日々の業務でExcelを使っていると、突然これまで利用していた機能が見当たらなくなることがありますよね。私もアップデート後に「あれ? どこに行ったんだろう」と焦った経験があります。特に、データベースと連携するために愛用していたMicrosoft Queryが消えてしまうと、本当に手間取ってしまいます。今回は、Excel 365でMicrosoft Queryが表示されなくなったときの復旧方法や、併せて新しいPower Queryを活用するポイントについて、実際の体験談を交えつつご紹介していきます。
Microsoft Queryとは何か
Excelからデータベースに接続して自由自在に必要なデータを抽出したい、そんなときに重宝するのがMicrosoft Queryです。昔から存在する機能で、ODBCドライバーを通じてSQL ServerやAccess、さらには他社製データベースなどさまざまなデータソースに接続し、必要なデータをExcelに取り込むことができます。
レガシー(Legacy)と呼ばれる理由
近年のExcelではデータの取得まわりをPower Query(Get & Transform)に統合する動きが進んでいます。そうした背景から、従来のMicrosoft Queryは「レガシ インポート ウィザード」と呼ばれるカテゴリーに位置付けられ、初期状態では非表示になっていることがあります。昔から使っているユーザーにとっては少し戸惑う変化ですよね。
アップデートで消えた? そんなときは焦らず対処
Excelが自動アップデートされるタイミングで、レガシウィザードの表示がリセットされてしまうことがあります。そうすると、いつもの「データ > データの取得 > 他のソースから」の項目に「Microsoft Queryから」というオプションがなくなって、「あれ、どこに行ったんだ?」と驚いてしまうわけです。
Microsoft Queryが消えたときの復旧手順
Microsoft Queryが見当たらなくなったときでも、実は簡単な設定変更で再び呼び出せる場合がほとんどです。ここでは代表的な復旧手順をいくつかご紹介します。
レガシ インポート ウィザードを有効にする
Excel 365でMicrosoft Queryを復旧するには、まずレガシ インポート ウィザードを有効化することが手っ取り早い方法です。
1. Excelの画面左上にある[ファイル]メニューをクリック
2. [オプション]を選択
3. 左側のメニューから[データ]を選択
4. 「レガシ データ インポート ウィザードを表示する」の一覧の中で「Microsoft Query(レガシ)」にチェックを入れる
5. Excelを再起動
これで「データ」タブ内の「データの取得」ボタンをクリックすると、「レガシウィザード」あるいは「From Microsoft Query」の項目が復活し、従来のMicrosoft Queryが利用できるようになります。
Excelのリボンに追加しておくと便利
メニューをたどってクリックするのが手間という場合は、リボンのユーザー設定で独自にボタンを追加することもできます。
1. 再び[ファイル] > [オプション] > [リボンのユーザー設定]へ
2. 「コマンドの選択」欄を「すべてのコマンド」に変更
3. 一覧から「Legacy Wizards」「From Microsoft Query」などを探して右側のタブ(たとえば「データ」タブ)に追加
4. [OK]ボタンを押して設定を反映
こうしておけば、必要なときにワンクリックでMicrosoft Queryを起動できますので、作業効率が上がります。
Officeをオンライン修復する
設定を見直してもMicrosoft Queryがまったく見つからない場合は、Officeプログラム自体の不具合が原因かもしれません。そんなときは、以下の手順でオンライン修復を試してみましょう。
1. Windowsの[コントロール パネル]を開く
2. [プログラムと機能]でMicrosoft 365(もしくはOffice)を探す
3. 右クリックまたは上部のメニューから[変更]を選択
4. オンライン修復を実行
この修復でOffice関連のコンポーネントが再インストールされ、設定ファイルがリセットされます。私の知り合いの会社でも、長年使っているPCで突然Microsoft Queryが表示されなくなったケースがありましたが、オンライン修復であっさり復活したそうです。
管理者権限が必要なケース
会社や組織で使っているPCの場合、ソフトウェアの設定変更には管理者権限が必要な場合があります。オンライン修復を実行したくても権限が与えられていないと操作できず、IT部門に連絡せざるを得ないことも。私の職場では「Officeの修復を試したいんですが……」と問い合わせて、ようやく作業できるようにしてもらった経験があります。もし自力で作業できない場合は、早めに管理者やIT部門に相談してみるのがおすすめです。
Power Query(Get & Transform)の活用
レガシウィザードを復活させるのも一つの方法ですが、Excelの新機能であるPower Query(Get & Transform)の利用も検討してみてはいかがでしょうか。近年はデータ分析の高度化に伴い、Power Queryを活用する方が増えています。
Power Queryならではのメリット
Power Queryではビジュアルなインターフェイスを使ってデータ取得や整形、結合などが簡単に行えるのが魅力です。例えば、複数のテーブルをJoinして目的のデータを抽出したり、重複行の削除や列の分割といったデータクレンジングがワンクリックでできたりします。より分かりやすい画面操作がメインなので、SQLの知識がそれほどない方でも扱いやすいと評判です。
実際にPower Queryに移行してみた体験談
私の場合、最初はMicrosoft Queryのウィザードに慣れていたので、正直「新しいUIってどうなんだろう…」と半信半疑でした。ところが、Power Queryで空のクエリを作成し、エディター画面からステップを追加していくうちに、気がついたらSQLを書かずに複雑な集計をこなせてしまうようになりました。
習得までは少し時間がかかりましたが、一度コツをつかむと「今までの手作業をもっと早くからPower Queryでやればよかった!」と本気で思いました。
SQLを活用したいなら詳細エディターを使おう
「従来のSQLクエリを書きたい」という場合でも大丈夫です。Power Queryには詳細エディターが用意されていて、そこにSQL文を入力してデータを取得することもできます。慣れている方にとっては、Microsoft Queryのウィザードから入力するのとさほど違いはありません。むしろ、ステップとして履歴管理ができる点で優れているといえるでしょう。
SQLを実行してみる流れ
1. [データ] > [データの取得] > [他のソースから] > [空のクエリ] を選択
2. Power Queryエディターが開いたら[ホーム]タブの[詳細エディター]を開く
3. 必要なSQL文を入力してOKをクリック
すると、データソースとの接続設定を求められ、適切に設定するとクエリ結果がPower Queryエディター内に表示されます。最後に[閉じて読み込む]を押せば、Excelシートに反映されるという仕組みです。
Microsoft QueryとPower Queryの違いを簡単比較
以下のように、Microsoft QueryとPower Queryそれぞれの特徴をまとめてみました。
機能 | Microsoft Query | Power Query |
---|---|---|
位置付け | レガシウィザードとして扱われる | Excelの新しいデータ取得ツール |
UIの操作性 | ウィザード中心で比較的シンプル | ステップ形式で可視化され、操作履歴を管理できる |
SQL利用 | ウィザード形式でSQL入力も可能 | 詳細エディターでのSQL入力が可能 |
データ分析機能 | 基本的なクエリ処理のみ | 高度な結合、クレンジング、集計が簡単 |
拡張性 | 古いシステムとの親和性は高い | 拡張ツールやM言語による柔軟な処理が可能 |
「なぜMicrosoft Queryにこだわるの?」という疑問
長年Excelを使っている方は、Microsoft QueryのウィザードやODBC設定になじみが深いので、急にPower Queryへ移行するのはハードルが高いと感じるかもしれません。
会社全体で手順書がMicrosoft Query前提になっているケースもあり、「いつか切り替えなきゃ」と思いつつも、つい従来の方法を続けてしまうことってありますよね。
私も、はじめはMicrosoft Queryに愛着がありました。年季の入ったAccessデータベースに接続して月次レポートを作る場合、Microsoft Queryのウィザードの画面を見て「これが安心するんだよな~」なんて思っていました。ただ、一度Power Queryを触り始めると、ステップごとに加工状態を管理できる便利さに驚き、徐々に移行がスムーズになりました。
Microsoft Queryを今後も活用するポイント
レガシ機能となったMicrosoft Queryですが、今後も使い続けたい場面は確かにあります。たとえば、ODBCドライバー経由でしか接続できないレガシシステムがある場合や、社内で継承されてきたクエリの仕組みをすぐに変更できない状況などです。
ドライバー環境を再確認しておこう
Microsoft Queryを利用するには、対応するODBCドライバーがインストールされている必要があります。WindowsのアップデートやOfficeのバージョン変更によって、ドライバーが不一致になってしまうケースも。
事前に使うデータソースに合わせてODBCドライバーを最新バージョンにしておくことで、トラブルを回避できます。
ODBCの設定を見直す手順
1. Windowsの[管理ツール] > [ODBCデータ ソース (32ビットまたは64ビット)]を開く
2. 接続先のドライバーやDSNが正常に設定されているかチェック
3. テスト接続を試してエラーが出ないか確認
既存クエリファイル(.dqy)の活用
Microsoft Queryで作成したクエリは、.dqyという拡張子のファイルに保存できます。このファイルをダブルクリックすれば、該当クエリをすぐに開いて編集可能です。大事なクエリはあらかじめローカルや共有サーバーなどに保管しておき、万が一Officeの設定が変わった場合でも対処できるようにしておくと安心ですね。
まとめ:状況に合わせて柔軟に選ぶのがベスト
アップデート後に「Microsoft Queryが見当たらない!」となったときは、まずは以下の点をチェックしてみてください。
1. レガシ インポート ウィザードを有効にする
設定画面([ファイル] > [オプション] > [データ])で「Microsoft Query(レガシ)」にチェックを入れると復活する可能性があります。
2. リボンのユーザー設定
リボンへの追加を行えば、Microsoft Queryをワンクリックで利用できるようになります。
3. オンライン修復
Officeの修復機能で、消えてしまった機能や不具合をリセットできます。ただし権限や時間が必要になる場合があるので要注意です。
4. Power Queryへの移行も検討
より強力なデータ取得・分析機能を持つPower Queryを使い始めるいい機会かもしれません。SQLを詳細エディターで実行することもできますので、慣れてしまえばMicrosoft Query以上に柔軟で便利です。
5. 会社や組織の制約にも注意
IT部門の管理が厳しい環境では、自分で修復や設定を変更できない場合があります。そんなときは無理せず、管理者に相談してスムーズに対処できるようにしましょう。
執筆者の一言
私は以前、Microsoft Queryが使えなくなって途方に暮れた経験がありますが、Excelオプションを少しチェックするだけで「なんだ、こんなに簡単に復活するのか」と拍子抜けした思い出があります。もしこの記事を読んだ方が同じような状況になってしまったら、ぜひ試してみてください。手軽に解決して、引き続きExcelで効率的にお仕事を進められるよう願っています。
長く愛用している機能が突然姿を消すとパニックになりがちですが、Excelの世界は意外と親切に作られています。まずはレガシウィザードの設定を疑い、だめならオンライン修復やドライバーの再確認に進む。そこを押さえておけば、大抵のケースは解決できると思います。
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