新しいOutlookに移行すると、「BCC(ブラインドカーボンコピー)欄を常に表示したい」「特定のアドレスを自動でBCCに入れたい」などの、従来の使い方との違いに戸惑うことも多いですよね。今回は、そんな悩みを解消するための具体的な手順や回避策を余すところなくご紹介します。
新しいOutlookでBCCを常時表示する方法
新しいOutlookの画面は従来のUIから大きく変わっており、設定箇所が見つけにくいと感じる方も少なくありません。まずはBCC欄を常に表示させる方法から見ていきましょう。
1. 設定画面を開く
新しいOutlookの画面右上にある「歯車アイコン」をクリックすると、設定メニューがポップアップ表示されます。ここを起点に、細かい調整を行うことができます。
2. メール関連の設定を選択
表示されたメニューの中から「メール」や「全般」のような項目を探し、「メールの設定」に移動します。選択肢の名称は環境によって若干異なる場合がありますが、概ね「メール設定」や「Outlookの設定」などの表記となっているはずです。
3. 作成と返信(Compose and reply)を選択
メール作成や返信時のオプションを管理するための画面に遷移します。ここではフォントの指定や署名の設定などもまとめて行えるようになっていることが多いです。
4. 「常にBCCを表示する」オプションを有効化
「Always show BCC」や「常にBCCを表示する」と書かれた項目があれば、そのチェックボックスをオンにしましょう。ここを見落としていると、手動でBCC欄を開く手間が毎回発生してしまいます。
5. 設定を保存
変更を加えたら必ず「保存」ボタンをクリックしましょう。これを忘れてしまうと、また同じ設定をやり直すはめになります。保存後、新規メール作成や返信の画面を開くと、常にBCC欄が表示されるようになります。
よくあるつまづきポイント
- 設定が見つからない場合
→ 新しいOutlookのUIが反映されていない、あるいはプレビュー版を使用している可能性があるので、画面を更新したり別のブラウザで試してみましょう。 - 設定項目の名称違い
→ 「BCCを常に表示する」ではなく「Always show BCC」など英語表記の場合があります。言語設定の確認も大切です。 - 保存を忘れてしまう
→ つい設定画面を閉じるときに忘れがちなステップです。確実に保存しましょう。
特定のアドレスを常にBCCに追加したい場合
続いて、ビジネスシーンなどでよくある「送信する全てのメールに、特定のメールアドレスを常にBCCで入れたい」という要望について解説します。これは主に旧Outlook(従来のUI)で可能だった設定ですが、新しいOutlookでは同じ場所に設定が見当たらないという声をよく耳にします。
標準機能が見当たらない現状
旧Outlookでは「常に特定アドレスをBCCに入れる」ためのチェックボックスやオプションがありましたが、新しいOutlookでは同様の場所にそういった設定が確認できないケースが多いです。特にWeb版やプレビュー版を使っている場合、機能自体が提供されていないことがあります。
主な回避策(ワークアラウンド)
残念ながら、新しいOutlookで標準機能として直接「特定アドレスを自動BCCに追加」という設定は提供されていない可能性が高いです。そこで検討したい主な回避策を以下にまとめます。
回避策 | 特徴・メリット | デメリット |
---|---|---|
1. Exchange管理者による メールフロールール(Transport Rule) | 組織の管理者がExchange OnlineやオンプレミスのExchangeにルールを設定することで、すべての送信メールに自動的にBCCを付与可能。 | 組織管理者の権限が必要。個人レベルでは設定できない。 |
2. Outlookデスクトップ版 のクイックステップやVBAマクロ | 個人のOutlookクライアントで、自分専用の自動BCC機能を作成できる。クイックステップはGUIで設定しやすい。 | デスクトップ版Outlookに限定される。Web版Outlookでは動作しない。 |
3. サードパーティアドイン の利用 | 新しいOutlook対応のアドインがあれば、それを導入することで自動BCCが可能になる場合もある。 | アドインの信頼性や導入コストが課題。企業ポリシーでアドイン導入が制限される場合もある。 |
ワークアラウンド1: Exchange管理者によるメールフロールール
組織内のメールサーバ(Exchange Onlineも含む)を管理する立場にある場合は、以下の手順で自動BCCを実現できます。
- Exchange管理センターにアクセス
Microsoft 365管理センターやオンプレミスのExchange管理センターにログインします。 - 「メールフロー(Transport Rules)」を選択
メールの流れをコントロールするルールを設定するセクションに移動します。 - 新しいルールを作成
「新しいルールの作成」ボタンをクリックし、条件とアクションを指定します。
- 条件: 「送信者が組織内のユーザーである場合」など
- アクション: 「メッセージをBCCとして○○○@example.comに追加する」
- ルールを保存・有効化
ルールの名前をわかりやすく設定し、保存して有効化します。
実際のPowerShellコマンド例として、Exchange Online Managementモジュールを使った設定方法の一例を挙げておきます。管理者権限がある場合のみ実行可能です。
# ExchangeOnlineManagementモジュールのインストール(初回のみ)
# Install-Module ExchangeOnlineManagement
Import-Module ExchangeOnlineManagement
Connect-ExchangeOnline
New-TransportRule -Name "AutoBCCRule" `
-SentToScope NotInOrganization `
-BlindCopyTo "bcc_address@example.com"
上記のスクリプトはあくまで一例です。実際には組織のルールに合わせて条件やアクションを細かく設定することが推奨されます。
ワークアラウンド2: Outlookデスクトップ版のクイックステップやVBAマクロ
個人で簡易的に実現したい場合は、Outlookデスクトップ版の「クイックステップ(Quick Steps)」機能やVBAマクロを利用する方法があります。
- クイックステップを使う例
- Outlookデスクトップ版で「ホーム」タブの「クイックステップ」グループから「新しいクイックステップ」を選択。
- アクションを「新しい電子メールを作成」に設定し、オプションで「BCCに○○○@example.comを追加」などを指定。
- 必要に応じてショートカットキーを設定し、いつでもワンアクションでBCCを追加できるようにする。
- VBAマクロを使う例
Outlook VBAを使って、新規メール作成イベントや送信イベントの際に自動的にBCCアドレスを追加するコードを書くこともできます。ただし、VBAスクリプトはセキュリティ設定によっては制限される場合がある点に注意が必要です。
ワークアラウンド3: サードパーティ製アドインを利用
新しいOutlook向けに配布されているアドインを利用することで、自動BCC機能を補う方法です。手順は各アドインのドキュメントを確認する必要がありますが、代表的なフローは次のようになります。
- アドインの入手
Microsoft AppSourceなどで「Auto BCC」や「BCC auto fill」などのキーワードで検索して対応アドインを探す。 - アドインのインストール
Outlookの「アドイン」管理画面からインストール。場合によっては管理者権限が必要。 - アドイン設定を行う
自動でBCCに入れるアドレスを指定。必要に応じて条件設定(「特定のドメインへの送信時だけ」など)をする。 - テストメールを送信
実際にメールを作成し、正しくBCCに指定アドレスが入っているか確認。
ただし、アドインが有料であったり、企業のセキュリティポリシーでアドイン導入が制限されているケースもあるので、事前の確認が欠かせません。
今後のアップデートやサポート状況
MicrosoftはOutlookの新機能やUIを頻繁にアップデートしており、新しいOutlookも引き続き改善が行われる見込みです。過去には旧Outlookで可能だった設定が、一時的に新Outlookで見当たらなくなっていたものが、後に復活した例もあります。したがって、近い将来、標準機能として「特定アドレスの自動BCC」が再び追加される可能性もゼロではありません。
ただし、組織全体で利用するような機能は、Exchange管理センターなどの管理者レベルの設定に統合されていく方向性も考えられます。個人利用レベルで同等の機能を使うためには、デスクトップ版やアドインなどを併用するのが現実的といえるでしょう。
まとめ
今回解説したポイントを整理すると、以下のとおりです。
- BCCラインを常に表示する
新しいOutlookの設定画面で「Always show BCC」や「常にBCCを表示する」をオンにして保存すればOK。 - 特定アドレスを常にBCCに追加したい
新しいOutlookでは標準機能としては用意されていない可能性が高い。代替策としては、Exchange管理者によるメールフロールール、Outlookデスクトップ版のクイックステップやVBAマクロ、またはサードパーティアドインの利用が考えられる。
必要に応じて、会社や組織のIT管理者に問い合わせるのも一つの手です。もし環境が許すなら、旧Outlook(従来のUI)やOutlookデスクトップ版の活用、さらには将来的な新機能の追加も視野に入れてみてください。自分の使い方に合わせて最適な方法を探ることが、Outlook運用をスムーズにするカギとなります。
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