SharePoint OnlineのConversations WebパーツでViva Engageの画像が表示されない問題と対策

いつも社内コミュニケーションを活性化させるために、Viva Engage(旧Yammer)を活用していると、組織全体が一体感を持って協力し合えるようになります。しかし、せっかく盛り上がった投稿に画像がうまく表示されず、ユーザーに戸惑いを与えてしまうケースも少なくありません。ここでは、SharePoint OnlineのConversations Webパーツ上でViva Engageに投稿した画像が表示されない問題の原因や対処策、さらに最終的にMicrosoftから提供された修正状況について、詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧いただき、問題解決へのヒントをつかんでください。

Yammer (Viva Engage) とSharePoint Onlineの連携とは

Viva Engage(旧Yammer)は、企業内ソーシャルネットワークとしての役割を担うクラウドサービスです。Office 365やMicrosoft 365の一部として提供されることも多く、組織内のコミュニケーションを円滑にするための様々な機能を備えています。そんなViva EngageをSharePoint Onlineと連携させることで、組織内ポータルサイトや社内の特定ページから、従業員が簡単に投稿や会話を閲覧できるようになるのが大きなメリットです。

Conversations Webパーツの概要

SharePoint Onlineには、Viva Engageのフィードを表示するための「Conversations Webパーツ」が用意されています。このWebパーツをSharePointページに配置するだけで、最新の投稿やコメント、添付された画像などを一覧し、簡単に確認できるようになります。従来の「Yammer Embedコード」を使う方法とは異なり、SharePointのUIとシームレスに統合され、より自然なレイアウトを実現できる点が特徴です。

Conversations Webパーツの主な機能

  • 組み込みやすさ: Webパーツをページに追加し、対象とするグループやコミュニティを設定するだけで使用可能です。特別なコードの編集は不要で、管理者権限を持つユーザーなら簡単に導入できます。
  • ユーザーフレンドリーなUI: Webパーツ上から直接「いいね」や「返信」ができ、Viva Engage独自のリアルタイム性を生かしたコミュニケーションが図れます。
  • Microsoft 365全体との連携: SharePoint OnlineやTeamsなど、他のサービスとの親和性が高く、Viva Engage上の情報共有がより促進されます。

Conversations Webパーツと従来のYammer Embedの違い

  • UIの統一感: 従来のYammer Embedは、iFrameを使ったウィジェット的な見え方が中心でした。Conversations WebパーツはSharePointの標準UIに溶け込みやすく、ユーザーに違和感を与えません。
  • 設定項目のシンプル化: コードを書く必要がほとんどなく、グループIDや表示形式の選択など、GUIで完結できます。
  • メンテナンス性: Microsoft側が随時アップデートを行うため、機能改善やバグ修正が比較的スピーディーに反映されます。一方Yammer Embedは、ある程度HTMLやJavaScriptコードを調整する必要がありました。

Viva Engage投稿とのシームレスな統合

Conversations Webパーツを使えば、ユーザーはSharePoint Online内のページを見ながらその場でViva Engageの投稿に反応できるようになります。組織内ポータルのニュース記事に関するディスカッションや、社内イベントの告知へのコメントなど、業務に関連するやり取りを簡単に可視化できるため、関係者同士のやり取りが活性化するのが大きな強みです。

画像が表示されなくなる原因と現象

Conversations Webパーツは本来、Viva Engageに投稿された画像やリンクプレビューを問題なく表示するはずです。しかし、ある時期から突然「画像だけが表示されない」事象が発生するケースが散見されました。ここでは、実際に起きた問題の詳細と、考えられる原因について見ていきましょう。

実際に起こった問題の詳細

  • 特定のユーザーだけでなくテナント全体に影響: ユーザー個別の設定ミスではなく、社内で多くの人が同様の現象を確認していたため、グローバルな不具合の可能性が疑われました。
  • 画像リンクは存在するが表示されない: 投稿のテキスト内容は問題なく表示されるのに、添付された画像が「読み込み中」の表示で止まり、実際には表示されないままになるパターンが多く見られました。
  • 短期間で複数の問い合わせ: 他のテナントやネット上のコミュニティでも、同様の不具合に関する報告が相次ぎ、問題の広がりが一気に認知されるようになりました。

画像のみが表示されない状態

テキストは見えているのに画像が表示されない場合、SharePoint Webパーツが画像の取得に失敗している可能性が高いです。ブラウザーの開発者ツールなどで確認すると、画像のリクエストでエラーが返っている、あるいは正常にロードされていないケースがありました。拡張機能やキャッシュが原因であることも考えられますが、多くのユーザーで同時多発的に起こっていたため、サービス側の問題が疑われました。

テナント全体での影響

企業内のあらゆるユーザーが同様の現象を経験していたため、IT管理者は個別対応が困難でした。その結果、業務連絡やイベント告知など、画像を用いた投稿が多い部門ほど影響が大きく、急ぎ対策を講じる必要がありました。加えて、複数の海外法人や別組織でも問題が発生しているという情報共有が進み、Microsoftサポートへの問い合わせが殺到したとされています。

関連するMicrosoftサービスの仕様変更

Microsoft 365やSharePoint Onlineは定期的にアップデートされ、仕様変更が行われる場合があります。大規模サービスでは、新しい機能のリリースやセキュリティアップデートが突発的な不具合を引き起こす可能性も否定できません。今回のようにConversations Webパーツと画像表示の連携が途切れたのも、何らかのAPIや認証周りの変更が影響していた可能性があります。

  • 権限周りの影響: 投稿した画像へのアクセス権が正しく設定されない場合、閲覧権限があるはずのユーザーにも画像が表示されないことがあります。
  • キャッシュまたはCookieの問題: ブラウザーセッションやCookieの扱いが変更された場合、一時的に画像リクエストがブロックされることが考えられます。
  • 社内プロキシやFirewallの設定: 組織によっては外部サービスへのアクセスを制限していることがあり、特定の条件で画像URLがブロックされるケースも考えられました。

確認事項と対策

問題の切り分けにあたっては、まずConversations Webパーツの基本設定やレイアウトの見直し、ブラウザーのキャッシュなどを含む環境面のチェックが重要です。ここでは、多くのユーザーが実施した主な確認事項と対策を整理していきます。

表示形式の変更(ハイライト→フィード)

SharePoint OnlineのConversations Webパーツには、主に「ハイライト」と「フィード」という表示形式があります。問題の報告事例でよく見られたのは、ハイライト表示で画像が見えなくなる一方、フィード表示に切り替えると改善するというものです。

  • ハイライト表示: 投稿内容をピックアップし、コンパクトに表示する形式。画像がサムネイルで表示されるケースが多いものの、今回の不具合下では全く表示されない事例がありました。
  • フィード表示: 最新投稿が順番にリストされ、投稿内の画像も比較的ダイナミックに表示されます。画像が表示されない不具合は少なかったと報告されています。

実際の切り替え手順

  1. SharePointページの編集モードに切り替える。
  2. Conversations Webパーツを選択し、Webパーツの編集オプションを開く。
  3. 表示スタイル(レイアウト)を「ハイライト」から「フィード」に変更する。
  4. ページを保存または発行し、表示を確認する。

下記のようにWebパーツ設定画面でドロップダウンを切り替えるだけなので、IT管理者でなくても権限さえあれば簡単に試せる対処法です。

想定される副作用

  • レイアウトが縦長になる: フィード表示に切り替えると、投稿リストが縦に並ぶ分、ページのスクロール量が増える場合があります。
  • 注目度の高い投稿のピックアップが難しくなる: ハイライト表示は、重要投稿をビジュアル的にまとめられる利点がありますが、それを失う可能性があります。

埋め込みフィード(Yammer Embed)を利用する

Conversations Webパーツを使わず、従来からあるYammer Embedによる埋め込みフィードを利用することで、画像表示の問題を回避できるケースが報告されています。UIデザインは若干異なりますが、安定して画像が見られる、あるいは既に検証や実装実績があるため導入が簡単というメリットがあります。

  • 既に利用実績がある: 過去にYammer Embedを使っていた組織なら、設定を使い回しできるため切り替えがスムーズに進む場合もあります。
  • Conversations Webパーツとの併用も可能: 一部ページではConversations Webパーツ、別のページではYammer Embedを使う、という柔軟な運用も選択できます。

埋め込みコードの例

以下はYammer Embedを利用する際のサンプルコードです。Yammerの公式ドキュメントに掲載されているものを調整しています。

<div id="embedded-feed"></div>
<script type="text/javascript" src="https://s0 Yammerassets .com/assets/platform_js_sdk.js"></script>
<script type="text/javascript">
  yam.connect.embedFeed({
    container: "#embedded-feed",
    network: "yourcompany.com",
    feedType: "group",
    feedId: "1234567890",
    config: {
      promptText: "投稿してみましょう!"
    }
  });
</script>
  • network: 組織のYammerネットワークドメインを指定
  • feedType: group、topic、userなど、表示したいフィードのタイプを指定
  • feedId: グループやトピック、ユーザーのID

メリットとデメリット比較

メリットデメリット
既存のコード資産を流用できる 柔軟にカスタマイズ可能 画像表示の安定性SharePointとのUI統一感が下がる 埋め込みコード管理の手間 将来的なサポート状況に変動がある

.gif形式の利用

問題が解決するまでの暫定措置として、「静止画を.gif形式に変換して投稿すると表示される」という報告がありました。jpgやpngがうまく表示されない一方で、GIFだけは正常に表示されるケースがあったのです。
もちろん根本的な解決策ではありませんが、業務上どうしても画像を添付しなければならない場面で、一時的にこの手を使うのは有効でした。ただしGIFはアニメーションを前提としたフォーマットであり、画質やファイルサイズの観点から運用面で注意が必要です。

Microsoftへの問い合わせとサポート対応

テナント全体で同様の事象が発生していた場合、自組織だけで独自に解決できないことも多いです。そのため、Microsoftサポートへ問い合わせを行い、サービス側での不具合や設定の問題を切り分けることが重要となります。

HARログ取得方法

サポートに相談する際には、ブラウザーの開発者ツールを使って「HAR(HTTP Archive)ログ」を取得し、画像取得のリクエストがどのように処理されているかを確認する手順が勧められます。一般的なブラウザー(Edge、Chrome、Firefox、Safariなど)での取得方法は概ね以下の流れです。

  1. 開発者ツールを開く(例:F12キー)
  2. ネットワークタブを選択
  3. 再度ページを読み込み、画像が表示されるか確認
  4. ネットワークタブで発生しているリクエスト情報をHAR形式でエクスポート

ブラウザー別の手順比較

ブラウザー主な手順
Google ChromeF12キーで開発者ツールを起動 「Network」タブを選択 ページをリロードし、問題の再現を確認 「Export HAR」で保存
Microsoft EdgeF12キー、または「設定」→「開発者ツール」から起動 「Network」タブを選択 ページを再読み込み 右クリックメニューなどで「Save as HAR」を選択
Mozilla FirefoxF12キーで開発者ツール 「Network」タブを選択 ページをリロード 歯車アイコンなどで「Save All as HAR」を選択

こうして取得したHARログをMicrosoftサポートに提供することで、サーバーサイドまたはクライアントサイドのどちらに問題があるのか、より詳細な解析が行われます。

Service Health Dashboardに掲載されない場合

Microsoft 365管理センターには、各種サービスの状態を示すService Health Dashboard(SHD)があり、大規模な障害はここにアナウンスされることが多いです。しかし、今回のように必ずしも全ユーザーに一律に影響があるわけではない不具合だと、SHDに掲載されないまま進行するケースもあります。そのため、万が一掲載されていない場合でも、自力で解決が難しい不具合は積極的にサポートへ問い合わせましょう。

最終解決と再発防止策

この問題は最終的にMicrosoft側の修正により収束したと多数のユーザーから報告されています。しかし、今後も大規模アップデートのタイミングなどで類似の不具合が発生する可能性もあるため、管理者は定期的な情報収集と再発防止策を検討することが重要です。

Microsoft側の修正内容

公式に発表された詳細な修正内容は限定的ですが、多くのユーザーの報告から以下のような対応が推定されます。

  • 画像取得に関わるAPI呼び出しの修正: Conversations WebパーツがViva Engage上の画像を取得する際のURLや認証トークンの扱いを再調整した。
  • ブラウザーキャッシュの扱いの最適化: 表示中のブラウザーセッションで、画像取得がエラーにならないようにキャッシュ制御を改善。
  • テナントごとの設定とセキュリティポリシーの影響範囲チェック: 一部テナントでのみ起きやすい問題を解消するため、バックエンド側でパラメータを更新した可能性がある。

ユーザー視点の変化

修正後は、以前のように特別な回避策を講じなくても、Conversations Webパーツで画像が正常に表示される状態が多くのユーザーから確認されています。Webパーツのレイアウトを「ハイライト」から「フィード」に切り替えなくても、問題なく画像が出るとの声が複数寄せられており、日常運用においてはほぼ通常の状態に戻ったといえます。

まとめ

Viva Engage(旧Yammer)とSharePoint OnlineのConversations Webパーツは、組織内コミュニケーションを効率化するうえで非常に有用なツールです。しかし、今回のように画像が表示されなくなる不具合が発生すると、現場の混乱を招き、せっかくのコミュニケーション意欲も削がれてしまいがちです。
幸いにもMicrosoft側の早期修正によって現在はほぼ解消されていますが、もし再発したり類似の不具合に直面したときは、以下の手順を参考にスムーズに対処してみてください。

  1. 表示形式の切り替えテスト: ハイライト表示からフィード表示に変更してみる。
  2. Yammer Embedを併用: Webパーツがうまく動作しない場合に備え、埋め込みフィードを組み合わせる。
  3. 画像形式の確認: .gifや別フォーマットなど代替手段を試す。
  4. ブラウザーやネットワークの切り分け: InPrivateウィンドウや別デバイスを使用し、キャッシュや拡張機能の影響を調査。
  5. HARログ取得とサポート問い合わせ: 問題がテナント全体に及ぶ場合は早めにMicrosoftサポートと連携する。

また、組織的にSharePoint OnlineやViva Engageを多用している企業・部署ほど、サービスアップデートや新機能リリースの情報収集が欠かせません。Microsoft 365 Roadmapや公式ドキュメント、コミュニティフォーラムを定期的にチェックし、周辺知識をアップデートしておくと、いざという時のトラブルシューティングがスムーズです。
今後も、クラウドサービスは新しい機能追加やセキュリティ強化に伴う変更が少なからず起こり得ます。従来の運用方法に固執せず、今回のように柔軟に別のWebパーツやEmbedコードに切り替えるなど、状況に応じた対処策を検討できることが、現代のIT管理における重要なスキルといえるでしょう。

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