Microsoft Edgeに搭載されたCopilot機能の一つ「Rewrite with Copilot」は便利な反面、不要な場面でポップアップが表示されて邪魔に感じるケースがあるようです。この記事では、その煩わしさを解消するための無効化手順や応用的な設定方法を詳しく解説します。
「Rewrite with Copilot」とは何か?
「Rewrite with Copilot」はMicrosoft Edgeに統合されているAIサポート機能の一部で、メールやSNSの文章などを選択すると、自動的に書き換えや要約、口調変更などを提案してくれる仕組みです。
もともとは英語圏で「Compose」や「AIライティング」として導入が進み、Microsoft 365やBingなどのサービスとも連携して強化されています。文脈に応じて文章を大幅に書き換えることができるため、たとえばビジネスメールの文面を整える際に有用という声もあります。
しかし一方で、個人情報をAIに送信するリスクや、必要のない場面でもポップアップが表示される煩わしさ、企業ポリシー上の問題などが懸念されるケースも少なくありません。そうした理由から、この機能を「完全にオフ」にしたいと考えるユーザーが増えています。
なぜ無効化したいのか?
無効化を検討する背景には、以下のような問題点や不安があります。
- 作業効率の低下
文章をハイライトするたびに「Rewrite with Copilot」ポップアップが出ることで、ワークフローが中断される。特に短いフレーズを頻繁にコピー&ペーストする作業を行う方にとってはストレスになりやすい。 - プライバシーの懸念
選択した文章がMicrosoft側に送信されてAIが処理を行う仕組みになっている場合、機密性の高いデータが意図せずサーバーに送られる可能性がある。 - 企業ポリシーとの衝突
組織によっては、外部サービスへのデータ送信を厳しく制限しているケースがある。また、従業員が誤って送信してしまわないように設定でブロックしたい企業のIT部門からの要望が多い。 - 誤操作や学習用データの流出
間違って文章を選択してしまうなどの誤操作により、不要な学習データをAIに提供してしまうリスク。特にGmailや社内メールで高度な個人情報が含まれる文章を扱う場合は注意が必要。
無効化方法:基本編
無効化の最もシンプルな方法として知られているのは、Edgeの言語設定から「ライティングアシスト」をオフにする手段です。ただし、Edgeのバージョンや設定項目の名称が変化する可能性があるため、常に最新情報をチェックすることをおすすめします。
Edgeの言語設定「Writing assistance」を利用する
「Rewrite with Copilot」の名称が設定画面に直接表記されていないことが多く、代わりに「Writing assistance」や「Compose」と書かれているケースがあります。以下は標準的な手順例です。
無効化手順
- Edgeを起動する
WindowsやMacなど、どのOSであっても手順は似ています。 - 右上の「…」(設定やその他)をクリック
バージョンによってはアイコンがやや変更される場合もあります。 - 「設定(Settings)」を開く
クリックするとサイドバー形式かフル画面形式の設定メニューが表示されます。 - 左メニューから「言語(Languages)」を選ぶ
「Language」「言語」など表記が若干異なることがあります。 - 「Writing assistance(ライティングアシスト)」項目を探す
ここに「Compose」や「Rewrite with Copilot」を示唆する文言があることが多いです。 - 「Rewrite with Copilot」や「Compose」をオフにする
トグルスイッチやチェックボックスがあるはずなので、無効化の設定を行います。 - Edgeを再起動
設定後、Edgeを一度閉じて再度開き、無効化が反映されたか確認します。
Edgeサイドバーの設定を変更する
Edgeにはサイドバーがあり、そこにBingやCopilotなどのAI関連機能が統合されている場合があります。サイドバーの設定をオフにすることで、ページや選択テキストへのアクセスをブロックすることが可能です。
- サイドバーアイコン(画面右上または右下)をクリック
Edgeのバージョンによって配置が異なる場合があります。 - 「カスタマイズ」や「Sidebar settings」を選択
表示されるメニューの中に「Customize sidebar」などの項目が含まれることがあります。 - 「Allow Microsoft to access page content」をオフにする
表示テキストはバージョンによって「Allow access to page content」など異なる場合があります。 - ブラウザを一度再起動して動作を確認
サイドバーからのアクセスが遮断されれば、Copilot機能の一部が無効化されるケースがあります。
無効化方法:応用編
単純にEdgeの設定をオフにしても、あるバージョンでは「Rewrite with Copilot」のポップアップが出続けるという報告があります。そこで、より高度な設定や組織単位での対策を探している方向けに、追加の方法を紹介します。
グループポリシーでの制御
企業や組織でWindowsを利用している場合、グループポリシー(GPO)によってEdgeの機能を広範囲に制御できます。しかし、Copilotに関する項目は実装が新しいため、以下の手順でも発見しにくいといわれています。
- グループポリシーエディタを起動
「gpedit.msc」を実行し、ローカルもしくはドメインレベルで設定を変更します。 - 「コンピューターの構成」もしくは「ユーザーの構成」 > 「管理用テンプレート」 > 「Microsoft Edge」
Edgeに関するポリシーがまとまっています。 - 「Copilot」「Compose」「Rewrite」などのキーワードで探す
まだ正式名称が「Copilot」として表記されていない場合もあるため、該当ポリシーを見つけるのが難しい場合があります。 - 該当する設定を「Disabled」にする
「Disabled」「有効にしない」となっている項目を適用してから再起動し、効果を確認します。
Microsoft 365管理センターからの制限
Microsoft 365 Proを利用している場合、Edgeの利用統合に関連してMicrosoft 365管理センター側にCopilotやBing Chatの制御が用意されていることもあります。ただし、すべてのテナントに一律で設定があるわけではないため、最新のドキュメントやリリース情報を確認する必要があります。
手順の一例
- Microsoft 365管理センターにサインイン
管理者権限を持っているアカウントが必要です。 - 「設定」または「ポリシー」のセクションを確認
CopilotやBing Chatを無効化できる項目があるかどうかを探します。 - テナント全体もしくはユーザー単位で無効化
機能を無効化できる場合は、一括設定でユーザー全員に適用することが望ましい場合もあります。
よくあるトラブルと対処
設定をオフにしても、ポップアップ表示が続いたり、多少形を変えて表示されたりする事例が報告されています。ここでは、代表的なトラブルと対処法を紹介します。
トラブル内容 | 原因・考えられる要因 | 対処法 |
---|---|---|
「Rewrite with Copilot」が消えない | Edgeのバージョンが最新ではない、もしくは設定が部分的に反映されていない | Edgeを最新バージョンに更新し、PCを再起動。または時間を置いて再度設定を確認 |
サイドバーをオフにしてもCopilotが残る | サイドバー設定と「Writing assistance」が別々に機能している | 両方の設定を同時にオフにし、さらに「Allow Microsoft to access page content」をオフ |
Gmail上で勝手にAIの提案が出る | Edge内に統合されたAI機能がWebページ全体をスキャンしている | グループポリシーやEdge設定を再度確認し、AIアクセスを許可しないようにする |
一部のバージョンで「Copilot」設定を検索できない | 「Copilot」という表現が「Compose」や「Rewrite」に置き換えられている | 検索キーワードを変えて設定項目を探す。英語UIに切り替えるのも一つの手 |
その他の確認ポイント
アップデート情報やパッチをチェックする
Edgeは頻繁にアップデートが行われるため、あるバージョンで存在した問題が次のバージョンで修正されている可能性があります。特に新機能であるCopilot関連は改修が続々と行われているので、最新バージョンへの更新を定期的に行うことが重要です。
また、開発者や企業向けのBeta/Canary版なども随時リリースされています。正式版よりも先に変更点が試験的に導入されるため、興味のある方やIT管理者はそちらを検証してから本番環境に反映するという運用もあります。
名前の紛らわしさに注意する
MicrosoftはAI技術の統合を急ピッチで進めているため、「Copilot」「Bing Chat」「Writing assistance」「Compose」などの用語が混在しています。Edgeのサイドバーには「Bing」のアイコンがあるのに設定項目には「Rewrite with Copilot」が記載されていない、あるいはその逆といったケースもあります。
検索や設定画面でキーワードを試行錯誤しながら探すと見つかりやすいでしょう。どうしてもわからない場合は、Alt + Shift + IなどでMicrosoftにフィードバックを送ると、よりわかりやすい名称への改善が期待できます。
組織内のセキュリティポリシーとのすり合わせ
個人の端末であれば自由に設定を変えられますが、組織内のPCはIT管理者が設定を一括管理していることが多いものです。セキュリティや監査の観点からCopilot機能の利用を制限する方針が出ている場合、ローカル側で勝手に設定を変更しても反映されない可能性があります。
この場合、管理者側にポリシーの変更を依頼するか、正しい手順でポリシーを適用する必要があります。
まとめ
「Rewrite with Copilot」が不要なのに表示され続ける問題は、Edgeのバージョンや各種設定の場所が複数存在するために対処がやや複雑になりがちです。ですが、以下のポイントを押さえれば、多くの場合は機能を抑制または完全オフに近い状態にできます。
- 言語設定から「Writing assistance」をオフにする
最初に確認すべき基本的な設定項目です。 - サイドバーの「Allow Microsoft to access page content」をオフにする
Webページやテキストへのアクセスを遮断できる可能性が高い。 - グループポリシー(GPO)やMicrosoft 365管理センターで追加設定
企業や組織単位で制御する場合は管理者権限が必要。 - バージョンアップを定期的にチェック
最新のEdgeなら問題が解決されている場合もある。 - 名称の違いに注意し、複数のキーワードで設定を検索
「Copilot」以外にも「Compose」「Rewrite」などがキーワードになる。
もしこれらを試しても完全に「Rewrite with Copilot」が消えないという方は、さらにMicrosoftの公式コミュニティやフォーラムで最新情報を収集するのがおすすめです。AI機能は日進月歩で進化しており、それに伴って設定項目の名称変更や新たなオフ機能の登場も期待されます。今後の更新やパッチによって、より簡単にCopilot機能を管理できるようになるかもしれません。
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