---|---|---|---|---|---|
Business Basic | ○ | × | 1TB | ○ | ○ | ○(ストレージはSharePoint) |
Business Standard | ○ | ○ | 1TB | ○ | ○ | ○(ストレージはSharePoint) |
Business Premium | ○ | ○ | 1TB | ○ | ○ | ○(ストレージはSharePoint) |
- Teamsデスクトップアプリ: すべてのプランで利用可能
- Word/Excel/PowerPoint/Outlookのデスクトップ版: Business Basicでは不可、Standard・Premiumでは可能
- OneDrive容量: どのプランでも1TBが付与される
- Exchange、SharePoint、Teams録画のストレージ: いずれもクラウドサービスの範疇なので、Business Basicでも利用可能
このように、Business Basicはクラウドサービス利用を中心としたプランであり、ローカル環境でのアプリケーション編集が必要な業務を想定している企業・チームにはやや物足りない可能性があります。その場合はBusiness Standard以上のライセンスを導入するのがおすすめです。
Business Premiumとの違い
Business PremiumはBusiness Standardの機能に加え、高度なセキュリティ機能やデバイス管理など、よりエンタープライズ向けの機能が含まれています。小規模事業者であればStandardでも充分というケースが多いですが、外部に厳格なセキュリティ対策を求められる業界や、デバイス管理を効率化したい企業ではPremiumの導入も検討する価値があります。
Business BasicユーザーがTeamsデスクトップアプリを導入する手順
実際に、Business Basicの契約をしているユーザーがTeamsデスクトップアプリを利用する場合の流れを整理してみましょう。
Step 1: Microsoftアカウントの準備
- まずはBusiness Basicでサインアップ済みのMicrosoft 365アカウントを用意します。
- 会社名や組織名、担当者のメールアドレスなどを設定している場合、グローバル管理者のアカウントを確保しておきましょう。
- ユーザーの追加やライセンス割り当てはMicrosoft 365管理センターから行います。
Step 2: Teamsのデスクトップアプリをダウンロード
- Microsoft公式サイトもしくはMicrosoft 365管理センターのTeams設定画面から、Teamsクライアントをダウンロードします。
- Windows、Mac、Linux版など、環境に合わせたインストーラーを選びましょう。
wingetを使ったインストール例(Windowsの場合)
Windows 10以降のPCであれば、Windowsパッケージマネージャー(winget)を使ってターミナルからインストールすることも可能です。環境によっては管理者権限が必要になる場合があります。
# Windows Terminal(PowerShell)上などで実行
winget install --id Microsoft.Teams
上記を実行すると、Teamsデスクトップアプリが自動的にダウンロード・インストールされます。
Step 3: アカウントでサインイン
- インストール完了後、Teamsアプリを起動するとサインイン画面が表示されます。
- Business Basic契約で使用しているMicrosoft 365アカウントでログインするだけで、チャットや会議、通話、ファイルの共有といった主要機能を利用できます。
使い方と運用のポイント
Business Basicでもデスクトップアプリが使えるのは分かったけれど、どのように運用していけば良いのでしょうか。ここでは、チームメンバーがTeamsを便利に使いこなすためのポイントを紹介します。
1. チームチャットを活用して情報共有をスピードアップ
メールだけでやり取りしていると、情報が埋もれてしまいやすく、リアルタイム性にも欠けます。Teamsのチャット機能は、必要な相手と気軽に会話ができるため、プロジェクトの進捗共有やタスク確認などがスムーズに行えます。
2. チャネルを活用して会話の整理を
複数のトピックやプロジェクトを同時並行で行うチームにおいては、Teamsの「チャネル」機能が非常に便利です。チャネルを作成しておくことで、プロジェクトごとの会話やファイルを整理でき、生産性を高めることができます。
3. 会議機能と録画を積極的に利用
オンライン会議を実施する際、記録が必要な場面や不参加のメンバーが多い場合は、録画機能を活用しましょう。Business Basicでも録画は可能ですが、保存先のストレージ容量には限りがあります。必要に応じてローカルへのダウンロードやOneDrive/SharePoint内の整理を行いましょう。
4. 外部ユーザーとのコラボレーション
Teamsは外部のユーザーともチャットや会議でコラボレーションができます。招待する相手がMicrosoftアカウントを持っていれば、相手は無料版のTeamsやWeb版Teamsを使って参加できます。プロジェクト単位で外部の協力会社やフリーランスを交えて連携したい場合は、積極的に外部招待を利用するとよいでしょう。
Teamsデスクトップアプリとブラウザ版との違い
Business Basicを利用していると、ブラウザ版Officeアプリの使用がメインになるため、TeamsもWebブラウザで使えば十分だと感じることもあるでしょう。ただ、デスクトップアプリには独自のメリットが存在します。
通知の受け取りやすさ
デスクトップアプリを常駐させておくと、メッセージや会議の開始通知を即時に受け取れます。ブラウザで作業していると、どのタブがTeamsだったか分からなくなることがありますが、デスクトップアプリなら起動中のウィンドウが目立ちやすく、通知の見逃しが少なくなります。
マルチタスクのしやすさ
ブラウザ版でもタブを切り替えるだけで複数のアプリやサイトを行き来できますが、Teamsを独立したアプリとして使うことで、メールや他のクラウドアプリ、業務システムと並行して作業を進めやすくなります。特にディスプレイが複数ある環境では、Teamsをサブのディスプレイに表示しながら、メインディスプレイで他の作業をするなど、効率的なマルチタスクが実現できます。
Officeアプリとの連携と注意点
TeamsはWord、Excel、PowerPointなどのドキュメント共同編集機能とも連動しています。ただし、Business Basicではブラウザ版のOfficeアプリのみ利用可能で、ローカル環境での編集や高度な機能が制限されることがあるため、注意が必要です。
共同編集のシームレス化
Teams内で共有されたOffice文書には、そのままブラウザ上でアクセスし、複数メンバーが同時編集できます。チャットでのコミュニケーションとセットで使えば、ドキュメントの完成度を短期間で高めることが可能です。
オフライン時の編集が必要なら要検討
出先やネットワーク環境の不安定な場所での作業が多い場合は、やはりデスクトップ版Officeアプリがあると便利です。Business Basicではオフライン編集はできないため、常にオンライン環境を確保できないような働き方の場合はBusiness Standard以上のライセンスが望ましいでしょう。
アップグレードするタイミング
ビジネスの拡大や業務内容の変化に伴って、Business Basicでは物足りなくなるタイミングが来るかもしれません。以下のような状況であれば、上位プランへのアップグレードを検討すると良いでしょう。
社内で高度な分析や資料作成が必要になる
- マクロを駆使したExcel分析や凝った資料作成が頻繁に必要となった。
- VisioやAccessなど、より専門性の高いアプリを使いたい。
こういった場合はBusiness Standardに加え、別途Visioライセンスなどを購入することも検討できます。
外部とのやり取りやセキュリティ要件が強化される
- 大手企業や官公庁との取引で、厳格なセキュリティ・コンプライアンスが求められるようになった。
- 管理対象デバイスの数が増え、リモートでデバイス管理を行う必要がある。
このような状況では、Business Premiumが提供するMicrosoft Intuneや高度な情報保護機能が大いに役立ちます。
よくある疑問へのQ&A
最後に、Business BasicでTeamsデスクトップアプリを使う際によくある疑問点をQ&A形式でまとめます。
Q1. Business BasicでTeamsのチャット履歴はどこに保存される?
A. Teamsのチャット履歴はExchange Onlineと連携し、Microsoft 365のクラウド上に保存されます。Business Basicでもログやチャット履歴の保存機能が利用できますが、保存期間や容量に制限がある場合は管理センターでポリシーを調整しましょう。
Q2. 会議の録画を何人まで共有できる?
A. Teamsの録画はSharePointまたはOneDrive上に保存されるため、そのファイルを共有する設定次第で、チーム内の全員や外部ユーザーとも共有可能です。Business Basicでも上位プランと同様に、適切な権限設定を行うことで自由に共有できます。
Q3. TeamsのデスクトップアプリとWeb版を併用できる?
A. 可能です。状況によって使い分けることで柔軟に対応できます。ただし、同一アカウントで複数端末からサインインする場合、通知のタイミングなどに差異が生じることがあります。
Q4. Business BasicからBusiness Standardへは簡単に切り替えられる?
A. Microsoft 365管理センターから、プランのアップグレード手続きを行うことで比較的容易に切り替えが可能です。ただし、切り替え後は新プランのライセンス割り当てを忘れずに行いましょう。
まとめ
Business Basicは、インストール型Officeアプリを必要としない企業やチーム向けにコストを抑えながらクラウドサービスを利用できる優れたプランです。そして意外に思われるかもしれませんが、TeamsのデスクトップアプリはBusiness Basicのライセンスでも問題なく利用できます。ビデオ会議やチャット、ファイル共有といった日々のやり取りをスムーズにしたいのであれば、Business Basicで十分なケースも多いでしょう。
一方、オフラインでもしっかりドキュメントを編集したい、より高度な資料作成やセキュリティ管理が必要という場合には、Business StandardやBusiness Premiumへのアップグレードが望ましいです。自社の業務内容やセキュリティ要件を踏まえて、最適なプランを選択すると良いでしょう。
いずれにしても、Teamsのデスクトップアプリはビジネスを円滑に進めるための大きな助けとなります。環境に合わせてしっかり使いこなしていきましょう。
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