Microsoft Formsの回答をPDF変換して自動メール送信する方法

Microsoft Formsの回答をPDF化して、自動的にメールで送れるようにできたらとても便利ですよね。私自身、社内のアンケートを取った際に回答が大量に集まり、Excelで取りまとめるよりもPDFでまとめてメール配信したらスムーズに共有できたという経験があります。今回は、Power Automateを使った具体的な手順やメリット・デメリット、ちょっとしたヒントについてご紹介します。ぜひ一度試してみていただき、業務やイベント管理などに役立ててみてください。

Microsoft Formsとは

Microsoft Formsは、Microsoft 365のアプリケーション群の一つで、アンケートやクイズ、投票などを簡単に作成・公開できるクラウドサービスです。特別なプログラミングスキルも必要なく、手軽にフォームをデザインでき、Microsoftアカウントがあればすぐに利用できます。回答データはWeb上でリアルタイムに集計され、Excelにエクスポートして集計・分析することも可能です。

活用事例

社内アンケートや顧客向けの問い合わせフォーム、イベント申し込み受付フォームなど、多岐にわたります。実際に私が見かけたケースでは、新商品のフィードバックを取る目的で使われていたり、研修の満足度調査を行うためのアンケートとして利用されたりと、Microsoft Formsの使い勝手の良さは幅広いシーンで生きています。

手軽にフォームを作れる

一般的に、アンケートや申し込みフォームを作るとなると、Webページやプログラムを書くイメージがありますが、Microsoft Formsなら質問項目を入力・選択するだけで形にできます。公開後はURLやQRコードを配布するだけで回答を集められるため、回答者にとっても便利です。

リアルタイム集計が強み

結果がリアルタイムで反映されるので、急ぎの調査やアンケートで重宝します。たとえばイベントの来場予定者数を管理する際、こまめにアクセスすれば最新の回答数をすぐに把握できるので、当日の準備がしやすくなります。

私も以前、部署ごとのプロジェクト進捗を確認するフォームを作成しました。管理者だけが回答状況を見られるように設定し、Excelにエクスポートせずとも大まかな数字を素早く把握できたのでとても助かりました。

回答をPDF化するメリット

Microsoft Forms自体には回答結果をPDF化する機能はありません。しかし、結果をPDFでまとめると、配布や閲覧、アーカイブに大きな利便性が生まれます。特に、部署内の報告や顧客へのレポート提出など、正式な書面のように扱えるのがポイントです。

共有性が高い

PDFは多くのデバイスやOSで統一的に表示できるため、閲覧者がフォームの回答を誤って編集する心配がありません。メールに添付して送るだけでなく、社内ポータルやファイル共有サービスに保管しておけば、権限設定を行いつつ安全に共有もできます。

印刷が容易

PDFはレイアウトが崩れにくく、紙に印刷しても見やすい形式です。会社で紙資料を提出しなければならない場合でも、回答内容を整理して印刷できるのは便利です。特に、取引先やお客様向けの帳票として渡したいときに活用しやすい形式といえるでしょう。

メールで添付する形式としては、PDFは誤って編集されるリスクが少なく、ファイルサイズも比較的小さく収まることが多い点が便利です。

必要な準備と前提条件

PDF変換とメール送信を自動化するには、Microsoft Formsだけでは不十分で、Power Automateを活用することが前提となります。具体的に用意しておくものは以下のとおりです。

Microsoftアカウント

Microsoft FormsとPower Automateを利用するにはMicrosoftアカウントが必要です。企業などでMicrosoft 365ライセンスを導入している場合は、それを使えばOKです。個人アカウントでもFormsの基本機能は利用できますが、Power Automateとの連携機能に制限がある場合もあるので確認しましょう。

Power Automateの利用環境

Power Automateは基本的には無料プランでも利用可能ですが、一部のコネクタは有料・プレミアム扱いとなります。PDF生成に関しては、標準コネクタでHTMLからPDFを作成する方法が用意されていますが、より高度なカスタマイズを行いたい場合には、サードパーティ製のコネクタやライセンスが必要になる場合もあります。

環境によってはPDF変換のために追加のサブスクリプションが必要となるケースがあるので、事前に確認しておきましょう。

私の場合、Wordテンプレートを使ってレイアウトを整えたPDFを出したかったので、当初は一部プレミアム機能が必要でした。ただし、HTMLを使った簡易的なレイアウトでよければ、無償プランでも実現可能な部分が多いです。

実際のフロー構築手順

Microsoft Formsの回答をPDFに変換して、特定のメールアドレスへ自動的に送信するフローをPower Automateで組む流れを解説します。ここでは代表的な方法として、HTMLからPDFを作るパターンをベースにご紹介します。

フロー全体のイメージ

まずは手順の全体像をつかむために、ざっくりとした流れを見ていきましょう。

1. フォームへの回答をトリガーにする

Microsoft Formsに新しい回答が送信されたタイミングでフローを起動します。Power Automate側の「When a new response is submitted」というトリガーを使います。

2. フォームの回答内容を取得

次に「Get response details」アクションを使って、回答者が入力した内容をすべて取得します。この時点で自由記述形式の回答や複数選択式の回答も含め、すべてのデータを集めます。

3. HTMLコンテンツを作成

取得した回答内容をもとに、HTML形式でレイアウトを整えます。ここで簡単なCSSを使って見やすい形にすることも可能です。

4. HTMLをPDFに変換

作成したHTMLをPower Automateのアクション「HTML to PDF」などを使ってPDFに変換します。サードパーティ製のアクションを利用するケースもありますが、標準コネクタでも一部対応可能です。

5. PDFをメール送信

最後に「Send an email」アクションを使い、先ほど生成したPDFファイルを添付して指定のメールアドレスに送信します。ここであらかじめ決めておいた固定のアドレスや、回答者が入力したアドレスを差し込むことも可能です。

トリガーの設定

Power Automateで新規フローを作成し、テンプレートから「Microsoft Forms」と連携しているフローを検索してもOKです。自前で作る場合は「作成」→「クラウドフロー」→「空白から作成」で進み、「When a new response is submitted」を選択してフォームを指定します。

フォームIDの指定

作成済みのフォーム一覧から該当のフォームを選択します。もし、共有されているフォームや企業全体で使われているフォームが多くて見つからない場合は、フォームのURLからフォームIDを取得する方法もあります。

私が作った研修アンケートフォームでは、トリガー設定で同僚とも共同編集していた関係で複数のフォームがありましたが、URLに含まれる文字列を頼りに正しいものを選ぶようにしました。

回答内容の取得

トリガーを設定したら、次に「Get response details」アクションを追加し、同じフォームIDと「Response ID」を設定します。これで送信された回答の具体的な内容を引き出せるようになります。

取得データの確認

回答内容は質問の種類によって形が異なるため、複数選択式の場合はカンマ区切りの文字列として取得される場合があります。必要に応じて、テキスト分割アクションなどを使って扱いやすい形に変換することもあります。

{
  "responseDetails": {
    "Q1": "山田太郎",
    "Q2": "IT部門",
    "Q3": "選択1;選択2",
    "Q4": "こちらのサービスは使いやすいと思います。"
  }
}

PDF化の具体的な方法

Power AutomateにはいくつかのPDF生成手段があります。代表的なものを2パターンご紹介します。

HTMLをPDFに変換する方法

HTMLの文字列を生成し、それをPDFに変換するアクションを利用します。このアクションはPower Automateの標準コネクタで一部利用可能ですが、機能やレイアウトの自由度は比較的シンプルです。表やスタイルシートを簡単に組み込むだけでも、見栄えが大きく変わります。

HTMLテンプレートの作成

まず、テキストエディタなどでHTMLファイルを作り、回答内容を差し込む場所をあらかじめ決めておきます。Power Automateの変数アクションで、このテンプレート内の差し込み箇所を置換する方法や、コンテンツ全体をComposeアクションで動的に生成する方法があります。

Power Automate標準アクションを活用

HTMLが完成したら、「HTML to PDF」あるいは「Create file」→「Convert file」などのアクションを使ってPDF化します。ただし環境によってはプレミアムライセンスが必要な場合があるので事前確認が大切です。

HTMLを扱う方式は、コードの記述に慣れてくると柔軟性が高く、レイアウト調整もしやすい点が魅力です。

Wordテンプレートを使ったドキュメント生成

Wordの差し込み印刷のようなイメージで回答をテンプレートに埋め込み、最終的にPDFとして出力する方法です。デザインをWord上で調整できるので、レイアウトの自由度が高く、ビジュアル的に見やすい帳票が作りやすい利点があります。

Wordテンプレートの準備

Microsoft Wordでテンプレートとなるファイルを作成し、回答を差し込む箇所をプレースホルダーとして設定しておきます。たとえば「<<名前>>」と入れるなど、差し込み文字列をわかりやすくしておきます。

Power Automateのテンプレート機能

Power Automateで「Populate a Microsoft Word template」といったアクションを使うと、Word内のプレースホルダーにフォームの回答を差し込みできます。その後、「Convert Word Document to PDF」アクションでPDFファイルを生成します。

Wordテンプレートを使う方法は高度で便利ですが、一部機能がプレミアム扱いになることがあります。事前にライセンスや利用可否を確認してください。

メール送信の設定

PDF化したファイルをメール添付して送る方法はシンプルながら、多くの場面で使われています。フォーム回答者のメールアドレスを取得する設定にしておけば、回答直後に自動返信メールを送ったり、担当者や管理者へまとめて送付することもできます。

メールアクションのカスタマイズ

「Send an email (V2)」アクションを利用して、宛先(To)や件名(Subject)、本文(Body)に応じて動的な内容を設定します。たとえば回答者のメールアドレスを直接差し込んだり、部署名や氏名を件名に入れたりといった工夫が可能です。

動的コンテンツの挿入

Power Automateのエディタでは、フォーム回答内容を動的コンテンツとして呼び出せます。たとえば、件名に「[フォーム回答] 山田太郎様の受付完了」と自動で反映させるなど、より親切なメールが送れます。

ファイル名の指定

添付するPDFのファイル名も動的に変えると、あとで識別しやすくなります。たとえば「アンケート回答_山田太郎.pdf」という形にすることで、メール受信者が内容を推測しやすくなります。

私の事例では、PDFファイルに回答日時やユニークIDを埋め込んで、検索性を高める工夫をしました。ファイルが大量になる場合でもスムーズに探せるメリットがあります。

実践で役立つTips

Microsoft Formsの回答をPDF化してメール送信するフローを作る際に、さらに効率を上げるためのヒントをまとめました。

SharePointやOneDriveに保管する

PDFに変換したファイルをメールするだけでなく、自動でSharePointやOneDriveに保存しておけば、バックアップとしても機能します。特定のフォルダーに日付ごとに格納するよう設定しておけば、のちに見返すときに便利です。

パスワード付きPDFにする

機密情報や個人情報が含まれる回答をPDF化する場合、パスワード保護を施すとセキュリティを高められます。Power Automateでは標準機能でのパスワード保護は難しい部分がありますが、サードパーティのコネクタやカスタムコネクタを使うことで実現可能です。

カスタムコネクタ利用の例

外部のPDF生成サービスのAPIをカスタムコネクタで呼び出し、変換時にパスワードを設定する方式があります。ただし、外部サービスへの依存や追加費用が発生する可能性がある点を踏まえて検討しましょう。

Excelで集計したデータを併用

Formsの回答はExcelにも自動で集計できます。メール送信用のPDFだけでなく、回答の統計情報やグラフを別途Excelでまとめて分析する組み合わせも便利です。管理者用レポートにはグラフ付きPDF、回答者にはシンプルな回答内容PDFなど、役割に応じて使い分けましょう。

導入後の運用ポイント

いざフローを導入すると、各部署や利用者から運用に関する問い合わせが出ることがあります。以下の点を押さえておくとスムーズに対応できます。

フォームの公開範囲設定

社内限定で回収したい場合は、Microsoft Formsの設定で「所属組織内のユーザーのみが回答可能」を有効にする必要があります。外部にも回答を求める場合は公開範囲の拡大や匿名回答の是非を事前に決めておきましょう。

フローのエラー対応

稀にPDF変換でエラーが発生したり、メール送信が失敗したりするケースがあります。Power Automateの「失敗したフローの実行履歴」をチェックし、どのアクションでエラーになっているかを確認しましょう。HTMLの文字コードや画像の扱いに問題がある場合が多いです。

トラブルシューティングのポイント

– フォームの質問項目を増やした際に、フローの差し込み部分が不整合を起こしていないか。
– 画像などの外部ファイルの参照パスが正しいか。
– Power Automate側のライセンス期限や制限を超えていないか。

導入例:研修参加者管理

私が実際に作った例として、研修参加者の事前登録フォームを公開し、受講者が登録すると同時に「受講証明書」をPDFで自動発行してメール送信する仕組みがあります。ここでは、その一連の流れを具体的にご紹介します。

フォーム作成

研修名や受講日、参加希望の時間帯などを選択式で入れました。受講者には名前とメールアドレスの入力が必須になるように設定し、仮に不備があった場合は回答不可にしています。

フロー概要

1. When a new response is submitted
2. Get response details
3. ComposeアクションでHTMLを動的生成(受講者の名前や研修日時を入れる)
4. HTML to PDFで変換
5. Send an email (V2)でPDFを添付し、受講者アドレス宛に送信

PDFのレイアウト

研修名、受講日、講師名などを大きめに記載し、受講者名を配置したシンプルなレイアウトをHTMLで作りました。ロゴ画像を挿入したい場合は、Base64でエンコードしてHTML内に埋め込む方法もあります。

カスタマイズの余地

フォームの回答をただPDFにするだけでなく、実はPower Automateの柔軟性を活かしてさまざまな自動化を併用できます。

自動承認フローとの連携

回答内容に応じて承認が必要な場合は、「Approvals」アクションを使って承認プロセスを組み込み、承認後にPDFを生成して送信する仕組みに拡張することもできます。

DocuSignやAdobe Signとの連携

PDFに署名が必要な場面では、電子署名サービスと連携することでオンラインでの同意書・契約書を作成する流れが完成します。新規回答を受け付ける → PDF生成 → 電子署名要求 → 完了通知、といった流れをPower Automateひとつで実装可能です。

Power Automateのエコシステムは拡大を続けていて、多種多様なサービスとつながります。必要に応じて追加のコネクタを探せば、思いもよらない便利な機能が見つかることもあります。

まとめ

Microsoft FormsとPower Automateを組み合わせれば、フォームの回答をPDFに変換し、自動でメール送信するワークフローが簡単に構築できます。研修やアンケート、セミナーの申し込みフォームなど、さまざまなビジネスシーンや個人利用シーンで役立つはずです。
特にPDFは共有・保存がしやすいので、正式な書類が必要な場面では大いに活用できます。加えて、Power Automateの可能性を知るきっかけにもなるため、慣れてきたらさらなる自動化にも挑戦してみてください。

私はこのワークフローを取り入れてから、アンケート結果の集計とレポート作成に割く時間が劇的に減りました。自動化にしてよかったな、と日々実感しています。

機能 利用シーン 備考
HTML to PDF 簡易なレイアウトで良い場合 標準コネクタでも可(環境により制限)
Wordテンプレート変換 凝ったレイアウトを作成したい場合 プレミアム機能の可能性
サードパーティ連携 パスワード保護や電子署名 追加費用や設定要

今後の展望

Microsoft Formsの機能拡張は進んでおり、簡易的な投票やアンケートだけでなく、クイズや学習評価ツールとしても使われています。Power AutomateはこのFormsと相性が良く、今後さらに多くのパターンで自動化ニーズが高まるでしょう。
PDF化の一手間を自動化するだけで、業務効率が格段に上がることを実感するはずです。是非、ご自身や組織の要件に合わせたフローを作ってみてください。

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