ここでは、仕事の合間やちょっとした作業中に「Power Queryでmalformed web responseエラーが出て困っている…」という方に向けて、筆者が実際に対処した経験談を交えながら、なるべく分かりやすく解説していきます。皆さんのPower Query生活がより快適になるよう、お手伝いできればうれしいです。
Power Queryで発生する「malformed web response」エラーとは
Power Queryでデータ接続を更新しようとしたときに、突然表示される「We received a malformed web response from ****.xlsx.」といったメッセージに悩まされたことはありませんか。これは、名前のとおり「Webからのレスポンスが壊れているため、正しくデータを取得できません」という意味合いを持つエラーです。特にOneDriveやSharePoint、Teamsなどのクラウドサービスで管理しているExcelファイルやCSVファイルを読み込む際に、頻繁に報告されているようです。
ただし、同じファイルに接続していても、自分だけがエラーを起こす一方で、同僚のアカウントでは正常に更新できるというケースも珍しくありません。そのため、自分のアカウント権限やローカルのネットワーク環境、Officeの資格情報管理に原因がある可能性が高いと考えられます。
なぜ「malformed web response」エラーが起こるのか
このエラーの背景には、いくつかの原因が考えられますが、代表的な要因としては下記のようなものが挙げられます。
ネットワークの通信不安定
企業や学校などの大きなネットワークでは、通信経路が複雑になっており、特にVPNやプロキシサーバーを介している場合、データが途中で途切れたり、応答が返ってくるまでの待ち時間が長引くことがあります。このようなタイミングでPower Queryがサーバーからの応答を受け取れないまま処理を進めようとすると、「レスポンスが壊れている」という解釈をしてしまい、エラーを返すことがあります。
認証トークンや資格情報の問題
OneDriveやSharePoint、Teamsなどのオンラインサービスにアクセスする際は、ユーザーごとに認証トークンや資格情報が必要となります。これらが有効期限切れ、あるいは不整合を起こしていると、Power Query側で「想定外の応答(レスポンス)」と判断してしまう場合があります。さらに、会社のアカウント情報と個人のMicrosoftアカウント情報が入り混じっているケースでは、資格情報に混乱が生じやすいです。
サーバー側の一時的な障害
クラウドサービスも常に安定しているわけではありません。メンテナンスやアクセス集中などで、サーバー側が一時的に応答を返しにくい状態に陥ることがあります。そのタイミングでPower Queryを実行すると、レスポンスが正しく届かず「malformed web response」と判断されることもあります。

筆者は在宅勤務でVPNを利用しているときに、このエラーに遭遇した経験があります。ネットワーク管理者に確認したところ、オフィス側のファイアウォール設定と自宅ルーターの相性が原因でした。
「malformed web response」エラーへの対処ステップ
トラブルに直面すると、つい焦ってしまいがちですが、まずは落ち着いて下記のようなステップを試してみましょう。
ステップ1: ネットワークやサーバーの一時的トラブルを疑う
通信状態が悪化しているタイミングでは、クラウド側でリクエストが正常に受理されない可能性があります。一度Power QueryやExcelを閉じてからネットワーク状況を確認したり、ブラウザでOneDriveやSharePointにアクセスしてみたりすると、その時点で接続状況やサーバーの健康状態をチェックできます。
回線の混雑と速度チェック
自宅やカフェなどで仕事をしている場合、回線が混雑して速度が低下していることがあります。スピードテストサイトを使い、上り下りの速度が普段より極端に遅くないか確認してみてください。もし遅い場合は時間帯を変えて再試行するだけで、エラーが解決するケースがあります。
サーバーステータスの確認
Microsoft 365のサービスステータスページや社内のITポータルサイトに、現在の稼働状況や障害情報が掲載されている場合があります。サーバー側で障害が発生している間は何をやってもうまくいかないことが多いので、まずは状況を確認しておきましょう。
ステップ2: 資格情報(認証情報)をリセットしてみる
Power Queryを使っていると、クエリごとに異なるデータソース設定を行います。とくにOneDriveやSharePointのファイルにアクセスする際には、Microsoftアカウントの認証情報を正しく設定しておく必要があります。これらが古いままだったり、会社用アカウントと個人用アカウントが入り混じっているとエラーが発生しやすくなります。
データソースの設定をクリアする方法
Excelの「データ」タブから「クエリと接続」を開き、「データソースの設定」を選ぶと、既に登録されている接続先のリストが表示されます。そこから該当するOneDriveやSharePointのURLなどを選び、「権限の編集」→「権限をクリア」などを行うことで、一度認証情報をリセットできます。リセットした後は、改めてファイルにアクセスするときにログインを要求されるので、正しいアカウント情報を入力して再接続します。



筆者の場合は、職場アカウントとプライベートのMicrosoftアカウントが混在していたのが原因でした。権限をクリアしてからOfficeを再起動し、改めて会社アカウントでログインし直すとエラーが解決しました。
他のOfficeアプリとの連携状況も確認
たとえばWordやPowerPoint、Teamsなどで、認証エラーが出ていないか確認してみるのも一つの手です。もしそこでもアカウントの再ログインが求められているなら、Power QueryだけでなくOffice全般で資格情報を一度見直す必要があるかもしれません。
ステップ3: Power QueryやPCそのものを再起動
意外と見落としがちですが、アプリケーションやOSを再起動することで、一時的なキャッシュやメモリの不具合が解消される場合があります。実際にPower Queryは、多くのデータを一時ファイルとして保持することがあるため、再起動すると問題が嘘のように消えることもあります。
具体的なトラブルシュートの流れを表で解説
下記は、筆者が実際に社内で行っているチェックリストの一例です。さまざまなパターンに応じて対応策をまとめています。
想定シナリオ | 主な原因 | 対応策 |
---|---|---|
自宅ネットワークを利用中 | 回線速度低下・VPNの不調 | 時間帯を変えて接続、もしくはVPN設定やルーターの再起動を試す |
同僚は問題なく動作している | 自分の認証情報不整合 | 「データソースの設定」で権限クリア・再ログイン |
Officeアプリ全般でのログイン不調 | Microsoftアカウントトークン切れ | 一度サインアウトしてからサインインし直す |
Teamsファイルへのアクセス不可 | アプリ間連携エラー | Teams上からファイルを開いて再度Excel接続を試す |



表を見ながら原因箇所をしっかりと絞り込むことで、無駄な手戻りが減ります。筆者の職場でも、新人さん向けにこのリストを配布しています。
さらに踏み込んだ解決策や検討ポイント
上記で解決しない場合、もう少し踏み込んだ原因が隠れている可能性があります。ここからは少しテクニカルな内容になりますが、実際に悩みを抱える方のためにいくつか紹介します。
Power Query Editor内のコードを確認する
Power Query Editor上では、M言語と呼ばれるコードが裏側で動いています。編集の途中でURL指定やパラメータ設定を誤っている場合、実はファイルの場所そのものが間違っていて、レスポンスを取得できない状況になっていることもあります。
対象URLや接続文字列の確認
Excel上で[クエリ]→[詳細エディター]を開くと、M言語のコードが表示されます。そこに書かれているURLが正しいか、特にOneDriveやSharePointのファイルパスで「/personal/」や「/sites/」などの部分が合っているかを見直してみましょう。
let
Source = Excel.Workbook(Web.Contents("https://xxx.sharepoint.com/teams/****.xlsx"), null, true),
Sheet1 = Source{[Item="Sheet1",Kind="Sheet"]}[Data],
...
in
Sheet1
上記のようなコードになっている場合、Web.ContentsのURL部分をコピーしてブラウザで直接開いてみると、正しいファイルにアクセスできるか確認できます。もし404エラーなどが出たら、そのURL自体が間違っている可能性が高いです。
Officeアプリケーションのバージョンや更新プログラムを確認
Power Query機能は、Excelの更新プログラムによって動作が左右されることがあります。社内のアップデートポリシーにより、バージョンが古いままになっている場合は、最新版への更新を検討してください。特にMicrosoft 365 Apps(旧Office 365)を利用している方は、バージョンアップにより不具合が修正される可能性があります。
プロキシ設定やファイアウォールの影響をチェック
企業ネットワークや自宅でもセキュリティが厳格な環境下では、プロキシやファイアウォールが通信をブロックしている場合があります。IT部門に確認して、特定のURL(OneDriveやSharePoint)への通信が制限されていないか調べてもらうと良いでしょう。
ローカルセキュリティソフトウェアとの兼ね合い
アンチウイルスソフトやセキュリティソフトが通信を監視し、正常なリクエストでもまれにブロックしてしまうケースがあります。セキュリティレベルを調整するか、必要に応じて一時的に停止し、それでも問題が続くか確認してみる価値があります。ただし停止させる場合は、自己責任の範囲で行ってください。
筆者の同僚は、ウイルス対策ソフトの拡張機能が原因でOneDriveへの接続が遅延し、結果的にPower Queryがタイムアウトを起こしていました。設定を少し緩めることで解消したそうです。
実際に行った対策の成功談と失敗談
ここでは筆者や周りの同僚が取り組んだ具体例をご紹介します。同じような境遇の方の参考になればと思います。
成功談1: オフィスと自宅でアカウント情報が違っていたケース
同僚がOfficeのライセンスを自宅用と会社用で使い分けており、自宅用Officeに会社のTeamsファイルを開こうとしたところ「malformed web response」エラーが出続けていました。これを解消するためには、Officeのアカウントを一度サインアウトして、会社用アカウントで再サインイン。さらにExcelの「データソースの設定」で権限をクリアして再入力しました。その結果、スムーズに接続できるようになり、Power Query更新も問題なく完了しました。
成功談2: VPNを使わずにTeamsファイルへアクセスして解決
社外からのアクセス時にVPNに接続していると、SharePointやTeams上のファイル接続が不安定でした。会社のネットワーク管理者が「VPN経由だとルートが複雑になっている可能性があるから、必要ないならVPNを切ってみて」とアドバイス。切ってみると、エラーなくアクセスできるようになりました。セキュリティポリシーを守りつつ運用できるなら、一時的にVPNを切るのも解決策になるかもしれません。
失敗談: SharePointのURLを手動入力していたらタイプミス
オートコンプリートでURLを補完できない場合、ついコピペや手入力でSharePointのURLを入力してしまいがちです。わずかなスペルミスがあると、当然ファイルには到達できず「malformed web response」と判断されてしまいます。見た目はかなり似ているURLでも、細部が違っているケースが多いので注意が必要です。
筆者はアルファベット一文字打ち間違いに気づかず、30分以上悩んだ経験があります。必ず公式のリンクやExcelから直接SharePointのパスをコピーしましょう。
まとめ: 「malformed web response」エラーを解消して快適なデータ分析を
Power QueryはExcelの可能性を大きく広げてくれる素晴らしいツールですが、クラウド上のファイルやオンラインサービスに依存するケースでは、ネットワーク状況や認証まわりで思いがけないトラブルが発生しがちです。今回ご紹介したように、
・ネットワークの安定性を確認する
・認証情報をリセットして正しいアカウントで再ログインする
・アプリケーションやOSを再起動してみる
・M言語コードやSharePointURLのチェックを行う
・Officeのバージョン更新やセキュリティソフトの設定を見直す
といったステップを順番に試すことで、ほとんどの場合は問題が解決します。それでもダメなときは、IT管理者やMicrosoftサポートに問い合わせましょう。環境特有の設定や特殊な制限が原因であるケースもまれにありますので、一人で抱え込まずに周囲に相談してみるのも手です。
今後は、TeamsやSharePointへのアップロードにも慎重になって、正しいリンクを使ってアクセスするよう習慣づけたいものですね。筆者も「似たようなURLが多すぎて、どれが正解かわからない」という事態を起こさないように気をつけています。
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