ReactアプリケーションでのReduxの基本と導入方法を徹底解説

Reactアプリケーションの開発において、状態管理は非常に重要な要素です。コンポーネント間でのデータ共有やアプリケーションのスケールに伴う複雑な状態管理の課題を解決するため、Reduxは広く利用されています。本記事では、Reduxの基本概念から、そのReactアプリケーションへの導入方法までを徹底解説します。Reduxを活用することで、状態管理をより効率的かつ予測可能にする方法を学び、スムーズな開発を実現しましょう。

目次
  1. Reduxとは何か
    1. 状態管理の課題
    2. Reduxの基本構造
    3. ReactとReduxの関係
  2. Reduxの3つの基本原則
    1. 1. シングルソースオブトゥルース
    2. 2. 状態は読み取り専用
    3. 3. 変更は純粋関数で行う
  3. ReduxとReactの統合のメリット
    1. 1. 一元化された状態管理
    2. 2. 予測可能なデータフロー
    3. 3. コンポーネントの再利用性向上
    4. 4. アプリケーションのスケーラビリティ
    5. 5. 開発者体験の向上
  4. Reduxの主要コンポーネント
    1. 1. Store
    2. 2. Action
    3. 3. Reducer
    4. 4. データフローの仕組み
    5. 5. React-ReduxとStoreの接続
  5. Reduxのセットアップ手順
    1. 1. 必要なパッケージのインストール
    2. 2. Storeの作成
    3. 3. Reducerの作成
    4. 4. ReactアプリケーションへのStoreの接続
    5. 5. Reactコンポーネントでの状態利用
    6. 6. 動作確認
  6. 実践:Reduxでのカウンターアプリ作成
    1. 1. プロジェクトのセットアップ
    2. 2. カウンター用のActionを定義
    3. 3. カウンターReducerの準備
    4. 4. カウンターコンポーネントの作成
    5. 5. アプリケーションに組み込む
    6. 6. 動作確認
    7. 7. Redux DevToolsで状態を確認
  7. Redux Toolkitを使った効率化
    1. 1. Redux Toolkitとは
    2. 2. 必要なパッケージのインストール
    3. 3. createSliceでReducerを作成
    4. 4. StoreをconfigureStoreで作成
    5. 5. Reactアプリケーションへの接続
    6. 6. Reactコンポーネントでの利用
    7. 7. Redux Toolkitの利点
    8. 8. Redux Toolkitの非同期処理
  8. Redux導入時の課題と解決策
    1. 1. ボイラープレートコードが多い
    2. 2. 非同期処理が複雑
    3. 3. 小規模プロジェクトではオーバーエンジニアリングになりがち
    4. 4. 学習コストが高い
    5. 5. デバッグが難しい
    6. 6. 状態設計が複雑化しやすい
    7. 7. パフォーマンスの最適化
    8. まとめ
  9. まとめ

Reduxとは何か


Reduxは、JavaScriptアプリケーションの状態管理を効率化するためのライブラリです。Reactとの組み合わせで特に有名ですが、フレームワークに依存せずに利用できる汎用的な設計が特徴です。

状態管理の課題


単純なReactアプリでは、コンポーネントの状態をuseStateuseContextで管理することが一般的です。しかし、アプリが大規模になるにつれて、コンポーネント間の状態共有やネストの深い構造が原因でコードが煩雑になることがあります。Reduxは、この課題を解決するための強力なツールです。

Reduxの基本構造


Reduxは、以下の3つの主要なコンポーネントで構成されています:

  • Store: アプリケーション全体の状態を一元管理します。
  • Action: 状態の変更を引き起こすイベントを表します。
  • Reducer: アクションに基づいて状態を更新する純粋関数です。

これらを活用することで、アプリケーションの状態を一貫性を持って管理しやすくなります。

ReactとReduxの関係


ReduxはReactと直接統合されているわけではありませんが、React専用の統合ライブラリであるReact-Reduxを使用することで、Reactアプリケーションに簡単に組み込むことができます。この統合により、ReactコンポーネントとReduxのStore間のデータフローを効率的に実現できます。

Reduxの導入により、複雑な状態管理をより直感的かつ予測可能な形で構築できるようになります。

Reduxの3つの基本原則


Reduxは、そのシンプルさと強力さを3つの基本原則に基づいて実現しています。この原則を理解することで、Reduxの設計思想とその強みをより深く理解できます。

1. シングルソースオブトゥルース


Reduxでは、アプリケーションの全体の状態が1つのStoreに集約されます。この「単一の真実の源」は、以下の利点をもたらします:

  • アプリケーション全体の状態を一箇所で把握可能。
  • デバッグや状態の追跡が容易。
  • データの一貫性が確保される。

2. 状態は読み取り専用


Reduxでは、状態を直接変更することは許されていません。状態を更新する唯一の方法は、Actionをディスパッチすることです。この仕組みにより、以下が保証されます:

  • 状態変更の発生源が明確化。
  • 予測可能なデータフローの実現。
  • データ変更のトラッキングが容易。

3. 変更は純粋関数で行う


Reduxでは、状態を更新するロジックがReducerという純粋関数(副作用を持たない関数)で記述されます。純粋関数の使用により、以下のメリットが得られます:

  • ロジックがテスト可能で再利用しやすい。
  • 同じ入力に対して常に同じ出力を保証。
  • 状態管理の安定性が向上。

これらの基本原則に従うことで、Reduxは大規模なアプリケーションにおいても予測可能でメンテナンスしやすい状態管理を提供します。

ReduxとReactの統合のメリット


Reduxは、Reactアプリケーションの状態管理を効率化する強力なツールですが、統合することで得られる具体的なメリットを理解することが重要です。

1. 一元化された状態管理


Reactでは、状態を個々のコンポーネントやコンテキストで管理することが一般的ですが、大規模アプリでは状態の流れが複雑になることがあります。Reduxを導入することで、すべての状態を1つのStoreに統合でき、以下が可能となります:

  • アプリケーション全体の状態を簡単に確認。
  • 複数のコンポーネント間で状態を効率的に共有。

2. 予測可能なデータフロー


Reduxでは、状態がActionとReducerを通じて変更されるため、状態の変化が直線的で予測可能になります。これにより、以下が向上します:

  • デバッグの効率。
  • 状態変更のトラッキング能力。

特に、Redux DevToolsを活用することで、状態変更の履歴を確認し、デバッグがさらに容易になります。

3. コンポーネントの再利用性向上


React-Reduxを使用すると、コンポーネントが状態管理のロジックから切り離され、以下のような利点が得られます:

  • 状態に依存しないプレゼンテーションコンポーネントの再利用が容易。
  • ビジネスロジックの集中管理。

4. アプリケーションのスケーラビリティ


Reduxは、大規模アプリケーションにおいても柔軟に対応可能な設計になっています。次のような特徴がスケーラビリティを向上させます:

  • モジュール化された状態管理の導入。
  • ミドルウェア(例:Redux ThunkやRedux Saga)を使った非同期処理の管理。

5. 開発者体験の向上


Redux DevToolsやその他のエコシステムツールを活用することで、開発者体験が向上します。具体的には:

  • 状態のタイムトラベル。
  • アクションのログ確認。
  • リアルタイムの状態監視。

ReduxをReactと統合することで、開発効率とアプリケーションの品質が大幅に向上します。その一方で、Reduxの導入には初期の学習コストが伴うため、プロジェクトの要件に応じた適切な選択が重要です。

Reduxの主要コンポーネント


Reduxの設計は、状態管理をシンプルかつ効果的に行うための主要なコンポーネントで構成されています。これらを理解することで、Reduxの動作と役割を明確に把握できます。

1. Store


Storeは、アプリケーション全体の状態を一元管理する中心的な要素です。

  • 状態(State)の保管場所として機能します。
  • アプリケーションの状態を取得するgetState()メソッドを提供します。
  • 状態を更新するアクションをディスパッチするdispatch(action)メソッドを提供します。
  • 状態の変化をリッスンするsubscribe(listener)メソッドを提供します。

Storeの作成例

import { createStore } from 'redux';
import rootReducer from './reducers';

const store = createStore(rootReducer);

2. Action


Actionは、状態の変更をトリガーするためのプレーンなJavaScriptオブジェクトです。

  • 必須プロパティとしてtype(アクションの種類を識別)を持ちます。
  • 必要に応じて追加データ(ペイロード)を含めることができます。

Actionの例

const incrementAction = { type: 'INCREMENT' };
const decrementAction = { type: 'DECREMENT' };

3. Reducer


Reducerは、アクションに基づいて新しい状態を生成する純粋関数です。

  • 現在の状態とアクションを受け取り、新しい状態を返します。
  • 状態の更新ロジックを集中管理します。

Reducerの例

function counterReducer(state = 0, action) {
    switch (action.type) {
        case 'INCREMENT':
            return state + 1;
        case 'DECREMENT':
            return state - 1;
        default:
            return state;
    }
}

4. データフローの仕組み


Reduxでは、データの流れが一方向に統一されています:

  1. UIコンポーネントがユーザー操作を検知してActionをディスパッチ。
  2. StoreがReducerを呼び出して新しい状態を生成。
  3. 新しい状態がStoreに保存され、変更をUIに通知。

5. React-ReduxとStoreの接続


ReactとReduxを統合する際、Providerコンポーネントを使用してReactアプリケーション全体でStoreを共有します。

import { Provider } from 'react-redux';
import store from './store';

function App() {
    return (
        <Provider store={store}>
            <MyComponent />
        </Provider>
    );
}

Reduxの主要コンポーネントを正しく理解することで、Reactアプリケーションの状態管理を一貫性のある方法で実装できます。

Reduxのセットアップ手順


ReactアプリケーションにReduxを導入するには、いくつかの手順を順に実行する必要があります。ここでは、新しいプロジェクトにReduxを設定する方法を詳しく解説します。

1. 必要なパッケージのインストール


ReduxとReact-Reduxをインストールします。React-ReduxはReduxをReactアプリケーションで利用するための公式ライブラリです。

npm install redux react-redux

2. Storeの作成


アプリケーション全体の状態を保持するためのStoreを作成します。store.jsという名前のファイルを用意します。

import { createStore } from 'redux';
import rootReducer from './reducers';

const store = createStore(rootReducer);

export default store;

3. Reducerの作成


reducersディレクトリ内に、Reducer関数を作成します。以下はカウンター機能のReducerの例です。

// reducers/counterReducer.js
const initialState = { count: 0 };

function counterReducer(state = initialState, action) {
    switch (action.type) {
        case 'INCREMENT':
            return { ...state, count: state.count + 1 };
        case 'DECREMENT':
            return { ...state, count: state.count - 1 };
        default:
            return state;
    }
}

export default counterReducer;

複数のReducerを統合する場合は、combineReducersを使用します。

import { combineReducers } from 'redux';
import counterReducer from './counterReducer';

const rootReducer = combineReducers({
    counter: counterReducer,
});

export default rootReducer;

4. ReactアプリケーションへのStoreの接続


Providerコンポーネントを使用して、Reactアプリケーション全体にStoreを渡します。

import React from 'react';
import ReactDOM from 'react-dom';
import { Provider } from 'react-redux';
import store from './store';
import App from './App';

ReactDOM.render(
    <Provider store={store}>
        <App />
    </Provider>,
    document.getElementById('root')
);

5. Reactコンポーネントでの状態利用


React-ReduxのuseSelectoruseDispatchフックを使用して、状態の読み取りと更新を行います。

import React from 'react';
import { useSelector, useDispatch } from 'react-redux';

function Counter() {
    const count = useSelector((state) => state.counter.count);
    const dispatch = useDispatch();

    return (
        <div>
            <h1>Count: {count}</h1>
            <button onClick={() => dispatch({ type: 'INCREMENT' })}>Increment</button>
            <button onClick={() => dispatch({ type: 'DECREMENT' })}>Decrement</button>
        </div>
    );
}

export default Counter;

6. 動作確認


ブラウザでアプリケーションを起動し、カウンター機能が正常に動作することを確認します。Redux DevToolsを使うと、状態の変化をリアルタイムで追跡できます。

Reduxのセットアップは以上です。この手順を実行すれば、ReactアプリケーションでのReduxを活用した効率的な状態管理が可能になります。

実践:Reduxでのカウンターアプリ作成


Reduxを利用して、シンプルなカウンターアプリを作成します。この実践例を通じて、Reduxの仕組みを理解しましょう。

1. プロジェクトのセットアップ


Reduxをセットアップ済みのReactプロジェクトを使用します。前の手順で作成したstore.jsとReducerを活用します。

2. カウンター用のActionを定義


カウンターを増減させるアクションを定義します。新しいファイルactions/counterActions.jsを作成します。

export const increment = () => {
    return { type: 'INCREMENT' };
};

export const decrement = () => {
    return { type: 'DECREMENT' };
};

3. カウンターReducerの準備


前のステップで作成したReducerを使用します。必要に応じてcounterReducer.jsを修正して、状態をより直感的に管理します。

const initialState = { count: 0 };

function counterReducer(state = initialState, action) {
    switch (action.type) {
        case 'INCREMENT':
            return { ...state, count: state.count + 1 };
        case 'DECREMENT':
            return { ...state, count: state.count - 1 };
        default:
            return state;
    }
}

export default counterReducer;

4. カウンターコンポーネントの作成


Counter.jsという名前のファイルを作成し、React-Reduxのフックを使用してReduxの状態を操作します。

import React from 'react';
import { useSelector, useDispatch } from 'react-redux';
import { increment, decrement } from './actions/counterActions';

function Counter() {
    const count = useSelector((state) => state.counter.count);
    const dispatch = useDispatch();

    return (
        <div style={{ textAlign: 'center', margin: '20px' }}>
            <h1>Redux Counter</h1>
            <h2>{count}</h2>
            <button onClick={() => dispatch(increment())}>Increment</button>
            <button onClick={() => dispatch(decrement())}>Decrement</button>
        </div>
    );
}

export default Counter;

5. アプリケーションに組み込む


App.jsにこのコンポーネントをインポートして表示します。

import React from 'react';
import Counter from './Counter';

function App() {
    return (
        <div>
            <Counter />
        </div>
    );
}

export default App;

6. 動作確認


プロジェクトを起動して、カウンターが正しく動作することを確認します。

npm start
  • 「Increment」ボタンをクリックするとカウントが1増加します。
  • 「Decrement」ボタンをクリックするとカウントが1減少します。

7. Redux DevToolsで状態を確認


ブラウザにRedux DevToolsがインストールされている場合、状態の変化をリアルタイムで確認できます。状態がどのように変化しているかを追跡することで、Reduxの動作を深く理解できます。

このカウンターアプリを作成することで、Reduxの主要なコンセプト(Store、Action、Reducer)とReactコンポーネントでの統合方法を実践的に学べました。

Redux Toolkitを使った効率化


Redux Toolkitは、Reduxの公式パッケージで、Reduxの設定を簡素化し、開発者体験を向上させるために提供されています。ここでは、Redux Toolkitを活用してアプリケーションを効率的に構築する方法を解説します。

1. Redux Toolkitとは


Redux Toolkitは、以下のようなRedux開発の課題を解決するために設計されています:

  • ボイラープレートコードの削減。
  • 設定やミドルウェアの統合の簡素化。
  • より直感的で効率的な状態管理の実現。

主要な機能には以下が含まれます:

  • configureStore:Storeの作成を簡素化。
  • createSlice:ReducerとActionの作成を簡素化。
  • createAsyncThunk:非同期処理の簡素化。

2. 必要なパッケージのインストール


Redux Toolkitをインストールします。React-Reduxも必要です。

npm install @reduxjs/toolkit react-redux

3. createSliceでReducerを作成


Redux Toolkitでは、createSliceを使用してReducerとActionを同時に作成できます。以下はカウンターの例です:

import { createSlice } from '@reduxjs/toolkit';

const counterSlice = createSlice({
    name: 'counter',
    initialState: { count: 0 },
    reducers: {
        increment: (state) => {
            state.count += 1; // Immerによる直接変更が可能
        },
        decrement: (state) => {
            state.count -= 1;
        },
    },
});

export const { increment, decrement } = counterSlice.actions;
export default counterSlice.reducer;

4. StoreをconfigureStoreで作成


configureStoreを使用してStoreを簡単に作成します。

import { configureStore } from '@reduxjs/toolkit';
import counterReducer from './counterSlice';

const store = configureStore({
    reducer: {
        counter: counterReducer,
    },
});

export default store;

5. Reactアプリケーションへの接続


Reactアプリケーション全体にStoreを提供します。

import React from 'react';
import ReactDOM from 'react-dom';
import { Provider } from 'react-redux';
import store from './store';
import App from './App';

ReactDOM.render(
    <Provider store={store}>
        <App />
    </Provider>,
    document.getElementById('root')
);

6. Reactコンポーネントでの利用


React-ReduxのuseSelectoruseDispatchを利用して状態を操作します。

import React from 'react';
import { useSelector, useDispatch } from 'react-redux';
import { increment, decrement } from './counterSlice';

function Counter() {
    const count = useSelector((state) => state.counter.count);
    const dispatch = useDispatch();

    return (
        <div>
            <h1>Count: {count}</h1>
            <button onClick={() => dispatch(increment())}>Increment</button>
            <button onClick={() => dispatch(decrement())}>Decrement</button>
        </div>
    );
}

export default Counter;

7. Redux Toolkitの利点


Redux Toolkitを使用することで得られる利点は以下の通りです:

  • ボイラープレートコードの削減。
  • Immerの組み込みにより、状態の直接操作が可能。
  • 非同期処理の簡単な設定(createAsyncThunkの利用)。
  • 設定やミドルウェア統合の簡素化。

8. Redux Toolkitの非同期処理


非同期処理にはcreateAsyncThunkを利用します。以下は、非同期データフェッチの例です:

import { createAsyncThunk, createSlice } from '@reduxjs/toolkit';

export const fetchData = createAsyncThunk('data/fetchData', async () => {
    const response = await fetch('https://api.example.com/data');
    return response.json();
});

const dataSlice = createSlice({
    name: 'data',
    initialState: { data: [], status: 'idle' },
    reducers: {},
    extraReducers: (builder) => {
        builder
            .addCase(fetchData.pending, (state) => {
                state.status = 'loading';
            })
            .addCase(fetchData.fulfilled, (state, action) => {
                state.status = 'succeeded';
                state.data = action.payload;
            })
            .addCase(fetchData.rejected, (state) => {
                state.status = 'failed';
            });
    },
});

export default dataSlice.reducer;

Redux Toolkitを活用することで、複雑な状態管理も効率的かつ直感的に実装できるようになります。特に初心者にとっては、学習コストを大幅に削減できる利点があります。

Redux導入時の課題と解決策


Reduxは強力な状態管理ツールですが、導入時にはいくつかの課題に直面することがあります。ここでは、よくある課題とその解決策を解説します。

1. ボイラープレートコードが多い


課題: Reduxの基本設定では、StoreやReducer、Actionを個別に作成する必要があり、コード量が増える傾向があります。

解決策: Redux Toolkitを利用することで、ボイラープレートコードを大幅に削減できます。特にcreateSliceを使用すれば、ReducerとActionを一括で定義でき、コードの簡潔化が図れます。

:
従来のRedux:

function counterReducer(state = { count: 0 }, action) {
    switch (action.type) {
        case 'INCREMENT':
            return { count: state.count + 1 };
        default:
            return state;
    }
}

Redux Toolkit:

import { createSlice } from '@reduxjs/toolkit';

const counterSlice = createSlice({
    name: 'counter',
    initialState: { count: 0 },
    reducers: {
        increment: (state) => { state.count += 1; }
    }
});

2. 非同期処理が複雑


課題: 標準のReduxでは非同期処理を実現するために、ミドルウェア(例:Redux ThunkやRedux Saga)の追加が必要で、初心者にとってハードルが高いです。

解決策: Redux ToolkitのcreateAsyncThunkを活用すると、非同期処理が簡素化されます。

:

import { createAsyncThunk, createSlice } from '@reduxjs/toolkit';

export const fetchData = createAsyncThunk('data/fetchData', async () => {
    const response = await fetch('https://api.example.com/data');
    return response.json();
});

3. 小規模プロジェクトではオーバーエンジニアリングになりがち


課題: 状態管理が複雑でない小規模プロジェクトでは、Reduxを導入することで逆にコードが冗長になる可能性があります。

解決策: プロジェクトの規模に応じて状態管理の方法を選択します。例えば、小規模なプロジェクトではuseStateuseContextの使用を検討します。

4. 学習コストが高い


課題: Reduxの導入にはStore、Action、Reducer、ミドルウェアなどの概念を理解する必要があり、初心者にとって難しく感じることがあります。

解決策: Redux Toolkitを使うことで、初心者でも直感的に学べる環境を提供できます。また、小規模なプロジェクトから学び始めるのも有効です。

5. デバッグが難しい


課題: 状態の変化が追跡しにくいと、問題の特定が難しくなります。

解決策: Redux DevToolsを利用することで、状態の変化やアクションの流れを可視化できます。DevToolsを使えば、状態変更の履歴を追跡し、問題を迅速に特定できます。

6. 状態設計が複雑化しやすい


課題: 状態設計が不適切だと、管理が難しくなります。

解決策: 状態をできるだけシンプルに設計することが重要です。以下のポイントを参考に状態を整理しましょう:

  • 状態は一元管理し、重複を避ける。
  • コンポーネントのローカル状態とグローバル状態を区別する。
  • 状態の構造を正規化する(例:データを配列や辞書形式で整理)。

7. パフォーマンスの最適化


課題: 状態変更に伴う不必要なレンダリングが発生し、パフォーマンスが低下することがあります。

解決策:

  • useSelectorで必要な状態のみを選択。
  • コンポーネントのReact.memouseMemoを活用して再レンダリングを防止。
  • 状態の粒度を調整して、影響範囲を最小化。

まとめ


Reduxの導入時に直面する課題は、Redux Toolkitの利用や設計の工夫で解決できます。特に、プロジェクトの規模に応じた適切なツールの選択と、デバッグツールの活用が、Reduxの効果的な導入に不可欠です。適切に導入すれば、Reduxは大規模アプリケーションでも予測可能かつ効率的な状態管理を提供します。

まとめ


本記事では、Reduxの基本概念からReactアプリケーションへの導入方法までを詳細に解説しました。Reduxの3つの基本原則を理解し、Store、Action、Reducerの仕組みを学ぶことで、アプリケーション全体の状態管理を効率的に行う方法を習得できます。また、Redux Toolkitを活用することで、ボイラープレートコードの削減や非同期処理の簡素化が可能となり、開発効率が大幅に向上します。

Reduxは大規模アプリケーションにおける状態管理の課題を解決する強力なツールです。導入時には課題もありますが、適切なツールや設計を活用すれば、スムーズな実装が可能です。Reduxを活用して、予測可能でスケーラブルなReactアプリケーションを構築しましょう!

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目次
  1. Reduxとは何か
    1. 状態管理の課題
    2. Reduxの基本構造
    3. ReactとReduxの関係
  2. Reduxの3つの基本原則
    1. 1. シングルソースオブトゥルース
    2. 2. 状態は読み取り専用
    3. 3. 変更は純粋関数で行う
  3. ReduxとReactの統合のメリット
    1. 1. 一元化された状態管理
    2. 2. 予測可能なデータフロー
    3. 3. コンポーネントの再利用性向上
    4. 4. アプリケーションのスケーラビリティ
    5. 5. 開発者体験の向上
  4. Reduxの主要コンポーネント
    1. 1. Store
    2. 2. Action
    3. 3. Reducer
    4. 4. データフローの仕組み
    5. 5. React-ReduxとStoreの接続
  5. Reduxのセットアップ手順
    1. 1. 必要なパッケージのインストール
    2. 2. Storeの作成
    3. 3. Reducerの作成
    4. 4. ReactアプリケーションへのStoreの接続
    5. 5. Reactコンポーネントでの状態利用
    6. 6. 動作確認
  6. 実践:Reduxでのカウンターアプリ作成
    1. 1. プロジェクトのセットアップ
    2. 2. カウンター用のActionを定義
    3. 3. カウンターReducerの準備
    4. 4. カウンターコンポーネントの作成
    5. 5. アプリケーションに組み込む
    6. 6. 動作確認
    7. 7. Redux DevToolsで状態を確認
  7. Redux Toolkitを使った効率化
    1. 1. Redux Toolkitとは
    2. 2. 必要なパッケージのインストール
    3. 3. createSliceでReducerを作成
    4. 4. StoreをconfigureStoreで作成
    5. 5. Reactアプリケーションへの接続
    6. 6. Reactコンポーネントでの利用
    7. 7. Redux Toolkitの利点
    8. 8. Redux Toolkitの非同期処理
  8. Redux導入時の課題と解決策
    1. 1. ボイラープレートコードが多い
    2. 2. 非同期処理が複雑
    3. 3. 小規模プロジェクトではオーバーエンジニアリングになりがち
    4. 4. 学習コストが高い
    5. 5. デバッグが難しい
    6. 6. 状態設計が複雑化しやすい
    7. 7. パフォーマンスの最適化
    8. まとめ
  9. まとめ