SharePointリストのビュー並び替えをスマートに実現する方法

チームや組織でSharePointを使っていると、「もう少し使いやすくビューを整理したいのに……」といった悩みを抱えることがあるのではないでしょうか。特にカスタムビューが増えてくると、どのビューが何を表示しているのか分かりづらくなったり、並び順がアルファベット順で固定されてしまって使いづらいと感じたりします。本記事では、SharePointリストのカスタムビューの並び替えに関する課題について、詳しく解決策や応用方法をご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、チーム全体の生産性向上につなげてください。

SharePointリストとカスタムビューの基本

SharePointリストは、Microsoft 365(旧Office 365)の利用者にとって欠かせない情報管理ツールのひとつです。タスク管理や問い合わせ管理、ドキュメントのリスト化など、さまざまな用途で活用できる柔軟性が魅力です。特にカスタムビューを作成することで、必要な情報だけを絞り込んで表示したり、一覧の見え方を工夫したりと、業務の効率化に役立ちます。

カスタムビューの主な利用場面

カスタムビューは、リストに保存されているアイテムを複数の切り口で表示できる便利な仕組みです。例えば、以下のような使い分けが考えられます。

  • 担当者別ビュー:「自分が担当しているタスクだけ表示する」など。
  • ステータス別ビュー:「未完了」「進行中」「完了済み」といったステータスで分類。
  • 承認状況ビュー:「承認待ち」「承認済み」「差戻し」など。

ビューを分けることで、大量のデータから必要なものだけを効率的に抽出しやすくなるわけです。しかし、カスタムビューが増えれば増えるほど、その管理が課題になってきます。

並び順が固定されている問題

SharePointリストでカスタムビューを複数作成していくと、ビュー名がアルファベット順(または五十音順)に並んでしまい、ユーザーが意図する順番で整理できないことが多々あります。例えば「Closed Deployment」を最後に配置したいのに、ABC順であれば先頭のほうに来てしまうケースもあるでしょう。これは標準機能としては手動の並び替えが実装されていないために起こる問題です。

標準機能で並び替える方法はないのか?

SharePointの標準機能としては、残念ながら「このビューを先頭に表示する」「順番を変更する」といった直接的な設定項目はありません。カスタムビューはあくまでリスト内の「フィルター条件」や「並べ替え条件」、「グループ化設定」などを管理する仕組みであり、ビュー自身の並び順をコントロールするUIは用意されていないのです。

デフォルトビューの設定は別物

一方で、ビューの「デフォルトビュー」設定を変更することは可能です。これを使えば、最初に表示されるビューは選べますが、複数のビューの並び順自体をコントロールするわけではありません。そのため、「一番最初に表示したいビューをデフォルトビューにする」ことはできても、「2番目をこれ、3番目をこれ」という細かい指定はできないのです。

実質的に並び替えするための工夫

そんなときに役立つのが、ビュー名そのものを工夫してアルファベット順(または五十音順)を利用し、実質的に自分の望む順序で並ぶようにするテクニックです。以下で詳しくご紹介していきます。

ビュー名の付け方で並び順を調整する

もっともシンプルな方法は、ビュー名の先頭に数字や特定の文字を付けて並び替えを実現するやり方です。SharePointでは、リストのビュー名を任意で変更することができます。その際に意図的に数字やアルファベットを設定すれば、標準の並び順をコントロールしやすくなるのです。

方法1:ビュー名の前に数字を付与する

例えば、以下のように数字を割り当てると、数字の昇順でビューが並ぶようになります。

番号ビュー名目的
1.Active Deployment現在アクティブなデプロイを表示
2.In Progress進行中のタスクや項目を表示
3.Pending Reviewレビュー待ちの項目を表示
4.Closed Deployment完了済みデプロイを最後に表示

数字を付けることで、ユーザーにとっても分かりやすい命名が可能です。たとえば「1. Active Deployment」とすれば、ビュー名を見ただけで作業の優先度やフローが頭に入りやすくなります。

メリットとデメリット

  • メリット:最初にどのビューを表示すればよいか明確化できる。プロセス順、優先度順などが一目瞭然になる。
  • デメリット:ビューを追加する際に番号を振り直す手間が発生する可能性がある。番号変更の運用が必要。

方法2:特殊文字やアルファベットを活用する

数字よりも、あえて特殊文字やアルファベット単語を使う方法もあります。例えば、アルファベットの先頭を「A」「B」「C」という形で始めて、最後に配置したいビューには「Z」から始めるといった具合です。もしくは記号を利用する例として「_Active Deployment」といった形でアンダースコアを付けることで先頭に持ってくるなどの工夫も可能です。

  • A. Active Deployment
  • B. In Progress
  • C. Pending Review
  • Z. Closed Deployment

こうすることで、アルファベット順にビューをリストアップした際、Closed Deploymentが最後になるように誘導できます。

特殊文字使用の注意点

特殊文字や記号はSharePointで使えないものも存在します。使える文字は基本的に問題ないものの、一部の環境やバージョンで予期せぬ表示不具合が起こる可能性はゼロではありません。アンダースコア(_)やハイフン(-)など、比較的安全とされる文字を優先して試すのがおすすめです。

ビューの並び替えをサポートする外部ツールやスクリプト

SharePoint標準では直接的な並び替え機能がありませんが、カスタムスクリプトやPowerShellを活用して、自動的にビュー名を変更したり、リストを定型的に構成したりする方法を取るケースもあります。ただし、これらはあくまで「ビュー名を動的に変更する」ことで順序をコントロールしている点は同じであり、ビューの並び替えそのものを行うAPIやUIが存在しているわけではありません。

PowerShellでのリスト管理例

PowerShellとSharePoint Online Management Shellを使うと、リストやビューの取得・更新をスクリプトで実行できます。ビューの「順序」そのものを操作するコマンドはありませんが、以下のように「ビュー名」を一括で変更して、指定の並び順に強制的にそろえることは可能です。

# SharePoint Onlineサイトに接続
Connect-SPOService -Url https://<テナント名>-admin.sharepoint.com -Credential (Get-Credential)

# リストの特定
$listName = "タスク管理リスト"
$siteUrl = "https://<テナント名>.sharepoint.com/sites/プロジェクト"
$ctx = New-Object Microsoft.SharePoint.Client.ClientContext($siteUrl)
$ctx.Credentials = New-Object Microsoft.SharePoint.Client.SharePointOnlineCredentials("<ユーザー名>", "<パスワード>")

$list = $ctx.Web.Lists.GetByTitle($listName)
$ctx.Load($list)
$ctx.ExecuteQuery()

# ビュー一覧を取得
$views = $list.Views
$ctx.Load($views)
$ctx.ExecuteQuery()

# ビュー名を一括でリネームするサンプル
foreach($view in $views)
{
    if($view.Title -eq "Closed Deployment"){
        $view.Title = "4. Closed Deployment"
        $view.Update()
    }
    elseif($view.Title -eq "Active Deployment"){
        $view.Title = "1. Active Deployment"
        $view.Update()
    }
    # 他のビューも同様に
}
$ctx.ExecuteQuery()

あくまで例示的なコードですが、このようにスクリプトレベルでタイトルを変更してあげれば、実質的にビューの並び順をコントロールできます。しかし結局のところ、やっていることは「ビュー名を変える」だけなので、根本解決にはなっていません。

JSONビューのカスタマイズとの関連

SharePointでは、ビュー内の列やレイアウトをJSONでカスタマイズする機能が追加されていますが、こちらは表示形式を制御するものであり、ビューの「順序」には直接影響を与えません。見た目をリッチにしたり、ステータスに応じてカラーリングを変更したりといった拡張は可能ですが、並び替えの問題を解決できるわけではない点には注意しましょう。

運用面の注意事項とチームでの共有

カスタムビューの並び替えを目的とした命名規則をチームで運用する際には、いくつかのポイントに気を配る必要があります。特に、チーム全員が同じルールに従ってビューを増やしたり編集したりしないと、再び混乱が生じる恐れがあるからです。

命名規則を事前に決める

ビュー名を付ける際、「数字で順序を示す」「アルファベットで分類する」「ステータス名を先頭に持ってくる」など、どの方法を採用するのか予め決めておきましょう。また、チームで合意をとってドキュメント化しておくと、後からメンバーが追加された際にもスムーズに運用に参加できます。

ルール例

  • 先頭に数字を付けて、1. 2. 3. …と番号振りを行う。
  • ステータス別の場合は、Prefixとして「Open_」「InProgress_」「Closed_」などを入れる。
  • 頻度の高いビューにはさらに「_」や「★」などの記号を付けて先頭に持ってくる。

定期的な見直しと整理

プロジェクトが進むにつれて、追加や変更が発生しやすいのがカスタムビューです。運用当初はきれいに整理していても、後から作成されたビューが命名規則に沿っていないと、再び見づらくなる可能性があります。定期的にビューを確認して、使われていないビューを削除したり、名前を修正したりする習慣をつけましょう。

ユーザー教育とガイドラインの共有

SharePointリストを多人数で利用する場合、ユーザー同士でビューを自由に作成・編集できる環境であれば、必ずガイドラインを共有しておきましょう。何も伝えないまま放置すると、「よく分からないけど新規にビューを作ってしまった」という状況が増え、いつの間にか30以上のビューが存在している、なんて事態に陥ることもあります。

Microsoftへのフィードバックと今後の展望

SharePointはMicrosoftが積極的にアップデートを続けているプラットフォームです。従来できなかったことが、いつの間にか実装されているケースも少なくありません。ビューの順序変更機能に関しても、公式のフィードバックポータルやMicrosoft 365管理センターからの要望送信で、将来的に実装される可能性があります。

公式フィードバックポータルの活用

Microsoftではユーザーからの要望を集約するために「Feedback for Microsoft 365」などのサイトを運営しており、多くの票が集まった機能は開発チームの優先度が上がりやすくなります。もし本記事を読んで「ビューの並び順を設定できる機能がぜひ欲しい!」と感じた場合は、積極的にフィードバックを送ってみましょう。

新機能のリリース状況を定期的にチェック

Microsoft 365 Admin Centerのメッセージセンターや公式ブログには、新機能や変更点が随時アナウンスされます。意外と見逃しがちな情報ソースですが、SharePointの更新情報をキャッチアップしておくことで、運用の質を向上させるヒントが得られることも多いです。

まとめ:結局はビュー名を工夫するしかない?

現時点のSharePoint標準機能では、カスタムビュー自体の並び順を自由に操作する方法は用意されていません。そのため、実質的な対応としては「ビュー名に数字やアルファベット・特殊文字を付ける」ことで望む順序になるように整理するしかありません。チームで運用する場合は、以下のポイントを押さえるとスムーズです。

  • 命名規則を明確にする:あらかじめルールを決め、全員に周知する。
  • デフォルトビューを活用する:最も頻度の高いビューをデフォルトに設定しておく。
  • 不要なビューの整理:定期的に使われていないビューを削除・統合しておく。
  • Microsoftへの要望送信:将来的な機能実装を期待してフィードバックを行う。

ビュー名を工夫するだけでも、業務フローに沿った形でリストを表示でき、メンバー同士の連携やタスクの確認が格段に楽になります。運用上の小さな工夫が、チームの効率を大きく左右することもあるので、ぜひ本記事で紹介した方法を試してみてください。

追加Tips:より使いやすいビュー管理を目指して

ここまで、カスタムビューの並び替えについて詳しく解説してきました。最後に、ビュー管理をさらに便利にするための追加Tipsをいくつかご紹介します。

1. ビューの説明文を活用する

カスタムビューを作成する際、「ビューの説明」を設定できる画面が用意されています。ここにビューの目的や使用シーンを簡潔に書いておくことで、新しく参画したメンバーでもすぐに理解できるようになります。並び順の工夫だけでなく、ビュー選択画面に表示されるメモ的な情報があると、使いやすさが向上します。

2. カテゴリ分けビューの作成

ビューが増えすぎた場合は、「カテゴリ分けをするためのビュー」自体を作るのも一案です。たとえば「運用系」「開発系」「総務系」など、部門やプロジェクトのカテゴリでまとめるビューを最上位に置くことで、ユーザーはまずカテゴリを選び、その中でさらに絞り込みビューを使うというフローにすることができます。

3. 別のSharePoint機能との連携

場合によっては、リストのビューよりも、Power AppsやPower Automateなどと連携するほうが便利なケースも出てきます。たとえば、「特定の条件に合致したアイテムを別のリストに自動コピーする」といったフローを構築すれば、わざわざビューを切り替えなくても必要な情報だけを集約したリストを参照できます。
もちろん、そこまでカスタマイズを加える前に、まずはビューの命名規則で解決できるならそのほうが手軽です。

4. SharePointモバイルアプリでの表示を考慮する

SharePointは、モバイルアプリからアクセスするケースも増えています。スマートフォンの画面ではリストの切り替え表示がPCよりも煩雑に感じやすいため、モバイルでも使いやすい命名規則を意識しましょう。長い名前をつけると画面の幅からはみ出したり、全体が見えなくなってしまったりするので、簡潔かつ区別がつきやすい表記を心がけると便利です。

今後の展望と期待

企業のDX化が進む中、クラウド上で情報共有をする際に、SharePointリストはますます重要な役割を担うでしょう。Microsoftもユーザー体験を高めるため、絶えず新機能の追加やUIの改善に注力しています。カスタムビューの並び替え機能が正式に追加されるかどうかは分かりませんが、ユーザーの声が多ければ実装される可能性も十分考えられます。

ビジネス上の要件に応じて「こんな機能が欲しい」「ここをもっと改善してほしい」という意見を積極的に発信することは、結果的にコミュニティ全体の利便性向上につながります。ぜひ日々の運用を通じて、SharePointの使い勝手をさらに良くしていきましょう。

まとめ:実用性を高める小さな工夫が重要

SharePointリストのカスタムビューは、うまく活用すれば業務フローを大きく効率化するパワフルなツールです。しかしながら、ビューの並び替えに関しては現行の機能では自由度が低く、少し工夫を凝らす必要があります。本記事でご紹介したように、ビュー名に数字やアルファベットを付けるというシンプルな対応から始めて、運用を回しながら適宜アップデートしていくのが現実的なアプローチです。

  • ビュー名を活用した順序の制御
  • ビューの定期的な整理・ガイドライン化
  • デフォルトビューの上手な使い分け
  • フィードバックポータルへの要望送信

こうしたポイントを押さえておけば、複雑なリストであってもチームメンバー全員が迷わず欲しい情報にたどり着ける環境を実現しやすくなります。日常的な運用を踏まえながら、最適な命名・運用ルールを探ってみてください。今後のSharePointアップデートにも期待しつつ、使い勝手が良いリスト運用を目指しましょう。

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