たとえばExcelを開くたびに「循環参照が存在します」と警告が出てしまうと、毎回ヒヤッとしてしまいますよね。特にMac版のExcelだと、Windows版とは操作画面が異なるために、どこをどう確認すればよいのか迷ってしまうことも。実際に筆者も初めてMacで循環参照エラーが出たときは、非表示シートやブックを隈なく探し回った思い出があります。そこで今回は、Mac版Excelで循環参照を見つけられずに困ったときの解決方法について、実体験を交えながらわかりやすくお伝えします。
循環参照エラーの概要
循環参照とは、あるセルが自分自身を間接的または直接的に参照してしまい、計算式が無限ループ状態になることを指します。たとえばA1セルがB1セルを参照し、B1セルがA1セルを参照している状況です。Windows版のExcelを使っている方は「数式」タブにある「エラー チェック」から確認する手順が定番ですが、Mac版では操作が少々変わります。
なぜ警告が消えないのか
Mac版Excelで循環参照があると、ワークブックを開くたびに警告が表示されたり、ステータスバーにメッセージが出たりします。にもかかわらず、該当するセルが見つからない…という状況は意外とよく起こります。見えないところ、たとえば非表示のシートや他のブックに原因が潜んでいるケースが多いのです。
小さなミスが大きなトラブルに
例えば、何気なく行った関数のコピー&ペーストや、同じ数式を複数シートで参照し合っている場合など、ちょっとした操作から循環参照が生まれてしまうことがあります。これを見逃すと、後になって大きな混乱につながるので、エラー警告が出た時点で早めの対処が必要です。
Mac版Excelの操作がWindows版と違う理由
Mac版Excelでは、UIがWindows版と一部異なります。そのため「Windows版の手順通りに探しても見つからない」というケースが多発します。
リボンの「数式」タブが見つからない
Windows版では「数式」タブ→「エラー チェック」で循環参照を直接見つけられますが、Mac版Excelのバージョンによっては、リボンの構成が違うか、設定で表示していない場合があります。もし「数式」タブが見当たらない場合は、メニューバーから確認する必要があります。
「メニューバー」から探す手順
Mac版Excelでは、メニューバーの「数式」や「ツール」、「ウィンドウ」などにエラー関連のコマンドが隠れていることが多いです。特に非表示ブックやシートを解除する機能は「ウィンドウ」メニューから確認する場合が多いので、気づかずにスルーしてしまいがちです。

私がMac版Excelを使い始めたころは、Windows版との操作の違いに戸惑いまくりでした。意外とメニューバーに散らばっている機能が多く、なんとなく見落としがちになってしまいますよね。
循環参照を突き止めるための具体的なポイント
では、実際にMac版Excelで循環参照を探すときに、どんな手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、よくある確認ポイントを整理してみました。
ポイント1:Excelのバージョンを最新化する
Excelには時折バグや挙動の不具合があり、更新プログラムによって修正される場合があります。Mac版Excelでも、リリースノートに「循環参照に関する問題を修正」と書かれているバージョンがあったりします。まずは最新バージョンにアップデートするのがおすすめです。
アップデート手順の例
多くのケースで、Office系のアップデートは「Microsoft AutoUpdate」から行います。メニューバーの「ヘルプ」→「更新プログラムの確認」をクリックして指示に従えばOKです。これだけで「循環参照の警告が消えた」という報告例もあります。
ポイント2:非表示シートやブックを探す
循環参照がシートやブックのどこかに埋まっているケースは珍しくありません。Mac版Excelでは「ウィンドウ」メニューに「表示しない」「表示」という項目があるので、そこから隠れているシートやブックをすべて表示させて確認しましょう。
非表示シートでの落とし穴
たとえば「Sheet2」は計算専用で隠していた…などの場合、そこに循環参照が潜んでいることがあります。単に隠れているだけなので、メインシートを見ているだけでは一切気づきません。
他のブックにリンクされている場合
同時に複数のブックを開いていて、別のブックのセルを参照しているケースもあります。知らないうちに、ほかのブック側で循環している場合もあるので、Excel起動中のブックはすべて確認すると安心です。



以前、私もファイルAとファイルBが相互にリンクしていることに気づかず、Aを更新するたびに「循環参照が…」という警告が出る状態に陥っていました。ファイルBが悪さをしているとは思わなかったので、数日間も見つからずに苦労しました。
循環参照のチェックを実践的に行う方法
「どこを探しても該当セルが見つからない!」という場合でも、いくつかの手順を踏むとかなりの確率で原因を突き止められます。ここからはさらに深い確認方法をご紹介します。
名前の定義や条件付き書式、グラフ系列などを確認
セルだけを見ても循環参照が分からない場合、以下のような“セル以外”の設定が原因になっていることがあります。
名前の定義
名前定義でセル範囲を指定するときに、同じ名前で自分自身を参照していると循環参照が生まれます。メニューバーの「数式」→「名前の管理」などから一度見直すと発見できるかもしれません。
条件付き書式
「条件を満たしたときにセルの色を変える」などの設定が複雑になると、自分のセルや同じ範囲を再度参照しているパターンが登場します。条件付き書式の管理画面を開いてチェックしてみてください。
グラフ系列の設定
グラフのデータ系列において、セル範囲を動的に指定するために名前定義を使ったり、複雑な数式を組んだりしていると、そこで循環参照が起こることも。グラフを見直すのも大切です。



個人的にびっくりしたのは、グラフに使っている範囲が知らないうちに自分自身を含む設定になっていたケースです。一見わかりにくいところで循環していたので、相当時間をかけて探しました。
表で把握する循環参照の可能性
以下は、どこに循環参照が発生しやすいかをまとめた表です。調査する際のヒントに使ってください。
可能性のある場所 | 具体例 |
---|---|
セル参照 | A1セルがB1セルを参照し、B1セルがA1セルを参照している |
名前の定義 | 定義した名前が自分自身を参照している |
条件付き書式 | 条件にセルを指定しているが、結果的に同じセルを参照している |
グラフ系列 | グラフの系列範囲に誤って自身を含む設定をしている |
他ブックへのリンク | ブックAとブックBがお互いを参照し合っている |
非表示のシート | シートを非表示にしているために気づかない |
非公開ファイルの場合の対処方法
セキュリティの都合上、外部へファイルを見せられない場合でも対処する方法はあります。とくに社内やクライアントのデータを扱うケースではファイル共有が難しく、自己解決しなくてはいけない場面が多いでしょう。
テスト用ブックで切り分ける
まずはメインのブックをコピーし、機密情報部分を削除またはダミー化したテスト用ブックを作ります。このテスト用ブック内でも循環参照のエラーが再現できるようであれば、外部の専門家や詳しい同僚に見てもらえる可能性が高くなります。



私も顧客の機密情報が入ったファイルをまるごと送れないときは、まずダミーデータを詰め込んだテストファイルを用意して同じ不具合を再現させています。これなら安心して相談ができますよ。
段階的に不要なシートを削除してみる
複数のシートがある場合は、一時的にコピーしたファイルで不要なシートを順番に削除しながらエラーが消えるポイントを探る手法もあります。どのシートを削除したときにエラーが消えるかによって、問題のシートを特定できます。
「エラー チェック」機能を活用するコツ
Mac版Excelでも、「エラー チェック」機能は存在します。ただしバージョンやUI設定によって、メニューバーのどこにあるかが異なります。見当たらない場合は、メインのメニューバーを一通り確認してみましょう。
エラー チェック機能の使い方
1. 「ツール」または「数式」と記載されたメニュー(バージョンによる)を探す。
2. 「エラー チェック」を選び、循環参照を含むエラーが一覧表示されるかを確認する。
3. 該当セルがあればジャンプして内容を修正する。
ジャンプしても見つからないとき
ボタンを押しても該当セルへ飛ばない場合は、すでに別のブック・非表示シート・名前定義などが絡んでいる可能性が高いです。すぐに見つからないからといって諦めず、上記の表にあるようにあらゆる箇所を確認しましょう。
執筆者自身が行った具体的な対策例
ここでは、私自身が経験した循環参照トラブルと解決までの流れを例としてご紹介します。
事例:非表示ブックが原因だったパターン
1. メインのファイルを開くと毎回エラーが出る。
2. エラー チェックをしても「該当セルなし」。
3. あらためて「ウィンドウ」→「表示」から確認すると、過去に作ったマクロ用のファイルが非表示で開いていた。
4. 非表示のファイルを解除してエラーをチェックしたところ、マクロの動作テスト時に作った循環参照がそのまま残っていた。
5. 不要なセル参照を削除してようやくエラーが消えた。



Excelを開くだけで大量のブックが同時に開く設定になっている場合、どこかに昔の名残が残っているかもしれません。意外と盲点ですが、ここをチェックするだけでスッキリ解決することも多いです。
Mac版Excelで循環参照エラーを確実に消すためのまとめ
ここまで、Mac版Excelならではの循環参照問題の解決策を紹介してきました。対策のポイントをまとめると下記のとおりです。
1. Excelを最新バージョンにアップデートする
2. 「ウィンドウ」メニューから非表示シートやブックをすべて確認する
3. 名前の定義や条件付き書式、グラフ系列など“セル以外”の設定を見直す
4. 同時に開いている他のブックに原因がないか調べる
5. テスト用ブックを作成し、シートを段階的に削除して発生箇所を特定する
これらの手順を踏めば、多くの循環参照トラブルは解決できるはずです。もしどうしても原因が見当たらない場合は、テスト用ファイルを作って専門家に相談したり、Microsoftのサポートに問い合わせたりするのも良い手段です。Mac版ExcelはWindows版とはUIや挙動が異なる部分があるため、最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえばWindows版と遜色ない作業効率が実現できますよ。
Sub RemoveCircularReferences()
' これは循環参照を一括で削除するわけではありませんが、
' 調査用に「名前の管理」などを一度リセットする例です。
' 実行は慎重に。
Dim nm As Name
For Each nm In ThisWorkbook.Names
If InStr(nm.RefersTo, "#REF!") > 0 Then
nm.Delete
End If
Next nm
End Sub
上記のコードは例示ですが、名前定義に紐づくエラー参照が残っていれば削除できる可能性があります。ただし、すべての名前定義が消えてしまうリスクもあるので十分に注意してください。
まとめ
Mac版Excelで循環参照エラーが消えずに困ってしまう状況は、意外とよくあるものです。UIの違いによる見落としや、非表示シート・ブック、名前の定義などの複雑な箇所が原因になることが多いのが特徴です。今回ご紹介したポイントを押さえて、エラーに振り回されない快適なExcelライフを目指してみてください。
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