Microsoft LearnのWebView2 Runtime変更点(2026年6月12日)EvergreenとFixed Versionを解説

2026年6月12日付で記録された「Evergreen vs. fixed version of the WebView2 Runtime」の変更は、箇条書きのMarkdown表記を整えた文書上の修正のみです。WebView2 Runtimeの機能、配布方式、設定、料金、移行期限に変更はありません。

そのため、一般ユーザー、IT管理者、アプリ開発者のいずれも、今回の更新だけを理由に設定変更や移行を行う必要はありません。ただし、このページはWebView2 Runtimeの運用方式を判断するうえで重要な資料です。自社アプリがEvergreenとFixed Versionのどちらを利用しているかは、この機会に確認しておくとよいでしょう。

目次

2026年6月12日の変更点は文書の整形のみ

公式GitHubリポジトリの履歴では、対象ファイルが2026年6月12日付のコミットに含まれています。しかし、差分の内容は箇条書き記号の後ろにある空白をそろえたものです。

変更前:*  本文
変更後:* 本文

Evergreenの長所・短所、Fixed Versionの長所・短所、ダウンロード方法を説明する箇条書きが同じ形式に統一されただけで、文章の意味は変わっていません。したがって、これはWebView2の新機能や仕様変更ではなく、ドキュメントメンテナンスとして扱うのが適切です。(GitHub)

確認項目2026年6月12日の変更
WebView2 Runtimeの機能変更なし
Evergreenの自動更新変更なし
Fixed Versionの配布方法変更なし
管理ポリシー変更なし
APIや必要バージョン変更なし
料金変更の記載なし
移行期限追加なし
Microsoft Learnの表示内容実質的な変更なし

なお、Microsoft Learnの英語ページには現在も「Last updated on 2025-10-15」と表示されています。GitHub上の更新日とページ内の更新日が異なるのは、今回の修正で記事の更新日メタデータが変更されていないためです。更新監視サービスで2026年6月12日の変更として検出されても、製品アップデートとは限りません。(GitHub)

誰に影響するのか

今回の文書修正による直接的な影響はありません。ただし、立場によって確認しておきたいポイントは異なります。

対象今回の影響確認しておきたいこと
一般ユーザーなし利用中のアプリが正常に起動するか
IT管理者なしWebView2の更新をポリシーやプロキシで止めていないか
アプリ開発者なし採用している配布方式が要件に合っているか
アプリ配布担当者なしインストーラーにRuntime不足時の処理があるか
変更監視担当者文書更新として検出される製品変更とドキュメント整形を区別する

一般ユーザーがWebView2 Runtimeを直接操作する場面は多くありません。WebView2 Runtimeはブラウザーとして利用するソフトではないため、通常はデスクトップショートカットやスタートメニューの項目も表示されません。(Microsoft Learn)

EvergreenとFixed Versionの違い

Microsoft Learnの対象ページが説明している中心的な内容は、WebView2 Runtimeの配布方式にはEvergreenとFixed Versionの2種類があるという点です。

比較項目EvergreenFixed Version
更新方法Microsoftの仕組みで自動更新アプリ提供者が手動で更新
Runtimeの配置端末内で複数アプリが共有アプリごとに同梱
バージョン指定アプリから特定バージョンを原則指定できない使用するバージョンを固定できる
セキュリティ更新自動的に取り込まれやすいアプリ更新まで反映されない
配布容量オンライン用Bootstrapperは約2MBRuntime本体は250MB超
主な用途一般的な業務アプリやデスクトップアプリ厳格な互換性検証が必要なアプリ
Microsoftの推奨ほとんどのアプリに推奨特別な要件がある場合に検討

Evergreenは、端末にある共有Runtimeを複数のWebView2アプリが利用します。自動更新により新しいセキュリティ修正を取り込みやすく、端末のディスク使用量も抑えられます。

Fixed Versionは特定のRuntimeをアプリに同梱し、そのアプリ専用として使用します。バージョンを厳密に管理できる一方、Runtimeの更新、脆弱性対応、配布容量、動作検証をアプリ提供者が負担しなければなりません。(Microsoft Learn)

基本的にはEvergreenを選ぶ

新規開発で特別な理由がなければ、Evergreenが基本選択です。

次の条件に当てはまる場合は、Evergreenが適しています。

  • セキュリティ更新を速やかに適用したい
  • Runtimeの更新作業をアプリ側で管理したくない
  • 複数のWebView2アプリでRuntimeを共有したい
  • 一般企業や個人のWindows端末に広く配布する
  • アプリの配布容量を抑えたい

一方、次のような要件がある場合はFixed Versionを検討します。

  • 認証試験を通過した特定バージョン以外を使用できない
  • Runtime更新のたびに業務システムとの互換性検証が必要
  • 医療機器や製造装置など、構成を厳密に固定する必要がある
  • 更新時期をアプリのリリース日と完全にそろえたい

ただし、オフライン環境だからFixed Versionが必要とは限りません。Evergreenにもオフライン配布用のStandalone Installerがあります。インターネット接続のない端末でも、Evergreenを社内配布して自動更新方針を維持できます。(Microsoft Learn)

一般ユーザーが確認すること

今回の変更に伴う作業はありません。WebView2を利用するアプリが通常どおり動いていれば、そのままで問題ありません。

アプリの画面が真っ白になる、ログイン画面が表示されない、起動直後に終了するといった問題がある場合は、まずアプリを完全に終了して再起動してください。Evergreen Runtimeの新しいバージョンが端末にダウンロードされても、起動し続けているアプリは古いRuntimeを使い続けることがあります。新しいRuntimeは、WebView2環境を作り直すかアプリを再起動した後に使われます。(Microsoft Learn)

WebView2 Runtimeを見つけられないという理由だけで、むやみに削除や再インストールを行うのは避けましょう。複数のMicrosoft製品や業務アプリが同じEvergreen Runtimeを利用している可能性があります。

IT管理者が確認する手順

Runtimeのインストール状況を確認する

Evergreen Runtimeは、レジストリのpv値からインストール状態とバージョンを確認できます。

$paths = @(
  'HKLM:\SOFTWARE\WOW6432Node\Microsoft\EdgeUpdate\Clients\{F3017226-FE2A-4295-8BDF-00C3A9A7E4C5}',
  'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\EdgeUpdate\Clients\{F3017226-FE2A-4295-8BDF-00C3A9A7E4C5}',
  'HKCU:\Software\Microsoft\EdgeUpdate\Clients\{F3017226-FE2A-4295-8BDF-00C3A9A7E4C5}'
)

foreach ($path in $paths) {
  if (Test-Path $path) {
    [pscustomobject]@{
      Path    = $path
      Version = (Get-ItemProperty -Path $path -Name pv -ErrorAction SilentlyContinue).pv
    }
  }
}

pvが存在しない、空欄、または0.0.0.0の場合は、Evergreen Runtimeが正常に認識されていない可能性があります。

なお、Fixed Versionはアプリのフォルダー内に配置され、Evergreenと同じレジストリキーを使用しません。この確認だけで「WebView2が存在しない」と判断しないよう注意してください。(Microsoft Learn)

更新ポリシーを確認する

企業環境では、次の項目を確認します。

  • Update (WebView)でWebView2 Runtimeの更新を無効にしていないか
  • UpdatesSuppressedの抑制時間が長すぎないか
  • プロキシやファイアウォールがMicrosoftの更新先を遮断していないか
  • WSUSやConfiguration Managerで更新を承認しているか
  • セキュリティ製品がWebView2のバージョン別フォルダー作成をブロックしていないか

更新抑制は、業務時間中の帯域制御など一時的な用途に限定するのが安全です。古いRuntimeを長期間維持すると、最新の品質修正やセキュリティ修正を受け取れません。(Microsoft Learn)

企業向けには、特定アプリを以前のメジャーバージョンへ一時的に戻すDowngradeVersionポリシーも用意されています。ただし、これは重大な不具合から復旧するための一時的な手段です。恒久的にバージョンを固定したい場合は、Fixed Versionの採用と継続的な更新計画を検討します。(Microsoft Learn)

開発者が確認すること

Evergreenを利用している場合

次の実装があるかを確認してください。

  • アプリのインストール時にRuntimeの有無を確認する
  • Runtimeがない場合にBootstrapperまたはStandalone Installerを実行する
  • 新しいAPIを利用するときは機能の存在を確認する
  • NewBrowserVersionAvailableを利用して再起動を案内する
  • Beta、Dev、Canaryなどを使った事前互換性テストを行う

Evergreenであっても、管理者が更新を止めている端末や長期間オフラインの端末では、最新APIが利用できないことがあります。SDKのバージョンだけを見て、新しいAPIが必ず存在すると決めつけないことが重要です。(Microsoft Learn)

Fixed Versionを利用している場合

Fixed Versionでは、次の点を運用手順に含めます。

  • Runtimeの更新担当者と更新周期を決める
  • 新しいセキュリティ更新の公開を監視する
  • アプリとRuntimeをセットで回帰テストする
  • 必要なRuntimeパッケージを社内で保管する
  • アプリパッケージや配布サーバーの容量を確保する
  • Runtimeの配置先を明示的に設定する

公式ダウンロードページでは、原則として最新と1つ前のメジャーリリースについて、最も修正の進んだバージョンが提供されます。将来も同じ古いパッケージをダウンロードできるとは限らないため、必要なバージョンは自社で保管しておく必要があります。(Microsoft Learn)

また、Fixed Versionでは次の点で失敗しやすいため注意してください。

  • エクスプローラーで展開すると正しいフォルダー構造にならない場合がある
  • ネットワークドライブやUNCパスからは実行できない
  • Windows 10の非パッケージWin32アプリでは、Fixed Version 120以降でフォルダー権限の設定が必要
  • Fixed Versionは通常のインストーラーで端末共通Runtimeとしてインストールする方式ではない

移行は必要か

今回のMicrosoft Learn更新を理由とした移行は不要です。現在の方式が要件に合っているなら、そのまま継続できます。

Fixed VersionからEvergreenへ移行する場合

  1. browserExecutableFolderBrowserExecutableFolderなど、Fixed Versionのパス指定を洗い出します。
  2. Evergreen Runtimeがインストールされているかを確認します。
  3. 未導入端末向けにBootstrapperまたはStandalone Installerを組み込みます。
  4. 新しいAPIの機能検出と、Runtime更新後の再起動処理を実装します。
  5. テスト完了後にFixed Versionの同梱ファイルを削除します。

EvergreenからFixed Versionへ移行する場合

  1. 固定するバージョンと対象アーキテクチャを決めます。
  2. Fixed Versionパッケージをダウンロードして社内保管します。
  3. Runtime一式をアプリパッケージに含めます。
  4. WebView2環境作成時にRuntimeのフォルダーパスを指定します。
  5. セキュリティ更新の監視、検証、再配布の手順を作成します。

互換性問題を一度回避したいだけなら、すぐにFixed Versionへ恒久移行するのではなく、原因調査や企業向けダウングレード手段も含めて判断するのが現実的です。

料金と期限に変更はない

2026年6月12日の差分には、料金やライセンス、移行期限に関する追加・変更はありません。

費用面で確認すべきなのは、Runtimeそのものの料金変更ではなく、主に次の運用コストです。

  • Fixed Versionをアプリごとに配布する通信量
  • 250MBを超えるRuntimeによるアプリ容量の増加
  • 端末のディスク使用量
  • バージョンごとの互換性テスト
  • セキュリティ更新時の再パッケージと再配布
  • 古いパッケージを保管するストレージ

正式な再配布条件については、Runtimeをダウンロードする時点のライセンス条項を確認してください。

また、今回の文書にはEvergreenからFixed Versionへの移行期限や、特定バージョンの強制終了日は設定されていません。WebView2はModern Lifecycle Policyに従います。別のライフサイクル情報として、Windows 10 22H2上のMicrosoft EdgeとWebView2 Runtimeは、少なくとも2028年10月まで更新を受け取る予定です。これは今回の文書修正とは別のサポート方針です。(Microsoft Learn)

今回確認すべきポイント

2026年6月12日の変更は文書整形であり、緊急対応は不要です。次に行うべきことは、更新差分に反応して設定を変更することではなく、自社のWebView2運用方式を確認することです。

一般的なアプリではEvergreenを継続し、管理者はWebView2 Runtimeの更新が止められていないかを確認します。Fixed Versionを利用している場合は、保管しているRuntimeのバージョン、脆弱性対応の手順、次回更新予定を確認してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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