新しいOutlookがリリースされてから、さまざまな機能強化が話題になっています。一方で、「添付ファイルを開こうとしてもエラーが出る」という報告も増え始め、実務やプライベートでメールを多用する方々にとって大きな悩みとなっています。今回は、実際に多くのユーザーが苦しんでいる「添付ファイルを開けない問題」にフォーカスして、その原因や対処法を幅広く紹介します。
新しいOutlookで起こる添付ファイルを開けない問題
新しいOutlook(デスクトップ版)を利用していると、メールに添付されているファイルを開こうとした際に「Error occurred while opening the file. Please try again.(ファイルを開く際にエラーが発生しました。再度お試しください)」というメッセージが表示され、ファイルを直接開けないケースがあります。この問題は一見するとネットワーク障害やファイル形式の問題のようにも見えますが、実際にはOutlook内部で一時ファイルを扱う仕組みやブラウザー機能との連携部分で不具合が発生している可能性が高いとされています。
このトラブルが発生する原因
1. Attachmentsフォルダーの破損または未作成
Outlookでは添付ファイルを開く際、一時的に専用フォルダーへファイルを展開してから実行することが多いです。ところが、新しいOutlookにおいては従来のフォルダー構造がうまく引き継がれなかったり、アップデートに伴いフォルダー自体が破損したり消失したりすることがあります。これによって添付ファイルの展開に失敗し、エラーが表示されてしまうのです。
2. EBWebView(ブラウザー関連機能)の不具合
新しいOutlookは内部的にWeb技術を積極的に活用しており、Windows 10やWindows 11に搭載されているブラウザー系の仕組み(WebView)がメール本文の表示や添付ファイルプレビューに関与することがあります。EBWebViewフォルダーが破損・競合を起こしていると、添付ファイルの処理が滞ってエラーが発生しやすいと考えられます。
3. OneDriveとの連携不具合やブラウザー設定
OneDriveと連携する設定をオンにしている場合、添付ファイルをオンラインストレージへ自動的にアップロード・同期してから開こうとする動作になるケースがあります。ブラウザーの既定設定などと衝突することで、ファイルを開けない不具合が起こることもあるようです。
4. Microsoft側のバグや設定不備
ユーザーから複数報告が上がっていることから、Microsoft側の不具合として認識されている部分もあるとされています。実際に管理ポータル等で「EX985217」などの障害情報がアナウンスされていることからも、一部バグ修正や設定変更が今後行われる可能性が高いといえます。
主な解決策・対処法
以下では、実際に多くのユーザーから有効だと報告されている解決方法をまとめました。環境によってはすべての対処法を試さなければならないケースもありますが、まずは簡単なものから順番に実行してみましょう。
1. Attachmentsフォルダーの確認・再作成
Outlookの添付ファイルを扱ううえで最も基本となるのが、Attachmentsフォルダーの存在確認です。誤って削除されていたり、フォルダーが破損していたりするとエラーが頻発します。
フォルダーの場所を確認する手順
- Windowsキー+Rを押し、「ファイル名を指定して実行」を開きます。
%userprofile%\appdata\local\microsoft\olk
と入力してEnterを押します。- 開いたフォルダーに「Attachments」という名前のフォルダーがあるかどうかチェックします。
もしフォルダーが見当たらない場合は、自分でフォルダーを作成しましょう。すでにフォルダーがある場合でも、次のように一度削除して再度作成することで改善する報告もあります。
# コマンドプロンプトでの例
cd %userprofile%\appdata\local\microsoft\olk
rmdir Attachments
mkdir Attachments
上記のように削除→作成を行った後、新しいOutlookを再起動し、添付ファイルが開けるかを試してみてください。
2. EBWebViewフォルダーのリセット(リネーム)
EBWebViewに起因するエラーが疑われる場合は、このフォルダーをリネームすることで問題が解決するか試してみます。リネーム後にOutlookが再度EBWebViewフォルダーを作り直し、正常に動作する可能性があります。
具体的な操作例
- 再び
%userprofile%\appdata\local\microsoft\olk
フォルダーを開きます。 - 「EBWebView」というフォルダーがあれば、たとえば「EBWebView_old」のように名前を変更します。
- 新しいOutlookを再起動して添付ファイルを開けるか確認します。
ただし、この対処法に関しては一部環境で効果が出ないという報告もあります。その場合は、以下に紹介する他の手法と組み合わせたり、時間を置いてから試すとよいでしょう。
3. 「Outlook (New)」アプリのリセット・修復
Windowsのアプリ管理画面から実行できる「修復(Repair)」や「リセット(Reset)」も、比較的簡単に試せる方法です。これらの操作を行うと、Outlookのキャッシュや設定が再構築されるため、不具合が解消されることがあります。
実行手順
- Windowsの「スタート」ボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 「アプリ」→「インストールされたアプリ(Installed apps)」を選択します。
- 一覧から「Outlook (New)」を探し、「詳細オプション(Advanced options)」をクリックします。
- 「修復(Repair)」または「リセット(Reset)」のボタンを順に試し、Outlookを再度起動して添付ファイルが開けるか確認します。
上記の操作を行うと、必要に応じて一部の設定が初期化される可能性もあります。重要なメールデータや設定がある場合は、念のためバックアップや同期状態を確認してから実行すると安心です。
4. 既定のブラウザー設定を変更
新しいOutlookの「Files and links(ファイルとリンク)」設定で、既定ブラウザーを改めて「Default browser」やEdgeなどに指定し直すと改善するケースがあります。特にOneDriveとの連携時は、添付ファイルをブラウザー経由で開こうとする動作が影響することもあるため、ブラウザーやリンク設定を見直すと効果があるかもしれません。
設定が見当たらない場合
環境によっては「Files and links」オプションが表示されないこともあります。そのような場合は、従来の「既定のアプリ」設定(Windows側の既定プログラム設定)でブラウザーを切り替えることが対処法になります。
5. OneDriveを起動する / 添付ファイルをアップロードして開く
OneDriveクライアントが正常に起動していないと、Outlookがファイルを開く際に同期エラーを起こす可能性があります。そこで、一度OneDriveアプリを起動・サインインした状態にしてから、Outlookの添付ファイルを開いてみるとスムーズに動くこともあります。
どうしても添付ファイルを直接開けない場合は、ファイルを一旦PC上の任意の場所に保存したり、OneDriveに手動アップロードしてから開く方法で回避できます。
6. 管理ポータルでの障害情報や旧Outlookへの切り替え
Microsoft 365管理ポータルやサービス正常性のダッシュボードで、Outlookに関する最新の障害情報がアナウンスされている場合があります。もし自分の環境に合致する障害が報告されているときは、解消まで待つ、または一時的に旧Outlookへ戻す選択肢も検討できます。
旧Outlookへの切り替え手順
新しいOutlookウィンドウの右上などに「Try the new Outlook」を切り替えるスイッチがある場合、これをオフにするだけで旧バージョンに戻すことができます。旧Outlookでは安定して添付ファイルを開けるケースも多いので、仕事などで急ぎの場合は暫定措置として有効です。
追加のワンポイントアドバイス
複数回再発する場合の対処
Attachmentsフォルダーの再作成やEBWebViewのリネームなどを行って一度は直っても、しばらくすると再発するケースがあります。そのようなときは、下記のような対処を組み合わせて試すと効果が高まるかもしれません。
- Outlook (New) の修復とフォルダーリセットを同時に行う
- ブラウザーのキャッシュクリアを実行する
- WindowsのアップデートやOfficeの更新プログラムを適用する
- 競合するかもしれない他のメールクライアントやアドオンを無効化してみる
レジストリ編集による対処法
特別なケースですが、どうしても解決しない場合にはレジストリを編集してOutlookの一時ファイル保存先を明示的に指定する方法も存在します。これは慎重に行う必要があり、誤操作によってシステムに不具合をもたらす可能性もあるため、自己責任の範囲で実施してください。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\Security]
"OutlookSecureTempFolder"="C:\\Users\\<ユーザー名>\\AppData\\Local\\Microsoft\\OLK\\Attachments\\"
あらかじめレジストリのバックアップを取ったうえで、上記の値を修正・追加することで、Outlookが添付ファイルを保存するパスを明確に指定することができます。
Microsoft公式サポートへの問い合わせ
最終手段として、Microsoft公式サポートに連絡して対応を仰ぐことも推奨されます。特に企業や団体でOffice 365 / Microsoft 365を利用している場合は、管理者権限でサポートチケットを発行できるため、根本解決を急ぐ際は活用するとよいでしょう。
まとめ
新しいOutlookで添付ファイルを開けない問題は、Attachmentsフォルダーの破損やEBWebViewの不具合など、ローカル環境に起因するものからMicrosoft側のバグまで、さまざまな要因が絡んでいる可能性があります。まずは
Attachmentsフォルダーの確認や再作成、
EBWebViewフォルダーのリネーム、
Outlook (New) の修復・リセットなどの基本的な手順を試し、ブラウザー設定やOneDriveとの連携も見直してみましょう。それでも改善しない場合は、旧Outlookへの切り替えやMicrosoft公式サポートへの問い合わせなどを検討しながら、状況に合わせて柔軟に対処するのがおすすめです。
最後まで読んでくださった方が、今直面している問題を少しでも早く解決できることを願っています。もし周囲で同様のトラブルに困っている方がいれば、ぜひこの対処法を共有してみてください。新しいOutlookは機能強化や利便性向上の余地が多い一方で、まだまだ安定性に課題が残っています。今後のアップデートや改良でより快適なメール体験ができるよう期待しつつ、現時点では今回紹介した方法を活用して乗り切りましょう。
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