最近、自宅のパソコンでやっと「これで安心!」とWindows 11に乗り換えたところ、Excel 2016が起動しなくなるトラブルに見舞われてしまいました。同僚にも同じ症状が出ているようで、慌てて対策を調べたのがきっかけで得た情報や、自分自身の解決までの道のりをまとめます。今後同じ悩みを抱えている方のお役に立てれば幸いです。
Excel 2016のアップデート後に起動しなくなる原因と背景
アップデートを適用してからのExcel 2016がまったく起動しない、あるいはアドインが正しく読み込めないという報告が多く寄せられています。主に2024年11月に配信された「Security update for Microsoft Excel 2016 (KB5002653)」が影響しているとのことで、私自身もこの更新プログラムを適用した直後に症状が出てしまいました。
原因の大まかな概要
Excel 2016が前回起動時に保持していたアドイン設定をロードするときに、ファイルパスの先頭が正しく解釈されなくなる不具合が起こっているようです。Windows 10とWindows 11で挙動に差があるようで、Windows 10は問題の更新プログラムをアンインストールすることで回避できるケースが多いのに対し、Windows 11はアンインストールが難しく、再インストールしても同じ更新が再適用されることがあります。
不具合の事例
私の周囲で実際に起こった事例やSNSでみかけた情報から、大きく分けて下記のようなパターンがありました。
事例1:Excelがスプラッシュ画面で停止する
Excelを起動するとロゴのスプラッシュ画面で固まってしまうパターンです。タスクマネージャーで見るとプロセス自体は動作しているのですが、いつまでたっても画面が切り替わらず、結局強制終了せざるを得ないという状況が起こります。
事例2:アドイン(XLLなど)が読み込まれない
特定のアドインを使っていると、パスの先頭にあるドライブ文字が欠落した形で読み込まれることがあります。「:\xxxx.xllが見つかりません」というようなエラーが出てしまい、その都度手動でアドインを再登録しなければならない事態です。
事例3:Windows 10とWindows 11の対応差
Windows 10の場合は「更新プログラムのアンインストール」でKB5002653を削除し、一時的に問題を回避できるケースが比較的多いようです。しかし私が使っているWindows 11では同じ手順が通用せず、設定画面やコマンドを試しても削除できない上に、Officeを入れ直してもアップデートが自動的に適用されるという難しい状況になりました。

私の環境でも、11月の更新を適用したあたりからスプラッシュ画面で固まるようになりました。アドインが起動時に引っかかっている様子でしたが、原因をつかむまでにずいぶん時間がかかってしまいました。
主な対策と注意点
実は私自身、最初は再インストールすれば解決できるだろうと思って軽い気持ちで試したのですが、Windows 11では同じ更新プログラムが再度適用されてしまい、まったく問題が解消されないという苦い経験をしました。以下では、私が調べて実践した対策や、他の方々が実践している方法をまとめています。
更新プログラムのアンインストール
問題の更新プログラムであるKB5002653を削除することが、もっとも手っ取り早い対処に思われます。ですが環境によっては削除ができない、あるいは削除しても再インストールされるなどの問題が発生する可能性があります。
Windows 10での方法
Windows 10を使っている友人は「設定」→「更新とセキュリティ」→「更新履歴の表示」→「更新プログラムのアンインストール」からKB5002653を選択して削除し、Excelが問題なく起動するようになったそうです。また、下記のコマンドを管理者権限で実行する方法もあります。
wusa /uninstall /kb:5002653
この方法で解決できた事例は多いとのことです。
Windows 11での代替策
Windows 11の場合、同じ画面やコマンドを試しても削除に失敗するケースがあると報告されています。特に法人でWSUS(Windows Server Update Services)を使っている場合は、管理側から「Approve update for uninstallation」機能で強制的にアンインストールをかけることで対応できる可能性があるようです。ただし一般の個人ユーザーにとってはWSUSを利用するハードルが高く、ここで詰まってしまう方が多い印象です。
KB4484305の適用
2024年11月19日にリリースされた「November 19, 2024, update for Excel 2016 (KB4484305)」を手動で適用すると、不具合が軽減されるケースがあります。私も再インストール後、すぐにKB4484305をあててみると、アドインが読み込まれないエラーはほぼ出なくなりました。ただし、スプラッシュ画面で固まる症状は環境によっては依然として残るという報告があり、完全な解決には至らないようです。
レジストリの初期化
一部の情報では、Office関連のレジストリを初期化することで設定がリセットされ、Excelが正常に起動するようになったという報告があります。手順は以下のようなものです。
レジストリのバックアップと編集
レジストリを操作する前に、必ずバックアップを取る必要があります。万が一誤操作があると、システム全体が不安定になる恐れがあるため、ここは慎重に行ってください。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity
このキーなどを削除し、パソコンを再起動するとExcelが起動するようになったという声が一部で上がっています。私の知人はこの方法を試して成功したそうですが、あくまで自己責任の範囲となります。
タスクマネージャーでの強制終了
スプラッシュ画面でExcelが固まってしまう場合、暫定的な対処としてタスクマネージャーからExcelのプロセスを強制終了し、再度立ち上げることで起動する場合があります。ただし私の場合は、これをやっても再現性が高く、結局何度か再起動してようやく立ち上がるといった不安定さが残りました。これでは業務や作業に支障が出てしまうため、あくまでも緊急避難的な手段と思っておいたほうが良いかもしれません。



以前、仕事先でどうしてもExcelが開かないときにこの強制終了→再起動法に頼り、なんとか数値を確認できたことがありました。根本的な解決ではありませんが「とにかく今すぐ開きたい」という場合には役立ちますね。
アップデートトラブルにおけるWindows 10とWindows 11の比較
個人的には、Windows 10とWindows 11の差異をもう少し理解しておきたいと思い、簡単な比較表を作ってみました。あくまでも私が調べたり経験したりした範囲の情報ですので、参考程度にご覧ください。
項目 | Windows 10 | Windows 11 |
---|---|---|
KB5002653のアンインストール | 設定画面やコマンドから削除しやすい | 削除できない・失敗するケースが多い |
KB4484305の適用 | ある程度有効だが環境によっては部分的 | スプラッシュ画面停止は改善しない場合も |
Office再インストール後の再適用 | 再度自動で適用される場合は比較的少ない | 再インストールしても自動的に再適用される |
WSUSでの強制アンインストール | 法人環境で制御可能 | 同様に制御可能だが個人ユーザーにはハードル高め |
対処の難易度 | 比較的低い | やや高い |
今後の見通しとまとめ
Excel 2016の不具合に対しては、KB4484305で一部は修正されましたが、私自身も含め、一部のユーザーからはいまだトラブルが続いているという声が聞こえます。Microsoftが今後追加の修正パッチを提供する可能性はあるものの、完全に解消されるまでは暫定的な回避策を取りつつ業務を進めるしかないようです。
Officeのアップグレードや他ソフトへの移行
今回のトラブルを機に、最新バージョンのOfficeや他の表計算ソフト(例えばLibreOfficeやGoogle スプレッドシート)へ移行を検討するユーザーもいるようです。私自身、仕事で使うツールとしてExcelは欠かせないので簡単には移行できませんが、予備手段としてLibreOfficeを用意しておくのもアリかもしれません。
会社・組織でのWSUS活用
法人環境であれば、WSUSを利用しているケースも多く、更新プログラムを細かく管理できます。問題のある更新プログラムの配布を保留したり、アンインストールを一括許可したりといった操作ができるので、IT部門に相談して対応を検討するのが望ましいです。
当面の対処法と注意点
1. Windows 10ならKB5002653をアンインストール
2. Windows 11の場合はWSUSなどを利用できないと厳しい
3. KB4484305を当ててみる価値はある
4. レジストリ編集は自己責任
5. タスクマネージャーでの強制終了は応急処置
私の経験上、これらの対処を組み合わせることで、なんとかExcelを使い続けられる状態に持っていくしかありませんでした。完全にスムーズな状態になったわけではなく、わずかに不安定なタイミングもありますが、作業が止まってしまうほどのトラブルは抑えられています。



同僚のパソコンは更新プログラムの適用状況が私と微妙に違っていて、トラブルの出方も異なっていたので、ほかにも細かい条件が関係しているのかもしれません。
私が感じた今後への備え
今後もMicrosoft Officeに限らず、OSやソフトウェアのアップデートで予期せぬ不具合が発生する可能性は否定できません。特に仕事で使う重要なツールに関しては、以下のような点を心がけたいと思いました。
定期的なバックアップとイメージ保存
PC全体のイメージバックアップを定期的に取っておくことで、問題が発生したときにすぐ以前の状態に戻すことができます。個人的には、外付けハードディスクやNASを使って、月に1回くらいはバックアップを取っています。
更新プログラムの様子見
重要な更新プログラムはタイムリーに適用したいところですが、トラブルが目立つ場合は少し様子を見てから導入するのも選択肢の一つです。会社などでは、試験的に一部の端末で適用して問題がないか確認する段階を設けているところも多いようです。
マルチ環境での運用
どうしてもExcelが必要な場合と、代替ツールでも対応できる業務がある場合を分けて考えると、トラブルで業務が一斉に止まる事態を回避できるかもしれません。例えばGoogle スプレッドシートで簡単な表を扱っておき、Excelでなければ作業できないファイルだけローカルで扱うという工夫も一案だと感じています。



私も別のパソコンにWindows 10を残しておいて、いざExcelが開かないときはこちらを使う、という二重体制にしており、仕事の遅れを最小限に抑えています。
まとめ
Excel 2016がアップデート後に起動しなくなる問題は、KB5002653やその修正となるKB4484305が関係しており、環境によって解決方法が異なります。Windows 10は比較的対処しやすい一方、Windows 11ユーザーはアンインストールの難しさに直面しがちです。更新プログラムの削除やKB4484305の適用、レジストリの初期化など、複数の方法を組み合わせることで多少は改善できますが、確実な解決策がまだ見つかっていない場合も多いようです。
私自身、最終的にWindows 11でExcelを使い続けるために、WSUSの設定やレジストリの編集、そしてKB4484305の手動適用といった複数の手段を試す羽目になりました。残念ながら完全にトラブルがゼロになったわけではありませんが、少なくとも業務に支障をきたすほどの事態は免れています。今後さらにMicrosoftからの追加修正プログラムがリリースされる可能性もありますが、それまでは「バックアップをしっかりとり、問題が出た場合に備える」ことが大切だと感じました。
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