Microsoft Edge 152では、閲覧履歴のサムネイルを管理するShowHistoryThumbnailsポリシーが削除されました。結論として、グループポリシーやIntune、レジストリに従来の値を残しても、Edge 152の動作を制御する設定としては利用できません。
企業の管理者は、ShowHistoryThumbnailsを単に「無効」のまま残すのではなく、Microsoft Edgeのポリシーベースライン、GPO、Intuneプロファイル、構成スクリプト、監査ルールから除外する必要があります。
Microsoftは2026年8月6日公開のBeta版152.0.4191.10でポリシー削除を案内し、その後、2026年8月27日公開のStable版152.0.4191.53にも同じ変更を反映しました。(Microsoft Learn)
Edge 152でShowHistoryThumbnailsポリシーが削除
ShowHistoryThumbnailsは、Microsoft Edge 117で追加された、閲覧履歴のサムネイル画像を管理するためのエンタープライズポリシーです。Microsoftの過去のリリースノートでは、「閲覧履歴のサムネイル画像を表示する」ポリシーとして新規追加されていました。(Microsoft Learn)
Edge 152では、このポリシーが「非推奨」ではなく、明確に「Policy removed」とされています。現行のMicrosoft Edgeポリシー一覧にも、ShowHistoryThumbnailsは掲載されていません。(Microsoft Learn)
変更内容を整理すると、次のようになります。
| 項目 | Edge 151まで | Edge 152以降 |
|---|---|---|
| ポリシー名 | ShowHistoryThumbnails | 削除 |
| 主な用途 | 閲覧履歴のサムネイルを管理 | 管理不可 |
| ADMXテンプレート | 定義あり | 定義なし |
| 既存レジストリ値 | ポリシーとして解釈される | 制御を期待できない |
| 企業ベースライン | 有効・無効を定義可能 | 除外または対象外に変更 |
| 直接的な後継ポリシー | 不要 | Microsoftから案内なし |
重要なのは、ポリシーが削除されたことと、履歴画面やサムネイルに関連するすべての機能が完全に削除されたことは同じではない点です。
今回確定しているのは、管理者がShowHistoryThumbnailsを使って動作を強制できなくなったことです。サムネイルの表示有無を目視して、ポリシーが適用されていると判断してはいけません。
「非推奨」ではなく「削除」として扱う
Microsoft Edgeのポリシー運用では、非推奨、廃止、削除を区別する必要があります。運用上は、次のように整理すると分かりやすくなります。
| 状態 | 運用上の意味 | 管理者の対応 |
|---|---|---|
| 非推奨 | 現時点では動作するが、将来廃止される可能性がある | 代替設定を調査する |
| 廃止・Obsolete | Edgeが値を利用しなくなっている | ベースラインから削除する |
| 削除・Removed | ポリシーテンプレートから定義自体がなくなる | 配布元、監査項目、文書から除外する |
ShowHistoryThumbnailsは、Edge 152のリリースノートで「削除」と明記されています。そのため、「念のため無効値を残しておく」という運用には意味がありません。
むしろ、使えない設定を残すことで、次のような問題が発生します。
- レジストリ値が存在するだけで、制御できていると誤認する
- セキュリティ監査で誤った適合判定が出る
- GPOやIntuneプロファイルの保守項目が増える
- 新しいADMXと古いベースラインの差分管理が複雑になる
- 障害調査時に、無関係な設定を確認する時間が増える
Edge 152への更新で想定される影響
既存の設定値が残っていても制御できない
Edge 152へ更新しても、管理環境によっては次の場所にShowHistoryThumbnailsが残っている可能性があります。
- 既存のActive Directoryグループポリシー
- 古いEdge ADMXを参照している管理端末
- Intuneの既存構成プロファイル
- カスタムOMA-URI
- PowerShellや構成管理ツールのレジストリ設定
- macOSの構成プロファイル
- セキュリティベースラインの判定スクリプト
値が残っていることと、Edgeがその値をサポートしていることは別です。
たとえば、次のレジストリ値が存在していても、Edge 152を制御できている証拠にはなりません。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
ShowHistoryThumbnails
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
ShowHistoryThumbnails
管理コンソール上で「正常に配布済み」と表示されていても、ブラウザー側が認識しないポリシーであれば、実際の制御は行われません。
Edge 151以下との混在期間に注意する
組織内にEdge 151以下とEdge 152以降が混在している場合、削除のタイミングには注意が必要です。
Edge 151以下の端末では、ShowHistoryThumbnailsがまだ有効なポリシーとして利用される可能性があります。一方、Edge 152以降では利用できません。
そのため、段階的な更新を行う企業では、次のようにベースラインを分ける方法が安全です。
| 対象端末 | ベースライン上の扱い |
|---|---|
| Edge 151以下 | 移行完了まで既存設定を維持 |
| Edge 152以降 | ShowHistoryThumbnailsを除外 |
| バージョンを判定できない端末 | 先にEdgeのバージョンを棚卸し |
| 全端末がEdge 152以降 | GPOやIntuneから完全に削除 |
旧バージョンの端末が残っている段階で一律にポリシーを解除すると、Edge 151以下の端末まで管理対象外になる可能性があります。先にバージョン分布を確認し、Edge 152への移行とベースライン整理を連動させることが重要です。
直接的な代替ポリシーはない
2026年9月3日時点で、MicrosoftはShowHistoryThumbnailsの直接的な後継ポリシーを案内していません。現行のポリシー一覧にも、履歴サムネイルだけを同じ粒度で制御する設定は確認できません。(Microsoft Learn)
名称が似ているポリシーを代替として設定しないように注意してください。
SavingBrowserHistoryDisabledは代替にならない
SavingBrowserHistoryDisabledを有効にすると、閲覧履歴そのものが保存されなくなります。さらに、タブの同期も無効になります。履歴サムネイルだけを制御していたShowHistoryThumbnailsとは影響範囲が大きく異なります。(Microsoft Learn)
「サムネイルを保存させたくない」という理由だけでSavingBrowserHistoryDisabledへ置き換えると、利用者が次の機能を使えなくなる可能性があります。
- 過去に閲覧したページの検索
- 閉じたページの再確認
- 複数端末間でのタブ同期
- 履歴を利用する一部のブラウザー機能
閲覧履歴自体を保存しないことが組織要件になっている場合に限り、利用部門への影響を評価したうえで採用すべきです。
EdgeHistoryAISearchEnabledも用途が異なる
EdgeHistoryAISearchEnabledは、閲覧履歴で自然言語や類義語を使ったAI強化検索を利用できるかどうかを制御するポリシーです。履歴のサムネイル保存や表示を管理するものではありません。(Microsoft Learn)
名前に「History」が含まれていても、ShowHistoryThumbnailsの代替にはなりません。
企業が実施すべきポリシー移行手順
管理元をすべて洗い出す
最初に、ShowHistoryThumbnailsを配布している可能性がある場所を確認します。
検索対象には、少なくとも次を含めます。
- Active DirectoryのGPO
- ローカルグループポリシー
- Intune設定カタログ
- Intune管理用テンプレート
- カスタムOMA-URI
- Microsoft Edge管理サービス
- PowerShellスクリプト
- 構成管理ツール
- macOS構成プロファイル
- セキュリティベースライン
- コンプライアンス判定スクリプト
- 運用手順書や設計書
端末のレジストリだけを調査しても、配布元を特定できるとは限りません。GPO、Intune、スクリプトのどこから設定されているかを確認してください。
GPOでは旧テンプレートで未構成に戻す
Active Directoryグループポリシーで管理している場合は、可能であればEdge 151以前のADMXテンプレートが利用できる段階で、ShowHistoryThumbnailsを「未構成」に戻します。
その後、Edge 152以降のMSEdge.admxと対応する言語ファイルへ更新します。
推奨する順序は次のとおりです。
- GPOをバックアップする
- 旧ADMX上で
ShowHistoryThumbnailsを「未構成」にする - GPOを対象端末へ反映する
- Edge 152以降のADMX、ADMLへ更新する
- GPOレポートから設定が消えたことを確認する
- 対象端末の
edge://policyを確認する
先にADMXを更新すると、グループポリシーエディターから設定項目が消え、既存のGPOを編集しにくくなることがあります。
すでに新しいADMXへ更新している場合は、GPOをバックアップしたうえで、旧テンプレートを利用できる検証環境で設定を解除するか、ShowHistoryThumbnailsを含まない新しいGPOを作成して既存GPOと置き換える方法を検討します。registry.polを直接編集する方法は、設定破損の原因になるため避けてください。
Intuneでは既存プロファイルから削除する
Intuneで設定している場合は、設定カタログや管理用テンプレートの既存プロファイルを確認します。Intuneでは、Microsoft Edgeポリシーを設定カタログから構成できます。(Microsoft Learn)
ShowHistoryThumbnailsが編集画面に残っている場合は、プロファイルから削除します。
新しいテンプレートへの更新によって項目が編集できない場合は、次の方法が安全です。
- 既存プロファイルの設定と割り当てを記録する
ShowHistoryThumbnailsを含まない新しいプロファイルを作成する- 検証用グループへ割り当てる
- 競合やエラーがないことを確認する
- 本番グループへ展開する
- 古いプロファイルの割り当てを解除する
カスタムOMA-URIで設定していた場合も、該当行をそのまま残さず、配布元から削除します。
スクリプトや構成管理ツールからも削除する
PowerShell、Microsoft Configuration Manager、Desired State Configuration、サードパーティーの構成管理ツールでレジストリ値を配布している場合は、設定処理を削除します。
端末側のレジストリ値だけを手作業で消しても、配布スクリプトが残っていれば再作成されます。必ず管理元を先に修正してください。
macOSの構成プロファイルを確認する
macOSを管理している場合は、構成プロファイルやMDMの設定にShowHistoryThumbnailsキーが残っていないか確認します。
Windows側のGPOだけを整理しても、macOS向けプロファイルに古い設定が残っているケースがあります。クロスプラットフォームのEdgeベースラインを管理している組織では、WindowsとmacOSを同時に棚卸ししてください。
PowerShellで残存値を確認する方法
Windows端末上のレジストリにShowHistoryThumbnailsが残っているかは、次のPowerShellで確認できます。
$policyPaths = @(
'HKLM:\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge',
'HKCU:\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge'
)
$results = foreach ($path in $policyPaths) {
if (Test-Path -LiteralPath $path) {
$value = Get-ItemPropertyValue `
-LiteralPath $path `
-Name 'ShowHistoryThumbnails' `
-ErrorAction SilentlyContinue
if ($null -ne $value) {
[PSCustomObject]@{
RegistryPath = $path
ValueName = 'ShowHistoryThumbnails'
Value = $value
}
}
}
}
if ($results) {
$results | Format-Table -AutoSize
} else {
Write-Output 'ShowHistoryThumbnailsは検出されませんでした。'
}
このスクリプトは残存値を確認するためのものであり、ポリシーがEdgeに有効かどうかを判定するものではありません。
値が見つかった場合は、次の順序で対応します。
- GPO、Intune、スクリプトなどの配布元を特定する
- 配布元から設定を削除する
- ポリシーを再同期する
- 端末側の値が消えたことを確認する
edge://policyでブラウザー側の状態を確認する
GPO全体から設定名を検索する
GPMCが利用できる管理端末では、GPOレポートを出力して設定名を検索できます。
Import-Module GroupPolicy
$reportPath = Join-Path $env:TEMP 'All-GPO-Report.xml'
Get-GPOReport `
-All `
-ReportType Xml `
-Path $reportPath
Select-String `
-Path $reportPath `
-Pattern 'ShowHistoryThumbnails'
一致が見つかった場合は、該当するGPOを特定し、旧設定を解除します。
Edge 152で削除できたか確認する
Microsoftは、管理対象端末で適用済みポリシーを確認する方法としてedge://policyを案内しています。Active Directoryのポリシーを即時反映する場合は、gpupdate /forceを実行し、必要に応じてEdgeを再起動します。(Microsoft Learn)
確認手順は次のとおりです。
Edgeのバージョンを確認する
アドレスバーに次を入力します。
edge://settings/help
バージョンが152以降であることを確認します。
管理ポリシーを同期する
Active Directory環境では、コマンドプロンプトまたはPowerShellで次を実行します。
gpupdate /force
Intune環境では、会社ポータルまたはWindowsの職場・学校アカウント画面から同期します。
edge://policyを確認する
アドレスバーに次を入力します。
edge://policy
ポリシーの再読み込みを実行し、ShowHistoryThumbnailsが有効なサポート済みポリシーとして読み込まれていないことを確認します。
| 確認項目 | 正常な状態 |
|---|---|
| Edgeのバージョン | 152以降 |
| 最新ADMX | ShowHistoryThumbnailsが存在しない |
| GPO・Intune | 設定が配布対象から除外されている |
edge://policy | 有効なポリシーとして適用されていない |
| レジストリ | 不要な残存値がない |
| ベースライン | 対象外または削除済み |
| 監査ルール | レジストリ値の有無で適合判定していない |
サムネイルが画面に表示されるかどうかだけで、移行の成否を判断してはいけません。Edge 152以降では、ブラウザーの既定動作や機能の展開状況と、企業ポリシーの適用結果を切り分けて確認する必要があります。
セキュリティベースラインの見直し方
ShowHistoryThumbnailsをプライバシー対策として無効化していた組織では、ベースラインの項目を削除するだけでなく、元の管理目的を確認してください。
たとえば、要求事項が「閲覧履歴のサムネイルをポリシーで無効化する」であれば、Edge 152以降はベンダーが管理手段を提供していないため、次のように記録します。
設定名:
ShowHistoryThumbnails
旧要件:
Disabledを強制する
Edge 152以降:
ポリシー削除のため対象外
対応:
GPO、Intune、監査ルールから除外
Microsoftのリリースノートを変更証跡として保存
代替ポリシーは未提供
一方、要求事項が「端末に閲覧履歴を一切保存しない」であれば、SavingBrowserHistoryDisabledなど、より広い制御を検討する余地があります。ただし、履歴やタブ同期まで停止するため、単純な置き換えは避けるべきです。
監査では、レジストリ値が0であることを適合条件にしないでください。Edgeが認識しない値を検査しても、実際の管理状態を証明できず、誤った「準拠」判定につながります。
よくある失敗と対策
ADMXだけを更新する
新しいADMXへ差し替えるだけでは、既存GPOや端末に残った値まで自動的に整理されるとは限りません。
旧テンプレートで未構成に戻してから更新するか、新しいGPOへ置き換えます。
端末のレジストリだけを削除する
GPO、Intune、スクリプトが残っていれば再配布されます。
端末ではなく、先に設定の配布元を修正してください。
レジストリ値が存在するため制御できていると判断する
削除済みポリシーでは、値の存在とブラウザーによる認識は一致しません。
最終確認にはedge://policyと現行のMicrosoft Edgeポリシー一覧を使用します。
SavingBrowserHistoryDisabledへ一律に置き換える
履歴サムネイルだけでなく、閲覧履歴やタブ同期まで無効になります。利用者への影響を評価せずに置き換えるのは避けてください。(Microsoft Learn)
非公式なレジストリ値やフラグで代替する
削除されたポリシーと同じ名前の値を手動作成しても、サポートされた管理方法にはなりません。
内部フラグや未公開のコマンドラインスイッチに依存すると、更新後に予告なく動作しなくなる可能性があります。企業環境では、Microsoftが公開している現行ポリシーだけをベースラインに採用するのが安全です。
Edgeポリシーの棚卸しを更新サイクルに組み込む
Microsoft EdgeはEdge 152から、メジャーバージョンの更新を2週間サイクルへ移行しました。ポリシーの追加、非推奨、廃止、削除を確認する間隔も、従来より短くする必要があります。(Microsoft Learn)
企業では、各メジャーバージョンの展開前に次の処理を定例化すると管理しやすくなります。
- Beta版とStable版のリリースノートを確認する
- 新旧ADMXのポリシー名を比較する
- 削除された設定をベースラインから除外する
- 新規ポリシーを採用するか判断する
edge://policyでパイロット端末を確認する- コンプライアンス判定ルールを更新する
- 変更理由と確認結果を記録する
ShowHistoryThumbnailsへの対応で最優先すべきことは、Edge 152へ値を強制的に認識させることではありません。GPOやIntuneなどの配布元から設定を取り除き、ポリシーベースラインと監査項目を現行仕様に合わせることです。
全端末がEdge 152以降へ移行したことを確認したうえで、ShowHistoryThumbnailsを管理設定、レジストリ配布処理、コンプライアンスチェックから除外し、最後にedge://policyで適用状態を確認してください。

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