日頃からMicrosoft Edgeを活用していると、「もっと効率的にメモリを使いたい」「ブラウザに負荷がかかったときの動作を制御したい」と感じる場面はありませんか。そんなニーズを満たすために登場したのが新しい「リソースコントロール機能」ですが、一部ユーザーの間では最新バージョンでも設定画面に見当たらないという声が聞かれます。今回は、その原因や実際に利用可能になるタイミング、そして対処方法を詳しく解説します。
Microsoft Edgeの新リソースコントロール機能とは
新しいリソースコントロール機能とは、Microsoft Edgeが使用するメモリやCPUなどのシステムリソースを最適化・調整するための設定項目をまとめた機能です。従来の「省メモリモード」よりも細かな制御が可能になり、例えば複数タブを開いた際のメモリ割り当てや、一定期間操作されていないタブのメモリ解放をより柔軟に設定できるようになるとされています。公式ブログなどでも大きく取り上げられ、特に低スペックPCや大量のタブを開くユーザーにとっては有望なアップデートと注目を集めています。
この機能が実装されると、同時に多くのタブを開いていてもシステム全体の負荷を抑えられたり、他の作業と並行してEdgeを使う際の動作が快適になったりする期待があります。さらに、バッテリー駆動での使用時や持ち運び時など、ハードウェアリソースに限りがある状況下でもパフォーマンスを維持しやすくなるため、幅広いユーザー層にメリットがあると言われています。
「機能が見つからない」主な原因
最新バージョンのMicrosoft Edgeを使っているにもかかわらず、[設定] > [システムとパフォーマンス]などの項目に「リソースコントロール」が見当たらないというケースがいくつか報告されています。以下では、その代表的な原因について詳しく見ていきましょう。
段階的ロールアウトによる影響
Microsoftが提供する新機能の多くは、Insider向けのプレビュー版を経てから正式版へ段階的(ステージ)にリリースされることが一般的です。新機能を一気に全ユーザーへ提供すると、大規模な不具合や環境依存トラブルが発生したときの影響範囲が大きくなるため、まずは小規模なテストユーザーに配布してフィードバックを得るのです。
この段階的ロールアウトの仕組みゆえに、すでにInsider版(Canary、Dev、Betaなど)では利用可能でも、正式版での公開はあえて遅らせている可能性があります。「数週間以内に正式版にもリリースする予定」というアナウンスがあっても、テストのフィードバックや新たな不具合発見などでスケジュールが変動し、実際には半年程度経過してもまだ公開されないケースもあり得るのです。
正式版への実装が見送られているケース
新機能はInsider版でのテスト段階で問題点や改善点が見つかった場合、正式版への搭載を一時的に見送られることがあります。機能そのものが安定しない、もしくは他の機能と競合してしまうなどの事情により、ユーザー体験を優先して延期を決断することもあるのです。
一度公開を延期すると、次の大きなバージョンアップやWindowsのアップデートに合わせて再度検討されることが多いです。その間にエンジニアリングチームで修正や最適化を進め、満を持してリリースする段取りになっています。こうした背景があるため、「既に公式で発表されたはずなのに、なぜか自分の環境で使えない」という状況が起こり得ます。
いつ機能が使えるようになる?
現時点(公表情報やユーザー報告を考慮)では、具体的な正式公開日は明言されていません。一方で、Insider版では既にテストが進んでいるため、機能としてはほぼ完成している可能性があります。今後のアップデートで、次のようなシナリオが予測されます。
- Insider版でのテストが完了し、安定性が確認でき次第、正式版に段階的に配信される
- 重大な不具合が見つかれば修正されるまで正式版でのリリースが延期
- Windows OSの大型アップデートやMicrosoft Edgeの大きなメジャーバージョンアップに合わせて公開される
そのため、「いつ使えるのか?」についてはMicrosoftからの続報やEdgeのアップデート情報を待つしかないのが実情です。特に、既に半年以上が経過しても見当たらないという状況なら、何らかの理由で正式版リリースが後ろ倒しになっていると考えられます。
リソースコントロール機能が求められる背景
「そもそも、なぜここまで多くのユーザーがリソースコントロール機能を待ち望んでいるのか?」という点について、背景を深掘りすると次のような理由が挙げられます。
複数タブによるメモリ圧迫
Microsoft EdgeはChromiumベースであり、タブごとにプロセスを分割する仕組みをとっています。これにより安定性は向上しますが、多数のタブを開くとメモリ使用量が増加してしまいます。特にビジネスシーンで調べものを並行して行ったり、クリエイティブ作業で参考サイトを複数開いたりする人にとっては、メモリ不足がしばしば悩みのタネです。
バッテリー消費とPC全体のパフォーマンスへの影響
ノートPCやタブレット端末でバッテリー駆動する際、ブラウザのリソース使用量はバッテリー駆動時間に大きく影響します。Edgeで多くのタブを開きっぱなしにすると、他のアプリケーションのパフォーマンスも低下しがちです。この点を改善できる機能が期待されているのです。
ユーザーエクスペリエンスの向上
Edgeが過剰にリソースを消費すると、システム全体が重くなって操作しづらくなります。リソースコントロール機能により、タブの切り替えやストリーミング、Webアプリのパフォーマンスを最適化できれば、快適性が大幅に向上します。ユーザーにとっては仕事効率化にも直結するため、最優先で待ち望まれているのです。
対処方法・確認ポイント
「どうしても早く試したい」「機能が見つからないので何とかしたい」というユーザーに向けて、いくつかの対処方法や確認ポイントをまとめました。
1. Insider版の活用
新機能をいち早く試したいのであれば、Insider版をインストールしてみるのも一つの手です。Insider版にはCanary、Dev、Betaといったチャネルが存在し、早い段階で新機能がテスト的に導入されます。実際にリソースコントロール関連の項目を確認できる可能性があります。
Insider版の導入方法
- Microsoft Edge Insider公式サイトにアクセス
- Canary、Dev、Betaの各チャネルから目的に合わせてダウンロード
- セットアップ完了後、Edge Insider版を起動し、[設定] > [システムとパフォーマンス]などをチェック
Insider版のメリットとリスク
メリット | リスク |
---|---|
最新機能を早期に試せる | 不安定な挙動やバグが発生しやすい |
Microsoft開発チームへのフィードバックが可能 | 稀に既存の設定や拡張機能との競合が起こる |
製品版に先立ち、新機能の学習や検証ができる | 正式版とは別インストールとなり、管理が煩雑になる |
Insider版は最新技術を体験できる反面、不具合が発生しやすいため、あくまでも検証用やサブブラウザとしての位置づけにするのが望ましいでしょう。メイン環境で使う場合は慎重に運用する必要があります。
2. 最新バージョンのEdgeを確保する
Insider版に抵抗がある場合でも、まずは自分のEdgeが本当に最新の正式版にアップデートされているかを再確認しましょう。手動更新の手順は以下の通りです。
Edgeバージョン確認手順
- Edgeを起動し、右上にある「…(設定など)」アイコンをクリック
- [ヘルプとフィードバック] > [Microsoft Edgeについて]を選択
- 表示されるバージョン情報をチェックし、自動的に更新が適用されるか確認
もし自動更新が何らかの理由で機能していない場合は、この画面上で手動更新が始まることがあります。更新が完了したらEdgeを再起動し、もう一度[設定] > [システムとパフォーマンス]を開いてみましょう。
3. 公式情報のチェックを継続する
Microsoftは公式ブログや開発者向けブログなど、複数のチャネルで新機能のリリース状況を公開しています。最近ではコミュニティフォーラムやGitHubのEdgeリポジトリ、Twitter公式アカウントなどでも断片的に情報が出ることがあります。新機能が正式にリリースされる際には、フォーラムの告知やブログ記事などでアナウンスされる可能性が高いので、情報をこまめにチェックしておくことが大切です。
Edgeチャネル比較表
具体的にどのチャネルを使えばよいか悩んでいる方に向けて、以下のような比較表を参考にしてみてください。目的やリスク許容度によって選択が異なります。
チャネル | 更新頻度 | 安定性 | 新機能の導入速度 |
---|---|---|---|
Canary | 毎日 | 低い | 最速 |
Dev | 週1回程度 | 中程度 | 早い |
Beta | 数週間に1回 | 高め | 比較的早い |
Stable(正式版) | 約4週間に1回 | 非常に高い | 遅め |
もし本番環境での安定性を最優先するなら「Stableチャネル」を利用し、トライアル的に新機能を検証したいのであれば「Dev」や「Canary」などに挑戦してみる、といった使い分けができます。メインとサブで二つのチャネルを並行して使い、必要に応じて使い分ける方法も有効です。
Edgeのリソースコントロールを待つユーザーへのアドバイス
実際にリソースコントロール機能が使えるようになるまでの間、暫定的な対応策として以下のポイントを取り入れると、ある程度のメモリ最適化やパフォーマンス維持に役立ちます。
タブの自動スリープ機能を活用する
Edgeには既に「スリープタブ」と呼ばれる機能が備わっています。指定時間操作されていないタブをスリープ状態にしてメモリ消費を抑える仕組みです。スリープ状態にしても数秒ほどで復帰できるため、普段から大量のタブを開いている人には便利です。[設定] > [システムとパフォーマンス] から「省メモリモード」とあわせて調整してみましょう。
拡張機能の整理
拡張機能を大量に入れていると、それぞれの拡張機能がバックグラウンドでメモリやCPUリソースを消費する原因になります。使っていない拡張機能や、明らかに重いと感じるものを一時的に無効化して様子を見てみるのもよい方法です。不要な拡張機能を整理すると、ブラウザ全体の動作が軽快になることがあります。
OSや他ソフトウェアの最適化も行う
Edge自体の問題ではなく、OS(Windows 10やWindows 11)や常駐ソフトウェアが原因でメモリが逼迫しているケースも珍しくありません。普段使用していない常駐アプリを停止する、Windowsアップデートを最新の状態にする、ディスクの最適化(デフラグ)や不要ファイルの削除など、総合的なPCメンテナンスも意識しましょう。
まとめ:正式版のリリースを待ちつつInsider版も検討を
Microsoft Edgeの新リソースコントロール機能は、ユーザー待望のメモリやCPU使用量をより柔軟にコントロールできるアップデートとして注目を集めています。しかし、段階的なロールアウトやInsider版優先のテストの影響などにより、正式版への実装が想定よりも長期化しているのが現状です。
どうしてもいち早く使いたい方は、Insider版を試してみることをおすすめします。ただし、Insider版は不安定要素もあるため、本番環境での利用は慎重に検討しましょう。一方で正式版ユーザーは、Edgeの自動更新を常にオンにしつつ、Microsoft公式ブログやフォーラムをフォローし、正式版への実装日がアナウンスされるのを待つのがベストです。あわせてスリープタブや拡張機能の見直しなど、現状でも利用可能な機能を活用して、ブラウザの快適性をできるだけ高めておくとよいでしょう。
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