Microsoft Formsの新機能によるExcel自動同期停止の原因と対処法

Microsoft Formsがこのたびアップデートされ、自動同期が今までどおりに動作しないという声が増えています。私も普段、Formsの回答をExcelに集計して業務効率化を図っていましたが、急に同期が止まってしまい困惑。この記事では原因や回避策をご紹介します。

目次

FormsからExcelへの自動同期が止まる理由

Microsoft FormsとExcelの連携は、多くの利用者にとって欠かせない作業の一つです。以前は回答が送信されるたびにExcelが自動で最新データを取得し、Power AutomateやPower BI、Plannerなどとスムーズに連携が可能でした。しかし最近のアップデートによって、一部のユーザー環境では同期が止まる、あるいはブラウザー版Excelを開いている間しか同期されないといった問題が頻発しています。

新しい同期機能とは

Microsoftが公式にアナウンスしている「新しい同期機能」は、FormsとExcelをより密接に結びつけることを目指したものです。具体的にはフォーム回答がクラウド上で管理され、ブラウザー版Excelで同一ブックを開くと、回答がリアルタイムに近い形で反映されるように設計されています。ところが、デスクトップ版Excelへの対応はまだ進行中という立場で、実際には十分に安定しないケースも多く、以前のように完全自動で行われない事態になっています。

同期が止まるメカニズム

従来はFormsで回答が送信されると、ほぼ即時で同じSharePoint(あるいはOneDrive)上のExcelにも反映されていました。一方、新しい同期機能ではブラウザー版Excelを開いているときだけ随時更新される仕組みに変わり、閉じた状態では同期作業が停止してしまいます。これはクラウド上のフォームデータと、ブラウザー版のExcelが通信を行っているためと推測されていますが、ユーザーにとっては使い勝手が悪化したと言わざるを得ません。

具体的に生じる不具合

同期トラブルによって、FormsとExcelを組み合わせていたさまざまな業務フローに支障が出るようになりました。特に、Power AutomateやPower BI、Plannerとの連携を当てにしていた組織では大きな混乱が発生しています。

Power Automateエラー

Power Automateを利用して、Excelに新しい行が追加されたことをトリガーに他の処理を自動化しているケースは非常に多いです。例えば、アンケート回答をもとにPlannerタスクを生成したり、Power BIに集計データを送ったりするフローが代表的でしょう。ところが、新しい同期機能によって、回答が即時にExcelへ反映されなくなったため、Power Automateが「新規行を検出できない」「取得した行が古い」などのエラーを起こすことが増えています。

エラー状況

Power Automateのフロー実行ログを確認すると、フローが正しくトリガーされても、Excelから読み取ったデータが更新されていないケースがあります。その結果、回答結果を使った後続処理で失敗が発生するのです。こうなると、折角の自動化が機能せず、人がExcelを開いて「同期させる」作業を定期的に行わなければいけなくなります。

手動操作の手間

従来は、誰かがフォームに回答したタイミングで自動でExcelファイルがアップデートされていました。しかし今では、ブラウザー版Excelを開いておく必要がある、あるいはファイルを開き直してリフレッシュを手動で行わなければ同期しないケースが多発しています。そのため、常にパソコンの電源をつけっぱなしでブラウザー版Excelを開き続けるといった実用的でない運用に追い込まれてしまう方々も見受けられます。

旧同期機能と新同期機能の比較

下記に、従来の同期機能と新しい同期機能の違いを簡単にまとめました。


項目 旧同期機能 新同期機能
Excelへの自動反映 フォーム送信時にほぼリアルタイム ブラウザー版Excelを開いている時のみ
デスクトップ版Excel 直接的に表示・編集OK 今後対応予定とアナウンス
Power Automate連携 Excel更新をトリガーにスムーズ ブラウザー版を開いていないと検知できない
安定性 成熟しており安定 一部ユーザー環境で同期不安定


Formsの回答データをクラウド上で一元管理しやすくなるとの意見もあり、今後のアップデート次第では優れた連携を取り戻す可能性があります。

現時点ではユーザーが望むタイミングで同期されないため、かえって手動操作が増えたり、自動化フローが崩れる事例が多発しています。

回避策と暫定的な対処方法

正式な自動同期復活を待つより先に、現場の業務を停滞させないための回避策はいくつか考えられます。それぞれに一長一短があり、組織規模や要件によって採用の仕方が変わるはずです。

ブラウザー版Excelを常時開いておく

もっとも単純な対処として、実際にSharePointやOneDriveに置いてあるExcelファイルをブラウザー版で開きっぱなしにするという方法があります。ただし、パソコンを24時間稼働させ続ける必要があったり、ネットワーク負荷を気にする場合はあまり現実的ではありません。また組織によってはセキュリティポリシー上、長時間操作がない端末を放置することが認められていないケースもあり、使い勝手は良くありません。

Power Automateでフォーム回答を直接Excelに書き込む

Formsの送信をトリガーにして、回答内容を好きなExcelファイルに自動で追記するフローを作成する方法が有力です。たとえば次のような流れを設定します。

フォーム送信をトリガーに処理を開始

Power Automateの「When a new response is submitted」(新しい回答が送信された時)というトリガーを利用すれば、ユーザーがフォームに回答するたびにフローが動きます。フォームの応答内容を取得し、それらをもとにExcelの任意のシートに新しい行を追加します。

既存のフローとの連携

すでに他のステップとして、回答がExcelに追加されたらPlannerタスクを作る、あるいはPower BIに通知するといった流れを組んでいるならば、そのトリガー部分を「Excelに行が追加された」から「Formsに回答が送信された」へ変更してやる形が考えられます。これにより、ブラウザー版Excelの状況に左右されずにデータが処理されるようになります。

私が所属しているチームでも、急に旧同期機能が働かなくなって慌てました。ですが、Power Automateで回答からExcelを更新する仕組みに切り替えたところ、トラブルなく回り始めたので一安心です。

別ファイルでの管理とVLOOKUP・XLOOKUPの活用

もし既にFormsからリンクされたExcelファイルを手離しできない場合、別のExcelファイルにPower Automateで回答を書き込み、メインのファイルでVLOOKUPやXLOOKUP、あるいはINDEX/MATCH関数などを使って値を取得する方法も考えられます。

データ不整合を防ぐメリット

メインとなるファイルを直接編集しないので、同期の一時停止や途切れによってメインの表が壊れてしまうリスクを分散できます。また別ファイルに回答をまとめておくことで、万一トラブルが発生した際の切り分けが容易になります。

運用負荷は増える可能性

複数ファイルを管理するため、構成が複雑になったり、参照先のファイルパス設定が煩雑になる恐れはあります。それでも完全に同期が止まった状態と比べれば、業務影響は軽減されるでしょう。

Teamsチャンネルで作成したフォームの場合

Teamsのチャネル上で作成したグループフォーム(SharePointに保存される形)は、自動同期の停止が確認されるケースが多く報告されています。個人のOneDriveではなくチームのSharePointサイト内にExcelが配置されるため、一見異なる仕組みに見えますが、基本的な対処法は個人フォームと変わりません。

グループフォーム特有の注意点

Teamsのチャネルで作ったフォームは、回答データがグループ用のExcelに蓄積されます。ファイルの共有権限やライセンスがチーム全員に及ぶので、Power Automateでのファイルパス指定や編集権限の確保が意外と盲点になることがあります。特に大規模組織の場合は、ファイルを管理しているIT部門の承認が必要だったり、テナント管理上のルールに違反しないかを確認しておく必要があります。

以前、グループフォームのExcelを勝手に移動してしまい、同期が一切されなくなったことがありました。Teams上のファイル操作は簡単ですが、同期設定との連動まで考えるとけっこうシビアなんですよね。

Microsoft公式の対応状況

Microsoftはデスクトップ版Excelでも同様の自動同期機能をサポートすると案内していますが、具体的なリリース日は発表されていません。また、ユーザーコミュニティからのフィードバックでは、同期の不安定性や機能の使い勝手の低下を問題視する声が多く、事実上の機能後退だと感じている方が多いようです。

Microsoftの見解

公式フォーラムやサポートページを確認すると、「新しい同期機能を使うとより強固にFormsとExcelが連携されるようになる」という説明が見られます。しかし、現段階ではブラウザー版Excelで開いているときのみの同期となり、完全自動とは言いづらいのが実情です。今後のアップデートで改善される可能性は高いものの、すぐに以前のような完全自動が復活する保証はありません。

不具合と見なさない理由

ユーザーとしては便利だった旧機能がなくなった形ですが、Microsoft側ではこれを不具合ではなく「新しい仕組み」だと位置づけている印象があります。旧版の同期との根本的な実装が変わり、よりクラウドファーストな構造に移行しているため、どうしてもデスクトップ版対応が後回しになっているようです。

実際、Microsoftの公式コメントを読んでみると「一時的な仕様変更」としているようにも感じました。ユーザーとしては痛いところですが、長い目でアップデートを待つしかない部分があるのは悩ましいですね。

代替策としてのプログラムコード例

フォーム送信時にExcelへ回答を追記するフローをPower Automateで組むのは、よく選択される方法です。ここで簡単なコード例というよりは、Power Automateの各ステップ設定の概要を示します。

Power Automateのフロー例

1. トリガー: "When a new response is submitted" (Microsoft Forms)
2. アクション: "Get response details" (Microsoft Forms)
3. アクション: "Add a row into a table" (Excel Online)
   - テーブル名: '回答を格納するテーブル名'
   - 値のマッピング: 回答の各フィールドをExcelのカラムへ割り当て
4. 必要に応じて後続処理 (Power BI、Plannerなど)

このように設定するだけで、ブラウザー版Excelを開かなくてもフォーム送信をトリガーに自動でExcelに書き込みができます。旧来の自動同期に近い運用が実現できるでしょう。

完全復旧まで待つという選択肢

最終的にはMicrosoftがデスクトップ版Excelでも同等の同期をサポートし、安定した環境を提供することを期待しているユーザーは多いです。しかしながら、いつ公式対応が完了するのかは不透明で、FormsとExcelの統合を求める声に対する明確なロードマップは今のところ示されていません。

意見や要望を送る意義

Microsoftの製品はユーザーフィードバックを重視しており、改善要望が多いと開発優先度が上がるケースがあります。フォーラムやFeedback Portalを活用して、今回の不便さを伝え、早期の機能強化を求めることは無駄ではありません。また、大規模導入している企業や教育機関は、Microsoftとのパートナー経由で要望を伝えると効果が高い場合があります。

まとめ

Microsoft FormsからExcelへの自動同期が以前のように行われなくなった現状は、多くのユーザーや組織にとって大きな痛手です。特に自動化やデータ活用を実践していた環境では、従来のフローが止まってしまうなど深刻な影響があります。ただし、完全に手詰まりではなく、Power Automateをはじめとする回避策を講じることで、業務をある程度スムーズに回せる可能性があります。

今後の展望

Microsoftのアップデートが進み、デスクトップ版Excelでも新同期機能がサポートされれば、多くの問題は解消に向かうと予想されます。それまでの暫定策としては、独自の手動操作、またはPower Automateによる書き込みフローが現実的でしょう。もしデータが大量で高い連携精度を必要とするなら、より複雑なPower AutomateフローやSharePointリストとの連携なども検討してみるとよいかもしれません。

私の周りでも、デスクトップ版Excelの同期が復活するまではフローの改修で対処しようという話が出ています。いずれはもっと洗練された仕組みで元通りか、それ以上の使い勝手になることを期待したいですね。

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