このエラーに悩まされると「どうして特定の相手にだけ送れないの?」と不思議に思うかもしれません。実は、メールの改行コードの形式が原因となり、Hotmail(Outlook.com)からの送信が拒否されてしまうことがあるのです。ここではその理由を詳しく解説し、解決策や対処法を分かりやすくまとめていきます。
Bare Line Feedsの基礎知識をおさえよう
メールの送信時に「Bare Line Feeds Send Rejection」というエラーが発生した場合、まずは「Bare Line Feeds(ベアラインフィード)」が何を意味しているかを理解する必要があります。これは簡単に言えば、改行コードが「LF(ラインフィード)」だけであり、通常メールで推奨される「CR+LF(キャリッジリターン+ラインフィード)」の形式が正しく挿入されていないことを指します。RFC 2822やRFC 5322などのメール仕様では、行の区切りとしてCR(キャリッジリターン)とLF(ラインフィード)の2つをセット(CRLF)で使用することが原則とされています。
なぜ改行コードが問題になるのか
改行コードはOSや環境によって異なる場合があり、Windows環境では「CR+LF」が標準とされています。一方、UNIX系OS(Linux、macOSなど)では「LF」のみを利用することが多いです。通常のテキストやプログラムソースコードの世界では問題にならない場合が多いのですが、メールの送信では改行コードの形式が重要視されることがあります。メールサーバーによっては「LFのみ」で改行されているメールを不正なデータとして処理し、セキュリティリスクを懸念して拒否してしまう設定にしている場合があるのです。
セキュリティとメール仕様の関係
メールは本来、インターネット上をSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)などのプロトコルを使ってやり取りするため、各種RFCで定められたフォーマットに則っている必要があります。「CRLF」で区切ることで、メールヘッダとメール本文の区別を明確にしたり、改行後に次の情報を正しく解釈したりできるようになっているのです。もし「LFのみ」などの想定外の改行が混在していると、メールサーバーが意図せずメールの内容を途中で区切ってしまったり、ヘッダ部分を不正に扱ってしまったりするリスクが高まるため、セキュリティ強化の観点から受信拒否を行うことが考えられます。
「Bare Line Feeds Send Rejection」が起こる主な原因
Hotmail(Outlook.com)側の仕様変更
エラー文に「Bare Line Feedsが原因で受信拒否されている」と明記されているケースでは、Microsoftがセキュリティ強化の一環としてメール形式の厳格化を行った可能性が高いと考えられます。以前は受信できていた改行コードの混在メールも、新しい仕様やアップデートによって弾かれるようになったという報告があります。
受信側サーバーの強固な設定
受信する側のメールサーバーが、RFC違反の疑いがあるメール(LFのみの改行を含むメールなど)を拒否するよう厳格に設定している場合、「Bare Line Feeds」が検出されると自動的に拒否される可能性があります。サーバーのセキュリティポリシーによっては、改行コードだけではなく、添付ファイルの形式やIPアドレスの評判なども厳密にチェックする場合があり、ほんの些細な違反でも受信拒否が発生することも珍しくありません。
サーバー設定の一例
受信サーバー側で設定される可能性がある代表的なパラメーターは以下のとおりです。
パラメーター名 | 内容 |
---|---|
strict_header_checks | メールヘッダのフォーマットを厳格にチェック |
disallow_bare_lf | CR+LFでない場合に受信拒否 |
disallow_8bit_headers | ヘッダに8bit文字を含む場合に受信拒否 |
require_fully_qualified_domain | 送信元ドメインがFQDNでないと拒否 |
このような設定が有効になっている場合、改行コードがLFのみの行があるメールは即座に弾かれてしまう可能性があります。
エラーが起きたときに考えられる対策
「Bare Line Feeds Send Rejection」エラーが起こった際、どのように対応すれば良いのでしょうか。送信者と受信者の両面から考えてみましょう。
まずは別の宛先にメールを送ってみる
同じ内容のメールを、別のメールアドレス、たとえばGmailやYahoo!メールなどに送信してみてください。もしそちらでは問題なく送受信できる場合は、送信者側の設定よりも受信側のサーバー設定に原因がある可能性が高いと判断できます。また、同じHotmail(Outlook.com)アカウントから別のドメインに送った場合にエラーが出るかどうかもテストするとより確実です。
送信側で改行コードを修正する方法
Web版Outlook.comを使ってメールを送る場合、ブラウザ上で改行コードを意図的に操作するのは一般的ではありません。しかし、以下のような対策を試してみることは可能です。
- デスクトップ版Outlookや他のメールクライアントを使う
多くのメールソフトは自動的に「CR+LF」を挿入するため、問題のある「Bare Line Feeds」が入りにくい設計になっています。Web版で送れない場合は、デスクトップ版やスマホのアプリから送信してみると、エラーを回避できるかもしれません。 - テキスト整形ツールで改行を置換する
どうしてもWeb版Outlook.comの画面にコピー&ペーストなどで文章を貼り付ける場合、事前にテキストエディタ等を使って「LFのみ」を「CR+LF」に変換しておく手もあります。ただし、普通のテキストエディタではWindowsの場合、既定で「CR+LF」になっているケースが多いので特別な操作は不要なこともあります。 - 特殊なブラウザ拡張機能の利用
まれにですが、ブラウザの拡張機能でテキスト入力エリアの改行コードを制御するものが存在します。もしどうしてもWeb版Outlook.comを使い続けたいが改行問題が起きる場合は、こうした拡張機能の活用も検討の価値があります。
受信側サーバー管理者への依頼
根本的な解決としては、受信側のサーバー設定を緩和してもらうのが確実です。Bare Line Feedsを含むメールであっても、明確に悪意のあるメールではないと判断できるように設定を変えてもらう、あるいはフィルタをホワイトリストに追加してもらうなどの対応を行ってもらいます。具体的には、以下のポイントを受信側管理者に伝えるとスムーズです。
- 実際のエラーメッセージ
「5.6.11」などのエラーコードが提示されている場合は、それを正確に伝えることで相手側のサーバー管理者が設定箇所を特定しやすくなります。 - メールヘッダのサンプルログ
エラー発生時に送り返されたリターンメール(エラーメール)には、受信拒否の具体的な理由が記録されていることがあります。その情報を提供すると、Bare Line Feedsが含まれている箇所を特定しやすくなります。 - 受信禁止ポリシーの背景をヒアリング
セキュリティ向上のために厳格な設定を行っているのか、それともSPAM対策として機械的に弾いているだけなのかを確認します。場合によっては、設定を一部緩和しても全体的なセキュリティリスクは大幅に高まらない可能性もあるため、現実的な落としどころを探ることが大切です。
具体的なトラブルシューティングの流れ
ここでは実際にエラーが出たときの調査・対処の流れをもう少し詳しく見てみましょう。
1. エラーメッセージの確認
まずはOutlook.comから送信したメールが返ってきていないか、あるいは送信時に画面上に何らかのエラー表示が出ていないかを確認してください。たとえば「Bare Line Feeds Send Rejection」と明確に書かれている場合は、その文字列でWeb検索をすると他の事例や対策を見つけられることがあります。
2. 他のアドレスでも同様のエラーが発生するかテスト
エラーが発生する宛先が限定的であれば、受信側のサーバー設定が厳格である可能性が高まります。他のメールアドレス(GmailやYahoo!メールなど)に対して同じメールを送ってみて、問題が再現しないかテストします。複数の宛先で同様のエラーが起きる場合は、送信者側の環境に問題があるかもしれません。
テスト送信時のポイント
- 件名や本文は極力同じ内容、同じ改行スタイルを保つ
- 添付ファイルがある場合は同じファイルを添付してテストする
- メールソフトの設定を変える場合は、一度に複数の変更をしない(どの設定変更が効果をもたらしたか把握しやすくするため)
3. 改行コードの確認
より専門的な方法ですが、実際に送信したメールのソース(生データ)を確認すると、どの改行コードが使われているかが分かります。たとえばデスクトップ版OutlookやThunderbirdなどで「ソースを表示」機能を使い、ヘッダと本文の改行をチェックしてみてください。もし「LFのみ」の改行が含まれている場合は、Bare Line Feedsが原因の一つである可能性が濃厚です。
4. 受信側サーバー管理者に連絡
可能であれば相手先のサーバー管理者に直接連絡を取り、Bare Line Feedsを含むメールを拒否している設定になっていないか確認してもらいましょう。セキュリティ上の観点で意図的に行っている場合は、やむを得ないという判断に至ることもありますが、その場合は送信者側で別の手段(別のメールサービスやメールクライアント)を利用するしかありません。
5. 代替手段の利用
どうしても設定の調整をしてもらえない、あるいは時間がかかる場合は、回避策として別のメールクライアントやメールサービスを利用して連絡を取る方法があります。普段はHotmail(Outlook.com)をメインで使っていたとしても、差し迫ったやり取りが必要なときにはGmailやYahoo!メールを臨時で利用することも選択肢となるでしょう。
Bare Line Feedsエラーを起こさないためのテクニック
今後同じトラブルを回避するために、送信者としてできる工夫をいくつか紹介します。
1. メール作成時の注意点
コピー&ペーストで文面を作成する場合、元のテキストに何らかの特殊な改行コードが含まれている可能性があります。Webサイトや他のツールからテキストを流用するときは、一度テキストエディタ(メモ帳など)を経由してから貼り付けると、改行コードをWindows標準のCR+LFに整形できることがあります。
2. 送信前のプレビューでチェック
Web版Outlook.comでメールを作成したときに、デスクトップ版のメーラーや他のメールサービスの下書きフォルダにコピーしてみて、改行が正しく入っているかを確かめる方法もあります。これはやや手間がかかりますが、厳格な環境へのメール送信が多い場合には有効です。
3. HTML形式よりプレーンテキスト形式に切り替える
場合によっては、HTML形式のメールが原因で想定外の改行や特殊文字が挿入されることがあります。プレーンテキスト形式でメールを送る設定に変えてみると、Bare Line Feedsの混入を防げる可能性があります。ただし、プレーンテキスト形式でもエディタによってはLFのみが入ってしまうこともあるので、最終的にはソースを確認するのが確実です。
トラブル事例と実際の対処例
最後に、実際によくあるトラブル事例と、その対処法の例をいくつか紹介します。自分の環境に近いケースがあればぜひ参考にしてみてください。
事例1:大学のメールサーバーとのやりとりで拒否される
大学のメールサーバーはセキュリティが厳しく、RFCに反する可能性のあるメールを即時拒否する設定が行われていることがあります。あるユーザーがHotmail(Outlook.com)のWeb版から大学のアドレスへ送信したところ、「Bare Line Feeds Send Rejection」というエラーで返ってきました。調査の結果、Web版のメール作成画面に海外サイトの文章をコピーし、その文章がLFのみの改行を含んでいたために拒否されたことが判明。対処として、一旦メモ帳(Windows付属のNotepad)に貼り付けてから改めてOutlook.comでメールを作成したところ、問題なく大学のメールサーバーに届いたそうです。
事例2:顧客の社内メールサーバーで弾かれる
法人向けのメールサーバーは、スパムやウイルスメール対策で細かいルールを設けていることが多く、Bare Line Feedsを含むメールもスパムとして扱われるケースが報告されています。ある営業担当者が、顧客企業のメールアドレスにカタログや提案書を添付して送ろうとしたところ、何度送っても「5.6.11」のエラーが返り、メールサーバーの設定情報を参照すると「disallow_bare_lf = yes」による拒否が行われていました。顧客側のシステム管理者と連絡を取り、差し迫った商談であることを伝えたところ、一時的にルールを緩めてもらい、メールを受け取ってもらう形で対処したとのことです。
事例3:自宅PCのメールクライアントと連携して解決
普段はスマホやタブレットからWeb版Outlook.comを利用してメールを送っていたユーザーが、なぜか一部の友人にだけメールが届かない状況になりました。調べると、友人の側は個人で独自ドメインのメールサーバーを運用しており、セキュリティ強化のためLFのみの改行はすべて拒否する設定が施されていました。そこでユーザーは、一時的にデスクトップ版OutlookをPCにインストールし、アカウント同期した上でPCからメールを送ってみると難なく届くようになったのです。このように、同じアカウントでも利用するクライアントソフトによって改行コードの扱いが変わる場合があります。
まとめ:相手の受信サーバー設定を理解しつつ臨機応変に対応しよう
「Bare Line Feeds Send Rejection」エラーは、メール改行コードの不一致という些細な理由で起こりますが、セキュリティの高い環境ほど起こりやすいトラブルとも言えます。送信者としてできることは、可能な範囲で改行コードを「CR+LF」に整形し、必要に応じて他のクライアントやサービスを利用することです。しかし最終的に、問題を根本から解決するには受信サーバー側の設定変更が必要な場合が多く、相手の管理者と連携して柔軟に対策していくことが不可欠です。
また、多くのメールシステムは自動的にRFCに準拠した形で送信してくれますが、Web版Outlook.comのようにブラウザ経由で送信する環境では、思わぬ形でLFのみの改行が混入するリスクがゼロではありません。事前にコピー&ペーストの段階で整形するなどの対策をとりつつ、もし相手先が厳格な環境であれば、ログをもとにエラー原因を突き止め、設定を変更してもらえるよう協力を依頼しましょう。最終的には「自分の環境ではなく、相手先サーバーに問題がある」ことを正確に伝えて、早期解決に導くことが重要です。
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