この記事では、Pythonを使用して侵入検出システム(IDS:Intrusion Detection System)の基本的な仕組みを構築する方法を解説します。具体的なコード例、その詳細な解説、さらには応用例までを網羅しています。侵入検出システムは、不正アクセスや不審なネットワークトラフィックを検出するための重要なセキュリティ対策です。Pythonを使用して独自のIDSを構築することで、よりセキュアな環境を実現するための一助となります。
目次
侵入検出システムとは
侵入検出システム(IDS)とは、ネットワークやシステムに不正アクセスや不審な動きがあった場合に、それを検出し警告を出すシステムです。主に、不正アクセスを防ぐためと、発生した場合の被害を最小限に抑えるために使用されます。
IDSの種類
IDSには大きく分けて2種類存在します。
- NIDS(Network Intrusion Detection System)
- HIDS(Host-based Intrusion Detection System)
必要なライブラリ
PythonでIDSを構築する際には、以下のライブラリが一般的に使用されます。
- Scapy
- psutil
基本的なIDSの構築
PythonのライブラリScapyを使用して、基本的なIDSを作成してみましょう。
コード例
from scapy.all import *
import psutil
# パケットを傍受する関数
def packet_callback(packet):
# TCPパケットのみをフィルタ
if packet.haslayer(TCP):
# 異常なフラグが立っているかチェック
if packet[TCP].flags == 'FPU':
print(f'不審なパケットを検出: {packet.summary()}')
# ネットワークインターフェースを取得
network_interface = psutil.net_if_addrs()['Ethernet'][0].address
# パケットを傍受
sniff(iface=network_interface, prn=packet_callback)
コードの解説
このコードではScapyを使ってネットワークパケットを傍受し、不審なTCPフラグ(’FPU’)が立っているパケットを検出します。また、psutilを用いて動作するネットワークインターフェースを自動で取得しています。
補足事項
この例は非常に基本的なもので、現実の侵入検出には多くの要素が絡むため、これだけでは不十分です。しかし、基本的な概念を理解する上で有用です。
応用例
応用例1: エクスポートした情報をログファイルに保存
import logging
# ログ設定
logging.basicConfig(filename='intrusion.log', level=logging.INFO)
def packet_callback_with_log(packet):
if packet.haslayer(TCP):
if packet[TCP].flags == 'FPU':
logging.info(f'不審なパケットを検出: {packet.summary()}')
# パケットを傍受
sniff(iface=network_interface, prn=packet_callback_with_log)
応用例2: 不審なIPアドレスを自動でブロック
import subprocess
def packet_callback_with_block(packet):
if packet.haslayer(TCP):
if packet[TCP].flags == 'FPU':
ip = packet[IP].src
subprocess.run([f"iptables -A INPUT -s {ip} -j DROP"])
# パケットを傍受
sniff(iface=network_interface, prn=packet_callback_with_block)
まとめ
Pythonを用いて侵入検出システムを独自に構築することは十分可能です。基本的なコード例から応用例までを試して、自分自身でセキュリティ対策を施してみてはいかがでしょうか。
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